このページの本文へ移動

1089ブログ

書を楽しむ 第5回「元永本!!」

書を見るのはとても楽しいです。

より多くのみなさんに書を見る楽しさを知ってもらいたい、という願いを込めて、この「書を楽しむ」シリーズ、第5回です。

貴重な、すごい作品。
そんな作品を、トーハクでは新年に「特別公開」(2012年1月2日(月・休)~)します。
今回はその中から、「元永本」を先取りしてご紹介します。

ゲンエイボン?
と、思われた方!
なんだかよくわからなくても、
すごい、と言われる作品は、ぜったいに見ておいてください。

「元永本」とは、国宝「古今和歌集(元永本)」のことで、
元永3年(1120)の奥書があるため、ゲンエイボンと呼ばれます。

元永本1
(以下画像6枚) 国宝 古今和歌集(元永本) 上帖 平安時代・12世紀 三井高大氏寄贈
(2012年1月2日(月)~1月15日(日)展示。
展示されるのは上の画像の頁のみ)

どこがすごいのか、少しご紹介しますね。

その(1)
『古今和歌集』の和歌全部と、仮名序(仮名で書かれた序文)が書かれた、現在残っている中で一番古い作品です。

その(2)
料紙の装飾です。
「書を楽しむ」第3回で、装飾料紙のお話をしましたが、覚えていますか?
「元永本」の装飾料紙は、日本で作られた唐紙(からかみ)で、
その文様は、なんと13種類!!
さらに文様の無いページにも、金や銀の切箔や野毛が全面に散らされています。

元永本2, 3

紙は平面ですが、「元永本」の装飾料紙をじっくり見ると、立体的です。

元永本4, 5

雲母刷り(きらずり)なので、線の部分は、雲母が盛り上がっています。
雲母の文様は、見えにくい時がありますので、
そんなときはしゃがんで下から見たり、横から見たり、角度を変えてみると文字通り、キラキラ光って見えるはずです。

その(3)
筆者は、藤原定実です。
能書(のうしょ、書のうまい人)の家系で、藤原行成を祖とする世尊寺家(せそんじけ)第4代。
「元永本」はさまざまな装飾料紙を使っていますが、定実は、臨機応変に文字を散らすなどして、紙の文様と文字、そして空間とのすばらしい調和を生み出しています。

元永本6

残念ながら展示でお見せできるのは、見開きの2ページだけです。写真でいいから全部見たい、と思ったあなたは、当館ウェブサイトから「e国宝」に入っていただきますと、「元永本」は全部見られます。

でも、やはり、本物にはかないません。
本物は100%の魅力を発信しています。

本物のすごさを、ぜったいに体感してください!!
本館3室で、2012年1月2日(月・休)~1月15日(日)の、2週間限定です。

カテゴリ:書跡トーハク140周年

| 記事URL |

posted by 恵美千鶴子(書跡・歴史室) at 2011年12月12日 (月)