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今年はサル。さて、来年は・・・

5月19日(日)、上野動物園国立科学博物館、東京国立博物館を1つのテーマでめぐるイベントを開催しました。

上野の山でサルめぐり

今年のテーマは「サル」。
小学校4年生から大人まで、大勢の参加者の方が朝の上野動物園に集まりました。

まずは動物園からスタート。
動物解説委員の小泉祐里さんと一緒に「生きたサルの観察」です。

上野動物園

ケージの中を活発に動き回る姿や、毛並み、手や足の動きについて、みんなで観察していきます。ひとことで「サル」といってもとてもたくさんの種類。特徴もさまざまです。

猿

エサを食べたり、ケージの中を飛び回って遊んだり…
すっかりサルの動きに見入ってしまいつつ、続いての国立科学博物館へ向かいます。
科学博物館では動物研究部の川田伸一郎さんに「サルの骨格」をテーマにお話を伺いました。

動物園で見たサルそれぞれのちがいについて、実物の骨格を前に説明していただきました。

科学博物館で骨格を見る


実際に骨格に触ってみます。

科学博物館で骨格に触る

思ったよりすべすべして、ずっしり。もちろん骨格も種類によって大きさや特徴がちがいます。


お昼ごはんのあとは、最後のトーハクへ。
教育講座室の小島有紀子さんが、平成館企画展示室(特集陳列「猿」 2013年6月16日(日)まで)などで「美術の中のサル」についてお話しました。

特集陳列 猿

動物園や博物館で見たサルの特徴がとても分かりやすい作品もあれば、イメージで作られたものも。古くから続く日本人とサルとの特別な関わりがよく分かります。


猿の作品2件
(左) 猿印籠牙彫根付 線刻銘「正民」  江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
(右) 猿蟹  礒田湖龍斎筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵



作品の説明だけでなく、小泉さんと川田さんも交えて作品の中のサルについても観察し、作品の見方がまた広がりました。

猿の見方



上野ならではのこのイベント。来年はどんな動物をテーマにするか、鋭意計画中です。
どうぞお楽しみに。

 

 

カテゴリ:教育普及催し物

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posted by 長谷川暢子(教育講座室) at 2013年05月23日 (木)

 

詩想レジスタンス「スーフルール」のパフォーマンスが行われました!

4月13日(土)午後、トーハクの屋外および本館エントランスにて、詩想レジスタンス「スーフルール」によるパフォーマンスが行われました。
当日来館されたお客様へのサプライズイベントのため、事前にお知らせしていなかったので、黒い服、黒い傘、黒い管を携えて、本館前庭に突如現れたパフォーマーに、初めは戸惑われたお客様もおられたのではないでしょうか。パフォーマーからの「ささやき」の誘いに、お客様も応じてくださり、短い詩に静かに耳を傾け、まるで時間が止まったような感覚を体験していただけたのではないでしょうか。

 前庭から静かに「ささやき」の輪が広がっていきます。  耳もとでささやかれる詩の世界に、思わず引き込まれます。

 

 トーハクくんも「ささやき」に挑戦! 庭園でも多くのお客様に楽しんでいただきました。


このパフォーマンスは、フランスの俳優オリビエ・コント氏を代表とする“レ・スーフルール・コマンド・ポエティック/詩想レジスタンス”という一団によるもので、彼らは「人の言葉は人の口から発せられ、人の耳へと伝えられる」というコミュニケーションの原点に立ち返り、公園に、市場や劇場に、駅の喧騒のなかに突然現れ、ウグイスと呼ばれる管を用いて、人々の耳に詩や哲学、文学をささやきます。
2001年3月、パリの「書物展示会」において初めての公演を行い、以降フランス各地の公園、市場、劇場などで、300回を超える活動を行っています。

今回の公演は、「詩想レジスタンス-桜前線2000キロの旅」という、人々に詩をささやきながら、桜前線を追って日本列島を縦断するというパフォーマンスの一部として行われました。
当日は「ささやき」に加えて、スーフルールならではの見て楽しめるパフォーマンスも繰り広げられました。

 傘で植え込みに変身?  最後は本館の大階段に傘をさして全員整列。圧巻です。

 

カテゴリ:催し物

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posted by 長澤由美子(総務課) at 2013年04月17日 (水)

 

円空にちかづく 木の音、森の声

特別展「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡-」(~4月7日(日)、本館特別5室)、ご覧いただきましたか?

100体の円空仏が飛騨の森にいるかのような会場に、私はいつも癒されます。
「円空の仏像は仏像としてみるというよりそのかたちをみて楽しめるのでしょうね」
展覧会を担当した研究員の言葉通り、円空の仏像の前に立っても難しいことを考えたり、勉強しているという気分になったりはしません。
むしろ円空その人への関心がわいてきます。

全国をまわり、出会った人々のために仏像を作った円空。木という素材を大切にした円空。
円空にちかづくために、円空が感じ魅せられた木の力をテーマにイベントが開催されます。
それは3月9日(土)11時30分から平成館ラウンジで行われる「芸大生の打楽器コンサート 木の音、森の声」(申込不要)。

円空が歩いた飛騨の山にはどんな音があったと思いますか。その音に円空は何を感じたのでしょうか。
風で木がゆれる音、キツツキが木をつつく音、きこりが木を打つ音・・・
あるいは円空が仏像を造るときには木を割り、叩き、彫る音がしたはずです。
響く円空をとりまく木の音は、どれも円空仏のように素朴で温かい音のような気がします。
その音を聴いた円空は、それを木霊の響きのように感じたのかもしれません。

今回お聴きいただく打楽器の調べも同じように温かみを感じさせてくれます。
たとえば今回演奏する《木片のための音楽》ではクラベスという拍子木のような木の棒を5人の奏者が打ち鳴らします。
皆さんにはどのように聞こえるでしょうか。


ただいま練習中。ご期待ください。

なお、円空と同時代に活躍したバッハやダカンの曲も演奏します。
皆さんも、上野の山で木の音、森の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

カテゴリ:教育普及催し物2013年度の特別展

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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2013年03月08日 (金)

 

王羲之の複製を作ろう!

「書聖」つまり「書の神様」として尊敬され、世界史の教科書や書写のお手本でもおなじみの王羲之は書を芸術へと高めた最初の人物。
でも王羲之が生きていた時代の直筆(真蹟)はひとつも伝わっていません。
では私たちの書のお手本はいったいどうやってつくられたのでしょう?特別展「書聖 王羲之」には一体何が展示されているのでしょうか?

それは精巧な複製。
複製をつくる技術には、臨書(りんしょ)や拓本(たくほん)などいろいろな技がありますが、そのひとつである双鉤塡墨(そうこうてんぼく)に挑戦するワークショップを開催しました。

双鉤塡墨は書の上に紙を置き、文字の輪郭に沿って線を写し塗りつぶす方法。
「写すとはいっても、文字の書き順を考え、墨の濃淡、筆の運びに注目することが必要」とのお話を胸に刻み、早速双鉤塡墨に挑戦です。
今回は展示中の行穰帖が題材。この作品自体、双鉤塡墨の技術を使ってつくられています。
行穰帖の写真の上に、薄くにじみにくい和紙を置き、まずはその輪郭をできるだけ細い線で囲みます。

(左)ご指導くださった山中翠谷先生 (右)書き順どおりに丁寧に。緊張感が漂います
(左)ご指導くださった山中翠谷先生 (右)書き順どおりに丁寧に。緊張感が漂います

続いてその中を書き順通りに細い線を重ね塗っていきます。ここで先生のお言葉をもう一度。墨の濃淡と筆の運びに注目です。
たとえば「九」の文字、線が交わるところは確かに濃い!はねやはらい、墨の濃淡まで再現されています。

行穰帖(こうじょうじょう)  (部分)
行穰帖(こうじょうじょう)  (部分)
原跡=王羲之筆 唐時代・7~8世紀摸 プリンストン大学付属美術館蔵 Princeton University Art Museum / Art Resource, NY


集中力を切らさず作業を重ね、できたのがこちら。

完成

なんとも気の遠くなるような作業でした。
どうしたらよりその魅力を伝えられる複製を作ることができるかを真剣に考え、手間隙を惜しまず作られた複製は時代を越えて大切にされてきました。
その人びとの気持ちを思うと、いま自分の目の前にこれだけの王羲之の複製があることがまるで奇跡のよう。
今回ワークショップにご参加いただけなかった皆様も、展示室で王羲之の複製に託された人々の思いに触れていただければと思います。
 

カテゴリ:教育普及催し物2012年度の特別展

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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2013年02月19日 (火)

 

席上揮毫会を開催しました

1月31日午後、平成館にはいつもと違う香りがたちこめました。
墨の香りです。

そして平成館ラウンジには、大きなスクリーンが置かれ、いつにない黒山のひとだかり・・・

平成館ラウンジ

一体なにがあったのでしょう。


書家の先生方

特別展「書聖 王羲之」(2013年1月22日(火)~3月3日(日)、平成館)を記念しておこなわれた席上揮毫会(書のデモンストレーション)でした。
毎日書道会を代表する書家の先生方が、平成館ラウンジで毫(ふで)を揮(ふる)っていたのです。
多くのお客様が見つめるなか、先生の持つ筆が紙の上に置かれると、それまでざわざわしていた会場が一瞬にして緊張に包まれ、静まります。
皆さん真剣に筆の運びを見つめ、先生が最後の文字を書き終えると、ため息と拍手が会場を包みました。
この間、平成館が特別な空間となっていました。
墨の濃さ、筆や紙の種類など、先生のこだわりもうかがうことができ、気さくなお人柄に平成館ラウンジにも笑い声が響きます。
書、筆、墨と縁遠くなってしまった方も多いことと思います。展示ケースのなかの作品を見てもなかなか、書に向かう書家の姿、空気を感じることは難しいですよね。
こうした機会にぜひ書に親しんでいただければ幸いです。

席上揮毫会のあとは私自身、特別展「書聖 王羲之」をみる目も変わったように思います。
王羲之の作品は、どれだけ人々に日常とは違う心地よい空間を与えてきたのでしょうか。
王羲之はどんな紙や筆、墨をつかっていたのでしょうか。やはり緊張したのでしょうか。
王羲之の作品を写すときにはどうだったのでしょう。
作品をつくるときの姿に興味がわき、作品の前でつい想像してしまうのです。

展示の様子
今回の作品は1月31日の閉館まで平成館ラウンジに展示し、多くの方にご覧いただきました。
先生方、そしてお集まりいただきました皆様、ありがとうございました。
 

カテゴリ:教育普及催し物2012年度の特別展

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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2013年02月05日 (火)