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夏到来!特別展「三国志」へ、いざ参らん!

2019年、今年も暑い夏の季節がやってきましたね。
トーハクではそんな夏の暑さにも負けない、この夏一番アツい展覧会、特別展「三国志」が絶賛開催中です!



三国志は、小説、漫画、人形劇、ゲームなど様々なかたちで多くの人々に長年親しまれてきました。
本展は三国志に登場するあの武将、あの戦い、あの名場面にまつわる選りすぐりの文物を中国各地から集めました。
その数、161件。なんと8割以上が日本初公開となります!
本物の文物を見ることで、「三国志の時代は本当にあったんだ!」とリアルに感じられます。

それでは「リアル三国志」の世界を少し覗いてみましょう。


入口には「会場内全作品撮影OK」の看板が。



な、なんと、今回の特別展「三国志」は全作品写真撮影OKなのです!(ただし、映像作品を除きます)
フラッシュ使用禁止など、ルールを守って展示と撮影をお楽しみください。
撮影の注意事項の詳細はこちらをご確認ください。

会場に入るとまずは、「プロローグ 伝説のなかの三国志」。
本展メインビジュアルの関羽像(かんうぞう)が出迎えます。


関羽像 
青銅製 明時代・15~16世紀 新郷市博物館蔵


威厳のある凛々しい顔立ち、引き締まった体躯、堂々としたたたずまい、必見の「美関羽」です。
本展担当研究員いわく、右下から見るのがベストアングルとのこと。(目が合うのだそうです)




続く、「第1章 曹操(そうそう)・劉備(りゅうび)・孫権(そんけん) 英傑たちのルーツ」では魏・蜀・呉の基盤を作った曹操、劉備、孫権それぞれのルーツが垣間見える文物が並びます。


貨客船 
土製 後漢~三国時代(呉)・3世紀 2010年、広西チワン族自治区貴港市梁君垌14号墓出土 広西文物保護与考古研究所蔵


貨客船(かきゃくせん)は漢から三国時代にかけて、呉の沿岸部の墓で出土した船形模型です。
対外交易がさかんだった海洋国家・呉ならではのものです。
複数の船室、波よけの壁などの船の構造や、船を漕ぐ人々の様子が詳細に作られており、呉の孫権を支えた、高度な海洋技術がうかがえます。


「第2章 漢王朝の光と影」では、漢王朝の栄華から、衰退、三国時代の幕開けを伝えます。

穀倉楼(こくそうろう)は河南省焦作市より集中的に出土した穀物倉庫の模型です。


一級文物 五層穀倉楼
土製、彩色 後漢時代・2世紀 1973年、河南省焦作市山陽区馬作出土 焦作市博物館蔵


大きくてとてもゴージャス!
このような壮麗な穀物倉庫が建てられるくらい、この土地は豊かな穀倉地帯であったのでしょう。
後漢王朝のラストエンペラーである献帝(けんてい)は、魏の文帝・曹丕(ぶんてい・そうひ)に皇帝の位を譲りました。
その後、献帝は一貴族として余生を過ごすことになるのですが、その時に曹丕からあてがわれたのがこうした穀物倉庫の模型が出土する山陽(河南省焦作市)だったのです。
後漢が滅んだ後も献帝は厚遇されていたことが分かります。


「第3章 魏・蜀・呉 三国の鼎立(ていりつ)」の見どころはこちら。



なんということでしょう!展示室の天井や壁には、雨あられのごとく降り注ぐ大量の矢が!その数1500本!
三国志の時代の、水上戦の様子をイメージした大迫力の展示空間が広がります。
ここでは、当時の戦いで使用された武器をご鑑賞いただけます。


一級文物 弩(ど)
[弩機]青銅製 [木臂]木製 三国時代(呉)・黄武元年(222)1972年、湖北省荊州市紀南城出土 湖北省博物館蔵

弩は現在でいうクロスボウのような武器で三国志の時代で多用されました


※三国志の時代の武器について詳しくは、こちらのブログもご覧ください。

さらに、展示室内にはコーエーテクモゲームスのゲームシリーズ「真・三國無双」に登場する張飛が愛用した武器の蛇矛(じゃぼう)を再現する展示企画も。
『三国志演義』によると、張飛の蛇矛は一丈八尺(約4メートル)と記されており、これに基づき再現しました。
実際のところ、三国時代の出土例は無く、張飛の時代に蛇矛が存在していたかはわかっていません。
本展は、三国時代から数百年以上前のものとされる雲南省で出土した蛇矛を、再現した蛇矛と並べて展示しています。
是非、見比べてみてください。


再現した「真・三國無双」の張飛の蛇矛


蛇矛 
青銅製、鍍錫 石寨山文化期・前2世紀 1956年、雲南省昆明市石寨山3号墓出土 雲南省博物館蔵



「第4章 三国歴訪」では魏・蜀・呉、三国の特色や風土を感じましょう。

例えば、中国で副葬品として用いられた人形である、俑を見てみると三国の違いがよくわかります。
蜀の俑を見てみましょう。


舞踏俑(ぶとうよう)(右)
石製 後漢~三国時代(蜀)・2~3世紀 重慶市出土 四川博物院蔵
舞踏俑(左)
石製 後漢~三国時代(蜀)・2~3世紀 重慶市出土 重慶中国三峡博物館蔵


表情にご注目ください。ニコニコしています!笑顔が素敵な人っていいですよね。
蜀の地の豊かさを表していると考えられます。

魏と呉の俑も展示されていますので、比較して見るのも面白いです。
※魏の俑は第5章にあります。

そしてついに本展のクライマックス、「第5章 曹操高陵と三国大墓」。
三国志研究史上、最大の発見となる魏の王、曹操のお墓である、曹操高陵(そうそうこうりょう)からの貴重な出土品に出会えます。

展示室内には曹操高陵の墓室の一部を実寸大で再現したエリアが!
厳かな雰囲気をヒシヒシと感じられます。


本展会場に実寸で再現した曹操高陵の内部

ここには、曹操高陵から出土した白磁の容器、罐(かん)が展示されています。


一級文物 
白磁 後漢~三国時代(魏)・3世紀 2008~2009年、河南省安陽市曹操高陵出土 河南省文物考古研究院蔵

白磁の誕生は、6世紀後半の隋の時代と考えられていますが、本品はこれを300年以上さかのぼります。
小さいながらも、とても丁寧に作られているのがわかります。

※曹操高陵について詳しくは、こちらのブログもご覧ください。


最後は「エピローグ 三国の終焉 - 天下は誰の手に」。
本展をしめくくるのは世界一短い『三国志』、「晋平呉天下大平」磚(「しんごをたいらげてんかたいへい」せん)。


「晋平呉天下大平」磚 
土製 西晋時代・280年 1985年、江蘇省南京市江寧区索墅磚瓦廠1号墓出土 南京市博物総館蔵

「晋が呉を平らげ、天下太平となった」という、意味の言葉が刻まれています。
三国を統一したのは魏、蜀、呉のどこでもなく、司馬一族の西晋王朝(せいしんおうちょう)でした。
この一言に、壮大な戦いの結末が込められていると思うととても感慨深いです。


展示室内のところどころに、NHK『人形劇 三国志』で使用された川本喜八郎作の人形や、横山光輝作の漫画、『三国志』の原画などの貴重な作品が展示されており、こちらも見逃せません!


左から「孫権」「劉備」「曹操」
飯田市川本喜八郎人形美術館蔵 (c)有限会社川本プロダクション



横山光輝『三国志』原画  新書判第1巻「桃園の誓い」
光プロダクション蔵 
(c)横山光輝/光プロ


ここまでで、「三国志分からない……」と不安に思う方、ご安心ください!
展示室の各所にある、「入門講座」というパネルをご覧ください。三国志の基礎知識を分かりやすく解説しています。


入門講座6パネル


三国志ファンの方もそうでない方も楽しめる、見どころ満載の特別展「三国志」。
この夏、ぜひ足をお運びください。


【もっと、楽しむ!特別展「三国志」】
公式サイトでも公開中のスペシャル企画、「特別展『三国志』武将メーカー」が体験できるブースがあります。


武将メーカーコーナー

顔写真をもとにコーエーテクモゲームスの「三國志」「真・三國無双」シリーズの武将ビジュアルと合成されることで、
新たな「名」や「エピソード」などを持った架空の武将が誕生します。
もしも、あなたが三国志の時代の武将だったら?という夢を叶えてくれます。
特別展「三国志」のテーマ“リアル三国志”とあわせて、“もしも三国志”もお楽しみください!

特別展「三国志」チラシ

 

日中文化交流協定締結40周年記念
特別展「三国志」

2019年7月9日(火)~9月16日(月・祝)
平成館 特別展示室

 

特別展「三国志」チラシ

日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」
2019年7月9日(火)~9月16日(月・祝)
平成館 特別展示室
 

カテゴリ:2019年度の特別展

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posted by 長谷川悠(広報室) at 2019年07月30日 (火)