平成館 企画展示室
2013年5月8日(水) ~ 2013年6月16日(日)
猿は古くから日本列島に生息していました。そして人間の生活文化の発展とともに、道具・ことわざ・絵画・物語などのさまざまな場面で登場するようになりました。
母猿にしがみつく子猿の様子、群れで生活を営む様子、食糧を採取し食べる姿などが、人間の生活の身近にあったのでしょう。それらの様子から、私たち人間は多岐にわたる猿のイメージを作り出し、美術の中のたくさんの分野で猿の作品が形になりました。
猿をモチーフとした作品のはじまりは、縄文時代にさかのぼります。多くはニホンザルがその対象となっていますが、13世紀に中国の画家・牧谿(もっけい)の描いた猿が日本へもたらされると、猿の表現に変化が見られます。それまでの写実的な猿の表現だけではなく、想像をもとにした猿など、さまざまな猿が描かれ、作られるようになります。
本特集陳列では数多くある猿の作品の中から、「生活の中の猿」「絵画の中の猿」に焦点を当てました。現代では猿を身近に感じることがなくなってしまいましたが、生物の猿をイメージしながら、博物館の猿をお楽しみいただければ幸いです。
※本特集陳列は、ICOM(国際博物館会議)が制定した「国際博物館の日」に関連して行われる、記念事業「上野ミュージアム・ウィーク」の一部として実施する「三館園動物めぐり」に関連した展示です。