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1089ブログ

「みちのくの仏像」「3.11大津波と文化財の再生」開幕!

特別展「みちのくの仏像」と特別展「3.11大津波と文化財の再生」が、いよいよ本日開幕しました!
それに先立ち、昨日は開会式・内覧会が行われました。

寒空のもとたくさんのお客様にご来館いただき、2015年最初の特別展も幸先の良いスタートとなりました。

特別展「みちのくの仏像」は、本館1階特別5室で開催されています。
東北各地から集められた仏像が、ひとつの空間に勢ぞろいした姿は、まさに圧巻!



東北の三大薬師といわれる黒石寺(岩手県)・勝常寺(福島県)・双林寺(宮城県)の薬師如来坐像も、
展示室奥にそろって展示されています。

 
重要文化財 伝吉祥天立像 平安時代・9世紀 
岩手・成島毘沙門堂蔵 (左画像の提供:東北歴史博物館)

本展の魅力は、写真では伝わりづらい、木のお像の圧倒的な存在感と木目の美しさ。
例えば写真の吉祥天立像は、厚みのある体が大きく前傾しており、正面から見ると、こちらに迫ってくるような
迫力があります。

会場では、女優の薬師丸ひろ子さんによる音声ガイドの貸出を行っています(400円)。
薬師丸さんの包み込むようなナレーションで、特別展「みちのくの仏像」をさらにご堪能ください!

 

続いて、特別展「3.11大津波と文化財の再生」(本館特別2室・特別4室)の開会式も行われました。

展示室では、当館が被災地の博物館等と協力して取り組んできた、被災文化財の安定化処理や
修理の現状をご紹介しています。


リードオルガン 三省堂機械標本部製造 
明治時代末期~大正時代初期・20世紀 岩手・陸前高田市立博物館蔵 


本館大階段踊り場には、修復されたリードオルガンが展示されています。



こちらは「昆虫類ドイツ標本箱(昭和時代・20世紀 岩手・陸前高田市立博物館蔵)」です。
右隣に被災当時の状態を保存した標本箱が並べられていて、 修復前と修復後の状態を比べることができます。
資料によっては過度な修復は行わず、破損箇所を「歴史をくぐり抜けた証」として残しています。



本館1階特別4室では、「文化財再生のみちのり」を、パネル展示で分かりやすく説明していますので、
こちらもご覧ください。


上野で触れるみちのくの文化。
ぜひ、あわせてご鑑賞ください!

 

カテゴリ:news2014年度の特別展2015年度の特別展

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posted by 宮尾美奈子(広報室) at 2015年01月14日 (水)

 

動物好きにもたまらない? 2015年春、「鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-」展開催!


 
ウサギ。ネコ。

 
カエル。サル。

いかがでしょう? とある作品のなかから愛らしい動物たちをピックアップしてみました。
この動物たちはすべてこの特別展に出品される作品に登場します。

何の展覧会? どの作品?

え? わかりませんか? もう一度、始めのウサギを見てみてください。



どこかで見たことのあるウサギですよね? 
そう! これらはすべて、あの有名な国宝「鳥獣戯画」に出てくる動物たち。


国宝 鳥獣人物戯画 甲巻(部分) 平安時代・12世紀 京都・高山寺蔵 
*この場面は後期(5月19日(火)~6月7日(日))に展示


トーハクでは来春、特別展「鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-」(2015年4月28日(火)~6月7日(日)、平成館)を開催します!



開催に先立ち、2014年12月15日(月)、同展の報道発表会を行いました。
当日は主催者を代表し、当館の島谷弘幸副館長と、高山寺の田村裕行執事がご挨拶を申し上げました。

本展覧会は、あの誰もが一度は目にしたことのある鳥獣戯画の全貌をご紹介し、さらに、その伝来した京都・高山寺、そして同寺を再興した明恵上人ゆかりの至宝をかつてない規模で展観するものです。
本展覧会担当の土屋貴裕研究員からは、熱のこもった展覧会概要の説明がありました。


東京国立博物館 土屋貴裕研究員
演台前面にも、鳥獣戯画の切り抜きが! 館内でも人気が高い、烏帽子をかぶったネコ

さて本展覧会、タイトルにもなっている「鳥獣戯画」ばかりに注目してしまいがちですが、それは実にもったいない!

世界文化遺産にも登録されている高山寺は、多くの文化財を守り伝えてきた仏教美術の一大拠点。
鳥獣戯画のほかにも、貴重な聖教・典籍類とともに伝えられてきた多くの仏教美術など、見どころが満載です。

仏教美術、というと硬い印象を受ける?
そんな方向けに、土屋研究員の解説した作品の中から、特に愛らしい作品をご紹介しましょう。


重要文化財 子犬 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵 *通期展示
明恵上人もそばにおいて、愛玩したと伝わるこの木彫りの子犬。この愛くるしさ、たまりません
高山寺には「栂尾開帳(とがのおかいちょう)」と呼ばれる儀礼でも使用された多くの動物彫刻が伝わります


重要文化財
 梵天火羅九曜図(ぼんてんからくようず)(部分) 平安時代・文治5年(1189) 京都・高山寺蔵
*前期(4月28日(火)~5月17日(日))展示

仏画のお手本白描図像のひとつ。鳥獣戯画の伝来を考えるうえでも貴重な資料です


また、高山寺を中興した明恵上人も魅力的な人物。
自らに厳しい修行を課しつつ、多くの後進を育て、さらに身寄りを失った女性たちを保護するなど、乱世に救いを求める人々から慕われたことでも知られています。
様々なエピソードで彩られた上人のひととなりや信仰世界が感じられるゆかりの作品は、日本の仏教美術の中でもきわめて個性的といわれており、この展覧会のもうひとつの見どころです。

ん?また難しそう?
では、ここでも動物(?)に注目してみましょうか。

 
国宝 明恵上人像(樹上坐禅像) 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵 *前期(4月28日(火)~5月17日(日))展示
高山寺の裏山で坐禅を行う明恵上人。上部に自筆の賛がみえます


左上の樹上で上人を見守る一匹のリスにも注目!



国宝 華厳宗祖師絵伝(けごんしゅうそしえでん) 義湘絵 巻第三(部分) 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵 *前期(4月28日(火)~5月17日(日))展示
高山寺に伝わるもう一つの国宝絵巻。明恵上人が慕った新羅の僧・義湘の事蹟を描いています
龍は、義湘に恋心を寄せる善妙という女性が、彼を守護するために変じた姿


もちろん、4年をかけて解体修理され新しく生まれ変わった鳥獣戯画も、甲・乙・丙・丁の全4巻が一挙公開されます。
(会期中、展示場面の変更があります。)


国宝 鳥獣人物戯画 乙巻(部分) 平安時代・12世紀 京都・高山寺蔵 
*この場面は後期(5月19日(火)~6月7日(日))に展示


さらには、絵巻から掛け軸に仕立て直されて国内外に伝来する断簡もすべて集結!(一部前期展示のみとなります。)


鳥獣人物戯画 甲巻 断簡 平安時代・12世紀 *通期展示

現存する全ての鳥獣戯画が見られる、まさに鳥獣戯画の全貌をご覧いただける展覧会なのです。

なお、展覧会公式サイトではスペシャルコンテンツとして、鳥獣戯画全4巻全場面を一挙公開中。
前期と後期での展示場面の変更も一目瞭然です。


展覧会前の予習もばっちり


このほかに報道発表会では、国宝「鳥獣人物戯画」の全4巻・全場面を掲載した「豆本セット前売券(1,800円)」が限定2,000枚で販売されることも明らかにされました。
(展覧会公式サイト、セブンイレブン店頭などで2月1日(日)から販売予定。豆本は、会期中の本展会場にて引き換え。)



鳥獣戯画を手元において鑑賞できるスグレモノ!売り切れ必至です。

魅力あふれる作品やイベント情報などは、今後もこの1089ブログでご紹介していきます。
どうぞ来年4月の開幕をお楽しみに。

カテゴリ:news2015年度の特別展

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posted by 田村淳朗(広報室) at 2014年12月18日 (木)

 

特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」 記者発表会

東京国立博物館では、2015年3月17日(火)~5月17日(日)、表慶館にて特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」を開催します。
展覧会開催に先立ち、11月7日(金)、報道発表会を行いました。

コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流
コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流

会場は、なんとインド大使館。そうそう足を踏み入れることのない場所だけに、緊張もし、また晴れやかな気持ちもいたします。インド大使館のご厚意に深く感謝申し上げます。
おかげさまで会場は、プレス関係の方々でほぼ満席の状態でした。

この展覧会は、インド政府が主体となって開催されるアジア国際巡回展で、「日本に於けるインド祭2014-15」の主要な文化交流イベントとしても位置づけられています。
発表会のはじめに、ディーパ・ゴパラン・ワドワ駐日インド大使よりご挨拶いただき、当館の銭谷眞美館長からは挨拶と本展の意義が語られました。

ディーパ・ゴパラン・ワドワ駐日インド大使 銭谷眞美東京国立博物館館長
(写真左)ディーパ・ゴパラン・ワドワ駐日インド大使
(写真右)銭谷眞美東京国立博物館館長



続いて、展覧会ワーキンググループのチーフである小泉惠英企画課長が、展覧会の概要を説明しました。
冒頭こそ「いささか緊張しております」でしたが、しかしインド仏教美術は小泉の専門領域であり、まさにストライクゾーン。説明もしだいに熱を帯びてきます。

小泉惠英(よしひで)企画課長
小泉惠英企画課長

本展では、アジア最古の博物館(1814年創立)であるコルカタ・インド博物館から、仏教美術作品およそ90点が来日、展示されることとなります。
インドを代表する博物館が所蔵する名品の数々によって、インド仏教美術の発生と歴史をたどります。

ここで主要な作品をご紹介します。

古代初期の仏教寺院は、ストゥーパ(仏塔)を中心に造営されました。インド中部のバールフット・ストゥーパ遺跡の品々は、コルカタ・インド博物館で最も著名なコレクション。ストゥーパの周りを囲っていた欄楯(らんじゅん)には、ブッダ(釈迦如来)の生涯や前世の行いなど、さまざまなストーリーが、石の浮き彫りで、いきいきと表されています。
この時代(紀元前2世紀ごろ)、ブッダはいまだ人形(ひとがた)に表象されることが一般ではなく、下の写真にみるような樹木や、法輪、足跡などで象徴的に表されていました。
人々が菩提樹(ぼだいじゅ)に向かって礼拝をしているのがわかります。

菩提樹(カナカムニ仏)の礼拝
菩提樹(カナカムニ仏)の礼拝 バールフット出土 ジュンガ期(紀元前2世紀) インド・コルカタ博物館所蔵

ブッダの像を人の似姿(にすがた)に造形するようになるのは1世紀ごろ。現在のパキスタンにあるガンダーラや、北インドのマトゥラーで、ほぼ同時期に作られ始めたとされます。
大乗仏教の発展にともない、釈迦をはじめとする阿弥陀や薬師などの如来、観音や弥勒(みろく)などの菩薩の像も造られていきました。
写真のような、みずみずしい肉体をもったマトゥラーの仏像、荘重で洗練された姿を見せるガンダーラの仏像です。

仏坐像 弥勒菩薩坐像
(写真左)仏坐像 アヒチャトラー出土 クシャーン朝(1世紀頃) インド・コルカタ博物館所蔵
(写真右)弥勒菩薩坐像 ロリアン・タンガイ出土 クシャーン朝(2世紀頃) インド・コルカタ博物館所蔵


5~6世紀には仏教の中に密教が萌芽し、バラモン教やヒンドゥー教の神々をも取り込んで、多様な仏たちが次々と登場していきます。8世紀、東インドに興ったパーラ朝では、仏教が手厚く保護され、密教が信仰されました。下の写真で中央に立つのは密教において多彩な変化身を展開した観音菩薩の一つ。
上部には大日・宝生(ほうしょう)・阿弥陀・阿閦(あしゅく)・不空成就(ふくうじょうじゅ)の五大如来を配しています。
この五仏にピンときた貴方、そう! 言わずと知れた(ちと言い過ぎか)「金剛界五仏」(こんごうかいごぶつ)。日本の密教でも重要視される両界曼荼羅(りょうかいまんだら)のうち、金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)に描かれています。
時空を隔てた五仏の響きあいに、大いなるロマンをかきたてられませんか?(あくまで個人の感想です)
これはなんとしても、彼我の印相(いんぞう)(仏のとる手のポーズ)を比較せねば。

カサルパナ観音立像
カサルパナ観音立像 チョウラパーラ出土 パーラ朝(11~12世紀頃) インド・コルカタ博物館所蔵

質疑応答のあと、サプライズゲストが!
芸能界きっての仏像好きで知られる、みうらじゅんさん、いとうせいこうさんの登壇です。
みうらさん、いとうさんの、インドと仏像に寄せる熱き心は、かの『見仏記』でもよく知られるところ。そしてお二人は、この日この時をもって、「インド仏像大使」に就任されることとなったのです!
オリジナルグッズのプロデュースなど、展覧会をいろんな方面から応援してくださる心強い味方です。
軽妙かつ真剣に、仏像大使就任の意気ごみを語ってくださいました。その後、ディーパ・ゴパラン・ワドワ大使からお二人に記念品が贈呈され、華やかにフォトセッションへと移ります。

みうらじゅんさん、 いとうせいこうさん
前列左から、みうらじゅんさん、 いとうせいこうさん
後列左から、佐藤雅徳日本経済新聞社副社長、ディーパ・ゴパラン・ワドワ駐日インド大使、銭谷眞美東京国立博物館長


かつてインドで生まれた仏教と仏像は、東へと道をたどり日本に到達しました。
仏教を信仰した、いにしへの人々は誰しも、仏教生誕の地にはるかな憧れを抱きました。
そのインドから今、初期の仏像をはじめとする、まさに珠玉の仏教美術が、海を越えてトーハクにやってきます。
ご期待ください。

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posted by 伊藤信二(広報室長) at 2014年11月11日 (火)

 

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