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研究員のイチオシ作品! ~東アジアの華 陶磁名品展・日本編~

ほほーい! ぼくトーハクくん!
今日は、2014年日中韓国立博物館合同企画特別展「東アジアの華 陶磁名品展」の会場から、
日本の注目作品をリポートするほ。
この展覧会を担当した横山研究員に案内してもらうほ!




トーハクくん、こんにちは。展示室へようこそ!

横山さん、よろしくお願いしますほ! (でれでれ)



展覧会がはじまって1ヵ月以上経つけど、何で日本、中国、韓国が一緒に展覧会を
開催することになったんだほ?

3ヵ国の国立博物館(東京国立博物館・中国国家博物館・韓国国立中央博物館)は、
約2年に1回のペースで館長会議を開催しています。
前回の会議の折に「今度は一緒に展覧会を企画しましょう」という話が持ち上がり、
日本開催となる今年の会議にあわせて、展覧会をトーハクで開くことになりました。

なるほー! 記念すべき第1回なんだほ。

そうなんです。だからこそ、3ヵ国それぞれで長い歴史があり、古くから親しまれていて、
お互いの影響も大きい「陶磁器=やきもの」がテーマに選ばれたんです。

3ヵ国のやきものが一度に見られるなんて、すごいほ!

会場に入っていただくと、まず3館の紹介するパネルがあって、振り返ると各国の代表作が
皆さんをお迎えします。
そして、展覧会全体をどーんと見渡していただけるような展示室になっています。



おぉ! これは圧巻だほ! それに、赤い台が中国、緑が韓国、青が日本の作品と区別されていて、
わかりやすいほ。

中国韓国の作品については、三笠さんが青磁への愛情たっぷりに解説してくれたので
今日は主に日本の作品についてご案内しますね。
日本の作品は、縄文時代の土器から江戸時代の陶磁器まで、日本の陶磁史をダイジェストで紹介する
構成になっています。
それぞれが各時代を代表する名品ばかりなのですが、今日は「茶陶」に注目しましょう。



ちゃとう・・・?

茶の湯に関するやきもののことね。

たくさんある日本のやきものの中で、なんで茶陶が注目なんだほ?

それは、茶陶が日本国内でどんどん発展していった特に「日本らしさ」の強いものだからなの。

日本らしさ…?

室町時代から安土桃山時代にかけて茶の湯が盛んになったことで、
日本の陶磁器づくりにも大きな影響を及ぼしました。
日本の陶磁器は、中国や朝鮮半島からの技術や様式の移入によって発展してきた背景が大きいのだけれど、
お茶に関わっていくなかで、茶人たちは「こういうお茶碗がほしいな」とか
国内各地で独自性が強く発展したのよ。
茶陶はそうした背景をふまえつつ、豊かな想像力でバラエティに富んだ創造性を発揮していくのです。

たとえばこのお茶碗。

  
重要文化財 黒楽茶碗 銘ムキ栗   (底裏)
長次郎 安土桃山時代・16世紀
文化庁蔵


わ、四角いほ!

これは、千利休が長次郎に作らせたといわれる茶碗なの。本来であれば「丸い」お茶碗の概念を超えて、
誰もが目を引く、四角というかたちが斬新でしょう?

“あばんぎゃるど”だほ。

それでいて角ばっていなくて、てのひらに優しく収まるという作りをしています。
使う人ならではの発想なのです。

結構考えられているんだほ。

美濃や唐津では、日本で初めて下絵付けを施したやきものが作られるのですが、
その新たな技術をおしみなく発揮して、懐石のうつわがのびやかに作られています。

                
重要文化財 鼠志野草花図鉢        重要文化財 銹絵芦図大皿
美濃 安土桃山~江戸時代・16~17世紀    唐津 江戸時代・17世紀
文化庁蔵                 文化庁蔵

それから、この蓋物のような織部は、「桃山様式」と呼ばれる独創的な茶陶の代表選手といえます。


織部扇形蓋物
美濃 江戸時代・17世紀
東京国立博物館蔵


緑色の部分と茶色い模様が交互になっていて、おもしろいほ。
扇のかたちも、すごく日本らしいほ。

そう、そうなの! トーハクくん、いいところに着目しています!

そんなに褒められると照れるほ~(でれでれ)。

緑色のくすり(釉薬(ゆうやく))と茶色(鉄絵(てつえ))の技術はずっと前からあるものだけれど、
これを「片身替わり」と呼ばれる、染織や漆工で流行していたデザインにならって表しているの。
扇というかたちも、先ほどの茶碗同様、うつわの基本的な「丸」のかたちにとらわれない奇抜さで個性的でしょ。

(ほめられて良い気分~♪)なんだか、「ちゃとう」がとっても好きになってきたほー。

そう言ってもらえると、展覧会の担当者としてとってもうれしいです。ありがとう!



(笑顔が素敵すぎるほ~!)三笠さん、横山さんのお話をまとめると、
今回の展覧会はそれぞれの国らしい陶磁器が出ているってことなんだほ?

そうですね。出品作を選ぶにあたっても、そういうところを大切にしました。
各館の陶磁器コレクションの特徴を知ってもらいつつ、
技術や様式の伝わり方、影響なども感じてもらえるといいなと思います。
3ヵ国合同の企画という、意義のある展覧会としてたくさんの方に見ていただきたいです。

横山さん、ありがほーございました!

カテゴリ:研究員のイチオシ2014年度の特別展

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posted by 横山梓(特別展室研究員) at 2014年11月07日 (金)