動物好きにもたまらない? 2015年春、「鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-」展開催!
ウサギ。ネコ。
カエル。サル。
いかがでしょう? とある作品のなかから愛らしい動物たちをピックアップしてみました。
この動物たちはすべてこの特別展に出品される作品に登場します。
何の展覧会? どの作品?
え? わかりませんか? もう一度、始めのウサギを見てみてください。
どこかで見たことのあるウサギですよね?
そう! これらはすべて、あの有名な国宝「鳥獣戯画」に出てくる動物たち。
国宝 鳥獣人物戯画 甲巻(部分) 平安時代・12世紀 京都・高山寺蔵
*この場面は後期(5月19日(火)~6月7日(日))に展示
トーハクでは来春、特別展「鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-」(2015年4月28日(火)~6月7日(日)、平成館)を開催します!
開催に先立ち、2014年12月15日(月)、同展の報道発表会を行いました。
当日は主催者を代表し、当館の島谷弘幸副館長と、高山寺の田村裕行執事がご挨拶を申し上げました。
本展覧会は、あの誰もが一度は目にしたことのある鳥獣戯画の全貌をご紹介し、さらに、その伝来した京都・高山寺、そして同寺を再興した明恵上人ゆかりの至宝をかつてない規模で展観するものです。
本展覧会担当の土屋貴裕研究員からは、熱のこもった展覧会概要の説明がありました。
東京国立博物館 土屋貴裕研究員
演台前面にも、鳥獣戯画の切り抜きが! 館内でも人気が高い、烏帽子をかぶったネコ
さて本展覧会、タイトルにもなっている「鳥獣戯画」ばかりに注目してしまいがちですが、それは実にもったいない!
世界文化遺産にも登録されている高山寺は、多くの文化財を守り伝えてきた仏教美術の一大拠点。
鳥獣戯画のほかにも、貴重な聖教・典籍類とともに伝えられてきた多くの仏教美術など、見どころが満載です。
仏教美術、というと硬い印象を受ける?
そんな方向けに、土屋研究員の解説した作品の中から、特に愛らしい作品をご紹介しましょう。
重要文化財 子犬 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵 *通期展示
明恵上人もそばにおいて、愛玩したと伝わるこの木彫りの子犬。この愛くるしさ、たまりません
高山寺には「栂尾開帳(とがのおかいちょう)」と呼ばれる儀礼でも使用された多くの動物彫刻が伝わります
重要文化財 梵天火羅九曜図(ぼんてんからくようず)(部分) 平安時代・文治5年(1189) 京都・高山寺蔵
*前期(4月28日(火)~5月17日(日))展示
仏画のお手本白描図像のひとつ。鳥獣戯画の伝来を考えるうえでも貴重な資料です
また、高山寺を中興した明恵上人も魅力的な人物。
自らに厳しい修行を課しつつ、多くの後進を育て、さらに身寄りを失った女性たちを保護するなど、乱世に救いを求める人々から慕われたことでも知られています。
様々なエピソードで彩られた上人のひととなりや信仰世界が感じられるゆかりの作品は、日本の仏教美術の中でもきわめて個性的といわれており、この展覧会のもうひとつの見どころです。
ん?また難しそう?
では、ここでも動物(?)に注目してみましょうか。
国宝 明恵上人像(樹上坐禅像) 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵 *前期(4月28日(火)~5月17日(日))展示
高山寺の裏山で坐禅を行う明恵上人。上部に自筆の賛がみえます
左上の樹上で上人を見守る一匹のリスにも注目!
国宝 華厳宗祖師絵伝(けごんしゅうそしえでん) 義湘絵 巻第三(部分) 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵 *前期(4月28日(火)~5月17日(日))展示
高山寺に伝わるもう一つの国宝絵巻。明恵上人が慕った新羅の僧・義湘の事蹟を描いています
龍は、義湘に恋心を寄せる善妙という女性が、彼を守護するために変じた姿
もちろん、4年をかけて解体修理され新しく生まれ変わった鳥獣戯画も、甲・乙・丙・丁の全4巻が一挙公開されます。
(会期中、展示場面の変更があります。)
国宝 鳥獣人物戯画 乙巻(部分) 平安時代・12世紀 京都・高山寺蔵
*この場面は後期(5月19日(火)~6月7日(日))に展示
さらには、絵巻から掛け軸に仕立て直されて国内外に伝来する断簡もすべて集結!(一部前期展示のみとなります。)
鳥獣人物戯画 甲巻 断簡 平安時代・12世紀 *通期展示
現存する全ての鳥獣戯画が見られる、まさに鳥獣戯画の全貌をご覧いただける展覧会なのです。
なお、展覧会公式サイトではスペシャルコンテンツとして、鳥獣戯画全4巻全場面を一挙公開中。
前期と後期での展示場面の変更も一目瞭然です。
展覧会前の予習もばっちり
このほかに報道発表会では、国宝「鳥獣人物戯画」の全4巻・全場面を掲載した「豆本セット前売券(1,800円)」が限定2,000枚で販売されることも明らかにされました。
(展覧会公式サイト、セブンイレブン店頭などで2月1日(日)から販売予定。豆本は、会期中の本展会場にて引き換え。)
鳥獣戯画を手元において鑑賞できるスグレモノ!売り切れ必至です。
魅力あふれる作品やイベント情報などは、今後もこの1089ブログでご紹介していきます。
どうぞ来年4月の開幕をお楽しみに。
カテゴリ:news、2015年度の特別展
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posted by 田村淳朗(広報室) at 2014年12月18日 (木)
能面の歴史は不明な点も少なくありませんが、室町時代までは「創作の時代」、安土桃山時代以降は「写しの時代」とおおよそ区分できます。
その分岐点は豊臣秀吉。秀吉は能を熱狂的に愛好しました。そして、大名の間で能を観るだけでなく、演じることが流行しました。
すると能面の需要が大幅に増え、観世、宝生、金春、金剛等の宗家に伝来した古い面を写し、所有するようになったのです。これが「写しの時代」です。
この写しは、能面を鑑賞するうえで重要なポイントになのですが、今回の特集「日本の仮面 能面 創作と写し」(本館14室、2015年1月12日(月・祝)まで)のように創作の時代の面とその写し、あるいは同じ面の複数の写しを展示して、写しのあり様をご覧いただく機会はあまりありませんでした。
いくつか見どころをご紹介します。
例えば鼻瘤悪尉(はなこぶあくじょう)を見てください。
(左) 能面 鼻瘤悪尉 室町~安土桃山時代・16世紀
(右) 能面 鼻瘤悪尉「杢之助打」朱書 江戸時代・17~18世紀
額や眉間の皺もそっくりです。裏面も注目してください(展示では小さな写真で示しています)。
左の面の右上に「文蔵作」とあり、右の面には「文蔵作正写杢之助写」と書いてあります。
つまり、左の面の写しが右の面です。
額の裏のノミ跡、左目の外側と上の2ヵ所にある布の貼り方などまでそっくりです。左の面の布貼りは亀裂か割れを補修したものですが、右の写しは忠実に写すために割れていないのに布を貼っているのです。
能の観客から見えない裏、しかも補修跡まで写されていることがあるのです。
つぎは曲見(しゃくみ)という面です。
(左) 重要文化財 能面 曲見 金春家伝来 室町時代・15~16世紀
(右) 重要文化財 能面 曲見 金春家伝来 江戸時代・17世紀
見分けがつかないくらい似ていますが左が創作、右が写しです。額の左右(右は眉の下、左はもう少し下)に傷があります。この傷も忠実に写しています。傷などない方がいいはずですが、すべてが大事な面と同じであることを求めたのでしょう。
このように能面では傷や剥落の様子も忠実に写すことがしばしば行われます。
今回展示している中に、雪の小面と呼ばれる面の写しが4面あります。雪の小面とは、豊臣秀吉が愛蔵していたと言われる雪月花の三つの小面のうちの一つです。現在は京都金剛家に所蔵されています。
写真は面打・河内の焼印「天下一河内」がある写しです。
(左) 重要文化財 能面 小面 「天下一河内」焼印 金春家伝来 江戸時代・17世紀
(右) 面裏
雪の小面の面裏には二つの大きな特徴があります。一つは両頬のあたりが焦げ茶色になること、
もう一つは鼻裏の刳りの右方にある肋骨状のノミ跡です。
雪の小面を写した、河内の焼印のある小面にはこのほか面白い特徴があります。
鼻の頭に円形の傷です。
この傷は今回展示している「出目満昆」印と根来寺所蔵、二つの雪の小面の写しにも見られます。
(左) 重要文化財 能面 小面(鼻部分) 「出目満昆」焼印 金春家伝来 江戸時代・17~18世紀
(右) 能面 小面(鼻部分) 江戸時代・17~18世紀 和歌山・根来寺蔵
ところが、京都金剛家所蔵の雪の小面にはこれが見当たりません。それがなぜなのかはわかりません。また、今回展示している4面のうち1面にも見当たりません。
京都金剛家の雪の小面は塗り直しをして傷がかくれてしまったのでしょうか。
さらに今回出品していませんが、「天下一河内」の焼印がある「十六」の面裏に「雪の小面」と共通する特徴があるのも不思議です。「十六」は平敦盛の役に用いる男役の面ですから。
参考:能面 十六 「天下一河内」焼印 江戸時代・17世紀 ※今回は展示されていません
不明な点をこれから研究して解決すべく、調査を重ねています。その成果を公開してまいりますので、能面の展示にご注目ください。
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posted by 浅見龍介(京都国立博物館列品管理室長) at 2014年12月12日 (金)
あなたもトーハクボランティアに!ボランティアデーで活動を紹介
12月6日(土)、12月7日(日)の両日、「東博ボランティアデー」が行われました。
この週末は、特別展「日本国宝展」の最終日、それに、庭園公開の最終日にもあたり、館内も大変にぎわいました。
ボランティアによる催しも、例年以上にたくさんの来館者の方々に参加いただきました。
1日ゆっくり滞在し、複数のグループのガイドツアーに参加される方もあり、皆様にお楽しみいただけたようです。
ボランティアも、皆様に楽しんでいただくために、いつも以上に張り切って活動していたようです。
ガイドツアーも、一工夫。
解説するコースを増やしたり、手作りの衣装を着たり、特別な趣向を凝らしたガイドツアーもありました。
また、ボランティアデーだけに行われる「活動紹介ツアー」も、トーハクのボランティア活動に興味を持っている方たちに、多数参加いただけました。
ボランティアは、それぞれ自作の「みどりのライオン」の小旗をもち、活動場所をそれぞれご案内しました。昨年のボランティアデーで紹介ツアーに参加したボランティアが、今年は自分がご案内すると、張り切っていた姿が印象的でした。
直接ボランティアからやりがいや活動内容を聞き、自分もトーハクボランティアになりたいと、応募の決心を固めた方もいたようです。
当館のボランティアは、トーハクが大好きで、その魅力を皆様にも味わっていただきたいと思い、活動しています。
現在、平成27年度から3年間活動するボランティアを募集しています。
応募方法はこちらをお読みの上、郵送でお送りください。1月15日(木)必着で、お待ちしております。
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posted by 鈴木みどり(ボランティア室長) at 2014年12月11日 (木)
2014年11月29日(土)と30日(日)、ファミリーワークショップ「からだが動くエビを作ってみよう」が行われました。
7組ずつ、計14組の小学生とそのご家族37名が参加されました。
このワークショップは、本館1階13室に展示されている「自在置物」(2015年2月8日(日)まで展示)をテーマにしています。
自在置物とは、鉄や銅、銀などで龍、蛇、鳥、甲殻類などをリアルに作り、体の各パーツを自由自在に動かせるようにしたものです。
この日、自在置物についてお話をしてくださったのは、金工を専門とする研究員の伊藤さん。
まず、全員で本館13室に自在を見に行きました。
龍、鯉、伊勢海老、鷲といった、鉄などで作られた本物そっくりの迫力の自在置物を見ます。
そのあと、5室、6室に行き、同じく鉄を材料に作られた刀や甲冑を見ました。
この甲冑を作っていた職人さんが、のちに戦が少ない時代になり、自在置物を作るようになったということです。
そのあと本館地下の教育スペース「みどりのライオン」に戻り、今度は銀で作られた伊勢海老とそのパーツを見せてもらいました。
また、動画で自在置物を実際に動かした様子も見ることができました。
こんなに細かいパーツが組み合わさり、しかも体が動くなんて、すごい技術です。
展示室では見られない、自在に動くさまに釘付けです
そしてとうとう、参加者の皆さんもエビづくりに挑戦。
今日は、さきほど見た銀製の伊勢海老のパーツから型紙を起こしたエビをアルミシートで作ります。
まずは、型紙に沿ってアルミシートから各パーツを切り抜きます。
これを説明にしたがってつなぎ合わせていきます。
作業分担しなくては、時間内に出来上がりません!
全部で64にものぼる細かいパーツを、折り曲げ、貼りあわせ、金具でつなぐのは、忍耐力のいる作業です。
難しいところはお父さんやお母さん、あるいは器用な人が担当。
細かいところは、手の小さいお子さんの方が得意な場合もあります。
自在エビは、家族全員が力を合わせなくては完成しません。
これこそ本当の意味で、「ファミリーワークショップ」と呼ぶべきプログラムかもしれません。
毎年、なかなか時間内に仕上がらないことも多い自在エビワークショップ。
今年参加されたご家族の皆さんは、なんと皆さん時間内に完成させて帰られました!
個性ゆたかなエビがたくさん
最後のパーツである触角をつけ終わり、周りにいたスタッフが拍手で完成を祝福したあるご家族のお父さんは、「このワークショップは、達成感が半端じゃないですねえ~」と一言。
達成感いっぱいの笑顔です
自在置物に込められた作り手の精緻な技を想像し、次に展示室で作品に対面したときには、作り手へのリスペクトなしには見られない、そんな気持ちにさせるワークショップでした。
美しいエビが出来上がりました!
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posted by 藤田千織(教育普及室主任研究員) at 2014年12月10日 (水)
土偶せんぱーい!
こんにちは、トーハクくん。
あ、品川さん! 品川さんは「日本国宝展」の考古資料の担当なんだほ。
だから、土偶せんぱいとも、とっても仲良しなんだほ。
今回の展覧会で出品されている土偶は、思い入れのあるものばかりだから、
今日はぼくが案内しようか?
(さすが、土偶せんぱいのおともだち、親切なんだほ。)品川さん、よろしくお願いしますほ!
早速だけど、ぼくたちが今立っている場所、ここがぼくのおすすめの立ち位置なんだ。
あ! 土偶5体に囲まれているほ!!
第1会場の土偶コーナー。奥に3体、手前に2体の土偶が
展示されています
そう、そうなんだよ! 縄文人の「祈り」が形となったのが土偶。
そんな土偶5体に囲まれた、ここは日本国宝展の会場に生まれたパワースポットなんだ!!
(な、何だかすごく興奮しているんだほ…。)
こうやって見比べてみると、いろんな土偶があるんだほ。
実際は、たくさんのお客様でぐるりと見回すことは難しいけど、
そのかわり1体ずつじっくりと見て、その違いにぜひ注目して欲しいんだ。
品川さんは土偶せんぱいが大好きなんだほ。
「仮面の女神」はいいよね。ぼくが学生の時、「考古学者として生きていくんだ!」って
決意した頃に見つかったのがこの土偶。
今回の展覧会で「昔の馴染みに久しぶりに会ったな」って感じがするんだ。
品川さんの「青春の土偶」なんだほ~!
国宝 土偶(仮面の女神)
縄文時代(後期)・前2000~前1000年
長野県茅野市中ッ原遺跡出土
茅野市蔵 尖石縄文考古館保管
展示期間:11月21日(金)~12月7日(日)
造形も気に入っていて、顔のかわいさに、ぜひ多くの人に気がついて欲しい!
頭の後ろの仮面を結んだような表現も、丁寧に作っているなって感じがして好きだなぁ。
頭の後ろにも注目です。展示ケースの横からどうぞ
(いきなり土偶愛が止まらないほ…)
それに、土偶の表面のフレッシュさと言ったら! 他の土偶ほど表面が荒れていなくて、
まるで、ついさっき土の中から掘り出したかのようなみずみずしさなんだ。
(さすがにお腹いっぱいだほ…)
それからね…
(カットイン)あー! あそこに「縄文のビーナス」せんぱいがいるほ!
国宝 土偶(縄文のビーナス)
縄文時代(中期)・前3000~前2000年
長野県茅野市棚畑遺跡出土
茅野市蔵 尖石縄文考古館保管
おっ「縄文のビーナス」かぁ。この土偶は、縄文時代のもので初めて国宝に指定されたものなんだ。
「『縄文のビーナス』が国宝への扉を開いてくれたおかげで、多くの人が縄文時代に関心を持ってもらえた」って、
ぼくは感謝しているんだよ!
あれ? お腹がぽっこりしているほ…?
これは妊娠した女性を表現しているんだよ。土偶には、安産や豊穣の祈りが
込められていたんだろうね。そしてこっちが「合掌土偶」。
国宝 土偶(合掌土偶)
縄文時代(後期)・前2000~前1000年
青森県八戸市風張1遺跡出土
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館蔵
まさに祈りの姿って感じがするでしょう? しかも、この土偶には補修の痕があるんだよ。
壊れた土偶をわざわざ直したってこと?
そう、縄文時代の人たちはこの土偶を大切にしていたんだ。
「縄文のビーナス」や「合掌土偶」からは、土偶に込められた祈りの気持ちがよく伝わってくるね。
「合掌土偶」せんぱいも女のひとって聞いたけど…本当なんだほ?
「縄文のビーナス」せんぱいと比べると、かなり違って見えるほ。
トーハクくん、いいところに気がついたね。じゃあ、この「縄文の女神」を見てごらん。
(左)国宝 土偶(縄文の女神)
縄文時代(中期)・前3000~前2000年 山形県舟形町西ノ前遺跡出土
山形県蔵 山形県立博物館保管
展示期間:11月21日(金)~12月7日(日)
(右)横から見るとスレンダーさがわかります
わ、”すれんだー”なせんぱいだほ!「縄文のビーナス」せんぱいとはまったく違うんだほ。
でも、「縄文のビーナス」と「縄文の女神」は、ほぼ同時期のものなんだ。だけど、こんなに違う。
なんでかな…???
ポイントは土偶の出身地。オーバーなほどに女性らしさを強調する「縄文のビーナス」に比べると、
あまり女性っぽくない「合掌土偶」や「縄文の女神」は、東北の土偶なんだ。
実はね、東北の土偶はもっと古い時期のものから一貫して、女性っぽい表現は控えめなんだよ。
なるほー! 控えめなのは、東北地方の土偶の特徴なんだほ!
そうそう。東北の人は、はにかみ屋さんなんだ。
(ちなみに品川研究員は東北の出身です。)
それにしても、「縄文の女神」せんぱいは、とってもシンプルにできているんだほー。
「縄文の女神」は削ぎ落とされた美しさ。それに対して、「中空土偶」はとっても凝っているんだ。
(左)国宝 土偶(中空土偶)
縄文時代(後期)・前2000~前1000年 北海道函館市著保内野遺跡出土
函館市蔵 函館市縄文文化交流センター保管
展示期間:11月21日(金)~12月7日(日)
(右)頭部の破損箇所をのぞいてみてください。その薄さがわかります
いろんな文様があるほー!
この文様の緻密さ! 文様のあるところと無いところのバランス!
ちゃんと考えて、計画的に作られたと思うんだ。
それに、中が空洞でありながらこの薄さ! 技の粋が詰まっているよね。
土偶って見どころがいっぱいだほ。奥が深いんだほ。
そうだね。ぼくたち考古学者は、目の前の資料だけを見るんじゃなくて、
その背景にあるもののことも考えているんだ。
土偶を見るときも、「これはあの土偶に似ているな」、「同じ時期の土器はこれだな」、
「出土した遺跡はこんな場所だったな」というように、
その土偶に関係のありそうな、たくさんのことを考えながら見るようにしているんだよ。
そんなにたくさん考えているんだほ…!
だから、ぜひ、この5体の土偶たちのふるさとを訪ねてみて欲しいな。
どんなところで、この土偶たちが作られたのか見てきてください。
そうしたら、土偶の魅力が伝わってきて、ますますおもしろくなります。
いつかぼくも見に行くほー! 品川さん、今日はありがほーございました。
もっと活躍して、土偶せんぱいのように品川さんから
熱く語ってもらえるようになりたいと思った、
トーハクくんなのでした
「日本国宝展」の会期は残り1週間をきりました。
現在、国宝に指定されている土偶5体すべてを一度にご覧いただける貴重な機会です。
ぜひ、お見逃しなく!
カテゴリ:研究員のイチオシ、2014年度の特別展
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posted by トーハクくん at 2014年12月01日 (月)