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1089ブログ

「古代ギリシャ」海シリーズ(1)

海との関わりが深かった古代ギリシャ。
今回は海を越えて繁栄したミノス文明を物語る1品を紹介しましょう。


文字が刻まれた銅塊
前1500~前1450年頃(後期ミノスIB期)
クレタ島、メサラ、アギア・トリアダの邸宅(7室)出土
イラクリオン考古学博物館


銅塊が出土したアギア・トリアダはクレタ島の南西部に位置する遺跡。
ミノス時代の町と「邸宅」が20世紀初頭に発掘されました。
「邸宅」は、この地域を支配していたフェストスの領主の離宮と目されます。

この銅塊は、剥いだ牛の皮に形が似ていることから、「牛皮形インゴット」とも呼ばれます。
アギア・トリアダで出土した銅塊は合計19枚、うち8枚に文字や記号が刻まれていました。
ミノス文明の文字は未解読のため内容は分かりませんが、貴重な物資を管理するための印であったと想像できます。
銅の一大産出地であったキプロス島から輸入した銅であったと考えられています。

青銅器の原料となる銅や錫の地金は、最も重要な交易品の1つでした。
ミノス人たちはキプロス島などから銅を仕入れ、クレタ島各地に流通させるだけでなく、海外にも輸出していたことが知られています。


レクミラ墓に描かれたミノス人(前15世紀)
(Norman de Garis Davies 1935, Paintings from the Tomb of Rekh-mi-R ē ‘ at Thebes: Pl. III; V.)
※本展では展示しておりません。


レクミラは、エジプトのトトメス3世とアメンヘテプ2世に仕えた高官。
彼の墓には、クレタ島からエジプトに渡ってきたミノス人使節団が描かれています。
ミノス人が携えている品々の中に、牛皮形の銅塊が含まれているのにお気づきでしょうか。
日焼けした海の男が肩に担いでいますね。ちなみに、展示中の銅塊は25.7kgあります。

それから、ミノス人たちが履いているカラフルな靴。
このような靴がメソポタミアの王たちにも好まれていたことが知られています。
北メソポタミア(現在のシリア)の古代都市マリで出土した楔形文字史料には、マリの王が、バビロンのハンムラビ王にクレタ島製の靴を2足贈ったことが記されています(しかも、そのうち1足はサイズが合わなかったのか、返品されました)。
ハンムラビ王は「目には目を、歯に歯を」で有名なハンムラビ法典を残した王です。

ミノス文明の諸都市は、優れた製品を作り、各地に輸出しました。
エジプトや西アジアの遺跡で出土するミノス土器は、それ自体が付加価値のついた製品であるとともに、香油や軟膏といった高級コスメの容器であったようです。
また、ミノスの美術も各地で受容されました。
実は、ミノス様式のフレスコ画は、西アジアやエジプトの王宮址からも出土するのです。
ミノス人の壁画職人が各地の王に招かれ、壁画を描いたと考えられています(本展覧会では、クノッソス宮殿出土のフレスコ画や、テラ島で発掘された同時代のスレスコ画をご覧いただけます)。

このようにクレタ島でミノス文明が花開いた時代は、ギリシャの製品や美術が、初めて広範囲に広まった画期的な時代であったといえます。
ミノス文明の粋を示す選りすぐりの出土品は、展覧会第2章で展示されています!
お見逃しなく!
 

カテゴリ:研究員のイチオシ2016年度の特別展

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posted by 小野塚拓造(東洋室研究員) at 2016年07月15日 (金)

 

特別展「禅―心をかたちに―」記者発表会

この秋、トーハクでは臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念 特別展「禅―心をかたちに―」(2016年10月18日(火)~11月27日(日))を開催します。

開幕に先立ち、7月8日(金)に記者発表会を行いました。

本展は、2016年4月12日(火)~5月22日(日)まで、京都国立博物館で開催されました。トーハクの特別展「禅―心をかたちに―」は、東京展限定の作品もあり、新たな魅力が加わっています! 記者発表会では、禅展のみどころを本展担当研究員4人のリレートークで説明しました。

まずは、みどころその1、「戦国大名と禅僧」についてです。

  
(写真左)当館 救仁郷研究員 (写真右)沢彦宗恩と織田信長

戦国武将の影に禅僧あり!
禅僧は武田信玄や織田信長ら、武将のブレーンとして禅の教えを説いたり、時に参謀として戦略の相談に乗ったりしました。本展では、武将と禅僧の肖像画をご覧いただけます。

みどころ2は「禅と茶の湯」です。


当館 三笠研究員

 
(写真左)「織田有楽斎像」(部分) 古澗慈稽賛 狩野山楽筆  江戸時代 元和8年(1622) 京都・正伝永源院蔵 
(写真右)唐物文琳茶入 銘「玉垣文琳」 中国 南宋時代・12~13世紀 埼玉・遠山記念館蔵

東京展では、織田信長の弟、織田有楽が持っていたと伝わる茶道具を展示します。徳川家康の命によって救い出された茶入「玉垣文琳」など、エピソードの尽きない名品の数々が並びます。

みどころ3は「禅寺の障壁画」です。

 
(写真左)当館  山下研究員 (写真右)重要文化財「南禅寺本坊小方丈障壁画のうち 群虎図」(部分)狩野探幽筆 江戸時代 17世紀 京都・南禅寺蔵

禅寺を飾った障壁画や屏風の数々。狩野元信や長谷川等伯、伊藤若冲、池大雅などが描いた各時代の代表作が並ぶ様子は、必見です!

最後に、みどころ4「蘭渓道隆坐像の修理について」。


当館 浅見研究員 

 
(写真左)修理前 (写真右)修理後 重要文化財「蘭渓道隆坐像」(部分) 鎌倉時代 13世紀 神奈川・建長寺蔵  

鎌倉にある建長寺所蔵の「蘭渓道隆坐像」は、2014年から2年かけて、保存修理が行われました。江戸時代に厚く覆われた漆を剥がすことによって、当初の姿に近い、リアルな姿を取り戻すことができました。

 

続いて、報道発表会第二部では、場所を当館庭園の茶室「九条館」に移して、出品作品の青磁輪花茶碗「鎹(かすがい)」(愛知・マスプロ美術館蔵)と当館所蔵の「馬蝗絆(ばこうはん)」を比べて解説しました。

 
(写真左)九条館にて (写真右)奥が「鎹」、手前が「馬蝗絆」(注:「馬蝗絆」は出品されません)

織田有楽が所持していたといわれる「鎹」と、瓜二つな「馬蝗絆」。これらの茶碗は、京都の豪商として知られる角倉家に伝来し、幕末に角倉家が東西に分家した際に分かれたことが、記録に残っています。


記者発表会の様子、いかがだったでしょうか。

臨済宗・黄檗宗両15派の全面的な協力のもと、鎌倉時代から江戸時代にいたる臨済禅の歴史をたどり、禅宗寺院に花開いた禅の美術をご覧いただける本展。 国宝22件、重要文化財102件を含む、禅の名宝が、この秋トーハクに集結します!

今年の秋は、特別展「禅―心をかたちに―」(※会期中、展示替があります)を、どうぞお楽しみに!

 

カテゴリ:news2016年度の特別展

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posted by 宮尾美奈子(広報室) at 2016年07月13日 (水)

 

トーハクくんがゆく!「ついにあのスーパースターとコラボ!」

ほほーい、ぼくトーハクくん!
今日はみんなに自慢したいことがあるんだほ。

実は7月9日(土)、あのスーパースターと遂にコラボしたんだほ!

  

スーパースターとは…、そう、「ゆるキャラ®グランプリ 2011」チャンピオンのくまモン!!知らない人はいないほ?
トーハクでは6月22日(水)から7月10日(日)まで東洋館地下1階のミュージアムシアターで「熊本城復興支援 特別上演 VR作品『熊本城』」を上映していたんだほ。この特別上映に合わせてくまモンが急遽来てくれたんだほ。スーパースターが来てくれるということで、当然ぼくとユリノキちゃんも会いに行ったという訳なんだほ♪

  

初めて生くまモンを見たけど、やっぱりとってもかわいかったほ!



3人で一緒にくまモン体操を踊ったんだけど、くまモンは動きも機敏ですごかったほ。ぼくはダンスは得意のはずなのに、上半身があんまり動かなくてうまく出来なかったんだほ…。ユリノキちゃんも苦戦していたほ。


くまモンとも仲良くなれたし、今度はぼくが熊本に行ってくまモンと再会したいほ!お友達のトラりんもいろんな所に行ってるみたいだし、まだ京都以外に行ったことがないから、是非とも実現させてトーハク広報大使として活躍の場をさらに広げるんだほ!

 

実はぼくとユリノキちゃん、「ゆるキャラ®グランプリ 2016」にエントリーをしたんだほ。初代チャンピオンに会って、俄然やる気が出てきたんだほ、みんな応援よろしくだほー!

 

カテゴリ:news催し物トーハクくん&ユリノキちゃん

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posted by トーハクくん at 2016年07月11日 (月)

 

根付と置物-象牙彫刻の伝統

「アイボリー」といえば象牙のようなごく淡いクリーム色を指すように、象牙の白い色は独特です。素材としての象牙の特徴にはまず、このわずかに黄味を帯びた優しい白色と、「粘り」ともよばれる弾力性をあげることができるでしょう。この二つの特質により、象牙には世界中で装飾・彫刻材料として珍重された歴史があります。

今回の特集展示「根付と置物-象牙彫刻の伝統」(2016年6月7日(火)~7月31日(日)、本館14室)でも、この象牙ならではの白色を生かした作例が多数を占めていますが、近現代の作品には、彩り豊かなものも間々見られます。特に近年テレビ番組などでも取り上げられ、人気が急上昇したのが、卓越した着色技術により野菜や果物などの形や色、質感の全てを見事に再現した安藤緑山(1885~1955?)の作品です。ここでは展示品の中でも、象牙を彫刻してから色彩を加えた作品に注目してみましょう。

といっても、象牙に色を定着させるのは至難の技なのです。江戸時代の牙彫根付ではしばしば、「矢車染め(やしゃぞめ)」という象牙を薄い茶色や肌色に染める技法が使われています。「矢車」とはタンニンを多く含む夜叉五倍子(やしゃぶし)の実のことで、いわゆる草木染めの一種です。

鼠捕牙彫根付 線刻銘「明實」
鼠捕牙彫根付 線刻銘「明實」 江戸時代・19世紀
全体を染めあげてから、角や丸みの部分を磨いてグラデーションをつけ、立体感を強調しています。

臼兎牙彫根付 線刻銘「蘭亭」
臼兎牙彫根付 線刻銘「蘭亭」 江戸時代・18世紀 郷誠之助氏寄贈
木製品である臼と杵の部分を淡い茶色に染めて、兎の白と対比させています。
 
常盤牙彫根付 線刻銘「光廣」
常盤牙彫根付 線刻銘「光廣」 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈
着物や笠、下駄の部分を薄い茶色に染め、顔や腕などの肉身部は白いままで表現しています。

正倉院宝物などに見るように、奈良時代には日本にも象牙を赤・紺・緑などに染める技術が伝わりましたが、その後途絶えてしまいました。江戸時代にはこの技術の復興が試みられ、赤や緑に染めた象牙の櫛などが見られます。しかし飾り櫛と違って、根付は着物や手で擦れるためでしょうか、赤や緑に染められた牙彫根付は少ないです。

鬼面牙彫根付 線刻銘「壽玉(花押)」
鬼面牙彫根付 線刻銘「壽玉(花押)」 明治時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈
全体を肌色に染め、頭部や頬の部分を赤く、濃淡をつけて染めています。

てんとう虫 
てんとう虫 村松親月 (1934~) 作 平成11年(1999) 高円宮コレクション
象牙が深紅と漆黒に染め上げられています。作者は、象牙を赤・紺・緑などに染めてから文様をはね彫りする「撥鏤」技法の復元を成し遂げました。


牙彫鷹置物
牙彫鷹置物 金田兼次郎作 明治25年(1892) シカゴ・コロンブス世界博覧会事務局
白鷹の羽毛は象牙の白無垢で、脚の皮膚は茶色く染めて表現されています。

明治時代中頃までの牙彫置物は、このように象牙の白さをそのまま生かした作品が多かったのですが、大正期に入ると、冒頭で触れた安藤緑山のような人が出てきて、総天然色ともいうべき牙彫置物が登場します。

桜桃
桜桃 安藤緑山 (1885~1955?) 作    大正時代・20世紀     高円宮家蔵
桜の枝葉や軸など極薄く細い部分まですべて象牙彫刻で表わし、卓越した着色技術とあいまって、まさに実物と見紛うばかりです。

柿
 吉村竜渓作    明治~大正・20世紀     高円宮家蔵
作者は金田兼次郎門下の牙彫家で、明治後期から大正時代にかけて活躍しました。当時は安藤緑山の他にも、こうした着色作品を制作する作家がいたことが分かります。


こうしたリアルな着色作品は、象牙彫刻の文脈を知らずにご覧になる方にはまず、象牙製とは思われないことでしょう。ただし、本物そっくりのみずみずしい色彩表現は、象牙の表面に思い通りの色を定着させる難しさはあっても、象牙と言う白い素材だからこそ、可能になったことです。象牙という稀少素材の特質について、思いを廻らせながら、展示をご覧いただけますなら幸いです。
 

カテゴリ:研究員のイチオシ特集・特別公開

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posted by 竹内奈美子(登録室長、貸与特別観覧室長) at 2016年07月07日 (木)

 

「ほほえみの御仏」とトーハクの半跏思惟像

開催中の特別展「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」は、日本と韓国、それぞれを代表する仏像を揃ってご覧いただけるという、奇跡的な展覧会です。

展示は半跏思惟像(はんかしゆいぞう)2体のみですが、それぞれに美しく、見応えある2体です。
今回は、この2体の見どころをご紹介します。

その前に。そもそも、「半跏思惟像」ってなに?…と、思われる方も多いと思います。
「半跏」とは、片脚を組んだ座り方のことで、「思惟」は右手を頬につけて考えごとをするポーズを指しており、「半跏思惟」のポーズをとる仏像、という意味です。

仏像であれば、「釈迦如来」や「観音菩薩」のように、仏様の種類で呼ぶのが一般的ですが、半跏思惟像についてはどの仏様なのか、わからないことも多く、このようにポーズを意味する名前で呼んでおります。

展示室にお入りいただくと、奥に見えるのが奈良・中宮寺門跡に伝わる国宝・半跏思惟像。
中宮寺像に対面して、手前に見えるのが韓国国立中央博物館所蔵の韓国国宝78号・半跏思惟像です。


 
(左) 国宝 半跏思惟像
飛鳥時代・7世紀 奈良県 中宮寺門跡蔵
(右) 韓国国宝78号 半跏思惟像
三国時代・6世紀 韓国国立中央博物館蔵
画像提供:韓国国立中央博物館


それぞれ、ポーズは同じ「半跏思惟」ですが、大きさや材質、表現など様々な点で異なります。

中宮寺像は、今は表面が黒く見えていますが、これは下地の漆があらわになっているためです。
左足の裏に残る彩色からは、体を肌色であらわしていることが知られ、衣にも僅かに赤や緑といった彩色が残るため、もとは鮮やかな姿であったことがわかります。
さらに、各所に釘穴があることから考えると、宝冠や胸飾、腹当、腕輪などを身につけていたようです。


西川杏太郎氏作図

衣のひだには、左右対称の「品」字形の折り畳みもみられますが、彫り口はやわらかく、控えめながらふっくらとした肉づきからも、穏やかでやさしい印象が伝わってくるような表現がなされています。

 

霊木としても信仰されていたクスノキの木から彫られていますが、飛鳥時代であれば一本の木から彫り出すことが多いところ、この像は複数の部材をあわせて造られているのが特色です。
たとえば、頬に指を添える右腕には小材が挟まれており、角度の微調整がおこなわれたことがうかがえるように、作者が木材の扱いに熟達していたことはまちがいありません。

これに対して、韓国国宝78号像は、中宮寺像に比べると小さく感じられますが、金銅仏(銅像に金メッキを施してつくられた仏像)のなかでは、かなり大きいものです。
しかも、銅の厚みは平均して5ミリ程度で、均一の厚みを維持しているところが驚かれます。
頭部と体部、そして左足先と三分割して原型を造ることで可能になったとされますが、このように美しくあわせるのは至難であったと思われます。

また、顔に浮かべた笑みは明瞭で、体つきは滑らかで、ボリュームをあえて抑えているようです。それに対して、両肩にかかる天衣や台座の衣などにみられる、整然としたひだの表現によって、人体を離れた、超越者としての仏をよく表しているといえるでしょう。

 
画像提供:韓国国立中央博物館

このように、それぞれ表現や技法は異なるものの、持てる技術と表現力を最大限に工夫することによって、心のよりどころであった信仰の対象を形にできたことがわかります。

初めに半跏思惟像は名前がはっきりとはわからないと書きました。
こうした憂いを帯びたポーズ、もともとインドでは出家前の釈迦にみられる仕草で、この世の苦しみについて、思いを巡らせる様子であったようです。
中国では、仏滅の56億7千万年後にこの世に現れるとされた弥勒菩薩にも、このポーズが採用されており、朝鮮半島ではその多くが信仰の盛んであった弥勒菩薩として表されているのではないかと考えられています。

日本でも、銘文に「弥勒」と刻んだ半跏思惟像が残っており、記録からも半跏思惟像を弥勒菩薩と呼んでいることが知られるため、弥勒菩薩として表されたものがあったのは確かといってよいでしょう。

日本と韓国に、古代の仏像を代表する半跏思惟像が伝わることは、海を隔てながらも、活発であった両国の交流を物語る証拠といえるかも知れません。


さて、当館でみられる半跏思惟像は、この2体だけではないことをご存じですか?

正門から入って左手に進むと見えてくる法隆寺宝物館



ここでは、明治11年(1878)に法隆寺から皇室へ献上され、当館に引き継がれた300件を超える宝物をご覧いただけますが、これに含まれる仏像のなかには半跏思惟像もあります。
その数、なんと10体!

いずれも、7世紀に造られたとみられる金銅仏で、愛らしい表情のものから肉感的でエキゾチックな姿のものまで、様々なバリエーションがあったことがわかります。
なかには、朝鮮半島からもたらされた可能性のある像もあり、興味は尽きません。

  
重文 菩薩半跏像
(左)(中央)飛鳥時代・7世紀
(右) 三国(朝鮮)時代・6~7世紀

すべて法隆寺宝物館第2室で展示中

さらに!
東洋館でも朝鮮半島でつくられた半跏思惟像をご覧いただけます。
正門から右手にある東洋館10室では、「朝鮮半島の仏教美術」として、三国時代から高麗時代までの仏像や瓦などを展示しておりますが、目玉のひとつがこちらの半跏思惟像です。


菩薩半跏像
三国時代・7世紀 小倉コレクション保存会寄贈
東洋館10室で展示中


大きさ20センチ足らずは思えない整った姿で、華麗な宝冠やほほえみを浮かべた表情には、韓国国宝78号像を思わせるところがあり、魅力的です。

日韓を代表する半跏思惟像がお出ましになっている今、ぜひ法隆寺宝物館にもお立ち寄りいただき、東アジアで愛された半跏思惟像について、そして、その姿に共有されていたひとびとの願いや祈りに、思いを馳せていただければ幸いです。

カテゴリ:研究員のイチオシ彫刻2016年度の特別展

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posted by 西木政統(絵画・彫刻室) at 2016年06月29日 (水)