平成館 企画展示室
2019年10月8日(火) ~ 2020年1月19日(日)
天皇を中心とする宮廷社会ではさまざまな儀式や行事が執り行なわれてきました。こうした宮中儀礼の多くは平安時代に発達し、華やかな様相が整えられるようになります。鎌倉時代以降、宮廷の衰微とともに儀式や行事も一時期衰退・断絶しましたが、江戸時代になると再興され、江戸時代末まで連綿として行なわれました。
宮廷で行なわれる儀式や行事は、年中行事(ねんじゅうぎょうじ)と臨時行事に分けられます。年中行事とは毎年繰り返し行なわれる行事のことで、臨時行事とは天皇の即位や大嘗祭(だいじょうさい)など、そのつど行なわれる儀式のことです。これらは過去の先例を重視したため、絵画作品や歴史資料など、多くの記録に残されてきました。
本特集は、平成から令和への御譲位(ごじょうい)、御即位により注目の集まる天皇と宮中儀礼を、「即位礼と大嘗祭」「悠紀主基屛風(ゆきすきびょうぶ)」「御所(ごしょ)を飾る絵画」「年中行事」「行幸と御遊(ぎょうこうとぎょゆう)」の5つのテーマによって紹介するものです。とりわけ平安時代以降、大嘗祭の際に制作された特別な調度(ちょうど)である悠紀主基屛風(ゆきすきびょうぶ)のなかでも、後桜町(ごさくらまち)天皇の大嘗祭の折に調進された明和(めいわ)元年度の屛風は現存最古の作例で、きわめて貴重な作品です。本特集が、一般には接することの少ないさまざまな宮中の儀式・行事を知るきっかけとなれば幸いです。