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1089ブログ

豪華!2つの特別展が同時開催!

本日、特別展「中国 王朝の至宝」(~12月24日(月・休))と、特別展「出雲―聖地の至宝―」(~11月25日(日))が開幕しました。
平成館特別展示室と本館特別5・4室で、2つの特別展が同日に開幕するのはトーハクでは初めてのことです。
 
まずは特別展「中国 王朝の至宝」の展示室内からご紹介します。

ポスターやチラシで見ていた文物ですが、ほんもののパワーは凄いです!

虎座鳳凰架鼓(こざほうおうかこ)は思っていたよりもずっと大きくて迫力があり、
虎座鳳凰架鼓
一級文物 虎座鳳凰架鼓 戦国時代・前4世紀 湖北省・荊州博物館蔵

犠尊(ぎそん)は前側から見るとたまらなく愛らしく、
犠尊
一級文物 犠尊 
山東省淄博市臨淄区商王村出土 斉国故城遺址博物館蔵


跪射俑(きしゃよう)は存在感があり、りりしく彼方を見つめています。
きしゃ俑
一級文物 跪射俑
陝西省西安市臨潼区始皇帝陵兵馬俑2号坑出土 秦始皇帝陵博物院蔵


当たり前のことですが、百聞は一見にしかず。ほんものだけがもつ凄まじいパワーを、ぜひ体感してみてください!


そしてもうひとつの特別展「出雲―聖地の至宝―」。
こちらも出雲のパワーを感じられる作品がたくさんあります!

古代出雲大社の復元模型はライティングによって浮き上がって見え幻想的です。

出雲大社本殿復元模型
島根県・出雲市蔵

こちらの銅鐸は両面どちらからも見ることができ、シカ・トンボ・ウミガメ・人物の顔の表現がわかります。

国宝 銅鐸
弥生時代・前2~前1世紀
島根県・加茂岩倉遺跡出土 文化庁蔵

笑った口元・歯が見えてとても微笑ましい表情です。

島根県指定文化財 摩多羅神坐像
覚清作 鎌倉時代・嘉暦4年(1329)
島根県・清水寺蔵

 
この他にもおすすめの作品がたくさんあります。
1089ブログでは、作品のみどころや研究員のおすすめについてもご紹介していきますので、どうぞお楽しみに!
 

カテゴリ:news2012年度の特別展

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posted by 広報室 at 2012年10月10日 (水)

 

トーハクで48mの高層神殿体感!

特別展「出雲-聖地の至宝-」(2012年10月10日(水)~11月25日(日))の会期終了日まで
トーハク構内で、古代出雲大社の高層神殿を体感できるARアプリがあります。
ご存知でしたでしょうか?
*AR(Augmented Realityの略)とは、日本語で拡張現実感と訳され、現実の世界にデジタルの情報を付加させる技術のことです。

期間中(9月15日~11月25日まで)、トーハクでスマートフォン・タブレット端末(一部対応していない機種があります)からアプリを立ち上げると本館前の広場に巨大神殿がそびえたちます。
また、その場の風景と神殿を合わせて撮影することもできます。

まずは、アプリ(Android版、iPhone版・iPad版あり)(無料)をダウンロードしてください。
(「AR高層神殿」と検索するとすぐでます)    

google playよりダウンロードApp Storeよりダウンロード

アプリを起動させると、神殿が画面上に出ます。
神殿の方向・大きさをかえることができます。

 
スマートフォンより(イメージ)


iPadより(イメージ)

撮影ポイントが決まったらいざ、撮影!



このように本館と神殿のコラボレーションができます。

本館の高さが約30m、神殿が48m。 
神殿の大きさがわかると思います。

展覧会をご覧いただいたあとは、ぜひ48mの高層神殿を体感してみてください!
そして、現在島根県で開催されている神話博しまねAR神話博のホームページでは
巨大神殿アプリの使い方ガイドフォトコンテストの応募方法が掲載されています。

また、フォトコンテストで入賞すると豪華商品のプレゼントがあります。
皆様、素敵な一枚、楽しい一枚をご応募していただければと思います。

*フォトコンテストの応募締め切りは平成24年10月31日です。

カテゴリ:2012年度の特別展

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posted by 江原 香(広報室) at 2012年10月04日 (木)

 

宇豆柱(うづばしら) トーハクへ!

10月10日(水)より開幕する特別展「出雲-聖地の至宝-」(2012年10月10日(水)~11月25日(日))の準備が着々と進んでいます。
先日、京都国立博物館の特別展覧会「大出雲展」(2012年7月28日(土)~9月9日(日))でも出品されていた「宇豆柱」がやってきました!

「宇豆柱」とは、出雲大社などの大社造りを構成する9ヵ所の柱のうち、
正面中央の棟持柱(むねもちばしら)にあたり古くからそのようによばれてきました。

この「宇豆柱」は、平成12年(2000)出雲大社より出土したもので、出雲大社本殿遺構の棟を支えていた柱材です。


出雲大社境内遺跡模型(島根県立古代出雲歴史博物館蔵)
赤い丸の部分が発掘された宇豆柱です


3本の杉の大木を束ねて1つの柱としており、1本の直径が1.3m、高さ約1.3m、推定重量1.5トンもあります。


重要文化財 宇豆柱
鎌倉時代・宝治2年(1248)
出雲大社境内遺跡出土(島根県・出雲大社蔵)

「宇豆柱」は、1本、1本頑丈な木枠に入れられて運ばれてきました。



木枠を外し、美術用梱包材をとると・・・

ついに、「宇豆柱」がお目見えしました!
とても大きく迫力があります。

早速、島根県立古代出雲歴史博物館と当館の保存修復の担当研究員がライトをあてながら細部まで点検しています。



点検が終わると、すでに設置済みの展示ケースに入れます。



まず、木製の台を展示ケースの高さまでリフトで上げます。
そして、「宇豆柱」の台座の下にはシートをかませすべりやすくし、展示ケースになめらかにすべらすようにして慎重に少しずつ少しずつ押していきます。


声をかけあいながら作業をする人、そして周りでは、固唾をのんで見守る人々

1本の柱を展示ケースに入れるのに2時間近くかかりました。
3本柱を展示ケースに入れ、発掘されたときと同じように周りに石をつめて設置終了です。


全体の雰囲気はぜひ展覧会場でご覧ください!

3本そろっての展示だと迫力が増し見ごたえたっぷりです。
会場でぜひご覧いただきたいのが、柱をたてた当時の人々の「手の跡」です。
運搬時に縄を掛けるのに用いたと思われる孔(画像:上の左の柱)や表面を削った手斧の跡を見ることができます。

「宇豆柱」は特別5室の中央に展示します。
どうぞお楽しみに!

カテゴリ:2012年度の特別展

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posted by 江原 香(広報室) at 2012年09月29日 (土)

 

特別展「青山杉雨の眼と書」 入場者3万3千人達成

特別展「青山杉雨の眼と書」は、2012年8月28日(火)午後、3万3千人目のお客様をお迎えいたしました。(あおやま「さん」う、ということで、「3」万「3」千人のお祝いです!)
これまでご来場いただいたお客様に、心より感謝申し上げます。

3万3千人目のお客様は、千葉県よりお越しの諏訪林郁子さんです。
東京国立博物館長 銭谷眞美より展覧会図録を、
青山杉雨のご長男でいらっしゃる青山慶示氏より、杉雨作品のレプリカを贈呈いたしました。

青山展 3万3千人セレモニー
右から、銭谷眞美館長、青山慶示氏、諏訪林郁子さん、島谷弘幸副館長
2012年8月28日(火) 東京国立博物館平成館にて


諏訪林さんはご自身も書道をされていらっしゃるとのこと。
「自分の作品を家の中に飾っていますが、一番良い所にこのレプリカを置きます。これから展覧会をみて、自分の作品制作に反映できたら嬉しいです」とお話いただきました。

特別展「青山杉雨の眼と書」の会期はいよいよあと2週間、9月9日(日)で閉幕となります。
昭和を代表する書家、青山杉雨の表情豊かな作品の数々をぜひご覧ください。
皆様のご来館を心よりお待ちしております。
 

カテゴリ:news2012年度の特別展

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posted by 広報室 at 2012年08月28日 (火)

 

中国山水画の20世紀ブログ 第11回-90年前の美術交流 -第二回日華聯合絵画展覧会の画家たち-

いまからちょうど90年前、1922(大正11)年4月28日、3人の中国人画家が東京帝室博物館(現在の東京国立博物館)を訪れます。
その名も金城、陳師曾、呉熙曾。
同年5月2日から東京府庁内の商工奨励館で開催された第二回日華聯合絵画展覧会で訪日のさなかのことでした。


金城(左)と陳師曾(右)

日華聯合絵画展覧会は前年の1921年、北京と天津で開かれ、当代日中気鋭の画家たちの作品を集めたことで大変な好評を博しました。
その続編として、日本を開催地として企画されたのが第二回日華聯合絵画展覧会です。
2月に企画が具体化し、政界、財界の支援も得て5月には開幕という、大変タイトなスケジュールであったため、会場探しにも苦慮したようです。担当者はさぞかし大変な苦労があったことでしょう。

日本側は川合玉堂、小堀鞆音、小室翠雲など79人の画家が出品。
中国側は金城、陳師曾はもちろんのこと、呉昌碩、斉白石など70人以上の画家、総数445点にのぼる作品を展示。
斉白石がその名を知られるようになったのもこの展覧会でした(「竹内栖鳳と高剣父」参照)。

この日華聯合絵画展覧会は1929年、第五回を上海、大連、奉天で開催したのを最後に開催されることはありませんでしたが、この第二回は、中国の同時代の画家たちの作品が日本で初めて、まとまった形で展観された画期的な展覧会でした。

さて、東京帝室博物館を訪問した日の午前中、中国画家一行は東京美術学校(現・東京芸術大学)を訪問しています。案内役は「美校」教授の大村西崖。
西崖は彼らの来日の前年、1921年に念願だった中国訪問を果たし、北京の地で金城、陳師曾らと会っています。
特に陳師曾にはとてもお世話になったようです。北京での案内役をかってでた陳師曾は日本に8年も留学していたので日本語はペラペラ。北京の有名書画コレクターや現代作家の訪問ができたのも、日中両語を解する陳師曾の手助けなしには実現不可能だったことでしょう。
西崖が瑠璃廠という、東京でいえば神保町のような「北京の古書店街」で大量の古典籍類を「大人買い」することができたのも、陳師曾の尽力あってのことでした。


現在の瑠璃廠

今回の特別展では、この二人の交流を示す、二冊の書物を展示しています。



1921年、大村西崖が訪中前に書き上げた『文人画の復興』(右)と、陳師曾の編になる『中国文人画之研究』(左)です。
『中国文人画之研究』には、西崖の『文人画の復興』を陳師曾が中国語訳した「文人画之復興」と、西崖に強い影響を受けて書かれた陳師曾の画論「文人画之価値」が収められています。
当時、「文人画」は、岡倉天心やフェノロサによって形成された「日本美術史」の枠組みから見捨てられた絵画主題でしたが、
その価値を再発見しようとしたのがこの二人の著述でした。
「近代化」、すなわち「西洋化」という流れの中で見捨てられていった、伝統主題としての「文人画」というキーワードが、
「東アジア」を包摂する美術用語として甦るきっかけをこの二人は担ったと言えるでしょう。
一見、ただの古い本。
ですが、この2冊の書物は、90年前の日中の美術交流を示す貴重な資料と言うことができます。

さて、記録によれば、来日画家3人はほぼ毎日宴会攻めにあっていたようです。連日の酒宴で疲労した身体を引きずりつつ、彼らは90年前の当館をどのように見ていたのでしょう?


東京国立博物館・旧本館

加えて、90年後、自らの作品が東京国立博物館に陳列されていることに、どのような想いもっていることでしょうか?


画面奥、中央が陳師曾「山水図」(No.23)。右が金城「秋山雨後図」(No.24)

1922年の第二回日華聯合絵画展覧会から90年を経た2012年の夏。
特別展「中国山水画の20世紀」は、20世紀中国絵画を見渡す、日本では空前の試みといっていいかもしれません。
近百年来の中国近現代絵画を振り返る、まさに「教科書」のような展覧会となっています。

今回作品をお借りした中国美術館でも、これだけの質と量の作品を一堂に展示する機会はなかったということです。
会期も残すところあとわずか。今週日曜、8月26日(日)でついに閉幕です。
どうぞ会場に足をお運びください。

カテゴリ:研究員のイチオシ2012年度の特別展

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posted by 土屋貴裕(絵画・彫刻室) at 2012年08月24日 (金)