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漢・唐時代の陶俑

東洋館3階の5室では、12月23日(水・祝)まで特集「漢・唐時代の陶俑」を開催しています。

展示風景
展示会場風景

陶俑とは、兵士・召使・芸人などのさまざまな人物や動物の姿を写したやきものの像のことです。古来中国の人々は死後も霊魂が存在すると信じ、親や先祖の霊魂が不自由なく暮らせるよう心を砕き、こうした像を作って墓に副葬してきました。本格的な始まりは、紀元前5世紀の春秋戦国時代まで遡ります。
その後、各時代の風俗や流行をも形に写した陶俑は、時代ごとの異なる特徴と魅力を具えるようになりました。なかでも、漢時代(前206~後220)の陶俑は素朴な造形のなかに文化の成熟を、唐時代(618~907)の陶俑は華やかさのなかにシルクロードを通じて伝わった西方諸国の影響を認めることができます(写真下)。
本特集は、トーハクの所蔵もしくはお預かりしている陶俑のなかでも、優品の多い漢・唐時代の作例を選りすぐり、一堂に集めて紹介するものです。

加彩女子と三彩女子
左:加彩女子 前漢時代・前2世紀 高さ57.0㎝ 広田松繁氏寄贈
右:三彩女子 唐時代・8世紀 高さ14.3㎝ 横河民輔氏寄贈


さらに、今回の特集では、トーハクをはじめとする日本の博物館や美術館が陶俑を蒐集してきた経緯についても光を当てます。
陶俑は20世紀初頭に中国河南(かなん)省の墳墓から偶然出土したのを契機に、骨董市場に流出し、おもに欧米の人々が競って求めました。日本の市場では、墓の出土品であり、また、伝統的な茶道具と馴染まないものだったため、陶俑はなかなか受けいれられませんでした。
そのようななか、陶俑をいちはやく評価したのが大正・昭和に活躍した実業家や芸術家でした。本特集では、横河民輔(よこがわたみすけ、1864~1945)、中野欽九郎(なかのきんくろう、1863~?)、大倉喜七郎(おおくらきしちろう、1882~1963)といった実業家ゆかりの陶俑のほか、山口蓬春(やまぐちほうしゅん、1893~1971)、安田靫彦(やすだゆきひこ、1884~1978)、小林古径(こばやしこけい、1883~1957)などの作品に描かれた陶俑に注目し、静物画の画題や歴史画の考証資料として陶俑を愛蔵した画家たちの慧眼に迫ります。会場では、上記した画家たちの作品(パネル)と、画中の陶俑および陶俑を参考にして描いた人物に似た類例を並べて展示します。


山口蓬春筆「三彩俑」と三彩女子
左:山口蓬春筆「三彩俑」写生 昭和31年(1956)60.8×35.8㎝ 紙本・鉛筆、色鉛筆 神奈川県立近代美術館蔵(画像提供:公益財団法人 JR東海生涯学習財団)
右:三彩女子 唐時代・8世紀 高さ43.7㎝ 鈴木榮一氏寄贈

 

小林古径筆「唐俑」と加彩舞女
左:小林古径筆「唐俑」昭和25年(1950) 85.0×55.0㎝ 紙本着色 山種美術館蔵(画像提供:山種美術館)
右:加彩舞女 唐時代・7~8世紀 高さ38.5㎝ 広田松繁氏寄贈


本特集の会期中、10月27日(火)には平成館2階の展示室で特別展「始皇帝と大兵馬俑」が開幕します(2016年2月21日(日)まで)。
始皇帝(前259~前210)の作らせた兵馬俑もまた、長い歴史をもつ中国の陶俑の一種ですが、等身大の大きさ、服のしわや髪の櫛目といった細部まで徹底的に写した造形は、他の時代の陶俑にはない特徴です(写真下左)。このほか、兵馬俑に先行して戦国時代の秦で作られた小型の陶俑も展示します(写真下右)。
今秋のトーハクでは、戦国・秦時代から唐時代まで陶俑の流れを一気に概観することができます。始皇帝の兵馬俑がもつ圧倒的な写実表現と、漢・唐時代の陶俑がそなえる洗練された美の両方を堪能できる、めったにない機会をお見逃しなく。

将軍俑と騎馬俑
左:将軍俑 秦時代・前3世紀 高さ195.0㎝ 中国陝西省臨潼区秦始皇帝陵1号兵馬俑坑出土 秦始皇帝陵博物院蔵

(C)陝西省文物局・陝西省文物交流中心・秦始皇帝陵博物院
右:騎馬俑 戦国時代・前4~前3世紀 高さ22.0cm 中国陝西省咸陽市塔児坡28057号墓出土 咸陽市文物考古研究所蔵
(C)陝西省文物局・陝西省文物交流中心

 

カテゴリ:研究員のイチオシ特集・特別公開博物館でアジアの旅

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posted by 川村佳男(平常展調整室主任研究員) at 2015年10月08日 (木)

 

中国書画精華―日本における受容と発展―

過ごしやすい季節となりました。少々気は早いですが、新米に紅葉、博物館と、この時期ほど日本を感じられる季節はないのではないでしょうか。

約1か月間のお休みをいただき、展示環境の調整を行っておりました東洋館8室。現在は、特集「中国書画精華―日本における受容と発展―」(~2015年11月29日(日)、一部展示替えあり)を開催中。文化交流をテーマにした「博物館でアジアの旅」(~2015年10月12日(月・祝))の筆墨ツアー(10月9日(金) 11:00~)にもなっています。
本場の中国でもなかなか見られない書画の名品が一堂に会するこの企画は、東洋館8室の秋の風物詩となりました。今年は日本における受容と発展に注目しながら、中国書画の尽きせぬ魅力をご紹介します。

展示風景

本展の見どころの一つに、禅宗僧侶の書「墨跡」があります。平安時代末以降、南宋・元に渡った日本の禅僧は参学修行の証として、頂相や袈裟など様々なものを請来しました。そのなかには臨済宗楊岐派の高僧の書が多くみられ、また幕府の招聘を受けて来日した中国僧も多くの書を残しました。
もとは墨で書かれた筆跡を指す墨跡という言葉は、日本において、中国からもたらされた禅僧の書、更には日本の禅僧の書をも含めて、独特の意味合いをもつようになり、禅林のみならず将軍家、貴族、町衆らの間でも珍重されていきました。そこには、南北朝時代に五山の禅僧により詩文書画の応酬など文芸活動が活発に行われたこと、そして、室町時代以降の茶の湯の普及と展開、すなわち茶室の床飾りとしての墨跡鑑賞の流行が背景にあります。中国禅僧の書は、母国では見られない鑑賞法のもとに新たな意味づけがなされて、受容されていきました。

重要文化財 禅院額字「釈迦宝殿」 無準師範筆 

国宝 禅院額字「旃檀林」 張即之筆
上:重要文化財 禅院額字「釈迦宝殿」 無準師範筆 
南宋時代・13世紀 京都・東福寺伝来 東京国立博物館蔵(梅原龍三郎氏寄贈)
下:国宝 禅院額字「旃檀林」 張即之筆
南宋時代・13世紀 京都・東福寺蔵

ともに博多・承天寺の創建(1242)に際して、無準師範が弟子で同寺開山の円爾弁円に送ったとされる額字(懸額の書)。これらの額字・牌字(看板の書)には、2種類の書風が認められ、無準のほか南宋の能書家、張即之筆と伝承されるものがあります。張即之は無準門や大慧派の禅僧と広く交流し、南宋禅林では張の書風が流行したと言われます。円爾の請来品や、張風の書をよくした渡来僧を介して、張即之の書法は墨跡とともに日本で受容されることとなりました。


もう一つの見どころは、足利将軍家のコレクション「東山御物」に収められた南宋を主とする中国絵画です。東山御物は、すでに三代将軍義満(在位1368~1394)の頃にその中核が築かれ、六代将軍義教(在位1428~1441)の代に最も充実するところとなった唐物コレクションです。会所を鑑賞の場として、将軍と近侍する同朋衆により座敷飾りの取り合わせが考えられ、時に天皇の御成などに際しても、選りすぐりの逸品で各室が最上の空間に飾られました。東山御物中の唐絵には、鑑蔵印等を工夫して異なる作品を対に仕立てたものや、大幅・巻子を切断したものなどがあり、将軍・同朋衆が自らの美意識のもとで極めて積極的な鑑賞を行っていたことが窺えます。

梁楷の三幅対
中:国宝 出山釈迦図 梁楷筆 南宋時代・13世紀
東京国立博物館蔵 ※10月27日(火)から展示
左:
国宝 雪景山水図 梁楷筆 南宋時代・13世紀
東京国立博物館蔵 ※10月27日(火)から展示
右:
国宝 雪景山水図 伝梁楷筆 南宋時代~元時代・13~14世紀
東京国立博物館蔵 ※修理中のため、本展では出品されません
もとは別物として伝来したものを、中幅に「出山釈迦図」、左右幅に2種の「雪景山水図」を配する三幅対に仕立てて、東山御物として鑑賞されました。



御物御画目録
御物御画目録 伝能阿弥筆 室町時代・15世紀 東京国立博物館蔵
同朋衆の能阿弥が、東山御物中の唐絵を、料紙の種類や画面の大きさ・対幅の形式で分類し、画題・画家を記録した『御物御画目録』の写本。収録されるすべてが宋・元の絵画で、上掲の3幅対は「出山釈迦 脇山水 梁楷」(の部分)に相当します。


このほか、近代以降に伝来したいわゆる「新渡り」の書画も見逃せません。中国で正統とされ、これまで日本人が決して目にすることのできなかった宋から清に至る本格的な書画は、日清修好条規の締結(調印1871)を契機とした日中間の文化的交流や、義和団事件(1900)・辛亥革命(1911)をきっかけとした中国文物の流出を背景として、明治時代以降、日本に少なからずもたらされました。戦後、当館にご寄贈いただいた高島菊次郎(1875~1969)や青山杉雨(1912~1993)のコレクションなどには、中国伝統の文人趣味が反映され、彼らの熱意ある収集活動がなければ、今日、これほどまでに中国書画を身近に感じることはできなかったでしょう。

行草書十詩五札巻

雑画冊 陳鴻寿筆 清時代・嘉慶22年(1817)

上:行草書十詩五札巻 鮮于枢筆 元時代・13世紀 東京国立博物館蔵(高島菊次郎氏寄贈)
下:雑画冊 陳鴻寿筆 清時代・嘉慶22年(1817) 東京国立博物館蔵(青山慶示氏寄贈) ※10月25日(日)まで展示


日本にもたらされた中国書画は、それまでとは異なる価値基準のもとに、新たな鑑賞法や意味が見出され、大切に伝えられてきました。日本における中国書画をめぐる文化に、少しでも触れていただければ幸いです。

 

カテゴリ:特集・特別公開中国の絵画・書跡博物館でアジアの旅

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posted by 六人部克典(登録室アソシエイトフェロー) at 2015年10月02日 (金)

 

東洋の白磁の起源―中国・6世紀の鉛釉陶と白磁

東洋館5室にて開催中の特集「東洋の白磁―白をもとめ、白を生かす」(12月23日(水・祝)まで)。
東京国立博物館では「描くやきもの―奔放なる鉄絵の世界(東洋の鉄絵)」(2007年)、「東洋の青磁」(2012年)と、中国、朝鮮、日本、東南アジアのやきものを一堂に集めて、その魅力を紹介する特集を企画してきました。今回の特集は「東洋のやきもの」特集第3弾です。

白磁はやきものの国、中国で生まれました。

その白い胎土は硬く焼き締まり、水をほとんど通しません。清潔感があってどんな料理にも合い、使いやすさからいまや私たちの日常の食卓に欠かすことのできないうつわです。また、ガラスのように薄く軽く、光を受けて輝く姿は、華やかな饗応の場でも見劣りすることはありません。そして青花や五彩といった色彩豊かな磁器の礎であることは言うまでもありません。

うつわの王ともいうべき白磁を白磁たらしめるもの、それは透明釉(とうめいゆう)と真っ白な胎土(たいど)です。

釉は、土をかためてうつわをつくり、高火度で焼き締めた際、燃料の灰がうつわに降りかかって偶然に生じたと考えられています。それははるか昔、商(しょう)(殷(いん))王朝の時代のこと。当時の釉はムラがあり、鉄分や不純物を含んで全体に緑色や茶色を帯びていました。水を通さず、素地をより清潔で堅牢なものにし、さらにガラスのように表面をつややかに美しくみせるという役目にはまだまだ未熟なものでありました。

精製された白い胎土に、不純物をできるだけ取り除いた釉が掛かった白いやきものが登場したのは、それから2000年も経った6世紀頃のことです。このときつくられたのは、白い素地に低火度釉の鉛釉(なまりぐすり)の透明釉を掛けた鉛釉陶と、白い素地に高火度釉の透明釉を掛けた白磁、この2種類に大きく分けることができます。

2010年(平成22)に開催された夏季特別展「誕生!中国文明」を皆様覚えていらっしゃるでしょうか。夏(か)王朝誕生の地であり、商(殷)が拠点を置き、以降東周(とうしゅう)、後漢(ごかん)、魏(ぎ、三国時代)、西晋(せいしん)、北魏(ほくぎ)と歴代の王朝が都を構えた歴史上きわめて重要な地として知られる中国・河南(かなん)の出土遺物を集めた展覧会でした。

展覧会が開かれる前年、同僚の研究員らとともに私ははじめて河南省を訪ねました。中国陶磁を専門にする私の担当は、鄭州(ていしゅう)と洛陽(らくよう)で唐三彩を調査すること。とくに洛陽は唐時代、長安(西安)にならび栄えた都市。唐の貴人墓からは三彩が大量に出土し、程近い鞏義(きょうぎ)では窯址も見つかっています。まさに唐三彩の中心地に降り立ったのでした。

しかし、三彩や五彩のように華やかに彩られたやきものよりも、白や黒、青といった単色のやきものにどうしても惹かれてしまう私(専門は青磁です)。鄭州にある河南博物院の展示室のなかでもっと面白いものはないかとぶらぶら歩いていたところ、ある一画に目を奪われました。北斉(ほくせい、550~577)の高官、范粹(はんすい)の墓(安陽市)から出土した鉛釉の白いやきものと、隋(ずい、581~61)の官吏であった張盛(ちょうせい)の墓(安陽市)から出土した白磁です。

張盛墓出土女子俑
張盛墓出土女子俑(中国・河南博物院にて。本特集には展示されていません)
張盛墓からは、特別展「誕生!中国文明」に出品された白磁鎮墓獣(ちんぼじゅう)・武人俑のほかに100件近くの動物や人物の俑が出土しました。こちらの加彩の女子俑の手には香炉や盤、茶碗のようなさまざまなうつわが見え、当時の上流階級者のゆたかな生活の様子をうかがうことができます

張盛墓出土明器
張盛墓出土品(中国・河南博物院にて。本特集には展示されていません
張盛墓からは大量の俑に加え、壺や瓶、灯、碗のほか、井戸やかまど、倉などのミニチュアもたくさん見つかりました。この画像にみるうつわはみな白い素地にやや緑色を帯びた高火度の透明釉が掛かっており、中国では「青瓷(せいじ)」と報告されていますが、この釉が精製されてより透明に近づくとまさに白磁とよぶべきものです


范粹墓出土三彩三耳壺
范粹墓出土三彩三耳壺(中国・河南博物院にて。本特集には展示されていません
この作品は
特別展「誕生!中国文明」に出品されたもの。胎土は白いですが、胴部の途中まで白土で化粧をし、鉛釉の透明釉を掛け、さらに肩から緑釉を細く流し掛けています

これらは大量の副葬品で注目を集めただけでなく、中国白磁の展開を知るための「教科書」のような、研究者にとっては憧れの存在。なぜならば6世紀、北斉や隋の高貴な人々に強くもとめられた「白い」やきものは、その後中国陶磁が造形・装飾ともに大きく進化し、人々の生活にひろく浸透してゆく直接的な祖であり、基盤になったといえるものです。その象徴が范粹と張盛、二人の墓の出土品なのです。

今回の特集では、北斉、6世紀の白釉陶が3点出品されています(常盤山文庫(ときわやまぶんこ)所蔵 白釉突起文杯・三彩瓶・三彩四耳壺)。三彩の2点は化粧をしておりませんが、范粹墓出土の三彩三耳壺によく似ていることがわかります。緑や黄、藍などの色釉を掛けて彩る三彩は、白い素地にこそ映えるもの。これらは、唐三彩の前段階の三彩と位置づけることができます。

三彩瓶・三彩四耳壺・白磁四耳壺
(左) 白磁四耳壺  中国 唐時代・7世紀 個人蔵
(中) 三彩四耳壺 中国 北斉時代・6世紀   常盤山文庫蔵
(右) 三彩壺 中国 北斉時代・6世紀   常盤山文庫蔵

奥にならぶのは、個人蔵の白磁四耳壺。7世紀に位置づけられるもので、白く硬い胎にやや緑色を帯びた高火度焼成の釉が掛かっています。こちらは前述の張盛墓から出土した「青瓷」に雰囲気がよく似ています。鉛釉の白いやきものと白磁、展示室で見比べてみてください


これらのほかにも、展示では唐、宋、元時代の白いやきもの、ベトナム・日本・朝鮮の白いやきものなど、表情ゆたかな白いうつわをたくさん集めました。「博物館でアジアの旅」(9月29日(火)~10月12日(月・祝))の機会に、中国にはじまる白磁技術の伝播をたどりながら、それぞれ異なる見どころをぜひ見つけてお楽しみいただきたいと思います。



参考文献:拙稿「白い器を求めて―河南における白磁の展開―」『誕生!中国文明』展覧会図録、『常盤山文庫中国陶磁研究会 会報3 北斉の陶磁』2010

 

カテゴリ:研究員のイチオシ特集・特別公開博物館でアジアの旅

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posted by 三笠景子(東洋室研究員) at 2015年09月28日 (月)

 

いよいよ29日から!「博物館でアジアの旅」

チラシ
昨年より始まった秋のトーハク恒例イベント「博物館でアジアの旅」。
今年は9月29日(火)~10月12日(月・祝)の開催です。
 


東洋館では、「発見!つながるアジアー文化交流の視点で楽しむ東洋館」と題し、交流をテーマにした展示を行います。
「形・文様」「技」「文字」「人」 をキーワードにそれぞれの作品をひも解き、背景にあるアジア各国・地域間の共通性と広がりをパネルで解説します。

その中心は3つの特集。
3つの特集
(左) 重要文化財 白磁鳳首瓶 中国 唐時代・7世紀 横河民輔氏寄贈 東洋館5室 特集「東洋の白磁―白をもとめ、白を生かす」にて展示
(中)三彩鎮墓獣 中国 唐時代・7~8世紀 横河民輔氏寄贈 東洋館5室 特集「漢・唐時代の陶俑」にて展示
(右)重要文化財 李白吟行図 梁楷筆 中国 南宋時代・13世紀 東洋館8室 特集「中国書画精華―日本における受容と発展―」にて展示


東洋館5室「東洋の白磁―白をもとめ、白を生かす」では、中国、ベトナム、朝鮮、日本各地でつくられた白磁・白釉陶をとりあげ、それぞれの文化的背景に基づいて独自に白い器を完成させてゆく様子を紹介します。

同じく東洋館5室「漢・唐時代の陶俑」では、中国の墓に副葬された焼き物の人形・陶俑を、漢・唐時代の優品を通してその魅力をご覧いただくとともに、明治から昭和の日本での受容の歴史も紹介します。
こちらの特集は、次の特別展「始皇帝と大兵馬俑」(10月27日(火)~2016年2月21日(日))とあわせてご覧いただくことで、兵馬俑の驚異的な写実表現と漢・唐時代の陶俑がもつ洗練された美をそれぞれ対比してお楽しみいただけます。

東洋館8室「中国書画精華―日本における受容と発展―」は、日本美術にも大きな影響を与えてきた中国の書画。それらの名品がいつごろ日本に伝えられ、どのような影響を与えてきたのか、日本における受容と発展に注目した展示となります。


このほかにも、キーワードを掲げた名品の数々を展示していますので、東洋館でゆっくりと旅をお楽しみください。


旅のご案内も充実。
セブンワンダーツアーでは、7人の研究員が添乗員となって、「交流」をキーワードに、皆様を60分のアジア旅行へご案内します。
気になるテーマを見つけたら、ぜひご参加ください。いずれも開始時間に東洋館1階 エントランスホールに集合です。

 

9月30日(水) 11:00~12:00「インドから東南アジアへ、仏像の旅
10月2日(金) 11:00~12:00「東洋の白磁 ―白いうつわをもとめて
10月3日(土) 11:00~12:00「文字でたどる朝鮮の歴史
10月6日(火) 14:00~15:00「トーハクでシルクロード探検
10月7日(水) 11:00~12:00「茶人の執着ここにあり!名物裂の世界
10月9日(金) 11:00~12:00「筆墨の伝える世界 ―東アジアのパスポート
10月12日(月・祝) 11:00~12:00「古代アジア青銅器の旅 なぜ人々は青銅に熱中したのか
 



アジアの雰囲気を味わいたい!という方には、
伝統芸能や伝統楽器の演奏会、伝統衣装体験、アジアン屋台をどうぞ。

イベント
(左) 着てみてポーズ! 中国・韓国・日本の伝統衣装(衣装体験)
(右)
韓国の伝統音楽 カヤグム(伽倻琴演奏と併唱) 

韓国伝統芸能 サムルノリ(太鼓演奏)
10月4日(日) 14:00~、15:30~ (各30分程度) 会場:東洋館前
※ 雨天の場合は平成館大講堂(雨天時は380 名、先着順)

韓国伝統音楽 カヤグム(伽倻琴演奏と併唱)
10月11日(日) 14:00~、15:30~ (各30分程度)
会場:平成館大講堂 定員:380名(先着順)

キルギスの伝統楽器コムズの調べ
10月6日(火) 13:00~、15:30~ (各30分程度) 会場:東洋館1室

中国の伝統楽器古箏(こそう)の調べ
10月9日(金) 13:00~、15:30~ (各30分程度) 会場:東洋館8室

着てみてポーズ! 中国・韓国・日本の伝統衣装(衣装体験)
期間中毎日開催(随時自由参加) 11:00~16:00 東洋館1Fエントランスホール


このほか、ぬりえやボランティアガイドも開催。
イベントスケジュールをチェックして、旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか?
 

 

カテゴリ:博物館でアジアの旅

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posted by 奥田 緑(広報室) at 2015年09月25日 (金)

 

旅のおもひ出~博物館でアジアの旅イベント報告

 ほー。ぼくトーハクくん。
 あれ? トーハクくん、「ほほーい!」じゃないの? なんだか元気ないわね。
 うん、なんかさ。燃え尽き症候群ってやつかな。いま、東洋館の「博物館でアジアの旅」の思い出に浸ってたところなんだほ。



この秋、東京国立博物館では、「
アジアフェス in トーハク」と題して、東洋美術を楽しむ特別企画を開催中。
総合文化展「
博物館でアジアの旅」2014年9月30日(火) ~ 10月13日(月・祝)
2014年日中韓国立博物館合同企画特別展「
東アジアの華 陶磁名品展」2014年9月20日(土) ~ 11月24日(月・休)

 確かに、楽しかったわねー、「博物館でアジアの旅」。なんといっても衣装体験
わたし、韓国の王妃様になったのよ。そういえば、トーハクくん、あのとき撮ってくれた写真、まだもらってないわよ。

衣装体験
衣装体験

 あれ? そうだったかほー? 
 トーハクくんはどの企画が面白かった?
 そりゃ、やっぱり、屋台だほ。

アジアン屋台
夜間開館日のアジアン屋台

 そ、そこ? トーハクくん、全屋台制覇するってはりきってたものね。確かにおいしかったし、食は大切な文化。アジアフェスが大いに盛り上がったわね。ほかには?
 研究員さんたちのスペシャルトークが熱かったほ。コスプレ研究員も登場したんだほ。


民族衣装で解説する小泉研究員
民族衣装で解説する小泉研究員

 そうそう、ほとんど毎日、いろんなテーマのいろんなお話が聞けたのよね。いつもは、ひとつの展示室、ひとつの作品についてのお話が多いけど、アジアフェスのツアーでは、エジプト、インド、中国、日本、いろんな展示室を行ったりきたり。

 中国の漢時代の緑釉犬とボクの仲間の埴輪犬を比べるツアーもあったんだほ。
そういえば、緑釉犬、最近ちょっと人気が出てきて、いい気になってるんだほ!

犬と犬
緑釉犬(左)と埴輪犬(右)

 え? トーハクくん、なに張り合ってるの?

 だって、比べられちゃったんだほ。

 いやだ。研究員さんはそんな意味で比べたわけじゃないわ。比べてみるとはじめてわかることもあるのよ。
いろんな文化が出会ったり、交わったり、そして新しい文化が生まれる様子がわかることもあるわ。

 そういえば、夜の博物館にたくさんの子どもが来てくれた日もあったほ。

 ワークショップ「親子でぶつぞう探検 in ナイト・ミュージアム」ね。

 ナイト・ミュージアムなんて、別にふつーなのに、みんな大喜びだったほ。

 トーハクくんにはふつーでも子どもたちには特別なことなのよ。そうそう、早朝の展示室で仏像とヨガ体験も朝活女子にはたまらない企画だったわ。
トーハクくんも、たまには早起きして体を動かしたほうがいいわよ。

 ほっといてほしいんだほ! ぼくはダンスで鍛えてるから、いいんだほ。

 うんうん、その調子。トーハクくん、元気でてきたわね。
アジアフェスはまだまだ開催中よ! 特別展「東アジアの華 陶磁名品展」( 11月24日(月・休)まで本館特別5室で開催中)を盛り上げていきましょう! 

陶磁名品展
3つの国の文化に陶磁の名品を通して親しむ企画よ。日本国宝展とともに、ぜひみなさまご来場くださいませ。

特別展「東アジアの華 陶磁名品展」の見どころを紹介するブログはこちら



博物館でアジアの旅が、どんな風に盛りあがったか? 
詳細報告はこちら(PDF:781KB)
 

カテゴリ:news教育普及博物館でアジアの旅

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posted by 小林牧(博物館教育課長) at 2014年11月17日 (月)