
「博物館に初もうで」ポスター
皆さんはヘビにどんなイメージを持っていますか?
脱皮を繰り返す生態や、時に毒をもつ特性もあいまって、私たちは古くからヘビに不思議なパワーを見出してきました。本特集は絵画や彫刻、工芸品を通して、美しさ、迫力、面白さ、可愛らしさなど、私たちがヘビに重ねてきたさまざまな魅力を紹介するものです。
まずは、悟りを得たブッダが瞑想する間、ヘビの王「ナーガ」が傘となり雨風から守ったという伝説に基づいた仏像です。
ナーガ上のブッダ坐像(なーがじょうのぶっだざぞう)
タイ・ロッブリー出土 アンコール時代・12~13世紀 三木榮氏寄贈 東京国立博物館蔵
ブッダの背後には7つの頭を持ったヘビが見えます。東南アジアでは水を司る神であるナーガに対する信仰が篤(あつ)く、仏教と結びついてこの形の像が多数つくられました。
後ろ姿にもご注目ください!
ナーガの鱗まできっちり表現されています。
「ナーガ上のブッダ坐像」の背面
こちらは、ポスターにも登場している「自在蛇置物」。
自在蛇置物(じざいへびおきもの)
宗義作 昭和時代・20世紀 東京国立博物館蔵
頭部を除き、大小合わせて222個の部材からなる「自在置物」です。本物のヘビのようにとぐろを巻いたり、這(は)いずり回ったり、自然な動きができます。展示室では原品とあわせて複製品を自動で動かし、にょろにょろと動く様子を目の前でご覧いただきます。
つぶらな瞳が可愛らしい土偶のヘビもいます。
古代西アジアでも、ヘビは再生や豊穣と結びつく生き物でした。にょろっとしたヘビの動きをとらえた作品です。
蛇形土偶(へびがたどぐう)
伝イラン、ルリスタン地方 鉄器時代・前1000年頃 谷村敬介氏寄贈 東京国立博物館蔵
薬師如来が従える十二神将の巳神。どこにヘビがいるか、わかりますか?
重要文化財 十二神将立像(巳神)(じゅうにしんしょうりゅうぞう、ししん)
京都・浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館蔵
正解は頭の上です。
鋭い眼差しのこちらの像は、頭上にとぐろを巻いて鎌首を持ち上げるヘビを表現しています。

「十二神将立像(巳神)」の顔部分
大きな口で人や動物を呑みこんだり、身体に巻きついたり、あるいは毒牙で噛みついたり。人間を圧倒する大蛇のイメージは伝説や物語にもしばしば登場し、人びとの前に立ちはだかります。
この場面には突如大蛇に巻き付かれてしまったお坊さんが描かれています。
重要文化財 清水寺縁起絵巻(きよみずでらえんぎえまき) 巻下(部分)
土佐光信筆 室町時代・永正14年(1517) 東京国立博物館蔵
「清水寺縁起絵巻 巻下」のお坊さんと蛇部分
清水寺に仁王像を安置すると誓うと大蛇は去り、窮地を逃れました。
こちらは有名な怪談話の「さらやしき」をモチーフにした作品。
主人が愛蔵していた皿を割ったために殺された腰元のお菊の霊が、夜中に井戸からあらわれ、皿の枚数を数える光景を描いています。
「百物語・さらやしき」
葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
お菊の首を、殺される原因となった皿を何枚も重ねることで描き、蛇のような姿にしています。
特集のパンフレットは
こちらのページからご覧いただけます。
ご来館前にぜひどうぞ!
本特集のほかに、
国宝「松林図屛風」(1月2日(木)~13日(月・祝)、本館2室)、「名所江戸百景・するがてふ」(1月2日(木)~2月2日(日)、本館10室)、国宝「太刀 長船景光(号 小龍景光)」(1月2日(木)~3月16日(日)、本館13室)といったお正月らしい名品の数々もご覧いただけます。
国宝 松林図屛風(しょうりんずびょうぶ) の過去の展示風景
長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館蔵
2025年1月2日(木)~13日(月・祝) 本館2室(国宝室)で展示
1月2日・3日は本館前のステージで、和太鼓や獅子舞、吟剣詩舞(ぎんけんしぶ)の新春イベントも!
スケジュールは
イベント情報のページをご覧ください。
過去の和太鼓イベントの様子
「
博物館に初もうで」は、2025年1月2日(木)から1月26日(日)まで開催します。
東博の名品とヘビたちのパワーを浴びながら、新しい年の訪れを感じてください。
カテゴリ:news、催し物、博物館に初もうで、特集・特別公開
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posted by 宮尾美奈子(広報室) at 2024年12月26日 (木)