ほっほーい!ぼくトーハクくん。
今日は、トーハクのルーシーリューこと、特別展室の高木結美ちゃんといっしょに、特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」の会場に来ているんだほ。高木ちゃん、よろしくだほ。
高木(以下T):宜しくお願いします!
くはぁーっ!やっぱり女子と一緒だとテンションあがるほぉーっ!
さて高木ちゃん、この展覧会について教えてくださいだほ。上海博物館ってどんなところなんだほ?
T:上海博物館は、北京市の故宮博物院とならんで、中国美術の殿堂として名高い博物館です。
その秘蔵の名画のなかから、一級文物18件を含む40件もの名画が、いまトーハクに来日しています。
一級ブンブツ、ってなんだほ?
T:文字どおり、とても優れた作品のことです。日本でいう「国宝」にあたります。
これだけ質の高い絵画作品は、所蔵している上海博物館でも滅多に展示されるものではなく、
それが日本で、上野で見られる、またとない機会なんです。
それは豪華だほ!大事な絵画がたくさん見られるんだほ!
でも中国絵画ってちょっと渋いんだよね。実はぼく…、見方がよく分からないんだほ…。
T:あら~。でも、そんなトーハクくんにぴったりの、この展覧会をもっともっと楽しむ方法をご案内しますね!
おおー!よろしくだほ!
(でも、高木ちゃんと一緒というだけですでに楽しいんだほ。ほっほ。)
その1!<詩書画一致の音声ガイド>
出品作品のうち、特に厳選した作品は音声ガイドでもお楽しみいただけます。
前期後期の展示替に合わせて音声ガイドの内容も変わります。
特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」音声ガイド 300円/1台(税込)
前回のブログにありますとおり、中国絵画の魅力は、絵と書、それに詩があってこそのもの。
この音声ガイドは、作品を見ながら「詩を耳で楽しむ」ところが大きな魅力です。
ほんの少しですが中身をご紹介しますと…
一級文物 煙江畳嶂図巻(えんこうじょうしょうずかん)
王詵(おうしん)筆 北宋時代・11~12世紀 上海博物館蔵
10月27日(日)まで展示
王詵の友人であった蘇軾は、この作品を見て、次のような詩をつくりました。
「はるかに広がる川面を眺めれば、限りない愁いの心がわき起こる。
深い山には泉の水が、山道には小さな橋や店が、水面には小さな漁船があって、
まさに人と天とが一体になったかのようだ。(中略)
ああ、絵の中の人々よ、どうか私をこの絵の中に招き入れ、理想の世界に遊ばせてください。」
T:この絵を見た文人たちの心には、こうした詩が流れていたのでしょう。
浮玉山居図巻の題跋(矢印のある部分)では、元時代の黄公望が次のように書いています。
『知詩者乃知其畫矣(その詩を知れば、自然とその画もわかるようになる)』
(図録 62~63ページより)
一級文物 浮玉山居図巻(ふぎょくさんきょずかん)
銭選(せんせん)筆 元時代・13世紀 10月27日(日)まで展示
一緒に書かれている詩の意味がわかると、その絵がなにを言いたいのかがはっきり見えてくるんだほ。
ん~しかし、ナレーターのボイスがまろやかでたまらんほ。
T:そうでしょ?こうした情感豊かな詩を静かに優しく読み上げるのはナレーターの藤村紀子さん。
そしてここぞ!というところでは本展担当研究員、塚本麿充も解説します。
塚本研究員が、音声ガイドのナレーションに初挑戦しました!
すこし緊張の面持ちですが、気合いを入れて収録に臨みました。
作品を前にして、目で楽しみ、耳で楽しむ、
画中の詩、そして文人たちの生き様に思いを馳せる音声ガイドです。
その2!<渾身の図録―上海博+東博 中国絵画の決定版!>
中国絵画をもっと知りたい!と思ったらぜひ図録を読んでみてください。
宋元から明清に至るまでの名品がずらりと並ぶ、まさに中国絵画の教科書のような図録です。
特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」図録 1600円(税込)
全187頁、もちろん作品図版はオールカラー。
さらに詳しく知りたい方のために、出品作品に書き込まれた詩や跋文の書き起こし
別冊「釈文・印章編」(図録とセット購入で100円)もあります。
本展図録そのものが中国絵画史の入門書になりました。
およそ1000年の中国絵画史が語られます。
ほ~、とってもきれいで、絵も見やすいほ。
この図録の一番のおすすめポイントはどんなところだほ?
T:なによりも美しい図版が豊富に掲載されているところです!
全40件の出品作品の全図はもちろん、細かな部分の拡大写真も充実しています。
さらに解説文ではトーハク所蔵品を中心とした約100点の挿図が使われ、
中国絵画になじみのない方から、もっと知りたい方まで、みなさんが楽しめる「わかりやすい」1冊です。
いや~高木ちゃん、展覧会が100倍楽しくなるアイテムのご紹介、どうも有難うございましただほ!
広報室担当者:(トーハクくんになにやら耳打ち)
えっ?人をちゃん付けで呼ぶのはNGだって?むー、広報の人はカタイことを言うほ…。ごめんね高木ちゃん、許してほ?
T:うふふ、ずるいなあトーハクくんは(笑)。
上海博物館と東京国立博物館の奇跡のコラボレーションをどうぞお楽しみくださいね。
特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」
11月24日(日)まで(期間中、展示替えがあります。)
東京国立博物館 東洋館8室
※総合文化展観覧料でご覧いただけます
いよいよ10月11日(金)からリレートークが始まります。10月12日(土)には講演会もあります。お聞きのがしなく!
高木さんと2ショットで浮かれるトーハクくん。言動がすっかりオヤジですが、永遠の5才です。
カテゴリ:研究員のイチオシ、news、2013年度の特別展、展示環境・たてもの
| 記事URL |
posted by トーハクくん at 2013年10月10日 (木)
10月5日、雨にも負けず平成館に子どもたちが集結、これから考古学者に挑戦するというので密着です。
挑戦を受けてたつのは、トーハクの品川研究員と井出研究員のふたり。正真正銘の考古学者です。
子どもたちに考古学者体験をして楽しく学んでもらおうと意気込んでいました。
まず考古学者体験に挑んだのは小学校1~4年生のちびっこ考古学者。
毎日の生活で使っている食器やお鍋などをみて、その役割をあてるゲーム。
お鍋は煮炊きに使います。お皿には食べものをもりつけます。飲み物を飲むためにはやかんやコップが必要ですね。
役割にあわせて、いろいろな形の食器を使い分けているんです。これって当たり前だけど、とっても大切なポイント。
トーハクくんも一緒に挑戦!
縄文時代も役割によって食器を使い分けていたのかな?
ということで、縄文時代の食器である土器のシルエットシールを使って、土器の役割をあてる2つめゲーム開始。
シルエット、大きさや色ではなく形だけで役割を予想します。
「なんだろう、これ」「わからないよ」という言葉も聞こえてきますが、みんな制限時間いっぱい一生懸命考えました。
答え合せはせっかくなので平成館考古展示室で!
まずはシルエットシールのモデルになった土器を探します。本日3つめのゲームです。
探し当てた土器をみんなで観察、2つめのゲームの答え合せをかねて、その役割を品川研究員、井出研究員が教えてくれます。
ほんものは意外に大きい!思ったよりもようがいっぱい! ユリノキちゃんも応援してくれていました。
観察していてみんなが気になったのは土器のもよう。
最後はどんな道具でもようをつけたのか、粘土板を使って考えるゲーム。
自分で「これ!」と思った道具を使って、ほんものの土器のもようを粘土板で再現したら、ほんものの土器をもう一度観察。
「あれ、違うかも。貝じゃなくて竹かなぁ」
思ったようにいかなかった子どもたちは、すぐさまやり直しにいきます。すごい根気と集中力!
何度も観察して考えて、時にはみんなで相談して、正解がわかったときの表情はまるで、新知見を得た考古学者です。
学んだ成果をニコニコしながらお父さん、お母さんに教えてあげる姿は頼もしくもありました。
じっくり見て、しっかり考えてみるといろんなことに気づくはず。
続いて午後は小学校5年生から中学2年生の考古学者のタマゴたちの挑戦です。
タマゴたちは考古学者の仕事を勉強したあと、土器片の拓本に挑みます。
まずは品川研究員、井出研究員のデモンストレーションをじっくりみてコツを伝授されます。
井出研究員もタマゴたちも真剣。トーハクくん、邪魔しちゃいけませんよ。
さっそくそれぞれ拓本に挑戦。
拓本という言葉すら聞いたことがない彼らにとっては緊張する体験だったでしょう。
「拓本だと、写真でみるよりももようがよく見える」という驚きもあったようです。
みんな無事に拓本が完成しました。
なれない作業に四苦八苦。土器片と考古学者のタマゴがとった、はじめての拓本です。
最後に展示室でほんものの土器を観察。
拓本体験をした直後だからでしょうか、みんなもように夢中です。
かたちや大きさ、色などの変化についての解説を聞き、もようだけでない土器の魅力を楽しみました。
ちびっこ考古学者のみなさんも、もう少し大きくなったら、今度はこちらに挑戦しましょう!
考古学者体験に挑戦し、考古学者とふれあい、土器と向き合ってたくさんのことを学んだ子どもたち。
考古学者になりたい!という夢を大きく大きく育ててください。
いつかみんなの夢が叶いますように。
ちびっこ考古学者と考古学者のタマゴたち。ユリノキちゃんとトーハク君もちゃっかり…
| 記事URL |
posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2013年10月08日 (火)
特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」 開会式が行われました
本日10月7日(月)、特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」の報道内覧会と開会式が行われました。
開会式には1300人を超えるお客様にお越しいただきました
歴史、文化、景観、食。どれをとっても魅力的な京都。
特に秋は特別公開の寺院も多く、毎年必ず訪れるという人も少なくないはず。
そんな、京都ラブな方も、修学旅行以来京都にはご無沙汰という方も、この秋はトーハクの「京都」に遊びにきませんか?
トーハクの「京都」でご覧いただくのは、京都では見られない400年前の「京都」です。
私たちを400年前へといざなうのは、国宝・重文に指定されている7件の洛中洛外図屏風。
いにしえの京の風景と人々の営みを今に伝えます。(ただし、会期中展示替えがあります)
もっとも注目していただきたいのは、いきいきとした人物描写が魅力の舟木本です。
重要文化財 洛中洛外図屏風(舟木本)(部分) 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
展覧会場では最初のコーナーで、舟木本の超高精細画像を超拡大して4×4mの巨大スクリーンに投影。
「洛中洛外図屏風 舟木本」の高精細映像
実物展示では、見過ごしがちな細部の描写をしっかりとご覧いただきます。
祭りの喧騒、花見客のおお騒ぎ、店先の会話、お城のお裁きの様子まで、400年前の京都の人びとの営みがリアルに迫ってくるよう。
映像を見てから実物に向き合うと、細かいところまでよーく見えてくるから不思議です。
今までの展覧会では味わったことのない、うきうきわくわくするような鑑賞体験をお約束します。
洛中洛外図屏風のあとは、その屏風のなかに描かれていた、京都を象徴する3つの場所
京都御所、かの有名な石庭の龍安寺、そして二条城の内部へと入っていきます。
3つの建物の内部を飾っていた華麗な障壁画で、京都ならではの美の空間を体感していただこうというもくろみです。
二条城の空間を再現した迫力ある展示
ん? 誰かと思ったらトーハクくん!?
いつの間にか、この展覧会の共催者、日本テレビのキャラクター、ダベアと意気投合したみたいです。
二条城の松鷹図に圧倒されているよう。
あれれ? ユリノキちゃんは、ショッピングに夢中!?
女子の心をがっちりつかむグッズ満載。これも京都ならでは。
あわせて平成館1階では、明日から始まる特集陳列「清時代の書―碑学派―」の報道内覧も行われました。
こちらは、今年で11回目になる台東区立書道博物館との連携企画。
両展ともに、明日9時30分にいよいよ一般公開です!
投票「洛中洛外図 舟木本」あなたがいちばん見たいシーンは? にあなたの1票を!
特集陳列「清時代の書―碑学派―」関連ワークショップ
「清時代の書に挑戦!」 参加者募集中!
カテゴリ:2013年度の特別展
| 記事URL |
posted by 小林牧(広報室長) at 2013年10月07日 (月)
文化の日(11月3日)を中心とし、東京都内全域の文化財の公開や文化財に関わる様々な企画を行う「東京文化財ウィーク2013」が開催されます。
特別公開期間は10月26日(土)~11月4日(月・休)の10日間。
講演会などさまざまなイベントが開催されるのは、10月1日(火)~11月30日(土)の2ヶ月間です。
(参加施設によって多少期間の幅があります。)
今年は、トーハクも初めて参加。
東京都指定有形文化財に指定された「虫豸帖(ちゅうちじょう)」 の公開(本館8室にて10月1日(火)~11月10日(日)まで展示)、
東京文化財ウィークの企画「旧江戸城を歩いてみませんか」に関連し、特集陳列「江戸城」(本館16室、10月22日(火)~12月23日(月・祝))が対象となっています。
「虫豸帖(ちゅうちじょう)」 は、伊勢長島藩第六代藩主、増山雪斎(ましやませっさい、1745-1819)の描いた博物図譜です。
雪斎は詩や絵を得意とし、木村蒹葭堂(きむらけんかどう)、太田南畝(おおたなんぼ)など文人たちとの交流でも知られています。
この精緻な写生図に描かれている虫のほとんどは巣鴨にあった下屋敷で採集されたもので、19世紀初頭の江戸の昆虫などの生息状況を知ることができる、貴重な資料です。
東京都指定有形文化財 虫豸帖(部分) 増山雪斎筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
トーハクの近くにある、寛永寺境内には、雪斎の写生の様子などが刻まれた「虫塚」があります。
写生した昆虫を供養したいという雪斎の遺志により、1821(文政4)年に建てられました。
こちらもあわせて足を運んでみてはいかがでしょうか。
寛永寺境内の虫塚
特集陳列「江戸城」は、家康・秀忠・家光の徳川三代にわたる普請によって築かれた壮大な江戸城の往時の姿を、最新の発掘成果も交え、御殿内の装飾下絵や建築指図、古写真などで振り返るものです。
忠臣蔵でおなじみの松の廊下にはこんな障壁画が描かれていたのですね。
江戸城障壁画 本丸松廊下 伺下絵(部分) 狩野探淵・住吉弘貫筆 江戸時代・弘化2年(1845) 東京国立博物館蔵
松の廊下跡は現在、皇居東御苑内に石碑が残っていますので、展示とあわせて、往時の江戸城に思いを馳せながら散策するのもよいのでは?
また、通年公開の文化財として、旧東京帝室博物館本館(現在の本館)、表慶館、
旧因州池田屋敷表門(黒門)、旧十輪院宝蔵の4つの建築物もエントリーしています(いずれも重要文化財)。
平成館ラウンジ自販機前のカウンターにガイドブックを用意していますのでご利用ください。
(数に限りがあります。無くなり次第配布終了となります。)
10月26日(土)~11月4日(月・休)はエントリーした建築や「虫豸帖(ちゅうちじょう)」 の解説カードもインフォメーションなどで配布します。
都内各所の文化財を訪ねてカードを集める方もおられるとか。
文化の秋。連休の行楽はトーハクで文化財に触れてみませんか?
| 記事URL |
posted by 奥田 緑(広報室) at 2013年10月06日 (日)
こんにちは。展覧会担当研究員の塚本です。今日は特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」にようこそお越しくださいました。
いや~中国絵画って、ほんとうにいいですね!作品をずっと見ていると、理想の世界に引き込まれてしまって、現実に戻ってくるのを忘れてしまいそうになります。
えっ、良さがいまいち分からないって?そ、そんな…(泣)!
でもたしかに少しとっつきにくいかも知れません。
それでは、中国絵画をもっと楽しんでいただけるように、読み解くキーワードとなる「七つ道具」をご紹介します。
展覧会を10倍(くらい)楽しめること間違いなしです!
その1
「山水・花鳥・人物」
→中国絵画はだいたいこの三つの分野に分かれます。見ている作品が、そのうちのどれに当たるか分類してみてください。
その2
「文人の画(え)」
→中国絵画では上手い絵よりも、高い人格を持った文人(素人)が描いた絵が尊重されます。絵画は人格の表現と考えられたからです。
一級文物 青卞隠居図軸(せいべんいんきょずじく)
王蒙(おうもう)筆 元時代・1366年 上海博物館蔵
展示期間:10月29日(火)~11月24日(日)
その3
「職業画家の画」
→でも、やっぱり絵は上手いほうがいいよね。そんなあなたのために、超絶技巧の作品もあります。
滕王閣図頁(とうおうかくずけつ)(部分)
夏永(かえい)筆 元時代・14世紀 上海博物館蔵
展示期間:10月1日(火)~10月27日(日)
この部分で、縦が5センチほどの小ささ。絵が描かれている絹地の糸目と同じくらい細く緻密な線が描かれています。
その4
「詩書画一致(ししょがいっち)」
→画のなかに、作者や鑑賞した人の詩や感想が書き込まれます。それらを読んで、味わうのも、醍醐味の一つです。
一級文物 浮玉山居図巻(ふぎょくさんきょずかん)(部分)
銭選(せんせん)筆 元時代・13世紀 上海博物館蔵
展示期間:10月1日(火)~10月27日(日)
「この山水に暮らせば、世に出ることはないのだ」
元朝に仕えることを拒否した銭選の自己表明とも受け取れる詩が、右上に書かれています。
その5
清(せい)と雅(が)
→俗世間を離れた文人たちが追い求めた境地のこと。これです、私の追い求めるものは。
一級文物 石湖清勝図巻(せっこせいしょうずかん)
文徴明(ぶんちょうめい)筆 明時代・1532年 上海博物館蔵
なんて素晴らしい景色だろう。
その6
奇(き)と狂(きょう)
→でも、清いだけじゃつまらないですよね。個性を爆発させるタイプの画家の作品はこう呼ばれます。
山陰道上図巻(部分)
呉彬(ごひん)筆 明時代・万暦36年(1608) 上海博物館蔵
目がまわりそうになります。
その7
筆墨の美(ひつぼくのび)
→中国絵画では「形(似ていること)」を重視しません。
いや、正確にいえば、元時代以降、「似ていること」が悪いことになりました。
では何を描いているのでしょうか?
一級文物 漁荘秋霽図軸(ぎょそうしゅうせいずじく)
倪瓚(げいさん)筆 元時代・1355年 上海博物館蔵
展示期間:10月1日(火)~10月27日(日)
それは「筆墨」です。筆墨とは、毛筆で描いた時のかすれやこすれのことです。
人によってそれぞれ書く字が違うのは、書いた字の線も違うからです。中国人は、この線によって、無限の感情表現ができることに気が付きました。
一級文物 漁荘秋霽図軸(ぎょそうしゅうせいずじく)(左下部分)
カミソリで削ぎ落としたような、孤高を感じる筆墨。ときめきます。
一級文物 青卞隠居図軸(せいべんいんきょずじく)(中央部分)
わだかまるような複雑な感情を表す筆墨。たまらない。
このように、多種多様な「筆墨の美」にご注目ください。
どうですか?この「七つ道具」をもっていけば、もっと展覧会を楽しめそうでしょう?
西洋画とも日本画ともちょっと違う中国絵画の世界。
名品でめぐる贅沢な中国絵画の旅へ、行ってらっしゃい!
カテゴリ:研究員のイチオシ、2013年度の特別展、展示環境・たてもの
| 記事URL |
posted by 塚本麿充(東洋室) at 2013年10月04日 (金)