特集「中国書画精華―宋代書画とその広がり―」その1「アジア大発見!」
現在、東洋館8室では、日中国交正常化50周年 東京国立博物館150周年 特集「中国書画精華―宋代書画とその広がり―」(前期:~10月16日(日)、後期:10月18日(火)~11月13日(日))が展示中です。
東洋館8室 展示風景
「中国書画精華」は、毎年秋恒例となった、当館所蔵および寄託の中国書跡・絵画作品の名品展ですが、前期は「博物館でアジアの旅 アジア大発見!」にちなみ、「発見!」に関わる中国書画をいくつか紹介しています。
中国絵画では、伝趙昌(ちょうしょう)筆「竹虫図軸(ちくちゅうずじく)」と伝陳容(ちんよう)筆「五龍図巻(ごりゅうずかん)」に「発見!」マークがついています。
重要文化財 竹虫図軸
中国、伝趙昌筆 南宋時代・13世紀 10月16日(日)まで展示
このうち、「竹虫図軸」については、以前1089ブログ「名品の名品たる所以―伝趙昌筆「竹虫図」の場合―」で紹介しましたので、今回は「五龍図巻」にまつわる「発見!」エピソードをお話しします。
重要文化財 五龍図巻(部分)
中国、伝陳容筆 南宋時代・13世紀 10月16日(日)まで展示
作者と伝わる陳容(号所翁)は、13世紀、南宋時代末期に活躍した文人画家です。
現在の福建(ふっけん)省の出身で、特に龍を描くのを得意にしたと伝わります。
五龍図巻(巻頭部分)
龍は、雲を湧き起こして、雨を呼び、地上に水をもたらす神獣とされます。
このため中国では、決まった形をもたない雲霞と一体化させて、龍の変化の姿を表現することが重要であるとされてきました。
歴史書によれば、陳容はその変化の姿をとらえるため、酒を飲んで酔っ払い、服装にもかまわず、手に墨を塗りたくって制作にのぞんだといいます。
墨をはね散らかして雲を、口に含んだ墨を噴き出して霧を表現した、と伝わるその激しく自由な龍の図は、以後、龍を描く画家にとっての古典となりました。
五龍図巻(巻末部分)
「五龍図巻」は、龍に呼応して波立つ水面から始まり、雲や岩の間にからみあって見え隠れする5匹の龍、水量を増して激しく流れ落ちる滝を描きます。
明暗を強調した雨雲の広がり、迫力ある水の流れ、そしてそのような自然現象と一体化してうごめく龍の姿は、歴史書にいう陳容の龍の図を彷彿とさせます。
さて、近年の研究により、この「五龍図巻」と同じ図様を含む画巻が、アメリカのプリンストン大学美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館に所蔵されていることが「発見!」されました。
プリンストン大学美術館の作品は、合計12匹の龍を描き、8メートルを超える長大な画面を誇ります。
この8匹目から12匹目の図様が「五龍図巻」と一致しているのです。
また、メトロポリタン美術館の作品はプリンストン美術館の3匹目から4匹目、ボストン美術館の作品は4匹目から7匹目と同じ図様です。
当館所蔵の「五龍図巻」を含む、以上4つの作品の前後関係は今後の研究課題ですが、12匹の龍の図様から複数の作品が派生していったことはまちがいなさそうです。
その意味では、これらの作品は兄弟ともいえるでしょう。
陳容の龍の図は、東アジアで広く人気を集めました。
今後、「五龍図巻」の新たな兄弟が「発見!」される可能性もあります。楽しみに待ちたいと思います。
カテゴリ:特集・特別公開、中国の絵画・書跡、博物館でアジアの旅、東京国立博物館創立150年
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posted by 植松瑞希(絵画・彫刻室) at 2022年09月27日 (火)
5月23日(月)、東博の正門横に、東博創立150年を記念したオリジナルデザインのポストを設置しました。
除幕式には、日本郵便株式会社のオリジナルキャラクター・ぽすくまとトーハクくんも登場!
ポストには創立150年記念のロゴマークと、記念ロゴマークにも使用されている唐草文様が施されています。
この唐草文様は、東博の所蔵品や、本館、表慶館の建築装飾に使われている唐草文がモチーフとなっています。
学芸企画部デザイン室の荻堂研究員によるデザイン
除幕式では、まずは館長の銭谷が「普段あまり郵便を使用しないという方もいるかもしれないが、このポストを利用していただくことで、手紙で思いを伝える機会を提供できれば」と挨拶しました。
また、上野郵便局の宮部 第一集配営業部部長からは、「上野公園のパンダポストと東博の創立150年記念ポスト、これだけ近くにラッピングポストがあるのは珍しいこと。ぜひ、観光等にご活用いただきたい」とご挨拶をいただきました。
ポスト投函の記念すべき第一号は、トーハクくん!京都国立博物館の公式キャラクター・トラりんに、葉書を送りました。
トーハクくん、トーカン!
本館1階ミュージアムショップでは、東博の作品をモチーフにしたポストカードや便箋を販売中。
その近くには、来館記念スタンプを押すことのできるスペースもご準備しています。
来館の記念に、スタンプを押した手紙や葉書をこのポストから送ることができます!
来館記念スタンプは全部で6種類。デザインは来館してからのお楽しみ!
ご来館の際には、創立150年記念ポストをぜひご利用ください!
カテゴリ:news、東京国立博物館創立150年
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posted by 総務課総務担当 at 2022年05月30日 (月)
さーて、今日も見るほ、トーハクのウェブサイト。どんな展示があるかなほ。おや、見慣れないページがあるほ。東京国立博物館創立150年記念特設サイト?
トーハクくん、忘れちゃったの?トーハクは1872年に開館したから、2022年に創立150周年を迎えるのよ。だから、その記念の年に向けて、公開した特設のウェブサイトよ。
すっかり忘れていたほ。令和にもなったし、開館した明治がかなり昔に感じられるほ。
そうね、本当に長い歴史だよね。
そうだほ。とってもおめでたいことだほ!2022年はみんなでトーハク創立150年をお祝いしたいほ。
お祝いすることも大事だけど、この長い歴史を未来に守り、伝えることもとても大事なことだよね、トーハクくん。
そうだったほ。10年後も、20年後も100年後も、いろんな文化財をみたいほ。
そういう思いは特設サイトの最初に書いてあるから、読み直してみてね。そんな思いを表現した、キービジュアルも作成して、紹介しているわ。
東京国立博物館創立150年記念キービジュアル
おっ、この創立150年記念ロゴもおしゃれだほ。なんの模様だほ?
東京国立博物館創立150年記念ロゴマーク
これも特設サイト内に説明があるけど、トーハクの作品や本館のとかの装飾に使われている「唐草文」をモチーフにつかった記念のロゴよ。
なるほどだほ、この葉っぱみたいな模様がトーハクのどこに隠れているか探してみるほ。
「東京国立博物館創立150年記念動画」はもう見たかな?
気分的には150回くらい見たほ!
くるくる場面が展開して、迫力とスピードがあったわね。それと、トーハクのかっこよさを発見できるような動画のような気がするわ。
創立150年に向けて、気分があがってきたほ。あと、なにか具体的にイベントとかするほ?
イベントやコラボレーショングッズの制作など計画中よ。今後、特設サイトで紹介されるから、楽しみに待とうね。イベントもいいけど、トーハクといったらやっぱり総合文化展や特別展が大きい見どころだよね。
そうだほ! もしかして特別な展示をするほ?
そうね。総合文化展では、創立150年記念の特集を23件実施予定よ。研究員が特にイチオシする作品を紹介する特集や、普段なかなか展示する機会がない作品を紹介する特集などいろいろあるわ。
見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀
特集「未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―」にて展示予定。展示時期未定
見たことがない作品はもちろんだけど、見たことがある作品でも何だかわくわくして見ることができそうだほ。
そして、2022年の秋には東京国立博物館創立150年記念「国宝 東京国立博物館のすべて」を開催するよ。
タイトルすごいほ。本当にすべて見られるほ!?
そうよ。展示替えはあるけど、現在所有する国宝89件をすべて展示して、ほかにもトーハク150年の歴史を関連する作品や再現展示などで紹介するのよ。
重要文化財 鷲置物 鈴木長吉作 明治25年(1892)
すべて見られるような気がしてきたほ。
公式Twitterとかでも隔週木曜日に歴史や古写真を紹介する企画を始めたから、予習にちょうどいいかも! #TBT にご注目ください。
特設サイトや公式SNSなどで今後も最新情報をお届けするほ。ご期待くださいほ!
カテゴリ:トーハクくん&ユリノキちゃん、東京国立博物館創立150年
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2021年11月24日 (水)