東京国立博物館・東博コレクション展では毎週のように展示替えを行っています。こちらのページでは最新の展示替え情報をご紹介します。
※一部継続展示のものが含まれます。
舞楽は、8世紀末に中国・朝鮮などアジア大陸から流入した、舞を伴う音楽です。奈良時代から平安時代にかけて、宮廷や社寺の式楽として日本独自の発展を遂げました。その伝統は中世・近世に受け継がれ、主として、宮廷や社寺の年中行事や祭祀の中で続けられてきました。さまざまな典例が重んじられてきた宮廷文化の中で、舞楽装束にも伝統的な様式が色濃く残っています。 舞楽装束は曲目によって以下のように区別されます。 唐 楽:中国から伝わった舞楽で「左方」と呼ばれ、装束の色は赤系が基調。 高麗楽:朝鮮から伝わった舞楽で「右方」と呼ばれ、装束の色は青系が基調。 また、舞の形態によってのように分類されます。 平 舞:数人で舞う静かな動きの舞で、常装束を着用。 武 舞:剣や鉾を持って舞う勇壮な舞で、蛮絵装束を着用。 走 舞:面を掛け活発に舞う舞で、裲襠装束を着用。 その他、「胡蝶楽」や「迦陵頻」など、小さな子どもが舞う愛らしい童舞があります。 今回の展示では、左方の「胡飲酒」や雅楽と舞楽で左方と右方が変化する「陪臚」、別装束と称される特殊な装束をつける「狛桙」の装束を中心に、右方・左方の蛮絵袍を紹介します。色やデザインを比較しながら、宮廷文化が育んできた雅な色と模様の世界をお楽しみください。
江戸時代の小袖・振袖・打掛のほか、帯や櫛・笄・簪など、町方の女性たちのトータルファッションを展示します。同じ部屋に展示される浮世絵の美人画と見比べながら、江戸時代のファッションの流行にイメージを膨らませていただく展示とします。 今回は、春の終わりから初夏の季節に合わせて、菖蒲・藤・薊・桐・鉄線といった花の模様や薬玉模様の衣装を展示する。また、男性のおしゃれ小物である印籠・根付も併せて展示します。
東京・芝の浄土宗大本山増上寺には、「三大蔵」と呼ばれる三種の大蔵経(仏教経典の総集)が所蔵されています。宋版大蔵経5,342帖、元版大蔵経5,228帖、高麗版大蔵経1,357冊で、三つの大蔵経という意味から、「三大蔵」と呼ばれています。一組の大蔵経だけでも膨大な数にのぼりますが、版の異なる三種の大蔵経を所蔵しているのは世界でも唯一となります。これらは江戸時代17世紀初頭、徳川家康(1542~1616)によって将軍家の菩提寺である増上寺に寄進されたものです。
増上寺の三大蔵は、中世の東アジアにおける国際交流の軌跡を示すのみならず、近代にいたっては、今なお仏教研究の基本文献とされる『大正新脩大蔵経』の底本・校本としても使用された、貴重な文化遺産です。あわせて、江戸時代のさまざまな災害、関東大震災、東京大空襲など幾多の危機を奇跡的に乗り越えてきた歴史遺産でもあります。
このたび、増上寺の三大蔵はユネスコ「世界の記憶」に国際登録されました。これを記念し、東京国立博物館、増上寺、浄土宗は、この三大蔵を紹介する特別企画を開催します。多くの方々に増上寺の三大蔵を知っていただく機会となれば幸いです。
毎年春に東京都恩賜上野動物園と国立科学博物館と連携で企画している「上野の山で動物めぐり」の関連展示です。開催18回目となる今回のテーマは、子どもから大人まで人気の「ゾウ」。日本に本物のゾウが初めてやってきたのは室町時代と伝わります。ただし、それ以前からも普賢菩薩を乗せたゾウなど、主に信仰の世界ではよく知られた動物で、数多くの美術工芸品にあらわされてきました。今回の展示では、「プロローグ ゾウとの出会い」「信仰とゾウ」「象牙の世界」「ゾウ形をたのしむ」と題した章ごとに、さまざまな時代、素材の作品をご紹介するとともに、動物園、科学博物館からの実物標本も展示して、美術鑑賞だけでなく生態的なアプローチからもゾウについての理解を深めます。
東京国立博物館は、美術作品や考古資料だけでなく、歴史資料も多く所蔵しています。江戸幕府の旧蔵書、一橋徳川家からの寄贈書、当館の展覧会や調査活動を通して集められた資料、そして明治時代の文化財調査の際に撮影された写真など多種多様な作品があります。それらを主題や形態で分けて展示します。 今回は、当館のコレクションである伊能忠敬制作の「九州沿海図」、江戸幕府制作の「五海道分限延絵図」等に加え、平成館で開催予定の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」にあわせ、蔦屋重三郎(1750~97)と同じ時代を生きた戯作者たちの著作を紹介します。
明治・大正の絵画や彫刻、工芸を中心に展示します。明治5年(1872)の文部省博覧会を創立・開館のときとする当館は、万国博覧会への出品作や帝室技芸員の作品、岡倉天心が在籍していた関係から日本美術院の作家の代表作など、日本美術の近代化を考える上で重要な意味を持つ作品を数多く所蔵している。これらによって明治、大正、そして昭和にかけての日本近代の美術を概観します。日本画の前半は、明治26年(1893)にアメリカで開催されたシカゴ・コロンブス世界博覧会出品作とともに、関連する作品を展示、後半は、水景色を中心に夏の清涼な風情を感じさせる作品を展示します。洋画は明治期における女性像の展開の様相を示す作品を展示します。彫刻は、日本近代彫刻黎明期に新しい彫刻の在り方を模索した竹内久一による、古彫刻や古典音楽を題材とした作品を展示します。工芸は、ウィーン万博や内国勧業博覧会を中心とする明治前期の作品を展示します。
日本列島における、独自性の高い古墳文化を象徴する代表的造形として埴輪があります。埴輪のなかでも、女子埴輪の代表的な作品である盛装女子は、華やかに着飾り、全身を表現する女性として著名であり、本作品を考古展示室の導入部で展示します。
6世紀になると、人物埴輪や動物埴輪が盛行します。狩猟や葬送を象徴する動物埴輪群や多様な所作をする人物埴輪を中心に、物語を構成するかのように埴輪が古墳に並べられる。今回は、関東地方独特の埴輪文化を中心に紹介します。
古墳の成立とともに出現した埴輪は、前方後円墳の終焉まで製作が続けられ、葬送儀礼において重要な役割を果たしたと考えられます。ここでは5世紀における埴輪群の中心である家形埴輪と、代表的な器財埴輪・円筒埴輪・木製埴輪を展示します。
紀元前後頃にインドから仏教が伝わった中国では、南北朝時代に入ると国家的な規模で寺院の造営が行なわれるようになり大いに隆盛しました。この展示では、中国仏教彫刻の最盛期である南北朝時代から唐時代にかけての小金銅仏と石仏を紹介すします。小金銅仏の微細な表現、地域と時代によって異なる石材へのこだわり、石窟寺院での大規模な造像の一端をご覧ください。
中国唐時代から清時代に至るおよそ1300年のあいだにつくられた陶磁器を紹介します。今回は中国南部、主に福建、広東地方で焼かれた多彩な陶磁器を時代を追って展観します。
後漢時代(1~2世紀)の中国山東省や河南省南部等では墓の上に祠(ほこら)を、地下には棺などを置く部屋である墓室を石で作りました。祠や墓室の壁、柱、梁などの表面には、先祖を祭るために当時の世界観、故事、生活の様子などを彫刻して飾りました。画像石と呼ばれるこれらの石刻画芸術は中国の様々な地域で流行しましたが、ここではとくに画題が豊富で優品の多い山東省の作品を一堂に集めて展示します。
中国山水画の楽しみ方を、「古(いにしえ)に倣(なら)う」をテーマに紹介します。元時代末期の文人画家、倪瓉は、わずかな樹木と無人の亭(あずまや)、静かな水面を隔てた遠山という少ないモチーフで空間を構成し、水気を抑えた淡い墨のみを用いる、禁欲的で清潔感のあるスタイルで知られます。倪瓚スタイルは脱俗の極みとして人気となり、これを自己流にアレンジした作品が数多く描かれました。倪瓉から影響を受けた後世の山水図を集め、倣古のバリエーションを楽しんでいただきます。
法隆寺献納宝物のうち、飛鳥時代から奈良時代の伎楽面を中心にした展示です。
作品保護のため、金曜日および土曜日に限って公開します。
書跡は奈良時代後半から平安時代初期の作と考えられる法隆寺伝来の法華経を紹介します。
染織は「綾襷継分袷幡残欠」を中心として、綾織で文様を表わした多彩な幡足の数々を展示します。