皆様、明けましておめでとうございます。
平成27年、2015年の新年を皆様とともに寿ぎたいと思います。
今年は羊年です。
羊は古来より人類にとって身近な動物のひとつであり、神への最適な捧げものとして考えられていたため、やがて「よきもの」の意を備えました。
「美」「善」「祥」といった漢字にも羊の字が使われています。
恒例の干支の展示も1月2日(金)からの「博物館に初もうで~ひつじと吉祥~」で12回目を迎え、一巡いたしました。
また、黒田記念館も2年間の耐震工事を終え、1月2日(金)からリニューアルオープンいたします。
新たに設けられた特別室では、年3回、2週間ずつ、「湖畔」など、黒田の名作をご覧いただけます。
1月14日(水)からの「みちのくの仏像」「3.11大津波と文化財の再生」をはじめ、春の恒例「博物館でお花見を」(3月17日(火)~4月12日(日))など様々な企画を用意しております。
皆様にとって、日本の文化や伝統、美術に親しみ、楽しんでいただける博物館となるべく、努力してまいります。
今年もトーハクをよろしくお願いします。
前庭の羊とともに 館長 銭谷眞美
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posted by 銭谷眞美(館長) at 2015年01月01日 (木)
2014年もいよいよ大晦日。
今年もトーハクの一年を振り返ってみましょう。
新年は1月2日から「博物館に初もうで」。
獅子舞や和太鼓で、お正月気分満喫だったほ!
年明け1月15日からは、2つの特別展がはじまりました。
「クリーブランド美術館展─名画でたどる日本の美」は、アメリカの美術館にもたくさん素晴らしいの日本美術コレクションがあるなんてびっくり。「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」では、現代の人間国宝の作品と、トーハク所蔵の古典の名宝が一緒に展示されて、その伝統の流れを知ることができました。
2月は「支倉常長像と南蛮美術―400年前の日欧交流―」があったほ。
ヨーロッパの人が描いた日本の武士の姿は、とっても大きな絵だったほー。
春は恒例の「博物館でお花見を」。最近では、トーハクの庭園は隠れたお花見スポットとして話題になっているそうよ。
4月は、「キトラ古墳壁画」も始まりました。約1ヶ月ほどの展覧会でしたが、壁画を間近で見られる最後の機会ということで、たくさんのみなさまにご来場いただきました。
ぼくも古墳生まれ古墳育ちだけど、一度にこんなにたくさんの人に見られたことないほ…。
トーハクくんはいつでもみんなに会えるからね。
そして夏の展覧会は、「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」。門外不出の「翠玉白菜」が2週間限定で公開されました。1089ブログでも担当研究員のみなさんが、台北 國立故宮博物院の貴重な作品について、熱く語ってくださいました。
でも、トンポーローのほうがおいしそうだったほ…。
えーと。次いきます。
秋は記憶にも新しい「日本国宝展」がありました。
ちょっと!
ぼくがポスターのモデルになった「アジアフェス in トーハク」も忘れないでほー!!
衣装体験や伝統芸能、そして、アジアン屋台で美味しいアジアンフードをたらふく食べんだほ~。
そうそう、「東アジアの華 陶磁名品展」もこのアジアフェスの一環でした。
日本、中国、韓国の国立博物館が誇る陶磁の名品が一堂に揃い、見ごたえのある展覧会でした。
この時期、初の野外シネマイベントも開催されたわね。
そして「日本国宝展」では、国宝の土偶せんぱいが集結したんだほー!
ぼくもあいさつにいったほ。
グッズショップ国宝店では、はにわクッキーならぬ、土偶ビスケットなんていうのも売っていたほ!
「日本国宝展」は正倉院宝物や「金印」も期間限定で展示されました。
ポスターでおなじみの善財童子像や、想像よりも大きかった五重小塔などが印象的でした。
さて、トーハクくん、来年の予定は?
1月2日(金)から黒田記念館がリニューアルオープン!こちらは入館無料だほー。
平成館はリニューアル工事で休館だほ。考古展示室ともしばらくお別れだほ…。
お正月は1月2日(金)から開館します。
「博物館に初もうで」や、リニューアルした黒田記念館でお楽しみください。
もちろん、国宝「松林図屏風」も展示されますよ。
考古作品は、少しずつですが、しばらくは本館2階1室にて展示されます。
埴輪「踊る人々」は2015年2月3日(火)~4月5日(日)の展示だほ!
今年も一年、お世話になりました。
2015年も、トーハクをよろしくお願いいたします!
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2014年12月31日 (水)
年の瀬も押し迫ってまいりました。この時期、みなさん共通の懸案事項といえば、そう、年賀状です!2015年は未(ひつじ)年ですが、みなさんどんなデザインをご用意されていますでしょうか?
さて、今のわたしたちが思い浮かべるヒツジは、ふわふわ、もこもこした豊かな毛で全身を覆われた、かわいらしい姿ではないかと思います。では、そのイメージはいつから来たのでしょうか?お正月のトーハクでは、「博物館に初もうで~ひつじと吉祥~」(1月2日(金)~12日(月・祝))と題して、地中海から東アジアまでの遺物を通じてヒツジ(羊)とお正月にふさわしいおめでたい作品の数々をご紹介いたします。
展示風景
紀元前より人類にとって最も身近な動物のひとつだった羊。宗派や東洋、西洋の別を超え、神への最適な捧げものとして考えられてきました。古代メソポタミア文明ではすでに紀元前7,000年ごろから羊を家畜化していた跡がありますし、古代中国ではそれ以前から羊とともに暮らしていた痕跡もあるといわれています。肉や乳、脂肪は人々の大事な栄養源になりましたし、皮や毛は衣類だけでなく羊皮紙などにも加工され、人類発展の歴史においてなくてはならない存在でした。
羊頭部形垂飾 地中海東岸又はカルタゴ出土 紀元前7~ 6世紀 個人蔵
やがて「よきもの」の意を備えるようになり、このうち古代中国では、青銅器などに羊文が表わされたほか、「美」「善」「祥」といった言葉にも羊の字が使われるようになります。
饕餮文鼎(とうてつもんてい) 中国 殷時代・前13~前11世紀 東京国立博物館蔵
青玉筆洗 中国 清時代・19世紀 東京国立博物館蔵(神谷傳兵衛氏寄贈)
羊に対する吉祥イメージはアジア全域に広がり、日本でも『日本書紀』によれば推古天皇7年(599)、百済より「駱駝一疋驢一疋羊二頭白雉一(ラクダ1匹、ロバ1匹、ヒツジ2頭、白キジ1匹の意)」が贈られたとあるのをはじめとして、『百練抄』ほか、異国からの献上品としての記載が散見できます。正倉院宝物にも、羊文を表わした白綾や、羊を描いた臈纈(ろうけち)屏風が存在しています。
一方、羊の生息しない日本では、薬師如来の眷属で時を司る十二支のひとつとして、もしくは異国の動物として認識されていました。しかし羊自体を吉祥図様として扱うことは定着しなかったようで、現代人がその姿をみるとまるで山羊! 明治時代に本格的に羊が飼育されるようになるまで、日本人は羊と山羊の区別はついておらず、いずれも半ば想像上の動物に近い存在として表現されていたことがうかがえます。
十二支図 渡辺南岳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
右:羊部分拡大
今回の「博物館に初もうで」では、I「アジアの羊」、II「十二支」、III「日本人と羊」、IV「吉祥模様」という4つの切り口から、地中海から東アジアまでの遺物を通じて、羊と人との関係を探ります。また、1月2日(金)~1月12日(月・祝)には、トーハク内のあちこちに展示されている羊を訪ね歩く「羊めぐり~羊が何匹?」という企画も行っております。このほか、お正月にふさわしい作品の数々をご紹介いたしますので、新年はぜひ上野のお山へお越しください。
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posted by 金井裕子(特別展室研究員) at 2014年12月26日 (金)
2012年から耐震工事のため休館していた黒田記念館が、いよいよ2015年1月2日(金)にリニューアルオープンします。
展示室は2階。
アールヌーヴォー調の階段の手すりのデザインも見どころのひとつです。
建築意匠もお楽しみいただけます
階段を上って左手が新たに設けられた特別室。
黒田清輝の代表作「湖畔」「智・感・情」「舞妓」「読書」のみの贅沢な空間となっています。
作品との調和にこだわって生まれた、落ち着いた色調の室内で、ゆったりとご鑑賞いただけます。
特別室は年3回、期間限定での公開となります。
2015年の公開日程は下記の通りです。
第1回:2015年1月2日(金)~1月12日(月・祝)
第2回:2015年3月23日(月)~4月5日(日)
第3回:2015年10月27日(火)~11月8日(日)
反対側で黒田の銅像(高村光太郎作です!)が迎えてくれる黒田記念室は、設立当初より黒田の画業を顕彰する部屋として作られ、作品の公開がされてきました。
天井にもご注目。漆喰の花飾りが特徴的です
リニューアル後は、およそ6週間ごとに展示替えをしながら所蔵作品を公開いたします。
写生帖や書簡など、黒田の人物像に迫る作品にも触れていただけます。
アトリエのイメージも再現
これだけの贅沢空間が、観覧料無料でご覧いただけます。
初もうでや上野公園散策の折にぜひ、お立ち寄りください。
黒田記念館
開館時間:9:30~17:00 (入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日・休日の場合は開館、翌火曜日休館)、年末年始
ただし原則として、ゴールデンウィーク期間とお盆期間は無休
※開館時間、休館日は時期により変動あり。東京国立博物館に準ず。
観覧料:無料
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posted by 奥田 緑(広報室) at 2014年12月24日 (水)
トーハクに多くの貴重な写真アルバムがあるのはご存知でしょうか。
当館の写真資料は質量共に日本有数で、その中には重要文化財2件が含まれており、うち1件が写真アルバム「旧江戸城写真帖」です。写真資料は主に本館15室で展示が行われており、一部はインターネット(東京国立博物館情報アーカイブ古写真データベース)で公開されています。
重要文化財 旧江戸城写真帖装丁 蜷川式胤編 横山松三郎撮影 高橋由一着色、明治4年(1871) ※展示は未定
重要文化財 旧江戸城写真帖より 蜷川式胤編 横山松三郎撮影 高橋由一着色、明治4年(1871) ※展示は未定
私たちにも身近な写真ですが、当館所蔵の写真アルバムは約140年の時を重ねており、その保存には他の美術工芸品同様の注意を払わねばなりません。むしろ環境に敏感なため、より注意が必要な文化財に属します。写真そのものの保存については世界各国で議論され、様々な方法が考案されていますが、写真アルバムの保存については確固たるものがないのです。例えば、「ガラス乾板は縦置きが基本で、状況によっては横置きにする」といった具合に保存計画するのですが、写真アルバムは縦置きが良いのか、横置きがよいのかの基準もないのです。
墺国維府博覧会出品撮影 横山松三郎撮影 明治5~6年(1872~73)
その原因は、写真アルバムが写真資料として、本として、そして美術品としての側面を併せ持つため、分野を横断した保存方法の研究がなかなか進まない現状にあります。
当館の写真アルバムだけみても、和紙に写真が固定されて和綴じのものもあれば、画帖のような装丁をしたもの、洋紙に糊で写真が貼りこまれた洋書のようなものまであります。更には顔料等で著色されていたり、墨による書き込みがあったり、地図が付いていたりしています。また、当館所蔵ではありませんが、漆芸の装飾を表紙に施したものもあります。
このように一筋縄ではいかない写真アルバムの保存ですが、当館では写真アルバムそれぞれの形態や状態に合わせた最善の保存方法を選択しています。しかし、更により良い写真アルバムの保存を目指し、さる11月5日にアメリカ合衆国デラウェア大学から写真保存の世界的権威であるDebra Hess Norris氏をお招きして研究会を催し、欧米の状況を伺うのと同時に当館の写真アルバムの保存方法について意見交換を行いました。
資料を閲覧するDebra Hess Norris氏(右から2人目)
江戸の面影を残す明治初期の日本の姿が末永く見られるように、現状に満足せず、適した保存方法の模索を日々行っています。
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posted by 荒木臣紀(調査分析室長) at 2014年12月22日 (月)