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悪戦苦闘! 文化財取り扱い体験

5月25日はとてもお天気のいい日曜日でした。
この日にトーハクで開催したのが「学芸員に挑戦!」という体験型ワークショップです。
抽選で選ばれた参加者が、学芸員の仕事である展示や調査に欠かせない、「文化財の取り扱い」に挑戦しました。
ところが思った以上に悪戦苦闘!
その様子をご紹介します。

今回の講師は、工芸を専門にしながら仏教絵画にも造詣が深く、アニメ、映画、音楽、お酒など、さまざまな分野に精通する伊藤信二研究員。
まずは伊藤研究員と一緒に展示室へ。
作品ひとつひとつの解説ではなく、文化財の形や展示方法についてのお話はあまり聞く機会がないためか、皆さん真剣にメモをとったり、展示ケースを覗き込んだり。
伊藤研究員の軽妙なトークが、皆さんの緊張をほぐしていきます。

展示室
掛幅がかけてあるところしか見たことがないし、収納時の形は知らない、という参加者も。

そしてついに、取り扱い体験です。
今回のテーマは4つ。掛幅(掛軸)、絵巻、茶碗、そして刀剣。
皆さんどれも初挑戦だそうですので、伊藤研究員のお手本をじっくり見ます。
 

巻物の取り扱いお手本
伊藤研究員が当たり前のように行う所作ひとつひとつが、初挑戦の皆さんにとっては目からウロコなことばかり。

お手本のあとは、順番に体験しましょう。
ここで実感するのは、「見るとやるとでは大違い!」ということ。
頭ではわかっているのにできない!
緊張しすぎて手の汗が止まらない!
できたと思うけど、何か違う!
といいながらの悪戦苦闘。私も何度も呼び止められ、質問をされました。
私たちに何度も質問しながら、参加者同士アドバイスしあいながら、やり遂げたあとの安堵の笑顔は、まるでこどものようでした。
 

掛軸取り扱い、お茶碗取り扱い
掛幅の取り扱い(左)と、お茶碗の取り扱い(右)

展示をご覧いただく機会が多くても、取り扱いの経験をする機会、学芸員とお客様がこうして話す機会も少ないはず。
そもそも、大人になってから、全く違う職業の技術に挑戦することもなかなかないのでは?
てこずりながらも童心に返ったかのように楽しく過ごしてくださった皆さんが、文化財に対する学芸員の姿勢、展示作業の裏側を垣間見ることで、これまでと違った博物館の楽しみにつながることになればうれしく思います。

 

カテゴリ:news教育普及

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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2014年05月28日 (水)

 

トーハク新収品紹介

昨年度、新たにトーハクの所蔵となった作品をお披露目する展示「平成25年度新収品」(2014年5月20日(火)~6月1日(日)、本館特別2室)が始まりました。

文化財を収集、保存、研究し、展示公開することは博物館の使命です。
当館においても、収蔵品の充実を図るため、毎年、良質な文化財の収集に努めています。

今回は、彫刻、絵画、工芸、染織、書跡、歴史資料など、幅広い分野から34件の作品を展示しています。
その中から、いくつかご紹介いたします。

如意輪観音菩薩坐像 鎌倉時代・13世紀 x線写真
如意輪観音菩薩坐像 鎌倉時代・13世紀

像高 52.2cmと小ぶりながら、キリっと引き締まった表情が印象的な如意輪観音菩薩です。
X線撮影したところ、頭部内に2体の小仏像が納入されていることがわかりました(写真右、枠内)。


花 黒田清輝
花 黒田清輝筆 大正9年(1920)

黒田と直接交友のあった家に伝えられ、このたび寄贈されたものです。
花を好んで描いた黒田の1920年8月22日~25日の日記には、グラジオラスを描いたとの記述があります。


振袖 鶸色縮緬地桜藤菊尾長鳥模様 江戸時代・19世紀 阿部美代子氏寄贈
振袖 鶸色縮緬地桜藤菊尾長鳥模様 江戸時代・19世紀 阿部美代子氏寄贈

四季の草花を折り枝状に表わし散らした模様は公家女性が着用した江戸時代後期の様式です。
公家の女の子が着たのでしょうか。かわいらしい振袖です。


書状  なほなほ不取敢云々 会津八一筆
書状  なほなほ不取敢云々 会津八一筆  昭和時代・20世紀 堀江きょう子氏寄贈(きょう=冫+恭)

会津八一に師事し、東京帝室博物館・東京国立博物館で書跡部門に属した堀江知彦(1907-88)宛に、
第二次世界大戦後、八一の郷里、新潟から送られた書状です。


展示風景

このほか、屏風や色鮮やかな具足、平安時代の希少な鏡像、近現代の書画などをご覧いただけます。
これらの作品は、今後、さまざまな展示室でお目にかかることができるでしょう。

短い展示期間ではありますが、この機会に、当館の文化財収集事業の一端をご理解いただければ幸いです。
 

カテゴリ:特集・特別公開

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posted by 奥田 緑(広報室) at 2014年05月22日 (木)

 

託児室・授乳室が新設されました!

昨年度の特別展期間中に実施し、好評を博した託児サービスですが、
正門プラザ内に専用の託児室が新設されたことにより、年間を通じてのご利用が可能となりました。

昨年までと同様に、美術館・博物館での経験豊富なスタッフが、責任を持ってお子様をお預かりいたします。
0歳児には専門のシッターが必ず1人専属でお世話する「マンツーマン託児」、1歳児には2名様で1人、2歳児以上には3名様につき1人の専門のシッターが対応いたします。
お預かりするお子様は3ヵ月以上から未就学児までとなります。

託児室
新設された託児室

託児サービスは原則毎月第1、第3土曜日、第2、第4水曜日の実施です。
詳しい日程は東京国立博物館託児サービスのご案内 をご覧ください。
定員には限りがございますので、ご利用を検討されているお客様にはお早目のご予約をおすすめいたします。
料金は0~1歳児2,000円、2歳児以上1,000円、事前予約制です。申し込みはお電話で。

ご予約・お問合せ イベント託児・マザーズ
〒104-0061 東京都中央区銀座4-13-11 松竹倶楽部ビル4F
電話番号 0120-788-222 (受付時間 平日10:00~17:00 ※12:00~13:00を除く)
 

なお、託児室と併せて新設された授乳室はいつでもご利用可能です。
予約は不要ですので、ご利用を希望されるお客様は正門プラザ内のインフォメーションまでお声掛けください。
ご家族でお出かけされることも多くなるこの季節、お子様と一緒にトーハクを存分にお楽しみください。
 

カテゴリ:news

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posted by 石坪直紀(総務課) at 2014年05月19日 (月)

 

特別展「キトラ古墳壁画」10万人達成!!!

特別展「キトラ古墳壁画」(4月22日(火)~5月18日(日)  本館特別5室)は、
5月15日(木)午後に10万人目のお客様をお迎えしました。
多くのお客様にご来場いただきましたこと、心より御礼申し上げます。

10万人目のお客様は、文京区よりお越しの林素子さんです。
林さんには、東京国立博物館長 銭谷眞美より、記念品として特別展図録とトートバッグを贈呈しました。


「キトラ古墳壁画」10万人セレモニー
林素子さん(左)と館長の銭谷眞美(右)
5月15日(木)東京国立博物館 本館エントランスにて



林さんのお父様が当館に美術品をご寄贈くださったそうで、
林さんは、ご寄贈品が展示されていないかを見に、
普段からよく当館にいらっしゃっているそうです。

「今回の「キトラ古墳壁画」展は、実は再チャレンジなんです。
もともとは特別展「栄西と建仁寺」が目当てで博物館を訪れた時に、
「キトラ古墳壁画」展も見に行こうとしましたが、行列ができていたのであきらめてしまいました。
今日は、複製ではなく本物の壁画が見られるのがとても楽しみです。」
と、お話いただきました。

特別展「キトラ古墳壁画」は、ご好評につき、5月15日(木)から5月18日(日)まで、
連日20時まで開館しています(入館は閉館の30分前まで)。
ただし、15日の17時~20時ならびに17日、18日の18時~20時は
特別展「キトラ古墳壁画」および本館・表慶館のみ開館しています。

どうぞお見逃しのないように、ご来館をお待ちしています。

カテゴリ:news2014年度の特別展

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posted by 高桑那々美(広報室) at 2014年05月15日 (木)

 

上野の山でクマめぐり

5月11日(日)、上野動物園国立科学博物館、東京国立博物館を1つのテーマでめぐるイベントを開催しました。

クマめぐり

今年のテーマは「クマ」。
小学5年生~高校生を対象に、それぞれの専門家3人が力を合わせたツアー形式のセミナーです。

上野動物園 小泉さん
上野動物園からスタート。
動物解説委員の小泉祐里さんと一緒に「生きたクマの観察」です。



上野動物園といえば、おなじみの「パンダ」。パンダもクマの仲間、クマ科の動物なのです。
座り方や、手を上手に使って食べている姿を観察します。

パンダ

夢中で竹を食べてるパンダ、よく見ると頭がもりもり動いています。
これは頭の筋肉も使いながら食べている証拠。堅いものも食べられる強い筋肉が、パンダのかわいい丸顔を作っています。


ひとことで「クマ」といってもさまざま。それぞれにいろいろな特徴があります。

さまざまなクマ

じっくりと観察したあとは、国立科学博物館へ。
動物研究部の川田伸一郎さんに「クマの骨格」をテーマにお話を伺いました。

国立科学博物館 川田さん


動物園で見たクマの体のひみつについて、骨格を見ながら探っていきます。
もちろん実際に骨にも触ってみます。
骨格の特徴もさまざま、種類によってちがっています。

クマの骨格


お昼ごはんのあとは、最後のトーハクへ。
教育講座室の神辺知加さんが、平成館企画展示室(「熊めぐり」 ~2014年6月1日(日))で「トーハクのクマたち」についてお話しました。

トーハク 神辺さん


縄文人が土で作ったクマや牙のアクセサリー、江戸時代の浮世絵などから、クマの強さは人々にとって憧れの象徴だったことが分かります。
そして昔からとても身近な存在でした。

トーハクの熊作品
(左)重要美術品 縄文人が土で作った熊 青森県弘前市十腰内出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年
(右)鉞を担ぎ熊に乗る金太郎 鳥居清長筆 江戸時代・18世紀


屏風
冬眠から目覚めた熊の親子(雪中熊紅葉鹿図屏風のうち左隻) 山本桃谷(1833~90)筆 明治時代・19世紀


展示室内では、上野動物園と科学博物館からお借りしたクマの毛皮やツメ、冬眠の様子も。

冬眠の様子が見られる動画
冬眠中のクマの様子が見られます


作品の説明だけでなく小泉さんと川田さんも交えて作品の中のクマも観察し、作品の見方がまた広がりました。


来年のテーマは… どうぞ、お楽しみに。
 
 

関連展示

特集「熊めぐり」 平成館 企画展示室   2014年4月22日(火) ~ 2014年6月1日(日)

 

 

カテゴリ:news教育普及

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posted by 長谷川暢子(教育講座室) at 2014年05月14日 (水)