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特別展「仁和寺と御室派のみほとけ」10万人達成!

特別展「仁和寺と御室派のみほとけー天平と真言密教の名宝」(1月16日(火)~3月11日(日)、平成館)は、2月16日(金)、10万人目のお客様をお迎えしました。
ご来場いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。

10万人目のお客様は、高崎市からお越しの佐藤明生さん。
本日は、奥さんの亜紀子さんと息子さんの徳くんと一緒に、ご来館されました。

明生さんには、当館館長 銭谷眞美より、記念品として特別展図録と展覧会グッズの「千手観音菩薩坐像 御尊影」を贈呈しました。
贈呈式には当館広報大使トーハクくんも登場!息子さんの徳くんも大喜びでした。


左から当館館長 銭谷眞美、亜紀子さん、息子さんの徳くん、佐藤明生さん、当館広報大使 トーハクくん 

明生さんによると、息子さんの徳くんは本展チラシの千手観音菩薩坐像(葛井寺蔵)を毎日のように見ていたとのこと。徳くんに本物を見せられることが楽しみ、とお話しくださいました。

特別展「仁和寺と御室派のみほとけ」も、残すところ3週間あまり、3月11日(日)までです。
後期(2月14日~)からは2体の秘仏も登場し、さらに充実した展示内容に。


国宝「薬師如来坐像」 円勢・長円作 平安時代・康和5年(1103) (京都・仁和寺蔵)
国宝のなかで最小の仏像。像高はわずか11.8センチ!目を凝らしてご覧ください。




国宝「千手観音菩薩坐像」 奈良時代・8世紀 (大阪・葛井寺蔵)
千本以上の手を備えた現存最古の千手観音像。天平彫刻の傑作をぜひ360度からご覧ください。



まだご覧になっていない方はもちろん、前期(~2月12日)にもう見たという方も、ぜひ会場へ足をお運びください!

 

カテゴリ:news2017年度の特別展

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posted by 武田卓(広報室) at 2018年02月16日 (金)

 

「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展 その2

1月17日のブログで紹介されたように、現在、バンコク国立博物館で、タイ王国文化省芸術局、文化庁、当館、九州国立博物館、国際交流基金の主催により、日タイ修好130周年記念展「日本美術のあゆみ-信仰とくらしの造形-」(2017年12月27日(水)~2018年2月18日(日))が開催されています。

昨年の春と夏に九州と東京で、タイ国外初出品も含む貴重な文化財を多数出品いただいた、日タイ修好130周年記念特別展「タイ~仏の国の輝き~」(2017年7月4日(火)~2017年8月27日(日))のお返し展という位置づけもあるこの展覧会。国宝3件、重要文化財25件を含む106件という規模で、総合的に日本美術を紹介するタイでは初の展覧会となっています。

展覧会は全体として、第1章 日本美術のあけぼの、第2章 仏教美術、第3章 公家と武家、第4章 禅と茶の湯、第5章 多彩な江戸文化、の5章から構成されています。

第1章では、日本に仏教が公式に伝来する以前、縄文、弥生、古墳時代の、火炎式土器や遮光器土偶、銅鐸、埴輪といった各時代を代表する作品を展示しています。特に人気なのは遮光器土偶。ドラえもんの映画、「新・のび太の日本誕生」で登場したツチダマで馴染みがあるようです。埴輪もにっこりとした微笑みがタイ人の好みにあっているそうで、人気の作品の一つとのこと。

人気の遮光器土偶
人気の遮光器土偶

笑顔が人気の埴輪 鍬を担ぐ男子
笑顔が人気の埴輪 鍬を担ぐ男子

第2章は日本に仏教が伝来した初期の頃の朝鮮半島系の金銅製の菩薩半跏像から、量感ある造形の9世紀の薬師如来坐像、撫肩で優美な姿の11~12世紀の大日如来坐像、全体にシャープな彫りと玉眼を用いた生生しい表情が特徴の鎌倉時代の如意輪観音坐像まで、大まかな仏像の流れがたどれるようにしています。
基本的にタイは上座仏教の国。仏像もほぼ釈迦像のみなので、様々な種類の仏像は、それらがどういう場面でどのように用いられたのか興味深々のようです。
仏画ではタイの方々にも馴染みある題材の涅槃図、そして堂内荘厳に用いる塼や華鬘や、法要に用いる密教法具などを展示しています。

「2章 仏教美術」の展示の様子
「2章 仏教美術」の展示の様子

第3章は、日本の歴史の中で常に政治的権力と文化の担い手となった公家と武家という二大階級の文化を示す作品を展示しています。公家文化として意匠を凝らした蒔絵の手箱、男性・女性の貴族の装束、公家文化の象徴ともいえる源氏物語を描いた屏風、武家文化として、太刀、刀、甲冑、武家女性の着物、武家のたしなみでもあった能の面、装束などを展示しています。このコーナーでは能面のうち、「万媚」と呼ばれる、色気と妖気を備えた高貴な若い女性を表現した面が人気とのこと。口元に僅かにたたえた微笑みがポイントのようです。

能面 万媚
能面 万媚

第4章は茶入、釜、茶碗、茶杓、花入、懐石道具としての鉢や蓋物、床の掛物としての墨蹟、水墨画といった、茶事で用いられる一通りの道具を展示し、茶の湯の世界への入り口としています。

「第4章 禅と茶の湯」の展示の様子
「第4章 禅と茶の湯」の展示の様子

第5章は町人文化の豊かさを示す、素材や技法、模様に意匠を凝らした町方女性のお洒落な着物、細部の細工にこだわった櫛や簪、春信、歌麿、写楽、北斎、広重、国芳の浮世絵、そして現代にも続く風習である雛人形などを展示しています。中でも北斎はタイでも知名度高く人気。また、春信の愛らしい女性像も好まれるようです。

舫い船美人 鈴木春信筆
舫い船美人 鈴木春信筆

会場の出口付近には北斎の「冨嶽三十六景」の中から「神奈川沖浪裏」をもとにした、簡易的な多色刷り版画の体験コーナーも。本来8回刷りのものを今回はインク4色で4回刷りとしています。
これが開幕直後から長蛇の列ができるほどの大人気。

長蛇の列ができるほど大人気の多色刷り版画の体験コーナー
長蛇の列ができるほど大人気の多色刷り版画の体験コーナー

展覧会そのものも非常に好評で、タイ王室のシリントーン王女殿下も行啓され、メモだけでなくスケッチもされながら2時間近く熱心にご覧になられました。

タイ王室の王女殿下行啓の様子
遮光器土偶の前でメモをとるシリントーン王女殿下

そして、ウィラ文化大臣も大変関心を持って下さり、準備段階から一般公開日までの間に4回も視察にお見えになられました。大臣は建築学を学び、日本への留学経験もある方で、現在も日本での歴史的景観保存・活用の事例研究などをされていらっしゃるそうです。
今回の展覧会への力の入れようは、自ら政府の広報部署へ展覧会の広報の指示を出されるほど。また、会期の前半最終日の1月21日には、開催記念として、ご自身の日本での経験に基づく日本文化に関する豊かな知識や鋭い観察眼を披露されました。タイでも大臣がこのような講演をされるのは異例とのこと。

ウィラ文化大臣講演チラシ
ウィラ文化大臣講演チラシ

大臣のあとに私も展覧会の内容についてお話をさせてもらいましたが、注目は午後の矢野主任研究員を交えたタイ側スタッフとの展示計画やケース制作、環境調整等に関する公開シンポジウム。

シンポジュームの様子
シンポジウムの様子(右から2番目が矢野主任研究員)

以前の矢野主任研究員の記事にもあったように、今回の展覧会開催に当たっては、作品選定はもちろんですが、その前提となる会場の環境整備から会場デザイン、ケース設計まで日本とタイ両国の各専門の担当者が何度も協議を重ね共に作り上げたものです。
その過程では、気候や文化の違いによる様々な困難も多々ありました。今回は国宝、重要文化財を多数出品するということで条件は厳しいものになります。
しかし、各担当者、特に保存担当の和田環境保存室長とデザイン担当の矢野主任研究員が、毎月タイに足を運び、現地の担当者と実地に膝を突き合わせて何度も協議を重ねる中で互いの信頼関係が生まれ、それに応じるようにタイ側も従来の常識を超える対応をして下さり、作品の質も、ケース設計も含めた会場デザインも、130周年の記念の展覧会にふさわしい上質のものとなったのです。

ケース設計の様子
会場でのケースモックアップのテスト
日本とタイ両国の各専門担当者が協議中

日本とタイ両国の各専門担当者が協議中
日本とタイ両国の各専門担当者が協議中

そうした経緯をタイ側の展覧会運営のトップの方から、保存、デザイン担当の方までそれぞれの視点で語られ、今後のタイ国内各地の国立博物館のリニューアルなどに今回の経験が活かされることが述べられていました。

単に作品を貸す側と借りる側という関係で終わらず、ともによりよい展示を作りあげ、お客様はもちろん、展示に関わった人にも喜びがあり、それが今後にも繋がっていくということを実感できた海外展となったことはとても得難い経験でした。

今後の更なる日タイ友好の一助となってもらえれば幸いです。
会期はあと1か月弱ありますので、タイに行かれる機会のある方はぜひ、訪れてみてください!コップ・クン・クラッープ!

カテゴリ:研究員のイチオシnews

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posted by 沖松健次郎(絵画・彫刻室長) at 2018年01月31日 (水)

 

開幕! 「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」

本日23日、「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」がついに開幕しました。


本展覧会会場の表慶館(重要文化財)。22日の報道内覧会は大雪に…

古代より人々と諸文明の文物が行き交ったアラビア半島。本展は、その歴史と文化を示すサウジアラビア王国の至宝を日本で初めて公開するものです。

展示は「道」をキーワードに5章構成。第1章は「人類、アジアへの道」。100万年以上前にさかのぼるアジア最初期の石器、5000年前に砂漠に立てられた人形石柱など、先史時代の人々の活動をご紹介します。


人形石柱 カルヤト・アルカァファ出土 前3500~前2500年頃 サウジアラビア国立博物館蔵
本展のメインビジュアル 

第2章は「文明に出会う道」。前2500年頃からメソポタミア文明とインダス文明をつなぐ海上交易で反映したアラビア湾(ペルシャ湾)沿岸地域の出土物を展示します。


祈る男 タールート島出土 前2900~前2600年頃 サウジアラビア国立博物館蔵
メソポタミア美術の特徴を示す表情やポーズ 

第3章は「香料の道」。前1000年以降に香料交易で賑わったオアシス都市の出土品を展示します。


テル・アッザーイルで出土した黄金製品の数々

第4章は、「巡礼の道」。マッカ(メッカ)、マディーナ(メディナ)という2大聖地を擁するアラビア半島への文字通り巡礼がテーマ。17世紀から聖地マッカのカァバ神殿で実際に使われていた扉やクルアーン(コーラン)の写本などを展示。アラビア文字が刻まれた墓碑の美しい書体も必見です。


カァバ神殿の扉 オスマン朝時代・1635年または1636年 サウジアラビア国立博物館蔵
鈍い輝きに歴史の重みを感じずにはいられない  

最後の第5章は、「王国への道」。現在のサウジアラビア王国の初代国王となったアブドゥルアジーズ王の豪華な遺品を展示します。


アブドゥルアジーズ王の刀 20世紀 キング・アブドゥルアジーズ財団蔵
黄金に輝く刀! 

以上、全5章構成で展示件数400件超。そのすべてがサウジアラビア王国からの作品で、かつ日本初公開のものばかり。実は…それがなんと総合文化展料金でご覧いただけるんです!!ということは、現在開催中の「仁和寺と御室派のみほとけ」展のチケットでもご覧になれるということです。「仁和寺と御室派のみほとけ」展、総合文化展目当てで来られる方も、ぜひ表慶館にもお立ち寄りください。
なお、2月4日(日)まではアラブ・イスラーム学院のご協力により、「アラビア体験」と題して、表慶館前にてアラビアの遊牧民テント内で、アラブ世界で楽しまれているアラビックコーヒーに関する民具や、香炉、ナツメヤシの葉で編んだ敷物やかご、毛織物、伝統衣装などを展示します。さらにアラビックコーヒーとデーツ(ナツメヤシの実)を無料でご提供します!(※)


アラビアの遊牧民テント


アラビックコーヒーとデーツ

それから最後にもう1点注目ポイント!なんとこの展覧会、展示作品すべて撮影OKなんです!明治末期の洋風建築を代表する表慶館(重要文化財)は基本的にはイベントや展覧会の開催中しかお入りいただけません。ということは、この素晴らしくフォトジェニックな館内も撮り放題ということです。とっておきの1枚をカメラにお収めください!


エントランスを見上げると美しいドーム天井が


階段手すり。その曲線美!

というわけで注目ポイント満載のこの展覧会、会期は3月18日(日)まで。ご来館の際は、表慶館にもぜひ足をお運びください!

※ アラビア体験は1月23日(火)~2月4日(日)、アラビックコーヒーとデーツの無料配布は各日先着1,000名となります。

カテゴリ:news2018年度の特別展

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posted by 武田卓(広報室) at 2018年01月23日 (火)

 

「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展

2017年12月27日から2018年2月18日まで,タイ王国バンコク市のバンコク国立博物館においてタイ文化省芸術局,文化庁,東京国立博物館,九州国立博物館,国際交流基金主催の「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展が開催されています。タイでは1997年に「日本の陶磁展」、2011年に「日本とタイ―ふたつの国の巧と美展」が開催され今回で3回目となります。

バンコク国立博物館
バンコク国立博物館

展示構成は縄文時代から江戸時代までの作品106件で、タイにおいて日本美術を総合的に紹介する初めての展覧会です。今回、普段はタイの美術の歴史を紹介している展示室(Gallery of Thai History)を、「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展のために、昨年から展示環境構築、展示デザインを含め展覧会開催に向け力を注いできました。ここでは展示環境構築、展示デザインについてご紹介いたします。

普段のタイの美術の歴史展示の様子
Gallery of Thai History
普段はタイの美術の歴史の展示をしている


Gallery of Thai History の平面図
Gallery of Thai History の平面図
柱と柱の間のデッドスペースが多い



・ゆったりと鑑賞できる作品レイアウト 
大きさも様々な彫刻、絵画、書跡、工芸、考古作品がお互いに適切な距離を保ちながら空間の広さを感じられるように5面ガラスやアクリルの展示ケースを用い、デッドスペースの柱と柱の間へも仮設ケースを作り展示を構成しました。

「1章 日本美術のはじまり」の展示の様子
「1章 日本美術のはじまり」の展示の様子

「2章 仏教美術」の展示の様子
「2章 仏教美術」の展示の様子

雛人形は柱と柱の間のケースで展示しました
雛人形は柱と柱の間のケースで展示しました。


・作品が安全に展示され、見やすいこと
考古と一部の工芸作品に専用の支持金具を作りグラフィックを用いて、使い方などが想像できるように展示しました。

銅剣などの展示の様子
銅剣などの展示の様子
(図右:06_吉田広2014「弥生青銅器祭祀の展開と特質」『国立歴史民俗博物館研究研究報告』第185集 より)

簪の展示とイメージグラフィック
簪の展示とイメージグラフィック


・日本美術の繊細な細部を鑑賞できること
鑑賞者から作品までの距離を可能な限り近くなるように展示しました。工芸作品や絵画などに限らず細部が見られる事は、作品をじっくりと鑑賞できることにつながります。


ガラスから作品までの奥行が短くなるようにパネルを設置。絵画や書の細部が鑑賞しやすくなっています。

畳を使った茶の湯の展示の様子とお茶室の解説グラフィック
畳を使った茶の湯の展示の様子とお茶室の解説グラフィック


・展示室と展示ケースの温湿度環境の改善
以下のグラフは「展示室内(エントランス付近)」の温湿度グラフと「雛人形が展示された展示ケース内」の温湿度グラフです。雛人形の展示ケース内の変動幅は小さく、一定の温湿度の範囲内に収まっていることがわかります。

展示室内の温湿度
「展示室内(エントランス付近)」の温湿度グラフ

展示ケース内の温湿度
「雛人形が展示された展示ケース内」の温湿度グラフ
一定に保たれていることが分かります


このように安定した展示環境は、バンコク博物館と東京国立博物館 保存修復課長の指導のもと環境保存室が協力し、展示室の空調を24時間稼動、気密性能の高い展示ケースを製作したことではじめて実現できました。


この他にも浮世絵版画を作るワークショップなど日本文化を伝える展示をおこなっています。展覧会を訪れた方々が日本の美意識の一端を感じられる展示であれば幸いです。

次回、「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展のブログ第二弾では、展示の内容についてご紹介します。
 

日タイ修好130周年記念「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展

開催期間:2017年12月27日~2018年2月18日
開催場所:バンコク国立博物館
主催:タイ文化省芸術局,文化庁,東京国立博物館,九州国立博物館,国際交流基金
協賛:日本航空,GLASBAU HAHN,タキヤ株式会社,油脂製品株式会社,日油株式会社、株式会社カネカ,ミネベアミツミ株式会社,株式会社岡村製作所
協力:総務省(会場における8K画像提供)
後援:在タイ日本国大使館,タイ国日本人会

 

カテゴリ:研究員のイチオシnews

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posted by 矢野賀一(デザイン室主任研究員) at 2018年01月17日 (水)

 

開幕! 特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」

本日、特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」がついに開幕しました。


平成館1階のエントランス 本特別展バナー


平成館1階には仁和寺門跡が家元をつとめる「御室流華道」のいけばなを展示
※本日よりしばらくの間は平成館ラウンジでご覧いただけます。


開幕に先立ち、前日の15日(月)に行われた開会式と内覧会にも多くのお客様にご出席いただきました。開会式には御来賓として高円宮妃久子殿下にお越しいただきました。


開会式には多くのお客様にご出席いただきました


銭谷 当館館長の開会の挨拶(写真:右から銭谷 東京国立博物館長、立部 総本山仁和寺門跡・真言宗御室派管長、老川 読売新聞グループ本社取締役最高顧問・主筆代理、六條 道明寺住職、小泉 龍華寺檀家代表、宮田 文化庁長官、阿部 光村印刷代表取締役社長)

仁和寺は宇多天皇が仁和4年(888)に完成させた真言密教の寺院です。歴代天皇の厚い帰依を受けたことから優れた文化財が数多く伝わります。本展では、これら仁和寺に伝わる名宝を紹介するとともに、仁和寺を総本山とする御室派寺院に伝わる名宝の数々も集結します(会期中展示替あり)。

展覧会は5章構成。
第1章ではまず、仁和寺の歴史を展観します。御願寺(皇室の私寺)として歴代天皇より崇敬をされていたことを物語る数多くの「宸翰」(天皇の書)を中心に、歴代門跡の肖像画や古文書を展示します。中でも見逃せないのは、2014年度に修理が完了した弘法大師・空海ゆかりの国宝「三十帖冊子」。こちら、本日から1月28日(日)まで限定で展覧会史上初、三十帖すべてを公開します!


国宝 三十帖冊子 空海ほか筆 平安時代・9世紀 京都・仁和寺蔵 ※通期展示(帖替あり)、全帖公開は1月28日(日)まで

第2章では、密教の世界における儀式「修法」に関わる名品を、

第3章では火災や戦火に遭いながらも守られてきた仁和寺と御室派寺院の宝蔵に納められた宝物をご覧いただきます。



密教修法の孔雀経法の本尊画像  国宝 孔雀明王像 中国・北宋時代・10~11世紀 京都・仁和寺蔵 展示期間:~2月12日(月・休)

仁和寺の伽藍も京都を戦場とした応仁の乱で焼失してしまいます。それが復興されたのは江戸時代初期、覚深法親王(1588~1648)の頃。4章ではその復興の歴史をご紹介します。また、復興された諸堂のうち、普段は非公開の観音堂の内部を実際に安置されている33体の仏像と、壁画の高精細画像で再現しました。こちらはなんと皆さん撮影OK!SNSなどでどんどん拡散してください!

実際の安置物とともに再現された仁和寺・観音堂


観音堂内部の壁画も高精細画像でリアルに再現

最後の5章は、「御室派のみほとけ」。こちらでは仁和寺と御室派寺院が誇る仏像の名品をずらっと展示します。さらにこの章のクライマックスは秘仏コーナー。普段はお寺でも公開されていない多くの秘仏を展示。お寺に行ってもめったに見られない秘仏がこれだけ一堂にご覧いただける機会はそうありません!仏像ファン以外の方も必見です!


秘仏本尊! 国宝 十一面観音菩薩立像 平安時代・8~9世紀 大阪・道明寺蔵 通期展示


秘仏本尊! 重要文化財 馬頭観音菩薩坐像 鎌倉時代・13世紀 福井・中山寺蔵 通期展示   


以上、展覧会の全体を駆け足でご紹介いたしました。特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝―」、会期は3月11日(日)まで。今後、まだまだ伝えきれていない本展の見どころをこちらのブログでご紹介していきます!乞うご期待!
 

カテゴリ:news2017年度の特別展

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posted by 武田卓(広報室) at 2018年01月16日 (火)