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親と子のギャラリー ツノのある動物

連日、特別展「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」(~2019年6月2日(日))で多くのお客様でにぎわっている平成館。
その平成館1階の“一角”にある企画展示室にて、特集「親と子のギャラリー ツノのある動物」が開催中です(~2019年5月26日(日))。



この特集は、東京国立博物館(トーハク)、東京都恩賜上野動物園、国立科学博物館の3館園連携事業「上野の山で動物めぐり」の一環として企画したものです。
これまでのテーマは、ひとつの動物にターゲットをしぼったものでした(過去のテーマは、サルキジ科の鳥トラなどです)。
しかし、13回目となる今回のテーマは、趣向を変えて「ツノのある動物」です。

シカやウシ、サイなどの動物に生えている「ツノ」。
みなさんは、「ツノ」に対してどんなイメージをお持ちでしょうか。
かっこいい? 強そう? はたまた、怖い?

自分たちには生えていない「ツノ」に対して、ヒトはイメージをふくらまし、美術工芸品のモチーフとしたり、自分たちが使う道具の材料としたりしてきました。
約12万件あるトーハクの所蔵品のなかの「ツノ」にまつわる作品とともに、そうした「ツノ」とヒトの関係をご覧いただきます。


第1部「ツノを見比べよう!」では、「ツノ」のある動物であるシカ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、サイをモチーフにした作品を集めました。
見比べてみると、「ツノ」の形や大きさがさまざまであることがわかります。
「ツノ」のある動物を昔のヒトたちがどのように捉えて、表現したのかご覧ください。


「谷の覇者」 原本:エドウィン・ヘンリー・ランドシーア筆 19世紀 グラスゴー博物館寄贈

今回、ウェブサイトやリーフレットなどで大活躍のこのシカは、幾重にも枝分かれした太い立派な「ツノ」をもっています。
展示している作品は印刷ですが、その原本はスコットランドを代表する油彩画のひとつで、ウイスキーのラベルデザインにも採用されています。


第2部「ツノが○○に大変身!」では、ヒトの創造力と想像力をご覧いただきます。
ヒトは、「ツノ」のある動物に出会い、その生態を観察するなかで、「ツノ」にヒトがもっていない特別な力を感じとりました。
そして、その特別な力をヒトの生活に取り入れるため、動物の「ツノ」を加工した美術工芸品をつくり上げたり、ツノのある実在の動物や空想の動物を神聖なものとしたりするようになります。
動物の「ツノ」が、ヒトの創造力と想像力によってどのような姿に変身していったのか、ぜひ展示室でご確認ください。


蓮華葡萄彫犀角杯 中国 清時代・18世紀 広田松繁氏寄贈

1本のサイの「ツノ」から彫り出された、蓮の花とブドウと唐草。とても優美かつ繊細で、その技術に驚嘆します。


風神雷神図(模写) 原本不詳 鶴沢守保模写 明治時代・19世紀

紙面いっぱいに描かれている自然を操る風神と龍。ヒトの力ではどうすることもできない自然の脅威を、「ツノ」のある恐ろしい姿で表現しています。


今回は、展示デザインも見どころです。
トーハクに何度も足を運ばれている方は、会場に入ると、いつもの企画展示室と雰囲気が大きく違うと思われるのではないでしょうか。


展示室内の様子
解説文や展示室の中央にあるアーチなど、春らしいラズベリー色で統一しました。


作品を見ているときに、いつもと少し目線が違うかもしれません。
「親と子のギャラリー」として、小さなお子さんが作品を見やすいように、展示台の高さをわざと低めにしています。
また、解説はお子さんもわかりやすいように、できるだけ平易なことばを使い、漢字にはふりがなを振るように心がけました。
子どもが見やすい展示とはどのようなものか、考える良い機会でもありました。


今回の特集は、普段の総合文化展ではなかなか一緒に展示されることのない、さまざまな分野、素材、地域の作品たちが、「ツノ」というテーマのもと、同じ空間に集結する今までにない機会です。
なかには、あまりお客様の前には出ない作品もあります。

さまざまな「ツノ」を探しに、ぜひ会場にお越しください。



展示室入口
よく見ると、角角角角角角角角角角……とたくさんの「ツノ」が!

 

親と子のギャラリー ツノのある動物
平成館 企画展示室 2019年4月16日(火)~2019年5月26日(日)

 

カテゴリ:研究員のイチオシ教育普及特集・特別公開

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posted by 阿部楓子(教育講座室) at 2019年04月26日 (金)

 

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