みちのくの仏像・私のイチオシ みちのくのモナリザ?
謎を秘めた美しい像といえば、皆さんはダビンチのモナリザを思い浮かべるのではないでしょうか。あの謎めいた微笑は何なのか、世界中の人びとを魅了しています。
実は本展覧会に出品されている仏像のなかにも、謎を秘めた美しき像があります。
それが成島毘沙門堂の伝吉祥天立像です。
重要文化財 伝吉祥天立像 平安時代・9世紀
岩手・成島毘沙門堂蔵 (画像提供:東北歴史博物館)
名称に伝とあることからもわかるように、伝承では吉祥天とされていますが、本来はどのような像としてつくられたのかわかっていません。
というのも、このような姿の像は日本全国を探してもこの像だけだからです。頭の上をよくみてください。二頭の像に気づくでしょう。このことから頭が象の神さま歓喜天(インドのガネーシャ)ではないかともいわれています。
頭上をご覧ください。二頭の像がいます。
わたしは伝承のとおり吉祥天の可能性もあると思っています。吉祥天はインドではラクシュミーといい、二頭の象に水をかけられる姿でつくられることもあるからです。
楣(まぐさ) アンコール時代・11世紀 カンボジア・タ・セル フランス極東学院交換品
右:部分 カンボジアのレリーフに表わされた、二頭の像に水をかけられているラクシュミー(吉祥天)
ガネーシャもラクシュミーも東洋館地下・クメール彫刻のコーナーにありますので、みちのくの仏像をみた帰り、ぜひそちらもご覧ください。
カテゴリ:彫刻、2015年度の特別展
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posted by 淺湫毅(教育講座室長) at 2015年02月27日 (金)