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文化財を守る―保存と修理―

文化財を守り、伝えるために

本館

わたしたちの使命は、東京国立博物館が所蔵するおよそ11万件の文化財の保存と公開です。保存と公開の両立を図るためには、包括的な保存が必要となります。それは、長期的な見通しの下で予防と修理を的確に実践することです。

わたしたちは、これまでの経験と最新の研究成果を用いた臨床保存の実践を通じて、文化財に生じた劣化・損傷の診断と修理、保存環境の把握と改善など、診 断・予防・修理に日々取り組みながら、包括的保存の実現を目指しています。

 

全体の流れ

時と共に傷んでいく文化財
文化財の健康診断
予防
修理
東京国立博物館保存の歩み

 

予防

文化財が保管されている環境状態は良好か、文化財に急激な変化はないか、絶えず人間の目でチェックすること。それが予防です。
また文化財を守るためには、傷みを未然に防ぐことが大切です。そのために照度や展示期間を制限したり、適切な展示ケースなどを用いることにより、文化財の展示と保存の両立を目指しています。
温湿度管理
温湿度管理
湿度変化に弱い文化財の展示には、展示ケース内の湿度を一定に保つ。展示する文化財に適した湿度となる調湿剤をケースに入れる。
有害生物管理
有害生物管理
文化財についている虫を駆除(くじょ)するための「燻蒸(くんじょう)」。当館では、二酸化炭素を用いている。
空気環境管理
空気環境管理
鉄刀に銀をはめ込んで表現した文字や図柄、これらをサビから守るために、窒素を入れたケースで、展示と保存を両立する(平成館1階・考古展示室)。
照度管理
照度管理
色あせしやすい染料が用いられた浮世絵版画や染織品にとって、光は大敵。最もデリケートな文化財は、50ルクスの明るさで展示(浮世絵版画、本館2階・10室)。

当館では、保存のためジャンルごとに1年当りの展示期間を決めている。
ジャンルごとに1年当りの展示期間表

文化財の輸送品質管理

輸送経路上でどのような衝撃が発生するのか明らかにし、輸送品質の向上を図る。海外輸送においては、空港内作業で大きな衝撃(単位は加速度(G))が発生することが判明した。
グラフ 振動計
振動計の設置