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特別展「禅―心をかたちに―」 もうひとつの見かた

「禅の美術かぁ、わかりにくそうだなあ」と思っている方、いらっしゃいませんか?

そういう方には、第2会場からご覧になることをご提案いたします。  

この特別展は、第2会場に、「第3章 戦国武将と近世の高僧」「第4章 禅の仏たち」「第5章 禅文化の広がり」 と題して、予備知識なしで楽しんでいただけるような作品をそろえています。  

第3章では、まず織田信長や豊臣秀吉といった戦国武将とその活躍を陰で支えた禅僧たちの関係をその肖像画や遺品を通してご紹介します。

    
(左) 織田信長像 (部分) 狩野永徳筆 安土桃山時代・天正12年(1584) 京都・大徳寺蔵 
展示期間:~11月6日(日)
(右) 重要文化財 豊臣秀吉像 西笑承兌賛 狩野光信筆 安土桃山時代・慶長4年(1599) 愛媛・宇和島伊達文化保存会蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

そのあと近世禅画を代表する白隠・僊厓の作品を見ていただきます。
戦国武将や歴史に関心のある方、また白隠・僊厓の禅画を楽しみたい方は、まずこちらへどうぞ。  

第4章では独特の姿や表現を示す禅宗寺院の仏像や仏画をご紹介いたします。  


重要文化財  伽藍神像 鎌倉時代・13世紀 神奈川・建長寺蔵

  
(左) 重要文化財 宝冠釈迦如来坐像 院吉・院広・院遵作 南北朝時代・観応3年(1352) 静岡・方広寺蔵
(右) 重要文化財 十八羅漢坐像のうち 羅怙羅尊者 范道生作 狩野光信筆 江戸時代・寛文4年(1664)  京都・萬福寺蔵

   
重要文化財 達磨・蝦蟇・鉄拐図 吉山明兆筆 室町時代・15世紀 京都・東福寺蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

 
第5章は(1)唐物、(2)茶の湯、(3)水墨画、(4)障壁画という4つのコーナーからなります。

(1)中国からもたらされた豪華な工芸品


重要文化財 椿尾長鳥堆朱盆 中国 元時代・14世紀 京都・興臨院蔵
展示期間:~11月6日(日)

 (2)茶碗や茶入などの茶の湯の名器

  
(左) 国宝 油滴天目 建窯 中国 南宋時代・12~13世紀 大阪市立東洋陶磁美術館蔵
(右) 唐物文琳茶入 銘「玉垣文琳」 中国 南宋時代・12~13世紀 埼玉・遠山記念館蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

(3)中国と日本の水墨画の至宝

  
重要文化財 龍虎図 伝牧谿筆  中国 南宋時代・咸淳5年(1269)  京都・大徳寺蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)


国宝 瓢鮎図 大岳周崇等三十一僧賛 大巧如拙筆 室町時代・15世紀 京都・退蔵院蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

  
国宝  秋冬山水図 雪舟等楊筆 室町時代・15世紀末~16世紀初 東京国立博物館蔵
展示期間:~11月6日(日)

(4)禅宗寺院の襖絵や屛風の絶品をご覧いただきます。

 
重要文化財 竹林猿猴図屛風 (部分) 長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀 京都・相国寺蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

 
重要文化財 南禅寺本坊小方丈障壁画のうち 群虎図 (部分) 狩野探幽筆  江戸時代・17世紀 京都・南禅寺蔵
場面替あり

禅宗寺院で育まれた美の広がりをご堪能ください。

そして、名宝でたどる禅の歴史の第1会場へ。
こんな見方をするのも、展覧会の楽しみ方のひとつかもしれません。

特別展「禅―心をかたちに―」は、11月27日(日)まで開催中です。(※会期中、展示替があります)
 

カテゴリ:研究員のイチオシ2016年度の特別展

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posted by 救仁郷秀明(列品管理課長) at 2016年10月31日 (月)

 

TNM & TOPPAN ミュージアムシアターが10万人目のお客様をお迎えしました!

2013年1月に東洋館でリニューアルオープンしましたTNM & TOPPAN ミュージアムシアターが10月21日(金)の16時の回を持ちまして、リニューアルオープンから10万人目のお客様をお迎えしました!

シアターホワイエ
10万人目をお迎えした作品は「安土城から檜図、そして二条城へ」


VR作品 「安土城から檜図、そして二条城へ」を鑑賞に来ていただいたお客様に上演後この回でご来場10万人達成したことをご報告し記念セレモニーがスタート!
東京国立博物館・銭谷眞美館長によるお礼のご挨拶と凸版印刷株式会社・中村直靖文化事業推進本部長からの記念品の贈呈についてお知らせすると、大きな歓声が沸き起こりました!

ご挨拶
左:銭谷眞美東京国立博物館長、右:中村直靖凸版印刷株式会社 文化事業推進本部長


銭谷館長から、会場の皆様を代表して東京都・府中市からお越しの迫田さんに記念品を贈呈いたしました。
迫田さんは、資料館時代からミュージアムシアターに足を運んでくださっているそうで、来館後真っ先にシアターに来てくださったとのことでした。シアター鑑賞後は禅展を観覧するそうです。
VR作品「安土城から檜図、そして二条城へ」の感想をお聞きしたところ、「シアターでは見どころを映像とナビゲートでじっくり鑑賞することができ、とても勉強になります。これから京都に行く予定があるので実物を見るのが楽しみです。」とお話くださいました。

記念品贈呈
迫田さんには銭谷館長より記念品の「洛中洛外図屛風(舟木本)」(当館所蔵)の
四分の一サイズの複製リーフレット(10万人記念シール付)を贈呈


VR作品 「安土城から檜図、そして二条城へ」は天下泰平の世を目指しその礎を築いた織田信長、豊臣秀吉、そして徳川将軍家ゆかりの金壁障壁画をめぐるツアーに参加することで、「安土城」・「檜図」・「二条城」の見所と金壁障壁画に投影された彼らの理想や夢を体感していただけます。詳細に作りこまれた映像をお楽しみいただくため、単眼鏡や双眼鏡などをお持ちの方は是非ともご利用ください。

VR上演後にはスクリーンに原寸大に作成した「二条城四の間」を映し、内部を自由に見ていただける操作体験に参加することが出来ます。実際に訪れても見ることが難しい高い位置の壁画や天井、欄間の様子まで克明に観ることができます。
VR作品 「安土城から檜図、そして二条城へ」の上演は12月23日(金・祝)までです!
 
ミュージアムシアターは水・木・金は12:00、13:00、14:00、15:00、16:00、土・日・祝・休日は11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00に上演しています。

 

カテゴリ:news催し物

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posted by 松本菜月(総務課) at 2016年10月27日 (木)

 

トーハクくんがゆく!「トラりんがやってきた!」

ほほーい、ぼくトーハクくん!
10月21日(金)、京都国立博物館からトラりんが特別展「禅-心をかたちに-」のPRもかねて遊びに来てくれたんだほ!


「禅」展 会場の平成館前でのスリーショット!

ぼくは今年の5月に初出張でトラりんに会いに行って以来の再会。ユリノキちゃんは初対面だったんだけど、2人はすぐに仲良くなったんだほ!



早速3人で展覧会会場の平成館玄関、ラウンジの写真コーナーや会場入口に登場したんだほ!



「禅」展 撮影コーナー(平成館ラウンジ)にて

トラりん人気はトーハクでもすごくって、本当にここはぼくのホーム?って思ったほ…。


トラりんの前にはたくさんの人が!

そうそう、トラりんから京都土産のお菓子(京都と言えば、というやつ)をもらったんだほ。早速食べたけどはにわクッキー並みにおいしくってびっくりしたほ。京都ってやっぱりすごいほ!トラりん、ありがほー!


トラりんからお土産をもらったほ!

トラりん、初めてのトーハクをとっても楽しんでくれたみたいでうれしかったほ。


トラりんもエスカレーターに乗って「禅」展会場入口へ

特別展「禅-心をかたちに-」は11月27日(日)までの開催だほ!国宝22件・重要文化財102件、禅の名宝がトーハクにいっぱい集まった見どころ満載の展覧会、たくさんの人に来てほしいんだほ!

さて、実は次にトラりんと会えるのはもうすぐなんだほ!11月5日(土)・6日(日)に愛媛県松山市で開催される「ゆるキャラ®グランプリin愛顔のえひめ」に3人で出場するんだほ!体調万全で思いっきり楽しんでくるほ!

カテゴリ:newsトーハクくん&ユリノキちゃん2016年度の特別展

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posted by トーハクくん at 2016年10月26日 (水)

 

秋の庭園開放が始まります!

今年は10月に入っても暑い日が続き、秋の訪れは遅いのかな?と思われましたが、10月下旬になり、ようやく風も心地よい、秋らしい陽気になってきました。

トーハクでは10月25日(火)より、「秋の庭園開放」が始まります(12月4日(日)まで)。
 

庭園風景
池のほとりのベンチも設置され、準備万端です


今年も庭園内の池には、鴨が飛来しています。池に遊ぶその姿は、訪れる皆さまの目を楽しませてくれることでしょう。

鴨
元気に羽ばたく鴨たち

鴨のほか、鵜がやってくることもあります。また、白鶺鴒(ハクセキレイ)などの野鳥も多く、さえずりが響きわたります。
都心のちょっとした野鳥の楽園なのかもしれません。

鵜
時には鵜も。よいエサがあるのでしょうか


おすすめポイントは、池の対岸から見る本館。
庭園公開をしているこの時期にしか見られない、本館のうしろ姿をぜひご覧ください。

池の対岸からみる本館
普段はお目にかかれない、本館のうしろ姿です


また、由緒ある5棟の茶室も、近寄ってご覧いただけます(茶室内にはお入りいただけません)。

茶室
春とはまた違う趣の茶室(写真は春草廬)もお楽しみください


そのほか、5代将軍徳川綱吉が法隆寺に献納した五重塔や、石碑、燈籠など、庭園を散策しながら探してみてください。

庭園内にはカフェが出店しますので、作品鑑賞の合間のコーヒーブレイクにどうぞご利用ください。


今年の上野公園の紅葉予報は11月下旬とのこと。
葉が色づくにはまだ少し早いですが、自然いっぱいのトーハクの庭園で秋を感じてみてはいかがでしょうか?
 

 2015年の紅葉
昨年(2015年)の紅葉です

 

カテゴリ:news催し物

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posted by 奥田 緑(広報室) at 2016年10月24日 (月)

 

【平安の秘仏】トーハクくん×研究員の仏像トーク(その1)

ほほーい! ぼく、トーハクくん!
今日は特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」を見に来たほ。
展覧会の担当研究員の西木さんと、会場入口で待ち合わせしているんだけど・・・
トーハクくん、こっちだよ!
↑西木研究員に似ているかもしれない重要文化財「観音菩薩立像(N-183)」/法隆寺宝物館第2室で展示中
あ、西木さん! こんにちは。
「平安の秘仏」展の会場は本館だよ。間違えないように注意してね。

大きな垂れ幕が目印です

さあ、展示室に行くほー!
ちょっと待って、トーハクくん。展示室に行く前に質問です。
ほ?
滋賀県といえば?
琵琶湖!
ほかには?
えーと、えーと?
滋賀県といえば、琵琶湖、T.M.Revolution、そして仏像だよ!
は、初耳だほ。
滋賀県民の常識です。
※西木研究員は滋賀県出身です。
・・・琵琶湖とT.M.Revolution(滋賀県出身のミュージシャンで滋賀ふるさと観光大使だほ。この前、展覧会を見に来てくれたほ)はわかるけど、え、仏像?
滋賀県は天台宗の総本山、比叡山延暦寺のお膝元だよ! 滋賀県には優れた仏像が多く、国宝・重要文化財に指定される仏像は奈良県、京都府についで第3位の件数なんだよ!! いわば滋賀県は仏像ワンダーランド!!!
ほとばしる滋賀県愛がまぶしいほ。
今回の展覧会は、仏像ワンダーランド・滋賀県の櫟野寺(らくやじ)につたわる、重要文化財の仏像全20体を紹介する展覧会なんだよ。
ほー。
じゃあ、さっそく展示室に行こう。

「なんでこんなに大きいの?」

重要文化財 十一面観音菩薩坐像
平安時代・10世紀
滋賀・櫟野寺蔵


!!!
櫟野寺のご本尊です。
お、大きい・・・。
像高約3.2m、台座と光背も含めると5mを超えるという、重要文化財に指定される十一面観音菩薩坐像では日本一の大きさだよ。
なんでこんなに大きな仏像をつくったんだほ?
これが仏像の理想のサイズなんだ。「仏様に願いを叶えてもらうには、決まった形・大きさで作らないといけない」って、経典に書いてあるんだよ。
こんなに大きいのが理想?
昔の単位で高さ一丈六尺。このサイズでつくられた像を丈六仏(じょうろくぶつ)と、言います。
一丈六尺?
立った状態、つまり立像で4.8m、坐像だと2.4mだね。
ほ? 2.4m?? さっき西木さんは、この観音様は3.2mって言ってたほ。
あ、気がついた? トーハクくん、鋭いね。
ふふん♪
仏像にはさまざま冠の形や髪型があるから、高さがそれに左右されないように、髪の毛の生え際ではかるんだよ。

あ、髪の毛の生え際だと約2.4mだほ!
ね、この像はまぎれもなく丈六仏でしょう?
と、いうことは、この観音さまにお祈りすれば、ぼくのお願いごとも叶えてもらえるってことだほ?!
叶うといいね(笑)。

「大好きなはにわクッキーをおなかいっぱい食べられますように」

いやはや、いくら理想のサイズとはいえ、つくるのにお金も時間もかかって、きっと大変だったんだほ。
実際のところ、かなり大変だったと思うよ。
我々も、運んで展示するのにかなり苦労したからね。観音の大きさを身をもって知ったよ・・・。
ああ、西木さんが遠い目をしているほ。
この像がお寺の外に出るのは、二度とないと思うよ。並大抵のことじゃないからね・・・。

「一木造の大観音」
こんなに大きなご本尊だけど、この像は一木造、つまり頭と胴体を1本の木から彫り出しているんだ。
ほー!
横から見ると元となった木の太さ、大きさが想像できるんじゃないかな。

きっと、とっても立派な木だったんだほ。
台座と光背を除いても740kgもあります。
ユリノキちゃんの体重の何倍かな・・・なんてことをしゃべったら、ユリノキちゃんに呼び出されるところだったほ。危なかったほ。
トーハクくんも、苦労しているんだね(苦笑)。
この一木造ならではの重量感も、この像の魅力だと思うんだ。

「大観音は誰がつくったの?」

現在の櫟野寺本堂(滋賀県甲賀市)

こんなに大きな観音様を、一体誰がつくったんだほ?
うーん、実は記録が残っていなくて、よくわからないんだけど、「最澄(さいちょう)がイチイの大木に仏像を刻んだのが寺の始まり」と、櫟野寺に伝わっているんだ。
最澄さん、よく聞く名前だほ。
日本に天台宗を広めた、平安時代初期のお坊さんだね。
この観音像は、最澄の頃から150年ほどくだった10世紀中頃につくられたものだけど、この時期に延暦寺が、櫟野寺のある滋賀県・湖南地域で布教をしていたようなんだ。だから、この観音像も布教の過程で、延暦寺に関係のある工房でつくられたんじゃないかな。


それにしても、穏やかできれいなお顔だほ。ほっとするほ~。

お顔に注目するとはお目が高い! じゃあ、次は仏像のお顔について話そうか。
ほー!

~【平安の秘仏】トーハクくん×研究員の仏像トーク(その2)に続く~

カテゴリ:研究員のイチオシトーハクくん&ユリノキちゃん2016年度の特別展

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posted by トーハクくん at 2016年10月21日 (金)