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特別展「桃山―天下人の100年」今秋開催!

2020年10月6日(火)~11月29日(日)、平成館にて特別展「桃山―天下人の100年」が開催されます。
日本美術史上最も豪壮で華麗な「桃山美術」を中心に、室町時代末から江戸時代初期にかけて移り変わる美意識を、数々の名品によってご覧いただける展覧会です。
開幕に先立ち、主な見どころをご紹介します。

唐獅子図屛風(からじしずびょうぶ)
唐獅子図屛風(からじしずびょうぶ)
狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀 東京・宮内庁三の丸尚蔵館蔵

後期展示(11月3日(火・祝)~11月29日(日))のみ
 

【見どころ1】
豪華絢爛!華麗なる桃山美術の世界

黄金輝く障屏画、豪壮な水墨画など、天下人が夢を追い求めた時代の華々しい美術を堪能いただけます。
また、室町末から江戸初期まで約100年間の美術作品を通して、「桃山美術」が何を受け継いで誕生し、後世にどのような影響を与えたのかを感じていただける展示構成です。
織田信長や豊臣秀吉、徳川家康をはじめ、教科書で見覚えのある戦国武将や茶人、文化人ゆかりの名品が並びます!

国宝 檜図屛風(ひのきずびょうぶ)
国宝 檜図屛風(ひのきずびょうぶ)
狩野永徳筆 安土桃山時代・天正18年(1590) 東京国立博物館蔵
前期展示(10月6日(火)~11月1日(日))

 

【見どころ2】
戦国ファン必見!戦国武将ゆかりの作品

安土桃山時代は、常に戦闘があった時代でした。そのため、生死を決する刀剣や甲冑は新たな展開を見せ、これまでにない武器や武具が流行しました。武将たちの「生死をかけた装い」をご覧ください。

重要文化財 銀伊予札白糸威胴丸具足(ぎんいよざねしろいとおどしどうまるぐそく)重要文化財 刀 無銘 伝元重 朱漆打刀(かたな むめい でんもとしげ しゅうるしのうちがたな)

【左】重要文化財 銀伊予札白糸威胴丸具足(ぎんいよざねしろいとおどしどうまるぐそく)
  安土桃山時代・16世紀 宮城・仙台市博物館蔵
  前期展示(10月6日(火)~11月1日(日))
【右】重要文化財 刀 無銘 伝元重 朱漆打刀(かたな むめい でんもとしげ しゅうるしのうちがたな)

(刀身)前元重 南北朝時代・14世紀  
  (刀装)
安土桃山~江戸時代・16~17世紀 東京国立博物館蔵


【見どころ3】
絵画、武具甲冑から、茶道具、高台寺蒔絵、南蛮美術まで!あらゆる分野の名品約230件が集う

華麗な障屏画や戦国武将の武具甲冑のみならず、意匠性優れた桃山茶陶や、世界へと視野を広げた南蛮美術も桃山美術の特徴です。その様々な分野から、優品を集めています。
まず絵画では、狩野元信から孫の永徳、その孫の探幽の作品をはじめ、永徳のライバル長谷川等伯や海北友松、雲谷等顔による障屛画や、江戸時代初期の風俗画も展示。
そして上杉謙信や豊臣秀吉、伊達政宗など戦国武将ゆかりの武具甲冑、千利休や古田織部ゆかりの茶道具のほか、中世から近世にかけて、激動の時代に生まれた名品の数々、約230件!
全国を駆け回らないと見ることのできない作品が、一堂に会します。

国宝 楓図壁貼付(かえでずかべはりつけ)
国宝 楓図壁貼付(かえでずかべはりつけ)
長谷川等伯筆 安土桃山時代・文禄元年(1592)頃 京都・智積院蔵

重要文化財 黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕(きせとりゅうごはないれ めい たびまくら)重要文化財 花鳥蒔絵螺鈿聖龕(かちょうまきえらでんせいがん)
【左】重要文化財 黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕(きせとりゅうごはないれ めい たびまくら)
  美濃 安土桃山時代・16世紀 大阪・和泉市久保惣記念美術館蔵  
  展示期間:10月27日(火)~11月29日(日)
【右】重要文化財 花鳥蒔絵螺鈿聖龕(かちょうまきえらでんせいがん)
  安土桃山時代・16世紀 九州国立博物館蔵
  前期展示(10月6日(火)~11月1日(日))

 

戦国武将が争う下剋上の時代から、江戸幕府による平和な治世へと移り変わった時代。
政治だけでなく美術においても変革の時代に花開いた「桃山美術」の輝きを、ぜひ特別展「桃山―天下人の100年」でご覧ください!

※本展は、インターネットでの事前予約(日時指定券)制となっております。
詳しくは展覧会公式サイトをご確認ください。

カテゴリ:2020年度の特別展

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posted by 苅米紀子(広報室) at 2020年08月28日 (金)

 

特別展「工藝2020-自然と美のかたち-」を紹介するほ!


表慶館で9月21日(月・祝)から開催される特別展「工藝2020-自然と美のかたち-」について、トーハクくんとユリノキちゃんが紹介します。

うーん暑い暑いほ。暑いときは家でネットサーフィンに限るほ。さーて、井上副館長のオンラインギャラリーツアーも見たし、次は何をみるほ?
トーハクくん、9月21日(月・祝)からはじまる特別展「工藝2020-自然と美のかたち-」のウェブページはみたかな。
みてないほ。お、ここにあったほ。ふむふむ。これは現代の工芸作品を展示する展覧会ほ?
そうよ。重要無形文化財保持者(人間国宝)や日本藝術員会員の中堅、時代を担う若手の作家など82人の作品を1件づつ展示するのよ。
ほー、ということは82件も見れるんだほ、すごいほ! ユリノキちゃん、サブタイトル「-自然と美のかたち-」についても説明してほしいんだほ。
うん。日本の文化や工芸には、ありのままの自然が美しくて、調和しているととらえる芸術思想があるの。今回はそれを踏まえて、自然と工芸の関係性をテーマに展示するのよ。
ふーんだほ。でも、なんかまだピンとこないほ。
えーと、これならどうかしら。この展覧会は、第1章「金は永遠に光り輝き、銀は高貴さに輝く」、第2章「黒はすべての色を内に吸収し、白はすべての光を撥する」、第3章「生命の赤、自然の気」、第4章「水の青は時空を超え、樹々と山々の緑は生命を息吹く」と4つのニュアンスで構成されているわ。
色に注目しているほ?
そうね、工芸素材の色合いや自然を彩っているこれら4つのニュアンスを、生命の象徴のようなものと考えているのよ。
なるほどだほ。赤は燃えている色、生命が頑張っているようなイメージを感じるほ!
そう。会場では、工芸作品から生命のオーラのようなものを感じられるかもしれないわね。
どんな気持ちで見ればいいかはわかってきたけど、実際にはどんな作品が展示されるほ?
じゃ少しだけど、二人で一緒に見てみよう!


柏葉蒔絵螺鈿六角合子 室瀬和美作 平成26年(2014) 個人蔵

ほー、金と銀の輝きが綺麗だほ。
金粉とかを蒔いて漆を塗り、乾いたら表面を磨いて、下の蒔絵の層を出す。研ぎ出し蒔絵っていう技法が使われているのよ。


白瓷面取壷 前田昭博作 平成29年(2017) 個人蔵

こっちはシンプルな形だほ。
器の肌にできる影で、色々な表情が見られるみたい。


流紋―2018 本間秀昭作 平成30年(2018) 個人蔵

えーと、魚のヒレみたいにも見えるほ。
波のうねりと波しぶきが表現された作品よ。


海から天空へ 奥田小由女作 平成30年(2018) 個人蔵

お母さんから子どもへの想いが感じられほ。
それに、生命の尊さに対する想いも感じられるわね。

作品を会場で見るのが楽しみになってきたほ。
ちょっと待ってトーハクくん! 見どころは作品だけじゃないわ。
え? ユリノキちゃん、ほかに何があるほ。
今回の展示室は、建築家の伊東豊雄氏がデザインするのよ。大地から湧き上がるエネルギーを表している展示台など、展示空間そのものも見どころなのよ。


展示イメージ図 ©伊東豊雄建築設計事務所

ほー! 表慶館がどんな展示室になるのか楽しみだほ。クッキー食べて、開幕まつほ。
みなさん! お越しになるときは、インターネットでの事前予約(日時指定券)を忘れないでくださいね。観覧料金は今後発表されますので、あわせてご確認ください。
 

カテゴリ:トーハクくん&ユリノキちゃん2020年度の特別展

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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2020年08月17日 (月)

 

ファッショニスタ必見! 特別展「きもの KIMONO」来春開催

東京国立博物館では、2020年4月14日(火)~6月7日(日)、平成館にて特別展「きもの KIMONO」を開催します。
10月17日(木)には、本展の報道発表会を行いました。
今回はその模様とともに、展覧会の見どころをご紹介します。




司会のテレビ朝日・三谷紬アナウンサーも、本展にちなみ、華やかな振袖姿で登場!

報道発表会では、はじめに主催者を代表し、当館副館長の井上洋一がご挨拶いたしました。


当館副館長 井上洋一。写真できもの姿を披露しました。

日本の美意識を色と模様に表した「きもの」は、世界に知られる日本文化のアイコン的存在。
800年以上を生き抜き、今なお新たなファッション・シーンを繰り広げています。
「伝統衣装」や「民族衣装」と思われがちなきものですが、実は各時代のモードの最先端を担う装いでした。
現代におけるファッションの流行と同じように、きもののデザインの変遷をたどれば、それぞれの時代と社会の有り様が見えてくるものです。
特別展「きもの KIMONO」では、多種多様なきものや、きものが描かれた絵画など、200件以上の作品を展示し、壮大な歴史絵巻を繰り広げます。

そんな本展の見どころについて、担当研究員の小山弓弦葉が解説しました。



第一の見どころは、何と言ってもそのスケール!
鎌倉時代から現代までを通史的に総覧するきものの展覧会として、本展はかつてない規模といえます。
そのうえトーハクで大規模な染織の展覧会を行うのは、実に47年ぶりのこと。
国内外からこれだけの名品を取り揃えて、きものの過去・現在・未来に迫る展覧会は、空前絶後かも?!

世界的なアートやデザインに影響を受けて展開される、現代のきものにも要注目です。
写真右下のきものの柄は、百貨店のショッピングバッグで見覚えがある方も多いのでは。


[左] TAROきもの 岡本太郎原案 昭和49年頃(1974頃) 東京・岡本太郎記念館蔵 撮影:堤 勝雄
[右] 友禅訪問着 白地位相割付文「実り」 森口邦彦作 平成25年(2013) 東京・株式会社三越伊勢丹蔵
前期展示:4月14日(火)~ 5月10日(日)


また、トーハクの所蔵品の中でも「次はいつ展示されますか?」とお問合せの多い「冬木小袖(ふゆきこそで)」もお目見えします。
尾形光琳直筆の「小袖 白綾地秋草模様(こそで しろあやじあきくさもよう)」、通称「冬木小袖」は、パトロンであった江戸深川の材木商・冬木家の奥方のために、光琳が直接小袖に描いたと伝えられる一品です。
完全なきものの形で遺されてきた真筆は、この作品だけだとか!


重要文化財 小袖 白綾地秋草模様 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵

きものの展覧会と聞いて「女性物ばかり並ぶの?」と思った方、本展では男性のおしゃれにも注目します!
とりわけ信長・秀吉・家康といった戦国武将の衣装は、歴史ファンも必見。
これらの作品には武将たちの個性や好みが表れていて、その人柄までうかがえます。
なお、織田信長・豊臣秀吉の陣羽織はトーハクから門外不出。この機会をどうぞお見逃しなく。


[左] 重要文化財 胴服 染分平絹地雪輪銀杏模様 徳川家康所用 安土桃山時代・16~17世紀 東京国立博物館蔵
[中] 陣羽織 淡茶地獅子模様 豊臣秀吉所用 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館蔵
[右] 陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様 織田信長所用 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館蔵


そしてそして、本展の広報大使には、なんとあのIKKOさんが就任されました!



広報大使のIKKOさんと本展担当研究員のトークショーが楽しめる「IKKOビューティートーク・プレミアムナイト鑑賞券」、担当研究員のレクチャーが付いた「プレミアムナイト鑑賞券」など、特別前売券も販売中です!
詳しくは展覧会公式サイトをご覧ください。

きものの長く深い歴史と文化を紹介する特別展「きもの KIMONO」。
美しいきものの数々が、2020年の春を晴れやかに彩ります。ぜひご期待ください!

 

特別展「きもの KIMONO」

平成館 特別展示室
2020年4月14日(火) ~ 2020年6月7日(日)

 

カテゴリ:絵画工芸2020年度の特別展

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posted by 新井千尋(広報室) at 2019年11月08日 (金)

 

特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」報道発表!

2020年3月13日(金)~5月10日(日)、本館特別4室・特別5室にて、特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」を開催します。
9月24日(火)に本展の報道発表会を行いました。




まずは当館副館長の井上洋一と、法隆寺の古谷正覚(ふるやしょうかく)執事長よりご挨拶をいたしました。


 
左:当館副館長 井上洋一 右:法隆寺 古谷正覚執事長


飛鳥時代に描かれた法隆寺金堂壁画。東洋仏教絵画の白眉と言われた貴重なこの壁画は、1949年の火災により大半が焼損してしまいました。しかし、焼損前に描かれた模写などが残されているおかげで、今でもその威容をうかがい知ることができます。
本展では、法隆寺金堂壁画の模写や、焼損後に再現された現在の壁画、そして日本古代彫刻の最高傑作のひとつである国宝・百済観音など金堂ゆかりの諸仏を展示します。

本展の見どころについて、担当研究員の瀬谷愛より解説いたしました。




【みどころ1】
模写と再現壁画で、かつての荘厳な姿に迫る

かつて法隆寺の金堂内には、釈迦浄土図や阿弥陀浄土図などが描かれた大壁(高さ約3.1m、幅約2.6m)4面と、菩薩たちが描かれた小壁(高さ同、幅約1.5m)8面の、計12面から成る壁画群がありました。
金堂は、修学旅行などで行かれた方も多いかと思います。堂内をよく見てみると、現在は再現壁画があり、当時の空間をイメージできたり、空気感を感じ取ることができます。が、内部が少し暗めなことと、壁画まで少し距離があることで、細部までは見ることは難しいかもしれません。

明治17年(1884年)頃に桜井香雲(さくらいこううん)が、大正11年(1922年)に鈴木空如(すずきくうにょ)が原寸大で描いた模写など、全12面のうち、本展では9面を展示し(※会期中展示替えがあり、9面が入れ替わりで展示されます)、じっくりと対峙していただけるような空間をつくります。
(※焼損した本物の壁画は出品されません。)


 
法隆寺金堂壁画(摸本)
【左】第10号壁 薬師浄土図 
鈴木空如摸 大正11年(1922) 秋田県大仙市蔵 前期展示(3月13日(金)~4月12日(日))
【右】第6号壁 阿弥陀浄土図 
桜井香雲摸 明治17年(1884)頃 東京国立博物館蔵 後期展示(4月14日(火)~5月10日(日))



【みどころ2】
国宝・百済観音、23年ぶりに東京へ!

仏像好きの皆様、お待たせいたしました。百済観音がついに東京へやってきます!

飛鳥彫刻を代表する国宝 観音菩薩立像(百済観音)は、昭和のはじめまでは金堂内に安置されていました。現在は法隆寺の大宝蔵院内に安置されています。
このお像は、江戸時代には「虚空蔵菩薩」とされていましたが、明治になって透かし彫りの宝冠が見つかり、その正面に観音菩薩の象徴である阿弥陀如来の姿が表わされていたため、「百済観音」と呼ばれるようになりました。

初心者の筆者は、やわらかな微笑みを湛えたこのお像に会えるのが楽しみで仕方ないのですが、「23年前にも見たし、法隆寺でも見ているわ」というマニアの皆様にもご納得いただけるような、美しい展示にする予定です。


国宝 観音菩薩立像(百済観音)
飛鳥時代・7世紀 法隆寺蔵
(撮影:佐々木香輔 、提供:奈良国立博物館)


法隆寺の古谷執事長は、ご挨拶のなかで、
「天変地異など大変なことが起こっている昨今、少しでも皆様のお力に繋がるようにという思いで、百済観音にお出ましいただくことになりました」とお話しくださいました。

当館蔵でも今までほとんど展示する機会がなかった壁画模写と、百済観音をご覧いただける貴重な機会です。
特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」、どうぞお楽しみに!


そして、法隆寺公認「百済観音フィギュア」の製作が決定しました!製作はもちろん、海洋堂さんです。
価格などの詳細は、決まり次第本展公式サイトにてお知らせします。

カテゴリ:仏像2020年度の特別展

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posted by 小島佳(広報室) at 2019年10月13日 (日)