このページの本文へ移動

文化財を守る―保存と修理―

文化財を守り、伝えるために

本館

わたしたちの使命は、東京国立博物館が所蔵するおよそ11万件の文化財の保存と公開です。保存と公開の両立を図るためには、包括的な保存が必要となります。それは、長期的な見通しの下で予防と修理を的確に実践することです。

わたしたちは、これまでの経験と最新の研究成果を用いた臨床保存の実践を通じて、文化財に生じた劣化・損傷の診断と修理、保存環境の把握と改善など、診 断・予防・修理に日々取り組みながら、包括的保存の実現を目指しています。

 

全体の流れ

時と共に傷んでいく文化財
文化財の健康診断
予防
修理
東京国立博物館保存の歩み
時と共に傷んでいく文化財 → 文化財の健康診断 →  予防 →  修理 →  東京国立博物館保存の歩み

 

文化財の健康診断

文化財の状態を知るため、受け継がれてきた歴史について調べ、目では見えない内部構造や材質を調査します。その調査をもとにカルテを作成します。
以下のような、いろいろな診断結果から、文化財の健康状態を知り、文化財にとって最も良いと考えられる保存方法を決めます。
外側を観察
外側を観察
実体顕微鏡を使って、目では確認できない表面を細かく調査する。
内側を観察
内側を観察
レントゲン写真を撮って、像を固定している釘や鎹(かすがい)の様子を確認する。
原料を観察
原料を観察
紙の原料(繊維)を顕微鏡で観察する。原料が分かると保存方法が決まる。
表層部分を観察
紫外線・赤外線で、目では見えない下書きの線や、表面の状態を確認する。
普通の状態 普通の状態 紫外線蛍光写真
紫外線蛍光写真
ワニスが塗られた箇所が青く見える。塗りムラもわかる。
 
組成の非破壊分析
元素の分析により、どのような絵具が使われているかを推測する。
蛍光X線分析結果グラフ  分析調査中の画像