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1089ブログ

伎楽面のX線CT報告を楽しもう!(後編)

幻の芸能と呼ばれる伎楽に用いられた仮面のなかで、現存最古の遺品である法隆寺献納宝物の伎楽面(ぎがくめん)。
このほど実施したX線CT調査の報告書『法隆寺献納宝物特別調査概報 43 伎楽面X線断層(CT)調査』(以下、報告書)について、前回の1089ブログ「伎楽面のX線CT調査報告を楽しもう!(前編)」でお伝えしました。
X線CTを利用した文化財調査が少し身近に感じていただけたのではないかと思います。

出版・刊行物 PDFファイルダウンロードページで報告書、関連動画を見る

さて、報告書に掲載されるのはCT画像データだけではありません。伎楽面の新撮画像を、正面、側面、裏面など、さまざまなカットでお楽しみいただけます。
この機会にモノクロ画像しかなかった裏面も新撮し、これが初公開となります。
裏面は、つぶらな瞳(ではなく、演者が外を見るための孔ですが)がかわいいですね。


N-208 伎楽面 師子児(ししこ)(報告書10~11頁)


カラーで各カットがすべて掲載される刊行物はこれが初めてなので、CT画像に関心がない方も、カラーページだけでもぜひパラパラ見てください。
すると、「かわいい!」「この写真をぜひSNSに使いたい!」とか、(きっと)ご希望が出てくる思います(出てきてほしい)。

「でも報告書の画像は小さいし」
「勝手に載せたらダメだろうし」
「掲載にはお金がかかるんでしょ?」

そんなことはありません。
そのために、国立文化財機構にある文化財活用センターでは、みなさまに無料でお気軽にお使いいただける画像のデータベース「ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システム」を運営しております。
「出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)」など、本サイトからの引用である旨の出典を示していただいたうえ、利用規約のルールを守っていただければ、商用利用も含め自由にご活用いただけます。

「ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システム」の利用規約ページに移動

ここで、検索に「伎楽面」と入れていただいても構いませんし、すぐに目当ての画像を探すなら詳細検索で「機関管理番号」に「N-208」と入れていただければ、この報告書に使われる新撮画像はすべてご覧いただけます。


ColBase「詳細検索」画面


ColBase「N-208」の「作品画像一覧ページ」


N-208 伎楽面 師子児(左側面)

N-208 伎楽面 師子児(裏面)



報告書では伎楽面をきれいに切り抜いて掲載しているので、ここでは撮影方法がバレてしまいますが、ご自身で報告書同様切り抜いたりトリミングすることも可能なので、ぜひご活用ください。

ちなみに、伎楽面は能面等の仮面とは異なり、後頭部も覆うフルフェイスヘルメットのような形状なので、撮影するのも一苦労です。
側面の画像では、面裏から透明な支柱が斜めに出ているように見えますが、じつは垂直な支柱に乗せており、仮面自体はかなり上向きで撮影しています。
後で画像を自然な角度に調整しました。

裏面は、彩色の剥落に細心の注意を払って仮面を裏返し真上から撮影しました。
綿を薄葉紙と呼ばれる文化財用の和紙で包んだ綿布団というクッションが見えますね。
伎楽面は顔の彫りが深く、鼻の高い仮面もあるので俯瞰撮影も大変でした。

そのような撮影の苦労も感じながら、ご覧いただければ幸いです。
(貴重な伎楽面の新撮画像を載せれば、あなたのSNSもバズることまちがいなし!)

利用方法については、文化財活用センターのブログでわかりやすく解説しておりますので、こちらもぜひご参照ください。

「ColBaseを活用しよう!ColBaseの画像利用について」

今後、街なかで伎楽面グッズを見かける機会があるかもしれません。
個人的には伎楽面Tシャツをぜひ作りたいですね。

「ColBaseを活用しよう!グッズ販売編」

こちらのブログ以外にもシリーズでColBaseの活用方法が紹介されているので、ぜひご参照のうえご利用ください。
 

 

カテゴリ:彫刻調査・研究

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posted by 西木政統(登録室) at 2024年05月09日 (木)

 

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