「アート オブ ブルガリ 130年にわたるイタリアの美の至宝」開幕!
「アート オブ ブルガリ 130年にわたるイタリアの美の至宝」が、いよいよ9月8日(火)に開幕しました!
開幕に先立ち、9月7日(月)には開会式・内覧会を行い、多くのお客様にご出席いただきました。
開会式の様子(左から吉見読売新聞社事業局長、ジャン-クリストフ・ババン ブルガリ グループ CEO、赤池文部科学大臣政務官、東京国立博物館銭谷館長)
本展覧会の会場は表慶館です。
明治末期の歴史ある建物とブルガリの美が見事に融合しています。
エントランスの天井を見上げると、プロジェクションマッピングにより、万華鏡のような景色が・・・
各展示室は時代ごとに分かれており、創業131年を迎えるブルガリの歴史を辿ることができます。
宝石の美しさはもちろんのこと、大胆な配色や、日本文化の影響を受けたユニークなモチーフなど、バラエティ豊かなジュエリーに驚かれることでしょう。
Room1 展示風景
Room4 展示風景
また、ブルガリをこよなく愛した名女優エリザベス・テイラーにまつわる展示も、本展の見どころです。
エリザベス・テイラーが俳優リチャード・バートンから婚約の証に贈られたブローチなど、ブルガリジュエリーが彼女の人生に寄り添ってきたことが感じられる空間となっています。
Room8 展示風景 映画「クレオパトラ」で実際に着用した衣装も飾られています
Room9 展示風景 本展チラシ掲載の「ソートワール」(プラチナ、サファイア、ダイヤモンド 1969年)
まさに「至宝」と呼ぶにふさわしいコレクションの数々。
会期は9月8日(火)~11月29日(日)です。
この秋、表慶館でブルガリの美をご堪能ください!
カテゴリ:2015年度の特別展
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posted by 宮尾美奈子(広報室) at 2015年09月10日 (木)
大好評で連日たくさんのお客様においでいただいている「クレオパトラとエジプトの王妃展」ですが、9月9日(水)に20万人目のお客様をお迎えしました。
ご来場いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
さて、記念すべき20万人目のお客様は、横浜の堀内美里さんとお母様の真理子さん。
比較的空いていそうな雨の日を狙ってお越しいただいたそう。
美里さんには、東京国立博物館学芸企画部長 井上洋一より、記念品として特別展図録、展覧会オリジナルTシャツ、そしてマンガ『王家の紋章』とコラボした展覧会のミニガイドブックを贈呈しました。
「クレオパトラとエジプトの王妃展」20万人セレモニー
左から堀内真理子さん、美里さん、井上洋一学芸企画部長
9月9日(水)東京国立博物館 平成館ラウンジにて
堀内さん親子は、今日は国立科学博物館の「生命大躍進」展から当館の「ブルガリ」展と2つの展覧会を回ってのご来館!
大学で国際関係の勉強をしている美里さんは、「エジプトといえば、まずピラミッドやナイル川が生んだ肥沃な大地など、ステレオタイプなイメージだが、展覧会を通して知識を広げられれば」と語ってくださいました。
また、この夏に中国を訪れたばかりで中国史にも特に興味があり、10月27日(火)から始まる特別展「始皇帝と大兵馬俑」にも是非来てみたいとのこと。
兵馬俑展以外にも、トーハクではこのあとも続々と注目の展覧会やイベントが目白押し。
館内には「あ、こんなこともやるんだ!」という情報がたくさんありますので、チラシや看板、ポスターのチェックもお忘れなく。
さて。あっという間に9月も第2週。
シルバーウィークのご予定はお決まりでしょうか?
今週から表慶館では、「アート オブ ブルガリ 130年にわたるイタリアの美の至宝」も開幕しました(観覧には別料金が必要)。
同展ではエリザベス・テイラーが映画「クレオパトラ」で使用した衣装も展示されており、クレオパトラに関するコラボレーションが期せずして実現しています。
1度の来訪で2つの展覧会と出会える、1粒で2度おいしいトーハクへどうぞお越しください。
皆様のご来館を心よりお待ちしております。
カテゴリ:news、2015年度の特別展
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posted by 田村淳朗(広報室) at 2015年09月09日 (水)
「クレオパトラとエジプトの王妃展」のヒロイン、クレオパトラ。
彼女の人生を語るときに必ず登場するのが、アクティウムの海戦です。
今回の1089ブログは、特別編として、ギリシア・ローマ考古学が専門の青柳文化庁長官が、アクティウムの海戦を語ります。
紀元前31年9月2日、ギリシアのイオニア海側にある小さな町、アクティウムの沖でくり広げられた海戦は、ローマの命運を決した戦いでした。
カエサルが紀元前44年に暗殺されて以降、その名声と財産は二人の男に受け継がれました。
一人はカエサルの甥で弱冠19歳のオクタウィアヌス(のちのアウグストゥス)。
もう一人はカエサルと戦場をともにし、輝かしい戦功を挙げた将軍マルクス・アントニウス。
二人はカエサルの暗殺者たちを成敗するまでは互いに協力しあったばかりか、オクタウィアヌスの姉の小オクタヴィアがアントニウスと結婚し、強い絆で結ばれます。
しかし、東方世界を統治するためにエジプトに赴いたアントニウスはクレオパトラ(7世)とともに暮らすようになり、その地からローマ世界全体の支配を目論むようになります。
オクタウィアヌスと覇権をかけた戦いが不可避となった紀元前32年、両者はギリシアに進軍し総力戦の時期を互いにうかがっていました。
決戦の準備を進めていたマルクス・アントニウスは、アテネに滞在中、パルテノンの東側に並ぶ彫像のなかからディオニュソス像だけが崖下の劇場に落ちました。
このことをひどく気にしたアントニウスは、敗戦の予兆であることを懸命に打ち消し、自ら広言していたディオニュソス再来説を否定するほどでした。
カエサルとともに輝かしい武勲をあげた武将も、オクタウィアヌスの影におびえたのか、冷静な判断に欠けていた。
圧倒的な兵力を擁していながらクレオパトラの主張によって海上での戦いを選択したアントニウスは、アクティウム沖の海戦で決着をつける決心をし、陸上と海上の兵力すべてをアクティウム周辺に集結させました。
一方のオクタウィアヌス軍は歴戦の将軍であるアグリッパが指揮をとり、アントニウスとクレオパトラの艦隊を封じ込めるような戦陣をとります。
9月2日朝から小さな海上戦がいくつか繰り広げられましたが、互いに譲ることなく膠着状態になっていました。
この時、クレオパトラは自らの艦隊を率いて突如戦線を離脱するという行為にでます。
浮き足立ったエジプト軍は戦陣をたてなおすこともできず、ついにアントニウスも戦陣を離れ、クレオパトラの後を追うことにしました。
この結果、雌雄を決した海戦はオクタウィアヌスの勝利に終わったのです。
アクティウムの海戦のレリーフ
ローマ時代 ユリウス・クラウディウス朝(前27~後68年)
カルドナ公爵コレクション
(左)オクタウィアヌスが乗る船/(右)アントニウスが乗る船
海戦で敗退し、アレクサンドリアでの篭城戦に場所を移したものの結末は明らかでした。
翌年、武将にふさわしくアントニウスは自らの命を絶ちました。
アントニウスの死後、オクタウィアヌスに捕らえられたクレオパトラも、毒蛇に身を噛ませ、女王としての威厳をたもちながら亡くなります。
ほぼ1世紀にもおよぶ内乱が終結し、地中海域で唯一のこされていたエジプトは、オクタウィアヌスによって併合が完了しました。
本展覧会の最後の部屋に展示されている浮彫りは、このアクティウムの海戦を表すとされています。
100年もの長い内戦の末の決戦、アクティウムの海戦の様子を見ながら、エジプトを守るために身を犠牲にして活躍したクレオパトラにぜひ思いを寄せていただきたいと思います。
カテゴリ:2015年度の特別展
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posted by 青柳正規(文化庁長官) at 2015年09月09日 (水)
「クレオパトラとエジプトの王妃展」研究員のおすすめ作品(3)
「クレオパトラとエジプトの王妃展」で開催したキッズデーでは、何人かの子どもたちから古代エジプトのレリーフについての質問がありました。
レリーフとは、浮彫りとも呼ばれる平面を彫り込んで図像や装飾を表わしたものです。
今回の特別展では、数多くのレリーフが出品されていますが、「アメンヘテプ3世の王妃ティイのレリーフ」(No.140)はその代表。
これらのレリーフは本来、王宮や神殿などの壁を飾り、彩り与えていました。
古代エジプトのレリーフは、いずれも目が魅力的。
王妃ティイの瞳もまるでこちらを見つめているようです。
アメンヘテプ3世の王妃ティイのレリーフ
テーベ西岸、ウセルハト墓(TT47)出土
新王国・第18王朝時代 アメンヘテプ3世治世(前1388~前1350年頃)
ブリュッセル、王立美術歴史博物館蔵
(C)RMAH
さて、子どもたちからの質問はというと「どうしてレリーフのなかの人物はみんな横向きなの?」というものでした。
子どもたちの素直な発見にうれしくなり、一緒にレリーフのなかの登場人物のまねてみますが、うまくできません。
そこで初めて、子どもたちに古代エジプトのレリーフの表現方法のルールを説明しました。
古代エジプトのレリーフに表わされた人物は、顔や腕や足は横向き、目や肩は正面から表現されています。つまり、視点が一定ではなく、表現された人物の特徴が最もよく表された部分を組み合わせて描かれているのです。
さらに頭、胴、足の大きさの比にも規則があることで、レリーフのなかにたくさんの人物が登場しても整然とした印象を与えるのです。
さまざまな場面や物語をレリーフに表わすために、このような方法が古代エジプト美術では発展しました。
たくさんの人物が登場するレリーフの例として「王の養育係の長メリラーと王子のレリーフ」(No.68)を見てみましょう。
王の養育係の長メリラーと王子のレリーフ
(写真下左:レリーフ上段/写真下右:レリーフ下段)
サッカラ出土
新王国・第18王朝時代 アメンヘテプ3世治世(前1388~前1350年頃)
ウィーン美術史美術館蔵
Kunsthistorisches Museum Vienna
上下に2段に、ふたつの場面を表すレリーフ。
上段ではメリラーが妻と神に捧げものをする場面、下段には王子を育む場面が表現されています。
本展で皆さんを最初にお迎えするレリーフが「ラメセス2世のレリーフ」(No.9)です。
ラメセス2世のレリーフ
新王国・第19王朝時代 ラメセス2世治世(前1279~前1213年頃)
滋賀・MIHO MUSEUM蔵
地にはレリーフの表面を整えた際のノミ痕がうっすらと残る一方で、弓をひくラメセス(ラムセス)2世の姿が丁寧に彫られています。
ラメセス2世は王権を守護するウアジェト女神を象徴するコブラのついた青冠を被り、頭上には聖蛇ウラエウスがついた日輪が表現されています。
この日輪と青冠には当時の赤と青の彩色が残されています。
ラメセス2世は、ラメセス大王とも呼ばれる古代エジプトを代表するファラオです。
世界史の教科書では、ヒクソスとのカデシュの戦いの後、世界最古の国際条約である講和条約を結んだ王として登場することから、みなさんもご存知かと思います。
60年を超える長い治世の間に多くの神殿や記念物そして彫像を作った王としても著名です。
なかでも、よく知られるのがアブ・シンベル大神殿です。
そして愛する王妃ネフェルトイリのためにアブ・シンベル小神殿もつくりました。
本展では、古代エジプトのレリーフが数多く出品されています。
子どもたちの発見を参考に、ご覧になってみてください。
カテゴリ:研究員のイチオシ、2015年度の特別展
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posted by 品川欣也(特別展室主任研究員) at 2015年09月04日 (金)
2015年8月22日(土)、ファミリーワークショップ「親子でエジプト探検 in ナイト・ミュージアム」が行われました。
家族連れ19組、52名の皆さんが参加されました。
このワークショップは、東洋館2階3室で行われている特集、親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」と、ミュージアムシアターで上演している「東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ」に関連して行われました。
閉館時間の6時から始まったワークショップ。
東洋館のミュージアムシアターに、夕方から続々と親子連れの皆さんが集まり始めました。
まずはごあいさつ。
エジプトの壁画の研究を長年されている村治笙子先生と、探検隊ふうのいでたちの研究員(私です)が今日の案内役となります。
本日、ナイト・ミュージアムを探検するにあたり、参加者の皆さんのミッションは「古代エジプトの人たちの死生観について知ること」「ミイラについてくわしく知ること」です。
それでは展示室に出発!
…と思ったら、展示室のシャッターが閉まっていたので、すぐに警備スタッフの方に、開けていただきました。
…が!なんとシャッターの向こうの展示室が真っ暗です!
暗い展示室をのぞこうしたら、参加者のお一人が、「今日は探検だと思ったから」とヘッドライトを持参されていました。
準備万端、すばらしいです。
探検隊長(私です)のヘッドライトは、電池切れでした…。
無事に電気もついて、展示室に入ることができました。
3室の親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」では、まずいろいろな動物さがしをしました。
ネコ、ライオン、ヤマイヌ、トキ、ハヤブサ、カバなど、さまざまな動物が展示室に隠れていました。
村治先生によると、これらは、古代エジプトで信仰されていた神さまが、動物たちの姿で表わされているものなのだそうです。
動物たちは、人間にはない素晴らしい能力を備えた神聖な存在だったのですね。
神さまたちは「芸術」「知恵」「豊穣」「子宝」など、それぞれの守備範囲があり、その力を動物の姿であらわしたようです。
次はミイラのお話です。
参加者全員でミイラを取り囲みながら、観察して気がついた点を子どもたちが教えてくれました。
顔がまっくろ、髪の毛がない、布が巻かれている、いれものがまっくろだけど、字が書かれている!など、いろいろな意見が出ました。
村治先生からも、くわしくお話をしていただきました。
古代エジプトでは、死後の世界でも、永遠の命を授かり、生前と同じような暮らしを送ることが理想とされました。
そのために魂が戻る先として、体をミイラにして永遠に保存しようとしたのだそうです。
このミイラ、パシェリエンプタハさんという男性なのですが、この日は50人以上の参加者の皆さんに取り囲まれて、かなり賑やかでうれしかったのではないでしょうか。
このあと、子どもたちは「古代エジプトでは、死んだらどうなる?」というワークシートに挑戦しました。
4つのミステリーを解いたワークシートを機械にかざすと、ミイラがあらわれ「最後の暗号」を教えてくれるというもの。
あちこちで、「おぉー!」という驚きの声が上がっていました。
そして最後に、ミュージアムシアターに戻り、
スクリーンの上でミイラについて詳しく説明された映像を見ます。
ここで探検隊にかわって村治先生と共に皆さんを案内してくださるナビゲーターは、八木ファラ夫さんです。
再登場された村治先生は、なんとエジプトの王妃のようないでたちです!
ファラ夫さんが映像を操作し、パシェリエンプタハのミイラをCTスキャナーで撮影してわかったことを教えてくれました。
また、展示室で見たときにはまっくろに見えたカルトナージュ棺にはどんなもようが、どんな色で描かれていたのかも映像で再現されました。
展示室で見るのとは全くちがったその色鮮やかな様子に、驚いた方も多かったようです。
棺にはほかに、ヒエログリフという絵文字でさまざまな情報が書かれており、それも村治先生が解読してくれました。
「パシェリエンプタハさんに、神さまから供物と食料が与えられますように」
という内容で、彼が死後の世界で永遠に生きるために、のこされた人たちが願いをこめてこのミイラを作ったことがうかがえます。
今日のワークショップでは、古代エジプトの人たちが、死ぬことをどれだけ重く、大切に考えていたのかがよく分かりました。
死んだ人のためにお墓を建てたり、お墓参りに行く私たち日本人と、共通するところもあるような気がしますね。
夜8時までのワークショップでしたが、参加者の皆さん、目を輝かせながら最後まで楽しんでくださいました。
ナイト・ミュージアムは、また内容を変えていつかぜひ行いたいと思っています。
お楽しみに!
親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」(東洋館3室)は、9月13日(日)まで、
VR作品「東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ」(東洋館ミュージアムシアター)は、10月12日(月・祝)まで開催中です。
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posted by 藤田千織(教育普及室主任研究員) at 2015年09月03日 (木)