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1089ブログ

考古展示室、見どころガイド(旧石器~弥生時代)

平成館考古展示室がリニューアルオープンしてはや10日が過ぎました。
みなさん、足を運んでいただけましたでしょうか。

今回は私、品川が担当する旧石器時代から弥生時代までの見どころをご紹介したいと思います。
考古展示室は、通史展示と個別のテーマを取り上げたテーマ展示から構成されています。
壁沿いを反時計回りに見ていく通史展示が本線。
これから外れたテーマ展示が支線、いや寄り道とでもいえるでしょうか。



まずは通史展示から。
壁沿いのケースを見ると、ひと目でどの時代か分かるように、旧石器時代では黒曜石の原石、縄文時代では大形の石棒(せきぼう)、弥生時代では銅鐸(どうたく)というように、それぞれの時代を象徴する作品を各時代の目印として展示しています。
実は黒曜石の原石や大形の石棒、平成館考古展示室では初めて展示するものです。
大きさや形だけではなく、素材そのものがもつ質感にも注目してください。

黒曜石原石
北海道遠軽町出土
旧石器時代(後期)・前18000年
個人蔵



石棒
(左)出土地不詳 徳川頼貞氏寄贈
(右)山梨県富士川町平林出土 保坂長治郎氏寄贈
2件とも縄文時代(中期)・前3000~前2000年



突線鈕4式銅鐸
静岡県浜松市北区三ヶ日町釣(分寸)出土
弥生時代(後期)・1~3世紀



縄文時代は弓矢や土器が発明され、人びとが定住し始めた時代です。
この時代の土器は、縄目を使った模様をもつものが多いことから縄文土器と名づけられています。
縄文時代の通史展示では、時代の名どころとなった縄文土器の変遷をご紹介しています。
縄文土器の代表例の一つといえば火焰型土器(新潟県・信濃川流域で盛行)が著名ですが、ほぼ同じ頃に関東地方で盛行するのが勝坂(かつさか)式土器です。
縄文時代の通史展示では勝坂式土器の基準資料である東京都国分寺市多喜窪(たきくぼ)遺跡第1号住居跡出土土器を新たに展示しました。
火焰型土器とはひと味もふた味も異なるこれらの土器のなかには、蛇体表現をもつ土器もあります。
また多喜窪遺跡第1号住居跡から出土した土器は縄文時代の考古資料としてはじめて一括指定された重要文化財でもあります。縄文時代の通史展示では、千姿万態ともいえる縄文土器の造形を存分にお楽しみください。

多喜窪遺跡第1号住居跡の出土土器


火焰型土器
伝新潟県長岡市馬高出土
縄文時代(中期)・前3000~前2000年
本館1室で展示中(12月23日(水・祝)まで)



縄文時代の通史展示を見ていると、きっと土偶(どぐう)や銅鐸がおのずと目に入ってくるはずです。
その先にあるのがテーマ展示。縄文時代と弥生時代では7つのテーマ展示をご用意していますので、積極的に寄り道していってください。
縄文時代や弥生時代の実用的な道具とともに、装身具や祈り・祭りに使われた道具を取り上げています。


ときおり展示室の様子をのぞきにいきますが、ケースのガラスに鼻が触れた痕跡がしばしばついているのを発見します。
その痕跡の先にあるのはわが館でも人気者の土偶。
今回のリニューアルでは、土偶の展示している場所を、通史展示からテーマ展示へと変更しました。
新たに土偶を展示しているケースでは、これまでよりもずっと間近で土偶とその仲間たちをご覧いただけます。


縄文時代の土偶はこれまで2万点ほど発見されていますが、各時期の土偶はもちろん、後期を代表するハート形土偶や筒形土偶、山形土偶やみみずく土偶を展示しています。
ハート形土偶やみみずく土偶はみなさんにもお馴染みのもの。
新居に引っ越した土偶たちに会いに来てください。

(左)筒形土偶
神奈川県横浜市 稲荷山貝塚出土
縄文時代(後期)・前2000~前1000年
個人蔵
(右) 重要文化財 ハート形土偶
群馬県東吾妻町郷原出土
縄文時代(後期)・前2000~前1000年
個人蔵



いつも見慣れているものでも、少し展示している場所が変わるだけで印象が変わることがよくあります。
今回のリニューアルではこの銅鐸、いつも見慣れている私たちでも大きくなった? と口にしてしまうほどです。

重要文化財 突線鈕5式銅鐸
滋賀県野洲市小篠原字大岩山出土
弥生時代(後期)・1~3世紀


通称「大岩山1号銅鐸」とも呼ばれる日本最大の銅鐸で、最も新しい段階の銅鐸です。
高さ約134cm、重さ約45kgと、小学5・6年生と同じくらいの大きさでしょうか。


テーマ展示「弥生時代の祭りの道具―銅矛、銅剣、銅戈と銅鐸―」

銅鐸は弥生文化を特徴づける青銅器です。
20cm前後の小さな「かね」として誕生した銅鐸は、徐々に大きくなるとともに、鳴り物としての性格を変え、祭器しての役割を高めていきます。
当館の弥生時代の青銅器コレクションは日本随一のもの。こちらもぜひお見逃しなく。

考古展示室の作品は本館の作品と比べて、とってもはにかみ屋です。
いつもよりも作品に一歩近づいて、ゆっくりとリニューアル後の考古展示室をお楽しみいただければと思っています。

カテゴリ:研究員のイチオシ考古展示環境・たてもの

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posted by 品川欣也(特別展室主任研究員) at 2015年10月23日 (金)

 

トーハクくんがいく! 新しくなった考古展示室

ほほーい! ぼくトーハクくん!
ついに、考古展示室がリニューアルオープンしたんだほ!!
待っていたほ(泣)。ずっと楽しみにしていたんだほ(号泣)。

というわけで、さっそく広報大使として考古展示室に行ってきたほ。

まずは、入口で迎えてくれるトーハクのプリンスに注目だほ。
 
国宝 埴輪 挂甲(けいこう)の武人

ポスターにもチラシにも1089ブログにも登場しているから、すっかりお馴染みだほ。
ケースが新しくなったから、ユリノキちゃんのハートを射止めた顔や、背中の武具や、鎧の細かいかざりまでよーく見えるほ。

そして、ここからが展示の本番だほ。
はじめの展示は「旧石器時代」(写真左)。展示室のなかはぐるりと壁ぞいに展示室ケースが並んで、最後は「江戸時代」(写真右)…。
  

…ふむふむ。ということは、壁ぞいに展示室を1周すれば日本の歴史がわかっちゃうんだほ!?
わんだほー! わかりやすいんだほー!

展示の方法も、もっとわかりやすくなったらしいほ。
たとえば、縄文時代の土器のコーナーでは、古いものから順番に並んでいるから、だんだん形がかわっていくのがわかるほ。


よーく見ると、いろんな形や文様があるんだほ。
時代や地域によってちがいがあったり、似ているところもあったりして、おもしろいんだほ。

おっと、縄文時代といえば、土偶センパイを忘れちゃダメほ。
土偶センパイ、おつかれっす!
 
トーハクのプリンセスとして活躍中の重要文化財「みみずく土偶」センパイはこちらにいます

土偶センパイがいるのは「縄文時代の祈りの道具・土偶」というテーマの展示コーナーだほ。
壁ぞいに1周できる展示とは別に、時代ごとにテーマ展示もあるんだほ。


さて、弥生時代までを見て角をまがると・・・キタ―!
埴輪(ともだち)がいっぱいだほ! 近いほ! 大興奮なんだほ~!!
 
リニューアルを機に、新しく展示台を作り直しました
※トーハクくんは展示されていません


そして、こっちがうわさのVIPルームだほ。中からただならぬ気配が漂ってくるほ。
 
国宝 銀象嵌銘大刀(江田船山古墳出土)と重要文化財 石人(岩戸山古墳出土)という、2件のためだけの展示コーナー


石人の背中には靫(ゆき/矢を携行するための武具)が表現されています。
360度見える展示、貴重です



土偶センパイにも埴輪にも挨拶をすませたし、残りはぱぱっと見るほ…なんて思った人! もったいないこと禁止だほ。
「リニューアルでいちばん変わったのは、実は飛鳥時代以降の展示なんだよね」って、研究員さんが言ってたほ。
作品もテーマもレイアウトも展示方法も、たくさん変わったんだほ。

たとえば古代の瓦は、葺き方がイメージしやすいように展示方法を変更したんだほ。


平安時代のコーナーでは、こんなかわいい像に出会えるほ。
土偶センパイや埴輪に続く、次世代アイドルを目指しているほ。
 
重要美術品 押出蔵王権現像

お金の展示も充実したほ。小判の金色がま、まぶしい!


奈良時代~平安時代の銭(写真上)と江戸時代の小判(写真下)

今まであまり展示されなかった作品も、実は公開されているんだほ。

石製塔婆の一種である板碑が立ち並ぶ、中世の展示コーナー。
本格的な展示も、立てた状態での展示も、今回が初めてです


他にも、縄文時代の石棒や江戸時代の慶長大判も、長期間展示されるのは初めてらしいほ。
しかも、一部の作品は約半年ごとに展示替えをするから、これからの展示も楽しみなんだほ。

ああ、見どころ盛りだくさんで、コーフンがおさまらないほ!
これは研究員さんにもっと話をきくしかないほ。
ちょっといってくるほー。

一体どんな話が聞けるのでしょう? 今後の見どころ紹介にご期待ください

カテゴリ:news考古展示環境・たてもの

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posted by トーハクくん at 2015年10月16日 (金)

 

オープンまで1週間! 平成館考古展示室

10月14日(水)、平成館考古展示室がリニューアルオープンします。
これに先立ち、10月5日(月)、報道関係者向けに展示室を公開しました。
今回は、その模様をお伝えするとともに、新しい展示室をチラリとご紹介します。

冒頭、副館長の松本伸之よりご挨拶を申し上げたあと、早速、展示室の扉が開かれます。
すると…


国宝 埴輪 挂甲の武人
群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀
展示室では背負った靫(ゆき)もご覧いただけます


「埴輪 挂甲(けいこう)の武人」が出迎えてくれました。
埴輪では唯一の国宝指定の作品です。
「何か見たことがあるような…?」と、特定の世代の出席者がざわめきます。
そうです、某テレビ局が1980年代に放映していた某こども向け番組のキャラクター「はに○」に、似ているのです!
それだけ埴輪界では有名な作品ということですね。

チラシでも、ト-ハクのプリンスとして活躍中です

展示室では、4人の研究員がリレー方式でギャラリートークを行いました。
考古室長がリニューアルの概要を説明した後、旧石器~弥生時代、古墳時代、飛鳥~江戸時代の各担当者が、それぞれ見どころを解説しました。

担当者それぞれが思い入れをもって臨んだ今回のリニューアル。
解説にも熱が入ります


そう、ポイントは旧石器時代から江戸時代まで、考古遺物で日本の歴史をたどれることなんです!
トーハクの考古コレクションの特徴は、時代・地域を限定しない幅の広さなんです!
しかも、教科書にも登場するような、有名で資料的価値の高い作品を多く所蔵しているんです!!

そのため、「どの時代にどんなモノがあったの?」という考古学ビギナーさんにも、「埴輪が大好き!」という特定の時代・遺物を愛する人にも、ご満足いただける展示になっています。

今後も、1089ブログで研究員が見どころを紹介していきます。
そして、トーハクのプリンスに密かなジェラシーを燃やしているあの子も…。

ぼくが広報大使なんだほ!

美術作品だけにとどまらないトーハクの魅力、ぜひ考古展示室でお確かめください。

カテゴリ:考古展示環境・たてもの

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posted by 高桑那々美(広報室) at 2015年10月07日 (水)

 

何度でも楽しめる! 遮光器土偶の美に注目

土偶(どぐう)とは縄文時代を代表する祈りの道具。粘土で作られた人形(ひとがた)で、縄文時代を代表する造形物としても人気があります。
当館で土偶といえば、教科書でもおなじみの青森県つがる市木造亀ヶ岡出土の遮光器土偶(以後、亀ヶ岡土偶と呼ぶ)が有名ですが、当館にはこれに匹敵する遮光器土偶の名品が所蔵されています。
それが、本館1室で展示中の宮城県大崎市恵比須田出土の遮光器土偶(以後、恵比須田土偶と呼ぶ)です。


重要文化財 遮光器土偶(亀ヶ岡土偶)
青森県つがる市木造亀ヶ岡出土
縄文時代(晩期)・前1000~前400年
遮光器土偶だけではなく、日本の土偶代表ともいえる土偶です。
1887(明治20)年に学界に報告され、広く知られるようになりました
※現在は九州に出張中のため展示されていません(九州国立博物館で開催の特別展で展示予定)。



重要文化財 遮光器土偶(恵比須田土偶)
宮城県大崎市田尻蕪栗字恵比須田出土
縄文時代(晩期)・前1000~前400年
本館1室 ~11月23日(月・祝)
亀ヶ岡土偶(晩期中葉)に年代的に先行する恵比須田土偶(晩期前葉)。
遮光器土偶は年代が新しくなるとともに、首が長く、胴が短く、腰が幅広に体の表現は変化していきます


恵比須田土偶は足先を欠くものの、ほぼ完全な形が残る希少なもの。
しかも、遮光器土偶としては大形のものです。
実はこの土偶、1943(昭和18)年に畑の耕作中に石囲いの中から偶然発見されました。
近来、いわゆる優品と呼ばれる大形で造形的にも優れた土偶が、遺構(住居や墓など過去の人びとが残した痕跡)から出土し、土偶の謎を解明するうえで注目されています。
「中空土偶」や「合掌土偶」、そして「縄文のビーナス」や「仮面の女神」といった愛称をもつ国宝土偶もその一例です。
多くの土偶が破片として出土するなかで、特別な扱いをされたこれらの土偶は、縄文時代の人びとの祈りの形を強く表わしたものといえます。

そもそも、遮光器土偶とは、縄文時代晩期(前1000年~前400年)の東北地方を中心に盛行した土偶です。
大きな特徴的な目の表現が遮光器(スノーゴーグル)に似ていたことから遮光器土偶と呼ばれるようになりました。
遮光器土偶の見どころは、極端にデフォルメされた体の表現とともに、全身に施された文様です。
縄文を施した部分と無地の部分と描き分けることで装飾効果を高めた磨消縄文手法を用い、多彩な文様が全身を覆うように表現されています。

 
恵比須田土偶の胴部(左:オモテ/右:ウラ)

一見複雑なこの文様、無地の部分に注目すると線対称と点対称とをうまく組み合わせて、三叉文や弧線文などの文様を配置していることがわかります。
そのルールがあるために、多彩な文様は煩雑に見えず、調和した印象を与えるのです。
ユーモラスな顔にデフォルメされた体、そして緻密な文様と何度も楽しめる、この遮光器土偶。
縄文人の祈りや想いとともに、そのデザインの妙も合せてお楽しみいただければと思います。

10月14日には平成館考古展示室がリニューアルオープンします。
展示室ではハート形土偶やみみずく土偶などさまざまな土偶たちが皆様をお出迎えいたします。
考古展示室のリニューアルにも、ぜひご期待ください。

カテゴリ:研究員のイチオシ考古

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posted by 品川欣也(特別展室主任研究員) at 2015年09月21日 (月)

 

トーハクくんのなるほートーハク「考古展示室を潜入調査だほ」

トーハクくんとユリノキちゃんがやってきたのは、リニューアルのため休室中の平成館考古展示室
本日のミッションは、10月14日(水)にリニューアルオープンを控えた考古展示室への潜入調査です。
さてさて、考古展示室はどのように変わるのでしょう?
※今回は、『東京国立博物館ニュース8・9月号』掲載の記事に加筆した、特別バージョンでお届けします。


このトビラの奥に、リニューアルのひみつが隠されているんだほ

いよいよ調査スタート!


1.大スター「挂甲の武人」にいきなり遭遇!
ほー! 挂甲の武人(けいこうのぶじん)さんだほ。
トーハクで大人気の埴輪(はにわ)のひとつね。
武人なのに、あどけないかわいい表情をしていて、このギャップにキュンとしちゃうわ。
いきなりスターを投入してユリノキちゃんをときめかせるなんて、新しい考古展示室はハートをつかむのがうまいんだほ。
スターどころか、トーハクの王子様よ!
むむ。同じ埴輪としてちょっとジェラシーなんだほ…。

 
国宝 埴輪 挂甲の武人
群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀
※(左)現在、展示ケース内の「埴輪 挂甲の武人」はレプリカです


考古展示室に入ってすぐ、2人が出会ったのは国宝「埴輪 挂甲の武人」。
トーハク所蔵の埴輪のなかでも抜群の知名度を誇る作品です。
リニューアルを機に、専用のケースを新設しました。
新しい考古展示室では、トーハクのスター、もといプリンスが皆様をお出迎えします。

 ↓

2.もしかして、展示が見やすくなった・・・?
あれ…? そういえば、なんだか展示ケースのなかが見やすくなった気がするほ?
そういわれてみれば、あまりケース越しって感じがしないわ。
もしかして、特別展示室のようにガラスの反射がおさえられているんじゃないかしら?
きっと照明も変わったんだほ。だから見やすいんだほ。
こういう展示室の環境だと、つくりの細かい作品もじっくり見られるわね。

 
まだ作品は展示されていませんが、腕利き調査員(自称)である2人は、展示ケース内がリニューアル前に比べて、より見やすくなっていることに気がつきました。
展示ケースのガラスには低反射フィルムが貼られ、さらにLED照明や有機EL照明も導入し、作品が一層見やすくなります。

やっぱり見やすくなったんだほ。気がついたぼくはスゴイんだほ。
はいはい(ため息)。

 ↓

3.展示がバージョンアップ!!
リニューアルっていうわりには、壁沿いのケースはそのままみたいだけど…。
ふふふ…。ユリノキちゃんは、まだまだなんだほ。
な、なによ。
確かに壁沿いのケースはそのままだけど、新しい展示室では、壁沿いに展示を一周すると、日本の歴史がたどれるようになったんだほ。
!!!
時代ごとの「テーマ展示」もあって、各時代についてもっと深く知ることができるんだほ。
なんで、トーハクくんがそんなことまで知っているの?
それはもちろん、ここに来る前に研究員さんにお話を聞いてきたからだほ。
もう、ひとりで行くなんてずるいじゃない!
ふふん♪ どんな展示になるか、今から楽しみなんだほー!

通史展示  
(左)壁沿いのケースでは「通史展示」を展開します
(中央)重要文化財 みみずく土偶(どぐう)
埼玉県さいたま市 真福寺貝塚出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年

縄文人の祈りの形を紹介するテーマ展示で展示されます
(右)素弁蓮華文軒丸瓦(そべんれんげもんのきまるがわら)
奈良県明日香村 飛鳥寺出土 飛鳥時代・6~7世紀
飛鳥時代の瓦のコーナーでは、瓦がどのように葺かれていたかがわかるような展示方法をとります

思わぬトーハクくんの抜け駆けでしたが、おかげでどんな展示構成になるかがわかりましたね。
展示は、大きくは「通史展示」と「テーマ展示」の2種類。
まず、壁沿いに展示室をぐるりと一周すると、旧石器時代から江戸時代まで、考古学で日本の歴史が追えるようになります。
また、テーマ展示によって各時代についての理解を深めることができます。
さらに、展示方法自体の見直しもしているので、リニューアル前よりも一層わかりやすい展示室になります。
随所に工夫を凝らした展示に、ご期待ください。

 ↓

4.展示室 in 展示室。謎の小部屋を発見!
こ、こんなコーナーは今までなかったほ。意味ありげな空間だほ。
これは何かスゴイものが展示されるんじゃないかしら?
中にあるのは、展示台がひとつと展示ケースがひとつだけだほ。
つまり、ここには2件の作品しか展示しない…?
そんなスペシャルな作品って何なんだほ?


2人の推理どおり、この独立コーナーに展示されるのはたった2件。
江田船山古墳出土の国宝「銀象嵌銘大刀(ぎんぞうがんめいたち)」と岩戸山古墳出土の重要文化財「石人(せきじん)」です。
「銀象嵌銘大刀」は古墳時代の漢字の使用例として大変貴重な作品で、「石人」は埴輪と一緒に古墳に立てられたもので、北部九州地方の一部にしか見られない独特の作品です。


(左・中央)国宝 銀象嵌銘大刀
熊本県玉名郡和水町 江田船山古墳出土 古墳時代・5~6世紀

(右)重要文化財 石人
福岡県八女市吉田 岩戸山古墳出土 古墳時代・6世紀


 ↓

5.埴輪の展示がダイナミックに生まれ変わる!
ほー! このおっきな展示台はもしかして…
ま、まさか…
埴輪の展示台なんだほ?!
リニューアル後は2つの展示台が並んで設置されるのね。
ここにズラリと埴輪(ともだち※)が展示されるんだほ。すごい迫力なんだほ!!
※埴輪と書いてともだちと読む。埴輪であるトーハクくんにとって、形や時代の違いはあっても、埴輪はみんな友達なのです。


リニューアル前の考古展示室のハイライトといえば、埴輪の露出展示です。
この埴輪の展示がリニューアルによって、さらにパワーアップ!
展示台は2つとも作り直し、今までは離れて設置されていたのを、2つが連なるように置かれます。
埴輪がズラリと展示された展示台が連なる様子は、想像するだけでも興奮の迫力です!

 ↓
調査終了!

なるほー! リニューアルで考古展示室はいろんなところが新しくなるんだほ。
リニューアル前よりもさらに見やすく、わかりやすい展示室になりそう!
10月14日(水)のリニューアルオープンが楽しみなんだほー!

最後に皆様にお知らせです。
考古展示室リニューアルオープンにあたり、我らがトーハクくんが広報大使を務めることになりました。
リニューアルオープン後、1089ブログで考古展示室の見どころを、トーハクくんがたくさんご紹介する予定です。
どうぞお楽しみに!

カテゴリ:考古トーハクくん&ユリノキちゃん展示環境・たてもの

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posted by トーハクくん at 2015年08月21日 (金)