生誕550年記念 文徴明(ぶんちょうめい)とその時代 その1
昨年の今頃、トーハクは特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」と連携企画「王羲之書法の残影-唐時代への道程-」のダブル開催で、書の展覧会に光が当たっていました。
今年は連携企画「生誕550年記念 文徴明とその時代」の一本勝負ですが、小規模ながらも充実した内容です。展示総数は、国宝1件、重要文化財3件、重要美術品3件、筑西市指定文化財1件を含む、全133件。トーハクで68件、書博で65件を展示しています。
1089ブログでは、3回にわたって本展を楽しんでもらうためのツボをお伝えいたします。
みどころワン・ツー・スリー!
1、ここが凄い!未曾有の明時代中期スペシャル!!
2、あそこも凄い!国内の文徴明、ほとんど総動員!!
3、ダメ押しで凄い!呉派作品を精選、蘇州の華やぎ!!
国内屈指の名品を集めた文徴明の展覧会を日本で開催するのは、おそらく初めての試みでしょう。この連携企画は、2館で1つの展覧会となっており、トーハク、書博それぞれ独自のウリもあります。では、展示作品を章ごとにチラリとお見せしましょう。
トーハクだけ!
第1章 文徴明前夜-明代前期の文人書画
明時代前期の書画は、宋元時代からの伝統を継承する流れと、宮廷での流れがあります。王紱(おうふつ)は元末の四大家の倪瓉(げいさん)、王蒙(おうもう)らの影響を受け、詹仲和(せんちゅうわ)は、復古主義を唱えた趙孟頫(ちょうもうふ)の影響を窺うことができます。
呉派のさきがけ、わしのあこがれ!
重要美術品 秋林隠居図軸 王紱筆 明時代・建文3年(1401) 東京国立博物館蔵(東博前期展示)
トーハク&書博!
第2章 文徴明と蘇州の芸苑
文徴明は、清雅な作風に温厚篤実な人柄で蘇州芸苑のドンとなります。書画をよくする家風を受け継いだ文徴明の子孫や弟子たちによって、文徴明の芸術は後世まで多大な影響を与えました。
33歳、余裕の集中力!
山水図巻(部分) 文徴明筆 明時代・弘治15年(1502) 個人蔵(東博通期展示)
85歳、まだまだイケちょる!
行書陶淵明飲酒二十首巻(部分) 文徴明筆 明時代・嘉靖33年(1554) 京都国立博物館蔵(書博後期展示)
書博だけ!
第3章 文徴明の書画鑑識
文徴明は若い頃から書画の名品に慣れ親しみ、当時の大コレクターたちとも親交して鑑識眼を養っていきました。歴代の名品に補筆したり跋文を書き添えるなど、鑑識のドンでもありました。
趙孟頫の影武者になりきって書いたものよ。
写真右:楷書漢汲黯伝(かんきゅうあんでん)冊(部分) 趙孟頫筆 元時代・延祐7年(1320)
写真左:楷書漢汲黯伝(かんきゅうあんでん)冊(部分) 文徴明の補筆 明時代・嘉靖20年(1541)
※ いずれも永青文庫蔵(書博通期展示)
トーハクだけ!
第4章 蘇州画壇の華やぎ-職業画家たちの活躍
繁栄する蘇州の絵画市場では、職業画家たちの作品が売買されました。文徴明一族やその周辺の文人たちと職業画家たちの多彩な活躍により、蘇州画壇は華やぎを増していきます。
みんな大好き、一番人気の清明上河図!
清明上河図巻(部分) 張択端款 明時代・17世紀 東京国立博物館蔵(東博前期展示)
トーハク&書博!
第5章 江南文人書画界への波及
蘇州に刺激され、他の江南地域も文人書画様式を作る動きが盛んになります。浙江(せっこう)では伝統的に筆墨の味わいを重んじた奔放な表現が愛されました。徐渭(じょい)は浙江の作風を代表する文人です。
絶妙なにじみとかすれ、まさに墨の魔術師じゃの!
花卉雑画巻(部分) 徐渭筆 明時代・万暦3年(1575) 東京国立博物館蔵(東博通期展示)
書博だけ!
第6章 日本における受容
江戸時代の書は、文徴明を基盤とした唐様書(からようしょ)が流行しました。絵画は、狩野派の絵師や文人画家の与謝蕪村(よさぶそん)らが文徴明を学んでいます。海を隔てた日本でも、気品ある文徴明の作風は人気を博しました。
蕪村も、わしの書画を学んで大きくなった!
筑西市指定文化財 文徴明八勝図巻(部分) 与謝蕪村模 江戸時代・18世紀 個人蔵(書博通期展示)
…まだまだみどころ満載の文徴明、続きはその2、その3でお楽しみください。
連携企画第17弾、上野の山とその麓でくりひろげられる文徴明ワールドは3月1日(日)まで絶賛公開中です!この機会をお見逃しなく!!
図録
生誕550年記念 文徴明とその時代
編集:台東区立書道博物館
編集協力:東京国立博物館
発行:公益財団法人 台東区芸術文化財団
定価:1100円(税込)
※ 東京国立博物館ミュージアムショップと台東区立書道博物館で販売中。
週刊瓦版
台東区立書道博物館では、本展のトピックスを「週刊瓦版」という形で、毎週話題を変えて無料で配布しています。トーハク、書道博物館の学芸員が書いています。展覧会を楽しくみるための一助として、ぜひご活用ください。
東京国立博物館・台東区立書道博物館 連携企画
「生誕550年記念 文徴明とその時代」
2020年1月2日(木)~3月1日(日)
東京国立博物館 東洋館8室
2020年1月4日(土)~3月1日(日)
台東区立書道博物館
※ 前期:2月2日(日)まで、後期:2月4日(火)から
カテゴリ:研究員のイチオシ、特集・特別公開、中国の絵画・書跡
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posted by 鍋島稲子(台東区立書道博物館主任研究員) at 2020年01月16日 (木)
新年、あけましておめでとうございます。特別展室の猪熊です。
昨年は天皇陛下の御即位があり、東京国立博物館(トーハク)では、その御慶事にちなんで昨秋には特別展「正倉院の世界」(会期終了)を開催し、昨年末からは特別公開「高御座と御帳台」(~1月19日(日))を開催しています。
また、それらの展覧会に合わせて、トーハクの所蔵品のなかから宮廷関係の作品を集めて、特集「天皇と宮中儀礼」を開催しています。このたびのブログでは、その特集のなかに表わされた高御座を紹介します。
高御座は、古代から天皇の御座として用いられた調度で、黒漆塗りの基壇の上に御倚子(ごいし)を置き、その上に八角形の屋根をかぶせ、屋根の上には9体の鳳凰像や鏡などを飾り、御倚子のまわりに帳(とばり)をたらす形式のもので、本来は国家的な儀式を行なう朝堂院(ちょうどういん)の正殿である大極殿(だいごくでん)の中央に置かれていました。
かつて正月元日には朝賀(ちょうが)という儀式があり、大極殿の前庭に盛装した廷臣たちが整列して、高御座に昇られた天皇に対して慶賀の意を表しました。この朝賀の儀式の方式は、そのまま即位礼にも採用されました。やがて朝賀は途絶えましたが、その儀式の方式は即位礼に残されました。
その後、大極殿が焼失して再建されなくなると、太政官庁(だいじょうかんちょう)の建物で即位が行なわれるようになりました。
ところが、この太政官庁も滅びると、天皇の御在所である内裏(だいり)の紫宸殿(ししんでん)で即位礼を行なうこととなりました。江戸時代の「御即位図」には、紫宸殿とその前庭で儀式が行なわれている様子が描かれています。
現在、京都御所の紫宸殿に高御座が置かれているのには、このような経緯がありました。
江戸時代の高御座は内裏の火災のうちに焼失し、明治維新ののち、大正天皇の御即位に際して高御座が新調されました。これが現在の高御座です。その新調の時には、新時代にふさわしく天皇と皇后が並ばれるように、高御座のとなりに皇后の御座として御帳台(みちょうだい)を置くようになりました。御帳台は、高御座の形式に準じていますが、屋根には鳳凰ではなく鸞(らん)の像を1体だけのせて、鏡などの装飾もありませんでした。ところで、大正時代に描かれた「御即位大嘗祭絵巻」という絵巻を見ますと、現在の高御座と御帳台では両側の階段がなくなっているのがわかります。
これは平成度の御即位に際して、京都御所ではなく、皇居で即位礼を行なうようになったところ、皇居の正殿の松の間に高御座と御帳台がおさまらなかったために、両側の階段を外しておさめ、そのまま現在に至っているのです。
宮廷での元日や即位の儀式に用いられた高御座については、このような歴史がありました。
貴重な機会ですので、ぜひ特別公開「高御座と御帳台」と合わせて、特集「天皇と宮中儀礼」もご覧ください。
それでは、みなさま、本年もよろしくお願い申しあげます。
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特集「天皇と宮中儀礼」 |
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posted by 猪熊兼樹(特別展室長) at 2020年01月15日 (水)
東京藝術大学大学院インターンによるギャラリートークが、今年度も始まっています!
今年度は、12月から始まり3月中旬まで、8名の学生が6回ずつギャラリートークを実施します。
実施日は、チラシもしくはギャラリートーク一覧をご覧ください。
今日は、インターン生たちがギャラリートークを行うまでの活動を紹介します。
今年度最初の東京藝術大学大学院インターンによるギャラリートーク
「ヴィンチェンツォ・ラグーザの『日本の婦人像』」
東京藝術大学大学院インターンとは、東京藝術大学と当館の連携事業として行うインターン制度です。
東京藝術大学の大学院に通い、学芸員として博物館で働くことに関心のある学生を募り、当館で活動をしてもらっています。
活動は、毎年6月に始まります。
それぞれのインターン生が作品を選び、ギャラリートークに向けて検討会を行いながら準備をしていきます。
インターン生たちのギャラリートークでは、美術に詳しくない人にもわかりやすく、作品に親しみや新たな見方をもっていただけるようなものを目指してもらっています。
普段、インターン生たちは、大学等で研究発表を重ねています。
しかし、大学等での発表と、美術が初めての方や常連の方まで様々な人の前で話すことは違います。
さらに、展示室で作品を前にして話すこと、博物館の催し物として話すことなど、普段の研究発表とは違うことがたくさんあります。
ギャラリートーク実施にあたっての検討会では、まずボランティアによるガイドツアーの見学報告をしました。
話すときの工夫やお客様の反応、参加されないお客様への配慮までよく観察をし、自分たちにも必要なことを確認し合いました。
ガイドツアー見学報告(視点がとても広く鋭く感心しました!)
また、展示室で活動することもありました。
展示室では、作品の見え方や展示室の広さや明るさなどの環境面、お客様の動線などを把握しておかなければなりません。
想像力を膨らませて……! 本番はどうなるでしょうか?
その後は、それぞれ原稿作成に取り掛かりました。
ちょうどこの時期、毎年インターン生たちは大学の発表準備にも追われる日々です。
それでも作品についてよく調べ、数千字の原稿を提出してきます。
勉強熱心なので、難しい原稿になりがちですが、ボランティア室の職員と作品担当の研究員とで繰り返しアドバイスをし、誰にでもわかりやすい原稿を目指します。
段々とズッシリしていく原稿ファイル
アドバイスもビッシリ
原稿が仕上がってきたらリハーサルをし、とうとう本番を迎えます。
すでに本番を迎えているインターン生もいますが、どのインターン生もまだまだ実施日があります。
8名それぞれが、選んだ作品をじっくり! 丁寧に! わかりやすく! ご紹介します。
美術に詳しくない方は作品鑑賞のきっかけとして、詳しい方も新たな見方を持つきっかけとしていただけるのではないかと思います。
また、東京藝術大学大学院インターンによるギャラリートークは、1人6回ずつ実施日があるので、インターン生たちの成長が見どころです!!(複数回のご参加オススメです!)
ぜひ足をお運びいただき、学芸員の卵たちである東京藝術大学大学院インターンによるギャラリートークにご参加いただければと思います。
※実施予定は催し物>>ギャラリートークでご確認いただけます。
カテゴリ:教育普及
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posted by 岡田和佳奈(ボランティア室) at 2020年01月14日 (火)
東洋館3室で開催中の特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」、
本展は「人」、「神」、「自然」の3つの展示テーマで構成されています。
「人」編、「神」編と紹介してきましたが、
今回は最後のテーマ「自然」の作品をトーハクくんとユリノキちゃんが紹介します。
最後のテーマ「自然」の作品を紹介するほ!
自然がテーマだから動物をモチーフとした作品がたくさんあるわ。
鹿がたくさんいるほ!
左から:
リュトン 銀 中央アジア 前7~前6世紀
碗 金 中央アジア 前2300~前1800年頃
碗 金、ラピスラズリ、カーネリアンほか メソポタミア 前3300~前3000年頃または前1200~前1000年頃
リュトン 銀鍍金、ガーネット 西アジア 前1~後1世紀
リュトン 銀鍍金 中央アジア 5~6世紀
杯 金 イラン北西部 前11~前10世紀頃
リュトン ガラス 西アジア 前5~前4世紀頃
リュトン 銀 西アジア 前2~前1世紀頃
リュトンはワインなどの飲み物を注ぐための容器なの。リュトンはギリシア語の動詞「流れる」(rhien)に由来するわ。このお碗も豪華な素材が使われていてとても綺麗ね。
お碗や杯には羊やヤギ、猫みたいな動物がいるほ!
動物を模した器は、エリート層の宴会で好まれて使われたのよ。
あっ、ユリちゃん、また鹿がいるほ。
リュトン 金、カーネリアン、石 アナトリア半島 前2千年紀前半
これもリュトンなの。口から出た管が内側にもつながっていて、それが底まで伸びているのよ。
ストローみたいだほ。
もしくは点滴のような機能をもっていたとも考えられるらしいわ。
それにしてもリュトンがたくさんだほ。「自然」ではなくて「リュトン」がテーマみたいだほ。
いいじゃない。ほらリュトン以外もあるわよ。
あっ、後ろに大きい鹿みたいな動物がいるほ!
アイベックス 青銅 アラビア半島南部 前1先年紀後半
鹿じゃないの、ヤギ科の動物アイベックスの銅像よ。大きさにびっくりるすけど、保存状態もとてもよいものなのよ。
なるほどほー。動物じゃない作品はないのかほ?
ほら、あの作品はどうかな?
お酒を飲んでいる人?
サテュロス像 銀、金 アナトリア半島または中央アジア 前2世紀頃
人じゃないわ。ワインを飲んでいる精霊サテュロス像よ。
なんで「自然」のテーマに展示しているほ?「神」のテーマで展示したほうがいいほ!
右手に持っているものをよく見て。ほら、リュトンよ。
また、リュトンだほ。
いいじゃない。ほら、あの作品を見てみましょうよ。
小さい動物がたくさんいるほ!
水差し 銀 西アジア 前7~前6世紀頃
そうね。それぞれの塔にアイベックスが立っていて、その塔の柱をライオンが支えているわ。
百獣の王のライオンが支える側になるなんて、とても面白い発想だほ!
この水差しも動物がたくさんいるわ。
水差し 銀、金 西アジア 前7~前6世紀頃
なんだかこれは船みたいに見えるほ。
こっちを見て、アクセサリーがあるわよ。
腕輪 金、瑪瑙 アナトリア半島 前5世紀
僕でもわかるほ、これは腕輪だほ。これは何の動物がいるんだほ?
ヤギだわ。2頭のヤギが頭突きをしようとしているように見えるわね。
ネコさんがいるほ!
ネコ 青銅、金 エジプト 前6~前5世紀頃
ネコの青銅像は古代エジプトの小規模な彫像の中で、最もよく見られたもの1つなのよ。
なんだか実際のネコよりもネコらしさを感じるほ、とても可愛いほ。
「自然」編の作品紹介はこれでおしまいよ。どうだったトーハクくん?
ぼくは、途中から「人」を見ているのか、「神」を見ているのか、「自然」を見ているのかわからなくなりそうだったほ。
どれも密接に関係しているから、見る人それぞれの解釈次第かもしれないわね。
なるほどだほ。それじゃー締めの挨拶するほ!
ぜひ、世界各地の様々な古代の豪華な工芸品を自由にご覧いただき楽しんでくださいほ!ね!
※作品は全て、ザ・アール・サーニ・コレクション所蔵
会期は2020年2月9日(日)まで
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特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」 |
カテゴリ:トーハクくん&ユリノキちゃん、2019年度の特別展
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2020年01月10日 (金)
東洋館3室で開催中の特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」、
本展は「人」、「神」、「自然」の3つの展示テーマで構成されています。
前回のブログでは「人」のテーマの作品を紹介しました。
今回は「神」のテーマの作品をトーハクくんとユリノキちゃんが紹介します。
皆様おまちかね「神」のテーマの作品を紹介するほ!
トーハクくんはどれを見るのが楽しみだった?
これだほ、入り口の看板にも使われているこの作品!
女性像「スターゲイザー」 大理石ほか アナトリア半島西部 前3300~前2500年頃
とても上品な小像だね。小さいけど存在感がすごいわ。
見上げているけど、何か見ているんだほ?
空を見上げるような姿から現代では「スターゲイザー(星を見る人)」の愛称が使われているのよ。
ほー。宇宙人みたいにも見えるほ。いったい何を表しているほ?
実は、人間を表現したのか、神を表現したのか、あるいは両者をあわせた何かを表現したのか、よくわかっていないの。
何を表現したのかわからないところも魅力の一つかもしれないほ、もしかしたら神様かもしれないほ。
続いてこちらの瓶よ。
瓶 瑪瑙 地中海地域 150年頃
ほー、なんだか硬そうな瓶だほ。
そうよ、硬いわ。古代ギリシアや古代ローマでは、浮彫の像が彫られた硬質石材製の容器は、最も貴重な製品の一つだったわ。
あっ、瓶の外側に人がいるほ!
これは英雄ヘラクレスが若いサテュロスに1杯のワインを勧められている様子なの。英雄ってなんだか神様に近い存在に感じるわね。
あっ、髭のおじさんがいるほ!
精霊像 銅合金、骨 ザクロス山脈または中央アジア 前3千年紀
よくみて!角もあるわ。呪術的な修行の準備として動物の一部を纏った人間、呪術師を表したのかもしれないらしいわよ。
呪術の修行?神様を呼ぼうとしたほ?
わからないわ。あるいは、呪術を修行することで神様に近づこうとしたのかもしれないわ。色々想像できるわね。
銀の容器があるほ!
容器 銀 アラビア半島南部 2~3世紀
この容器は、古代ギリシア・ローマでとても人気があった、オリンポスを責め立てた巨人族と神々との戦いの様子が装飾されているの。
銀自体もきれいだけど、装飾も豪華でとてもきれいな容器だほ。今度は小さくてかわいらしい像があるほ。
左:人形容器 金 コロンビア 5~6世紀
右:石斧 翡翠 メキシコ 前9~前5世紀
左の人はなんだほ?スクワットでもしているほ?
よく見てごらん、椅子の上に座っているのよ。
そうだっだほか。よく見ると穏やかな表情だほ。お祈りしているみたいだほ。
この作品と似ているものはほかにもあるの。その一部には、人間の遺灰が入っていたらしいわ。
なんで入れていたほ?
死者の力と権威を伝えるための儀式に使用されていたかららしいわ。
右のもなんだほ?石に人の顔が描かれているほ!
トウモロコシの神様らしいわ。
なんでトウモロコシの神様が描かれているほ?
まず、メキシコではかつてトウモロコシが食糧以上の存在で、人間はトウモロコシから創造されたと考えられていたらしいわ。
次に、斧だけど、材料に貴重な翡翠が使われいて、皮をむいていないトウモロコシの形に似ているのよ。やがて、翡翠製の斧が豊かさなどの象徴になっていったのよ。
トウモロコシと斧が密接に関係しているほか?
そうよ、神様みたいなトウモロコシと斧の関係は深かったのよ。だから、斧にトウモロコシの神様を描いたのかもしれないわね。
「神」のテーマの作品紹介はこれで終わりだほ!
最後の「自然」編に続くわよ!
※作品は全て、ザ・アール・サーニ・コレクション所蔵
会期は2020年2月9日(日)まで
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特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」 |
カテゴリ:トーハクくん&ユリノキちゃん、2019年度の特別展
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2020年01月07日 (火)