ついに本日開幕した、特別展「書聖 王羲之」(~3月3日(日) 平成館)。
開幕前日の1月21日(月)には、開会式・内覧会が行われました。
開会式には多くの方にお越しいただきました。
もっとも注目を集めていたのが、唐時代の摸本を展示したコーナーです。
唐時代の摸本は、王羲之の真跡が失われてしまった今、
その字姿をもっとも忠実に伝えていると考えられる一級資料です。
世界にわずか10点ほどしか残っていない貴重なものですが、本展覧会では
皇帝が愛蔵したことを示す印が、華やかに文字を彩る「行穣帖(こうじょうじょう)」、
本展覧会の作品調査で新発見された「王羲之尺牘 大報帖(おうぎしせきとく たいほうじょう)」、
王羲之の書が大成した晩年の書とされる「喪乱帖(そうらんじょう)」(展示期間:~2/11)、と見ごたえ十分。
会期後半には、国宝「孔侍中帖(こうじちゅうじょう)」(展示期間:2/19~3/3)が展示されます。
中でも「王羲之尺牘 大報帖」は、本展覧会が初公開ですので、見逃せません。
行穰帖 (部分) 原跡:王羲之筆 唐時代・7~8世紀摸 プリンストン大学付属美術館蔵 Princeton University Art Museum / Art Resource, NY
王羲之の最高傑作として名高い蘭亭序は、全20件を展示。名家が競って集めたという写本や拓本が一堂に会します。
蘭亭序は、詩会で詠まれた詩の、作品集の序文として作られましたが、自然を愛でつつ、世のはかなさを綴った名文でもあります。
会場では、その誕生の舞台となった詩会の情景を描く画巻を3D映像にして、大型スクリーンで放映しています。
映像でイメージをふくらませて、様々な蘭亭序の作品をご堪能ください。
今後も王羲之の書、そして本展覧会展の魅力をブログでご紹介していきます。
展示とともにお楽しみください。
カテゴリ:news、2012年度の特別展
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posted by 林素子(広報室) at 2013年01月22日 (火)
明日、1月19日(土)に、東洋館のリニューアルオープンを記念し、講演会「ドイツ・カナダ所在のアジア美術と展示方法-ベルリンにおける新たな挑戦-」が開催されます。講師は文化庁外国人芸術家・文化財専門家招へい事業により来日されたベルリン・アジア美術館の館長、クラース・ルイテンビーク博士です。
ベルリン・アジア美術館のルイテンビーク博士
ベルリン・アジア美術館は2006年に東アジア美術館とインド美術館が統合してできた美術館です。アジア美術館はその名の通り、東洋美術の総合的な収集と研究が行われ、コレクションが形成されています。そのため東洋館のリニューアルオープンを記念して、今回ルイテンビーク博士の講演会を開催することにいたしました。
トーハクが東洋の文化財を保存・継承してきたように、日本の文化財も諸外国で保存・継承されています。(有名なところはボストン美術館やギメ美術館、などでしょうか)
(左)フランス:国立ギメ東洋美術館
(右)日本美術の展示室
トーハクがどのように東洋の文化財を保存継承してきたか、作品についてどれだけの情熱をもっているかは、当館の展示をご覧いただいたお客様はもちろんのこと、講演会や列品解説などにご参加いただいたお客様は一層詳しくご存じのことと思います。ですが、日本を含むアジアの文化財が欧米でどのように扱われているのか、そしてそれらがどのような意図で展示されているかは、あまり日本で語られることがありません。
どのような思いでアジアの文化財を展示し、保存継承しているのか、それを第一線でご活躍されている方から直接聞けるというのは、またとないチャンスです。
アジア美術にご興味のある方はもちろんのこと、展示デザインや博物館史などの博物館学分野に興味がある方にも、非常に面白い内容であると思います。(当日のスライドではアジア美術館の展示などを沢山ご覧いただけると思います!)
なんといっても、アジア美術館は展示してある作品の分野が東洋館と同じですので、比較してみるのも一興です。(アジア美術館のほうが素敵!と言われてしまったら困りますが…)
新しくなった東洋館の展示室(5室)
トーハクの講演会にいらした事のないお客様も、ぜひこの機会に足をお運びいただけますと幸いです。
みなさまのご来場をお待ちしております!
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posted by 小島有紀子(教育講座室) at 2013年01月18日 (金)
1月22日(火)より開幕する特別展「書聖 王羲之」(~3月3日(日))。
本展覧会は、中国4世紀の東晋時代、従来の書法を飛躍的に高めた王羲之をテーマに、
その書の実像にせまり、歴史的に果たした役割を再検証するものです。
蘭亭図巻─万暦本─(らんていずかん(ばんれきぼん))(部分)
原跡=王羲之等筆 明時代・万暦20年(1592) 東京国立博物館蔵
王羲之の最高傑作「蘭亭序」が生まれた曲水の宴を描いた作品。王羲之の姿も描かれています。
書聖と崇められた王羲之、歴代皇帝も愛好したというその書とはどんなものなのでしょう?
実は、王羲之の真蹟は、戦乱などにより失われているため現存していません。
そのかわりとして、私たちが王羲之の字姿を知るために、もっとも信頼のおける資料となるのが唐時代の摸本です。
とりわけ王羲之の書に魅了され、熱心に王羲之の書を蒐集たことなどで知られる唐の太宗皇帝が作らせたもので、
にじみやかすれ、後世の虫食いの跡まで写し取られた非常に精巧なものです。
それらも世界中で10点ほどしか残されていません。
そんな希少な唐時代の摸本が、本展覧会の出展作品の調査によって日本で新たに発見されました。
「王羲之尺牘 大報帖(おうぎしせきとく たいほうじょう)」です。
王羲之尺牘 大報帖(おうぎしせきとく たいほうじょう)
原跡=王羲之筆 東晋時代・4世紀 唐時代・7~8世紀摸 個人蔵
尺牘とは手紙のこと。つまり、この作品に書かれた3行24字は、王羲之が書いた手紙の一部です。
日本には名筆を集めて台帳に貼りこみ、鑑賞したりお手本にする文化があります。
この台帳を手鑑(てかがみ)といいますが、今回の作品も、そうして長年大切に守られてきた手鑑から見つかったのです。
この作品には、かつて鑑定をした際に小野道風の筆とした極札(きわめふだ・鑑定結果を記す紙片。上の写真の右側についている短冊形のもの)がついており、これまでは王羲之の作と認められていませんでした。
しかし、富田淳列品管理課長らが参加した本展覧会の調査で、
この作品は、極めて精緻な摸本で、唐の宮中で作られた可能性が高いことがわかったのです。
王羲之の筆と判断されたポイントは、次のようなことです。
・文章中に、王羲之の家族の名前や、王羲之がよく使う表現が登場すること
・字の姿が、唐時代に作られた王羲之の摸本に似ていること
・文字の輪郭をとって中を丁寧に埋める「双鉤填墨」(そうこうてんぼく)と呼ばれる技法の跡が認められることや、他の摸本と同じ料紙を使っていること
日本には、遣唐使らによってもたらされたと考えられます。
「王羲之尺牘 大報帖」は今回、世界で初めての公開で、会期中を通してごらんいただけます。
本展覧会では、そのほか4点の唐時代の摸本が出展予定です。(一部の作品に展示替えがあります)
どうぞこの機会に、王羲之の文字を今に伝える作品をご堪能ください。
関連事業
席上揮毫会(書のデモンストレーション)
1月31日(木) 平成館ラウンジ
※どなたでもご覧いただけます。ただし入館料が必要です
ワークショップ「王羲之の複製を作ろう」
2月13日(水) 平成館小講堂
※往復はがきによる事前申込制(1月31日(木)必着)。応募者多数の場合抽選となります
※参加費は無料ですが当展観覧券が必要。半券の場合には別途当日の入館料が必要です
カテゴリ:news、2012年度の特別展
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posted by 林素子(広報室) at 2013年01月17日 (木)
先日の2013年1月12日(土)より特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」が始まりました。
また、1月22日(火)より特別展「書聖 王羲之」が始まります。
今年も1月から大きな展覧会が2つも開催され、多くのお客様にご来館いただけることを嬉しく思います。
そのような中、トーハクでは2013年1月22日(火)より来館されたお客様を対象に託児サービスを開始いたします。
子育て中のお客様にもゆっくりトーハクを楽しんでいただきたいという思いから、今回は期間限定で実施することとなりました。
ご利用につきましては事前予約制(無料)となっております。 詳細は下記のご案内のページをご参照ください。
0歳児には専門のシッターが必ず1人専属でつく「マンツーマン託児」、1歳児には2名様で1人、2歳児以上は3名様につき1人の専門のシッターがお世話いたします。
小さいお子様も責任を持ってお預かりいたしますので、安心してご利用いただけます。
私の家にも生後4ヶ月の息子がいます。せっかくの機会なので、この託児サービスを利用して、妻の育児休憩がてら、夫婦で思いっきりトーハクを満喫する予定です。
今回は試行的に実施して、お客様にご好評をいただけるようでしたら、来年度以降に本格的に導入していきます。
ぜひ、子育て奮闘中の方々のご利用をお待ちしております。
カテゴリ:news
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posted by 内誠(総務課) at 2013年01月15日 (火)
トーハクは新年1月2日(水)より開館いたしました。
恒例の「博物館に初もうで」はもちろん、東洋館リニューアルオープンということもあり、例年以上に多くの方々にご来館いただきました。
東洋館リニューアル開館記念式典には、キャンペーンポスター、チラシにご登場いただいた俳優の井浦新さんも登場。
「2013年、百花斉放の如く、芸術や文化が日本、そして世界に向けて、この国立博物館から花が咲き誇っていくことを願い、祈っています」とごあいさつののち、鏡開きに参加いただきました。
さらに、「アジアの女神たち~祝福と歓迎の舞~」がリニューアルオープンに花を添えました。
「新春特別公開」(本館2室、2013年1月2日(水) ~ 14日(月・祝))では、3年ぶりの登場となる国宝「松林図屏風」や、重要文化財「風神雷神図屏風」に多くの方々が見入っていました。
(左)国宝 松林図屏風 長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀(本館2室にて、1月14日(月・祝)まで展示)
(右)重要文化財 風神雷神図屏風 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀(本館7室にて、1月14日(月・祝)まで展示)
このほか、干支にちなんだ特集陳列「博物館に初もうで-巳・蛇・ヘビ」(本館 特別1室・特別2室、2013年1月2日(水) ~ 27日(日))など、まだまだお楽しみいただける展示が盛りだくさんです。
今週末の12日(土)からは、特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」もはじまります。
本年もトーハクをよろしくお願いいたします。
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posted by 奥田 緑(広報室) at 2013年01月08日 (火)