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クリーブランド美術館展-名画でたどる日本の美 予告

すでにお知らせしている通り、2014年の1月、トーハクでは2つの個性的な展覧会が同時に幕を開けます。
そのうちのひとつ「人間国宝展」については、トーハクくんとユリノキちゃんが「なるほー!人間こくほー!展」で紹介してくれました。
残るひとつ「クリーブランド美術館展―名画でたどる日本の美」については、わたくし広報室の小林が紹介いたします。

そもそもクリーブランドってどこ?
正直言って、日本人にはあまりなじみのない街かもしれません。
クリーブランドは、五大湖のひとつ、エリー湖の南岸に位置するオハイオ州第2の都市です。
音楽が好きな方ならば、アメリカ5大オーケストラのひとつとされるクリーブランド管弦楽団の名前はご存知でしょう。村上春樹の大ベストセラー「1Q84」の冒頭、主人公がタクシーの中で耳にしたのが、ジョージ・セル指揮、クリーブランド管弦楽団による『バルトーク:管弦楽のための協奏曲/ヤナーチェク : シンフォニエッタ』でした。
そのクリーブランドに1913年に開設されたのがクリーブランド美術館。
中世ヨーロッパの美術や東洋美術、そして印象派などの近代美術から現代美術まで、約4万5000点のコレクションを誇る全米でも有数の規模の総合美術館です。


水と緑の風景が美しい、クリーブランド美術館 

なぜ日本美術のコレクション?
それにしても、なぜクリーブランドにこれほどの日本美術のコレクションがあるのでしょうか? 実は、GHQの美術顧問を勤め、東洋美術研究者として名高いシャーマン・リー(1918-2008)が1952年にクリーブランド美術館に赴任し、1958年から館長を勤めているのです。彼が、ジャンルも時代もバランスよく体系的に日本美術を収集したことが、いまの日本美術コレクションの土台になりました。

なぜいま、クリーブランド美術館展を開催するの?
2013年6月、クリーブランド美術館に新しく日本ギャラリーが開室されました。それを記念して、2014年2月16日~5月11日には、東京国立博物館所蔵の日本美術の名品による特別展「伝統の再生-日本近代美術」が開催されることになっています。当館におけるクリーブランド美術館展はその交換展。東京国立博物館とクリーブランド美術館の交流から生まれた展覧会なのです。 

どんな展覧会なの?
みなさま、展覧会のサブタイトルにご注目ください。

「名画でたどる日本の美」

そう、先ほど、シャーマン・リーのコレクションは体系的である、と書きました。
今回の展覧会はまさにその点に着目した構成になっています。
平安時代から明治時代まで、日本の絵画の流れを概観しようという壮大な試みです。
展覧会は、人と自然との関わりをテーマに、(1)神仏を描く作品や肖像画などの人体表現、(2)咲き誇る花や鳥を描く花鳥画、(3)名所や理想の景色を描いた山水画、(4)人と自然が融けあうように表わされる物語絵画と、四つの章で構成されています。
出品作品42件のラインナップには、雪村、蕭白、盧舟、始興に暁斎と人気の絵師も勢ぞろい。

さらに、テーマにあわせて、クリーブランド美術館の所蔵品からピカソ、モネ、ルソーなど西洋絵画と中国絵画の名品も展示。
古今東西の絵の中に遊ぶ贅沢な時間をお約束します。

<主な作品>

雷神図屏風 (らいじんずびょうぶ) 「伊年」印 江戸時代・17世紀
よく知られた「風神雷神図」のうち「雷神」の姿を描いた絵


会場では、有機ELパネルを用いて、当時この絵が鑑賞された環境に近い光を再現する今までにない照明を計画中。
本来の日本絵画のもっていたパワーを実感していただきます。
詳しくは、担当研究員が本ブログでご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!


龍虎図屏風(りゅうこずびょうぶ) 雪村周継(生没年不詳)筆 室町時代・16世紀
雨を呼ぶ龍と風を呼ぶ虎。ちょっとユーモラスな表現は、雪村ならでは


燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ) 渡辺始興筆(1683-1755) 江戸時代・18世紀  
尾形光琳を慕った始興の代表作。燕子花の配置が生み出す、心地良いリズムを楽しんでください

「クリーブランド美術館展─名画でたどる日本の美」
2014年1月15日(水) ~ 2014年2月23日(日) 平成館 特別展示室第1・2室  

カテゴリ:2013年度の特別展

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posted by 小林牧(広報室長) at 2013年12月18日 (水)