東洋館 5室
2015年8月18日(火) ~ 2015年12月23日(水・祝)
本特集では、中国に生まれ、ベトナム、朝鮮、日本へ展開した白い器、「白磁」を紹介いたします。白磁は、金銀や漆の器よりも丈夫で扱いやすく、飲食の器に適しています。清らかな姿、かたち、そして何よりもその白い色に多くの人々が魅了されてきました。一言で「白」といっても、淡く黄色を帯びて温かみのあるものや、透明度が高く、青みがかり静謐な美しさをもつものなど、さまざまな表情があるのもやきものならではの魅力です。
そしてこの「白」をもとめて北宋時代、灰茶色の素地に白土で化粧をして透明釉を掛けた白釉陶が磁州窯において開花したことも見逃すことができません。白い素地を手に入れたことにより、のちに上絵付けや下絵付けの技法が発展し、陶磁器の歴史は大きく変わることになるのです。
ここでは中国、ベトナム、朝鮮、日本各地でつくられた白磁・白釉陶をとりあげ、それぞれの文化的背景に基づいて独自に白い器を完成させてゆく様子を展観します。そこでは、各地の人々の「白い器」に寄せるさまざまな想いをみることができるでしょう。