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新発見「大報帖」 特別展「書聖 王羲之」で世界初公開!

1月22日(火)より開幕する特別展「書聖 王羲之」(~3月3日(日))。
本展覧会は、中国4世紀の東晋時代、従来の書法を飛躍的に高めた王羲之をテーマに、
その書の実像にせまり、歴史的に果たした役割を再検証するものです。


蘭亭図巻─万暦本─(らんていずかん(ばんれきぼん))(部分)
原跡=王羲之等筆 明時代・万暦20年(1592) 東京国立博物館蔵
王羲之の最高傑作「蘭亭序」が生まれた曲水の宴を描いた作品。王羲之の姿も描かれています。


書聖と崇められた王羲之、歴代皇帝も愛好したというその書とはどんなものなのでしょう?
実は、王羲之の真蹟は、戦乱などにより失われているため現存していません。
そのかわりとして、私たちが王羲之の字姿を知るために、もっとも信頼のおける資料となるのが唐時代の摸本です。
とりわけ王羲之の書に魅了され、熱心に王羲之の書を蒐集たことなどで知られる唐の太宗皇帝が作らせたもので、
にじみやかすれ、後世の虫食いの跡まで写し取られた非常に精巧なものです。
それらも世界中で10点ほどしか残されていません。

そんな希少な唐時代の摸本が、本展覧会の出展作品の調査によって日本で新たに発見されました。
「王羲之尺牘 大報帖(おうぎしせきとく たいほうじょう)」です。


王羲之尺牘 大報帖(おうぎしせきとく たいほうじょう)
原跡=王羲之筆 東晋時代・4世紀 唐時代・7~8世紀摸 個人蔵
尺牘とは手紙のこと。つまり、この作品に書かれた3行24字は、王羲之が書いた手紙の一部です。


日本には名筆を集めて台帳に貼りこみ、鑑賞したりお手本にする文化があります。
この台帳を手鑑(てかがみ)といいますが、今回の作品も、そうして長年大切に守られてきた手鑑から見つかったのです。

この作品には、かつて鑑定をした際に小野道風の筆とした極札(きわめふだ・鑑定結果を記す紙片。上の写真の右側についている短冊形のもの)がついており、これまでは王羲之の作と認められていませんでした。
しかし、富田淳列品管理課長らが参加した本展覧会の調査で、
この作品は、極めて精緻な摸本で、唐の宮中で作られた可能性が高いことがわかったのです。
王羲之の筆と判断されたポイントは、次のようなことです。
・文章中に、王羲之の家族の名前や、王羲之がよく使う表現が登場すること
・字の姿が、唐時代に作られた王羲之の摸本に似ていること
・文字の輪郭をとって中を丁寧に埋める「双鉤填墨」(そうこうてんぼく)と呼ばれる技法の跡が認められることや、他の摸本と同じ料紙を使っていること
日本には、遣唐使らによってもたらされたと考えられます。

「王羲之尺牘 大報帖」は今回、世界で初めての公開で、会期中を通してごらんいただけます。
本展覧会では、そのほか4点の唐時代の摸本が出展予定です。(一部の作品に展示替えがあります)
どうぞこの機会に、王羲之の文字を今に伝える作品をご堪能ください。

関連事業
席上揮毫会(書のデモンストレーション)
1月31日(木)  平成館ラウンジ
※どなたでもご覧いただけます。ただし入館料が必要です

ワークショップ「王羲之の複製を作ろう」

2月13日(水) 平成館小講堂
※往復はがきによる事前申込制(1月31日(木)必着)。応募者多数の場合抽選となります
※参加費は無料ですが当展観覧券が必要。半券の場合には別途当日の入館料が必要です

 

カテゴリ:news2012年度の特別展

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posted by 林素子(広報室) at 2013年01月17日 (木)

 

託児サービスの開始について

先日の2013年1月12日(土)より特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」が始まりました。
また、1月22日(火)より特別展「書聖 王羲之」が始まります。

今年も1月から大きな展覧会が2つも開催され、多くのお客様にご来館いただけることを嬉しく思います。

そのような中、トーハクでは2013年1月22日(火)より来館されたお客様を対象に託児サービスを開始いたします。
子育て中のお客様にもゆっくりトーハクを楽しんでいただきたいという思いから、今回は期間限定で実施することとなりました。

ご利用につきましては事前予約制(無料)となっております。 詳細は下記のご案内のページをご参照ください。

東京国立博物館 託児サービスのご案内

0歳児には専門のシッターが必ず1人専属でつく「マンツーマン託児」、1歳児には2名様で1人、2歳児以上は3名様につき1人の専門のシッターがお世話いたします。
小さいお子様も責任を持ってお預かりいたしますので、安心してご利用いただけます。

私の家にも生後4ヶ月の息子がいます。せっかくの機会なので、この託児サービスを利用して、妻の育児休憩がてら、夫婦で思いっきりトーハクを満喫する予定です。

今回は試行的に実施して、お客様にご好評をいただけるようでしたら、来年度以降に本格的に導入していきます。
ぜひ、子育て奮闘中の方々のご利用をお待ちしております。

カテゴリ:news

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posted by 内誠(総務課) at 2013年01月15日 (火)

 

書を楽しむ 第29回「万葉集」

書を見るのは楽しいです。

より多くのみなさんに書を見る楽しさを知ってもらいたい、という願いを込めて、この「書を楽しむ」シリーズ、第29回です。

もうお仕事も学校もはじまり、正月気分はなくなりましたか?

今年は、
1月22日(火)から、特別展「書聖 王羲之」(~3月3日(日))、
夏には、特別展「和様の書」(7月13日(土)~9月8日(日))
と、書の展覧会を2回も開催します!

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、本館3室(宮廷の美術)では、
2月11日(月・祝)まで、『万葉集』を書写した古筆(こひつ)が並んでいます。

その中からご紹介したいのが
国宝「元暦校本万葉集(げんりゃくこうほんまんようしゅう)」です。


国宝 元暦校本万葉集 巻四(高松宮本) 平安時代・11世紀
(本館3室 宮廷の美術にて
2月11日(月・祝)まで展示)

小さく青(藍)や紫色がところどころ見えます。
これは、飛雲(とびくも)と呼ばれる装飾で、
藍や紫の繊維を漉き込んだものです。
平安時代、とくに11世紀から12世紀の料紙に見られます。
当館の国宝「和歌体十種」にも大きな飛雲がありますよ。


『万葉集』は8世紀に編纂された歌集で、
全部で20巻、4500首余りの歌が収められています。

漢字に見える部分は「万葉仮名」(まんようがな)です。
次に仮名(かな)で、万葉仮名と同じ歌を表記しています。

漢字と仮名が並んでいる場合、
『万葉集』か『和漢朗詠集』が多いです。
おおよその違いは、
漢字で一首、仮名で一首と書いている場合は『万葉集』で、
漢字で数首、仮名で数首の場合は、『和漢朗詠集』です。
見つけたら、どちらなのか推測してみてください。


『万葉集』は、『古今和歌集』や『和漢朗詠集』と同じく、
各時代の人々に書写されてきました。

昭和に活躍した書家の『万葉集』です。

 
(左)万葉集和歌 熊谷恒子筆 昭和時代・20世紀 熊谷恒子氏寄贈
(右)万葉和歌屏風 深山龍洞筆 昭和時代・20世紀 深山龍洞氏寄贈
(いずれも今年夏の特集陳列「和様の書-近現代篇-」で展示予定)


あれ?
漢字と仮名が並んでませんね。
大字の仮名を用いていて、『万葉集』の新たな表現になっています。


『万葉集』。
古い時代の日本人が歌った歌です。
歌の内容はわからなくても、
それを愛して写し続けてきた日本人の心は、
わかる気がします。

『万葉集』の古筆、ぜひ御覧ください。

カテゴリ:研究員のイチオシ書跡

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posted by 恵美千鶴子(書跡・歴史室) at 2013年01月13日 (日)

 

円空展の開会式が行われました!

本日、特別展「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡-」(2013年1月12日(土)~4月7日(日)本館特別5室)の開会式・内覧会が行われました。


写真中央銭谷館長と千光寺・大下大圓住職

また、その前に行いました報道機関向けの内覧会においても多くの方にお越しいただきました。

浅見東洋室長より展覧会の見どころをご紹介

ギャラリートーク後も記者の方々より質問が続き、円空仏の魅力を感じていただいていると実感しました。

また、展示室に入ると「うわっー!」と歓声を漏らしている方も多く見受けられました。
歓声の理由は・・・ぜひ展示をご覧いただき、木のぬくもりとほのかに香る木の匂いを五感で感じてみてください。

皆様の目にはどのようにうつるでしょうか。

いよいよ明日開幕です!
明日12日(土)と13日(日)はオープニング記念として高山市による「振る舞い酒」などのイベントも開催します。
3連休のはじまりでもあり、お天気もよさそうなので上野にお出かけしてみてはいかがでしょうか。

また、今後も円空展の魅力をこちらのブログでご紹介していきたいと思います。
どうぞお楽しみに。

カテゴリ:2013年度の特別展

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posted by 江原 香(広報室) at 2013年01月11日 (金)

 

円空展 開幕まであと4日!

新年を迎えたトーハクは、リニューアルしたての東洋館、博物館に初もうで開催中の本館と多くの方にお越しいただいています。
ありがとうございます。

そして、いよいよ特別展「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡-」(2013年1月12日(土)~4月7日(日)本館特別5室)の開幕が間近となってきました。
展示室内では、開幕に向けて作品の陳列がほぼ終わり、調整に入っています。

今回は、開幕直前の展示室を少しご紹介します。

展示室内で一際目立っているのは、本展覧会の目玉の一つ、仁王像。ただいま、題箋の位置を調整中です。
作品が2mを超える上、台座に乗せていることから脚立を使っています。

金剛力士(仁王)立像 吽形(こんごうりきし(におう)りゅうぞう うんぎょう)
江戸時代・17世紀 総高226.0cm 千光寺蔵
地面に生えたままの立木を彫刻した像です。200年ほど前に根元が朽ちたため切り離されました

こちらでは、わずか20センチの宇賀神を展示具で固定中。

宇賀神像(うがじんぞう)
江戸時代・17世紀 総高19.8cm 千光寺蔵
正面をご覧いただくと、とてもかわいらしい表情です

現場では、多くのスタッフが相談しながら作業を進めています。

今後の進め方を担当研究員、特別展担当、施工業者さんと協議中

表情がそれぞれ違う三十三観音立像はこのように展示をする予定です。
31体がずらーっと並んでいるのはなかなか迫力がありますよ!

三十三観音立像(さんじゅうさんかんのんりゅうぞう)
江戸時代・17世紀 総高61.0cm~82.0cm 千光寺蔵
31体しか残されていないのは近隣の人々に貸し出して戻って来なかったからと言われています


まだ作品にライティングを施していません。
これからさらに各像の顔が鮮明になり、朗らかな表情のものもあれば、
険しい表情のものなど円空仏の魅力をより感じていただけると思います。
どうぞ楽しみにしていてください。

また、12日・13日は開幕を記念して本館前庭付近にて、高山市の協力をいただき飛騨高山の振る舞い酒を先着順で配布いたします。
ご当地キャラクターのさるぼぼの「ひだくん」や伝説の白猿「遊湯(ゆうゆ)」が皆様をお出迎えします。

日時:2013年1月12日(土)・13日(日) 
場所:東京国立博物館 本館 前庭付近

新春飛騨高山の酒鏡開き(12日のみ)
2013年1月12日(土) 9:30頃

飛騨高山の地酒&甘酒振る舞い
2013年1月12日(土) 9:30~、13:30~
2013年1月13日(日) 9:30~
※各回とも、地酒振る舞い 先着200名様  甘酒振る舞い 先着100名様
※なくなり次第終了

先着順で飛騨高山タオルを本館入口付近でプレゼント
本展ご鑑賞者限定 ※なくなり次第終了


さるぼぼの「ひだくん」と白猿の「遊湯(ゆうゆ)」は、高山市の特別住民となっています 

カテゴリ:彫刻2013年度の特別展

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posted by 江原 香(広報室) at 2013年01月09日 (水)