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1089ブログ

「クレオパトラとエジプトの王妃展」研究員のおすすめ作品(3)

「クレオパトラとエジプトの王妃展」で開催したキッズデーでは、何人かの子どもたちから古代エジプトのレリーフについての質問がありました。
レリーフとは、浮彫りとも呼ばれる平面を彫り込んで図像や装飾を表わしたものです。

今回の特別展では、数多くのレリーフが出品されていますが、「アメンヘテプ3世の王妃ティイのレリーフ」(No.140)はその代表。
これらのレリーフは本来、王宮や神殿などの壁を飾り、彩り与えていました。
古代エジプトのレリーフは、いずれも目が魅力的。
王妃ティイの瞳もまるでこちらを見つめているようです。


アメンヘテプ3世の王妃ティイのレリーフ
テーベ西岸、ウセルハト墓(TT47)出土
新王国・第18王朝時代 アメンヘテプ3世治世(前1388~前1350年頃)
ブリュッセル、王立美術歴史博物館蔵
(C)RMAH



さて、子どもたちからの質問はというと「どうしてレリーフのなかの人物はみんな横向きなの?」というものでした。
子どもたちの素直な発見にうれしくなり、一緒にレリーフのなかの登場人物のまねてみますが、うまくできません。
そこで初めて、子どもたちに古代エジプトのレリーフの表現方法のルールを説明しました。
古代エジプトのレリーフに表わされた人物は、顔や腕や足は横向き、目や肩は正面から表現されています。つまり、視点が一定ではなく、表現された人物の特徴が最もよく表された部分を組み合わせて描かれているのです。
さらに頭、胴、足の大きさの比にも規則があることで、レリーフのなかにたくさんの人物が登場しても整然とした印象を与えるのです。
さまざまな場面や物語をレリーフに表わすために、このような方法が古代エジプト美術では発展しました。

たくさんの人物が登場するレリーフの例として「王の養育係の長メリラーと王子のレリーフ」(No.68)を見てみましょう。


 
王の養育係の長メリラーと王子のレリーフ
(写真下左:レリーフ上段/写真下右:レリーフ下段)
サッカラ出土
新王国・第18王朝時代 アメンヘテプ3世治世(前1388~前1350年頃)
ウィーン美術史美術館蔵
Kunsthistorisches Museum Vienna


上下に2段に、ふたつの場面を表すレリーフ。
上段ではメリラーが妻と神に捧げものをする場面、下段には王子を育む場面が表現されています。


本展で皆さんを最初にお迎えするレリーフが「ラメセス2世のレリーフ」(No.9)です。

ラメセス2世のレリーフ
新王国・第19王朝時代 ラメセス2世治世(前1279~前1213年頃)
滋賀・MIHO MUSEUM蔵


地にはレリーフの表面を整えた際のノミ痕がうっすらと残る一方で、弓をひくラメセス(ラムセス)2世の姿が丁寧に彫られています。
ラメセス2世は王権を守護するウアジェト女神を象徴するコブラのついた青冠を被り、頭上には聖蛇ウラエウスがついた日輪が表現されています。
この日輪と青冠には当時の赤と青の彩色が残されています。

ラメセス2世は、ラメセス大王とも呼ばれる古代エジプトを代表するファラオです。
世界史の教科書では、ヒクソスとのカデシュの戦いの後、世界最古の国際条約である講和条約を結んだ王として登場することから、みなさんもご存知かと思います。
60年を超える長い治世の間に多くの神殿や記念物そして彫像を作った王としても著名です。
なかでも、よく知られるのがアブ・シンベル大神殿です。
そして愛する王妃ネフェルトイリのためにアブ・シンベル小神殿もつくりました。

本展では、古代エジプトのレリーフが数多く出品されています。
子どもたちの発見を参考に、ご覧になってみてください。

カテゴリ:研究員のイチオシ2015年度の特別展

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posted by 品川欣也(特別展室主任研究員) at 2015年09月04日 (金)

 

親子でエジプト探検 in ナイト・ミュージアム

2015年8月22日(土)、ファミリーワークショップ「親子でエジプト探検 in ナイト・ミュージアム」が行われました。
家族連れ19組、52名の皆さんが参加されました。

このワークショップは、東洋館2階3室で行われている特集、親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」と、ミュージアムシアターで上演している「東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ」に関連して行われました。

閉館時間の6時から始まったワークショップ。
東洋館のミュージアムシアターに、夕方から続々と親子連れの皆さんが集まり始めました。
シアターにて

まずはごあいさつ。
エジプトの壁画の研究を長年されている村治笙子先生と、探検隊ふうのいでたちの研究員(私です)が今日の案内役となります。
ごあいさつ

本日、ナイト・ミュージアムを探検するにあたり、参加者の皆さんのミッションは「古代エジプトの人たちの死生観について知ること」「ミイラについてくわしく知ること」です。

それでは展示室に出発!

…と思ったら、展示室のシャッターが閉まっていたので、すぐに警備スタッフの方に、開けていただきました。

…が!なんとシャッターの向こうの展示室が真っ暗です!
暗い展示室をのぞこうしたら、参加者のお一人が、「今日は探検だと思ったから」とヘッドライトを持参されていました。
準備万端、すばらしいです。
探検隊長(私です)のヘッドライトは、電池切れでした…。
展示室へ

無事に電気もついて、展示室に入ることができました。
3室の親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」では、まずいろいろな動物さがしをしました。
展示室

ネコ、ライオン、ヤマイヌ、トキ、ハヤブサ、カバなど、さまざまな動物が展示室に隠れていました。
村治先生によると、これらは、古代エジプトで信仰されていた神さまが、動物たちの姿で表わされているものなのだそうです。
動物たちは、人間にはない素晴らしい能力を備えた神聖な存在だったのですね。
神さまたちは「芸術」「知恵」「豊穣」「子宝」など、それぞれの守備範囲があり、その力を動物の姿であらわしたようです。

展示室にて解説

次はミイラのお話です。
参加者全員でミイラを取り囲みながら、観察して気がついた点を子どもたちが教えてくれました。
顔がまっくろ、髪の毛がない、布が巻かれている、いれものがまっくろだけど、字が書かれている!など、いろいろな意見が出ました。
村治先生からも、くわしくお話をしていただきました。

古代エジプトでは、死後の世界でも、永遠の命を授かり、生前と同じような暮らしを送ることが理想とされました。
そのために魂が戻る先として、体をミイラにして永遠に保存しようとしたのだそうです。

ミイラをみる子どもたち

このミイラ、パシェリエンプタハさんという男性なのですが、この日は50人以上の参加者の皆さんに取り囲まれて、かなり賑やかでうれしかったのではないでしょうか。

このあと、子どもたちは「古代エジプトでは、死んだらどうなる?」というワークシートに挑戦しました。
ワークシート

4つのミステリーを解いたワークシートを機械にかざすと、ミイラがあらわれ「最後の暗号」を教えてくれるというもの。
あちこちで、「おぉー!」という驚きの声が上がっていました。

そして最後に、ミュージアムシアターに戻り、
スクリーンの上でミイラについて詳しく説明された映像を見ます。
ここで探検隊にかわって村治先生と共に皆さんを案内してくださるナビゲーターは、八木ファラ夫さんです。
再登場された村治先生は、なんとエジプトの王妃のようないでたちです!

村治先生と八木ファラ夫さん

ファラ夫さんが映像を操作し、パシェリエンプタハのミイラをCTスキャナーで撮影してわかったことを教えてくれました。

ミイラ映像の解説


また、展示室で見たときにはまっくろに見えたカルトナージュ棺にはどんなもようが、どんな色で描かれていたのかも映像で再現されました。
展示室で見るのとは全くちがったその色鮮やかな様子に、驚いた方も多かったようです。

棺にはほかに、ヒエログリフという絵文字でさまざまな情報が書かれており、それも村治先生が解読してくれました。
「パシェリエンプタハさんに、神さまから供物と食料が与えられますように」
という内容で、彼が死後の世界で永遠に生きるために、のこされた人たちが願いをこめてこのミイラを作ったことがうかがえます。

今日のワークショップでは、古代エジプトの人たちが、死ぬことをどれだけ重く、大切に考えていたのかがよく分かりました。
死んだ人のためにお墓を建てたり、お墓参りに行く私たち日本人と、共通するところもあるような気がしますね。

夜8時までのワークショップでしたが、参加者の皆さん、目を輝かせながら最後まで楽しんでくださいました。

参加者

ナイト・ミュージアムは、また内容を変えていつかぜひ行いたいと思っています。
お楽しみに!



  親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」(東洋館3室)は、9月13日(日)まで、
VR作品「東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ」(東洋館ミュージアムシアター)は、10月12日(月・祝)まで開催中です。
 

カテゴリ:教育普及特集・特別公開

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posted by 藤田千織(教育普及室主任研究員) at 2015年09月03日 (木)

 

「クレオパトラとエジプトの王妃展」研究員のおすすめ作品(2)

「クレオパトラとエジプトの王妃展」はおもしろい。

これまでのエジプト展といえば、どこに行ってもファラオ、ファラオ、ファラオ。
もうそろそろファラオ展はいいだろう。
むしろ近年研究が進んできた王妃や女王に焦点を当て、新たな視点で古代エジプトを俯瞰してはどうか。
これが今回の企画の出発点だった。

王妃・女王といえばクレオパトラ(クレオパトラ7世)。
よし、クレオパトラ展だ!
しかし、大きな問題あり。
クレオパトラに関するモノが圧倒的に少ない。これはクレオパトラのお墓が発見されていないことや彼女が住んでいた王宮が海に沈んでしまったからともいわれる。
では、クレオパトラ以外の王妃・女王たちにもご登場いただこう。

しかし、強敵がいた。
昨年、東京都美術館で開催された「メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神」。
先を越されたか?!
でも、待てよ。この展覧会はメトロポリタン美術館の所蔵品のみで構成されたもの。
これに対し、当方は世界14ヵ国から集められた作品群で構成。文字通り世界中から王妃・女王に関する作品を集めたものだ。コンセプトは似て非なるもの。
気を取り直し、みんなでがんばった成果がこの特別展。
そして、実際展示されている作品も王妃や女王のものだけではない。ここに彼女たちを取り巻く男たちの物語も仕込まれている。それが最後の展示室で展開されているのだ。

ここには、クレオパトラを取り巻く3人の男たちの肖像が並ぶ。
まずはカエサル(No.169)。

カエサル
ローマ時代(前27~前20年頃) イタリア出土
ヴァチカン美術館蔵


言わずと知れたローマの英雄。しかし、巷では「ハゲの女たらし」「借金王」そして「遅咲きの英雄」などと揶揄されたともいう。
前髪を垂らしたその髪型は、後に「シーザーカット(カエサルカット)」と呼ばれ、ヨーロッパでは古くから男性の典型的な髪型の一つとして定着。
この像は老練な軍人・政治家としてのカエサルを表現したものとされるが、その表情からは「ハゲの女たらし」までを読み取ることはできない。
権力闘争に敗れ、一時王位を失ったクレオパトラはローマの時の権力者カエサルに保護を求める。
カエサルは彼女の魅力、知性に呑み込まれたのか、彼女を援護し、見事、エジプトの女王に復活させる。
クレオパトラに魅せられ、メロメロになったなどといわれるカエサルであるが、彼女を正式な「妻」とすることはなかった。
彼は彼女を政治的に利用したに過ぎないとする説すらある。
カエサルはクレオパトラをあくまで「愛人」としてクールに愛したのではないか。
これぞ大人の恋の駆け引きか。

次に、アントニウス(No.170)

アントニウス
ローマ時代(後1世紀頃) イタリア出土
ヴァチカン美術館蔵


カエサルの部下として数々の戦いで活躍。共和政ローマの軍人であり政治家。
帝政ローマのギリシア人著述家プルタルコスは、「アントニウスは威厳に満ちたオーラを放ち、張りでた額や高い鼻はヘラクレスを思わせる男性的な力強さをもっていた」と記している。
この表現にぴったりなのが、このアントニウスの像だ。

紀元前44年にカエサルが暗殺されるとクレオパトラはこのアントニウスに近づく。
そしてカエサル同様、アントニウスもクレオパトラの虜になり、彼女と運命を共にする。
No.173の銀貨の表裏それぞれに刻まれた二人の肖像が端的に当時の二人の関係を物語っている。
 
クレオパトラとアントニウスの銀貨
(左)クレオパトラ (右)アントニウス
プトレマイオス朝時代 クレオパトラ7世治世(前51~前30年)
シリア出土
古代オリエント博物館蔵


アクティウムの海戦で大敗したアントニウスとクレオパトラ。クレオパトラは先にアレキサンドリアに撤退。
これを追ってアントニウスもアレキサンドリアへ。そこでアントニウスはクレオパトラの死を告げられる。
しかし、これは誤報。そうとも知らず彼は失意のうちにクレオパトラの後を追うかたちで自殺。
男の美学がここにある。
これを知ったクレオパトラはそのおよそ10日後、オクタウィアヌスのはからいを受け入れず、自害。
39年の生涯を終える。

最後に、オクタウィアヌス(No.171)。

オクタウィアヌス
ローマ時代(前30年頃) ローマ出土
大英博物館蔵


カエサルはクレオパトラとの間に儲けたカエサリオンではなく、養子であるこのオクタウィアヌスを後継者とした。
先にも記したように、アクティウムの海戦でアントニウスとクレオパトラを敗り、二人を死に追いやり、古代エジプト最後の王朝、プトレマイオス朝を終わらせた男。この像は理想化された若きオクタウィアヌス。
その表情はきわめて冷静。
彼は若い頃は病弱で、いつも腹巻・襟巻・毛の帽子を離さず、薬も持ち歩いていたという。
しかし、意志力と決断力は優れていたといわれる。
この力こそ、後にローマ帝国初代皇帝として君臨するアウグストゥスを生んだのである。

このオクタウィアヌスは他の二人の男たちのようにクレオパトラに惚れなかったのか。
もうクレオパトラなど何の役にも立たず、と切り捨てたのか。
逆に、クレオパトラも女を武器に彼に近づかなかったのか。
いや、愛するアントニウスを死に追いやった憎き敵将になど心許せるはずはなかったか。
多くの疑問が頭をよぎる。

いずれにせよ、自ら死を選んだクレオパトラ。
クレオパトラはこうした男たちがいたからこそ歴史に名を遺す女王として古代エジプトに君臨したのである。

世の女性たちよ。この展覧会は、いかに女性が偉大なる存在であるのかを確認するものであるが、こうした三者三様の男たちの物語もどうぞお忘れなく。

最後にカエサルの名言、「来た、見た、勝った!」をもじり、この展覧会を次の言葉で締めくくるとしよう。
「来た、見た、よかった!」

カテゴリ:研究員のイチオシ2015年度の特別展

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posted by 井上洋一(学芸企画部長) at 2015年08月28日 (金)

 

トーハクくんのなるほートーハク「考古展示室を潜入調査だほ」

トーハクくんとユリノキちゃんがやってきたのは、リニューアルのため休室中の平成館考古展示室
本日のミッションは、10月14日(水)にリニューアルオープンを控えた考古展示室への潜入調査です。
さてさて、考古展示室はどのように変わるのでしょう?
※今回は、『東京国立博物館ニュース8・9月号』掲載の記事に加筆した、特別バージョンでお届けします。


このトビラの奥に、リニューアルのひみつが隠されているんだほ

いよいよ調査スタート!


1.大スター「挂甲の武人」にいきなり遭遇!
ほー! 挂甲の武人(けいこうのぶじん)さんだほ。
トーハクで大人気の埴輪(はにわ)のひとつね。
武人なのに、あどけないかわいい表情をしていて、このギャップにキュンとしちゃうわ。
いきなりスターを投入してユリノキちゃんをときめかせるなんて、新しい考古展示室はハートをつかむのがうまいんだほ。
スターどころか、トーハクの王子様よ!
むむ。同じ埴輪としてちょっとジェラシーなんだほ…。

 
国宝 埴輪 挂甲の武人
群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀
※(左)現在、展示ケース内の「埴輪 挂甲の武人」はレプリカです


考古展示室に入ってすぐ、2人が出会ったのは国宝「埴輪 挂甲の武人」。
トーハク所蔵の埴輪のなかでも抜群の知名度を誇る作品です。
リニューアルを機に、専用のケースを新設しました。
新しい考古展示室では、トーハクのスター、もといプリンスが皆様をお出迎えします。

 ↓

2.もしかして、展示が見やすくなった・・・?
あれ…? そういえば、なんだか展示ケースのなかが見やすくなった気がするほ?
そういわれてみれば、あまりケース越しって感じがしないわ。
もしかして、特別展示室のようにガラスの反射がおさえられているんじゃないかしら?
きっと照明も変わったんだほ。だから見やすいんだほ。
こういう展示室の環境だと、つくりの細かい作品もじっくり見られるわね。

 
まだ作品は展示されていませんが、腕利き調査員(自称)である2人は、展示ケース内がリニューアル前に比べて、より見やすくなっていることに気がつきました。
展示ケースのガラスには低反射フィルムが貼られ、さらにLED照明や有機EL照明も導入し、作品が一層見やすくなります。

やっぱり見やすくなったんだほ。気がついたぼくはスゴイんだほ。
はいはい(ため息)。

 ↓

3.展示がバージョンアップ!!
リニューアルっていうわりには、壁沿いのケースはそのままみたいだけど…。
ふふふ…。ユリノキちゃんは、まだまだなんだほ。
な、なによ。
確かに壁沿いのケースはそのままだけど、新しい展示室では、壁沿いに展示を一周すると、日本の歴史がたどれるようになったんだほ。
!!!
時代ごとの「テーマ展示」もあって、各時代についてもっと深く知ることができるんだほ。
なんで、トーハクくんがそんなことまで知っているの?
それはもちろん、ここに来る前に研究員さんにお話を聞いてきたからだほ。
もう、ひとりで行くなんてずるいじゃない!
ふふん♪ どんな展示になるか、今から楽しみなんだほー!

通史展示  
(左)壁沿いのケースでは「通史展示」を展開します
(中央)重要文化財 みみずく土偶(どぐう)
埼玉県さいたま市 真福寺貝塚出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年

縄文人の祈りの形を紹介するテーマ展示で展示されます
(右)素弁蓮華文軒丸瓦(そべんれんげもんのきまるがわら)
奈良県明日香村 飛鳥寺出土 飛鳥時代・6~7世紀
飛鳥時代の瓦のコーナーでは、瓦がどのように葺かれていたかがわかるような展示方法をとります

思わぬトーハクくんの抜け駆けでしたが、おかげでどんな展示構成になるかがわかりましたね。
展示は、大きくは「通史展示」と「テーマ展示」の2種類。
まず、壁沿いに展示室をぐるりと一周すると、旧石器時代から江戸時代まで、考古学で日本の歴史が追えるようになります。
また、テーマ展示によって各時代についての理解を深めることができます。
さらに、展示方法自体の見直しもしているので、リニューアル前よりも一層わかりやすい展示室になります。
随所に工夫を凝らした展示に、ご期待ください。

 ↓

4.展示室 in 展示室。謎の小部屋を発見!
こ、こんなコーナーは今までなかったほ。意味ありげな空間だほ。
これは何かスゴイものが展示されるんじゃないかしら?
中にあるのは、展示台がひとつと展示ケースがひとつだけだほ。
つまり、ここには2件の作品しか展示しない…?
そんなスペシャルな作品って何なんだほ?


2人の推理どおり、この独立コーナーに展示されるのはたった2件。
江田船山古墳出土の国宝「銀象嵌銘大刀(ぎんぞうがんめいたち)」と岩戸山古墳出土の重要文化財「石人(せきじん)」です。
「銀象嵌銘大刀」は古墳時代の漢字の使用例として大変貴重な作品で、「石人」は埴輪と一緒に古墳に立てられたもので、北部九州地方の一部にしか見られない独特の作品です。


(左・中央)国宝 銀象嵌銘大刀
熊本県玉名郡和水町 江田船山古墳出土 古墳時代・5~6世紀

(右)重要文化財 石人
福岡県八女市吉田 岩戸山古墳出土 古墳時代・6世紀


 ↓

5.埴輪の展示がダイナミックに生まれ変わる!
ほー! このおっきな展示台はもしかして…
ま、まさか…
埴輪の展示台なんだほ?!
リニューアル後は2つの展示台が並んで設置されるのね。
ここにズラリと埴輪(ともだち※)が展示されるんだほ。すごい迫力なんだほ!!
※埴輪と書いてともだちと読む。埴輪であるトーハクくんにとって、形や時代の違いはあっても、埴輪はみんな友達なのです。


リニューアル前の考古展示室のハイライトといえば、埴輪の露出展示です。
この埴輪の展示がリニューアルによって、さらにパワーアップ!
展示台は2つとも作り直し、今までは離れて設置されていたのを、2つが連なるように置かれます。
埴輪がズラリと展示された展示台が連なる様子は、想像するだけでも興奮の迫力です!

 ↓
調査終了!

なるほー! リニューアルで考古展示室はいろんなところが新しくなるんだほ。
リニューアル前よりもさらに見やすく、わかりやすい展示室になりそう!
10月14日(水)のリニューアルオープンが楽しみなんだほー!

最後に皆様にお知らせです。
考古展示室リニューアルオープンにあたり、我らがトーハクくんが広報大使を務めることになりました。
リニューアルオープン後、1089ブログで考古展示室の見どころを、トーハクくんがたくさんご紹介する予定です。
どうぞお楽しみに!

カテゴリ:考古トーハクくん&ユリノキちゃん展示環境・たてもの

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posted by トーハクくん at 2015年08月21日 (金)

 

トーハクくんのおつかい~「クレオパトラとエジプトの王妃展」編~

ほほーい! ぼくトーハクくん!
ユリノキちゃんが「女子力の高いグッズが欲しいわ」って言うから、「クレオパトラとエジプトの王妃展」のグッズショップにやって来たほ。
展覧会では、古代エジプトのキレイなお姉さんたちに会えるって聞いたんだほ~(でれでれ)。
きっとキレイなお姉さんのグッズもいっぱいなんだほ。楽しみなんだほ~(妄想中)。



おおっ! さっそくキレイな4人のお姉さんを発見だほ!!

ミニ付箋 400円(税込)

イラストからフキダシが出ていて、ちょっとした伝言にも使えて便利なんだほ。
ユリノキちゃんからのお願いごとも、この付せんに書いてあったら、きっと断れないんだほ・・・。

ああっ! 4人のお姉さんがお菓子になっているほ!!
 
千寿せんべい(5枚入り) 1188円(税込)

クッキー生地にクリームをはさんだお菓子で、クッキー生地には4人のイラストが描いてあるんだほ!
イラストがかわいくて、食べるのがもったいないんだほ・・・。
でも、ユリノキちゃんに食べられちゃうから、帰ったらすぐに食べるんだほ。

今回は、特に王妃ティイのグッズが大人気だって聞いたほ。

クリアファイル 400円(税込)

ティイは、展覧会で注目している王妃さまのひとりなんだほ。
王さま(アメンヘテプ3世)に、とってもとっても大事にされていたらしいほ。“とりこ”ってやつだほ。
王さまだけじゃなく、展覧会のお客様にも人気だなんて、スゴイ王妃さまなんだほ。
ちなみにティイのまわりのお花も、展示作品だほ。第2章「華やかな王宮の日々」の会場で探してみてだほ。

ティイのグッズがあまりに人気だから、8月12日(水)から新商品が追加されたんだほ。
「ティイのティーキャンディ」・・・ぷっ(笑)。
紅茶味のキャンディだほ。

ティイのティーキャンディ 650円(税込)

人気者は大忙しだほ。ぼくと一緒なんだほ~。
※ツッコミ役のユリノキちゃんがいないので、さくさく進めます。

エジプト塩も人気なんだほ。
数種類のナッツとスパイス、天然塩などを組み合わせた、いま、お料理好きの間でじわじわきている調味料らしいほ。


さらに! 今回は展覧会オリジナル商品として「クレオパトラ塩」も作ってもらったんだほ!
 
(写真左/上)クレオパトラ塩 1620円(税込) (右)エジプト塩 880円(税込)

ビンのふたを開けると、ふわっと異国の香り(※)がするんだほ~。
※サフランの香りです。
クレオパトラ塩にはミニレシピが付いているから、「使い方がわからない」っていう人も安心だほ。
ビンもかわいいし、これならユリノキちゃんも満足してくれるはずだほ!

王妃さまや女王さまが主役の展覧会だけに、今回はかわいいグッズが多かったほ。
みんな、ショップにも忘れずにお立ち寄りくださいだほー!

カテゴリ:2015年度の特別展

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posted by トーハクくん at 2015年08月14日 (金)