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文化財レスキュー事業が始動しました

 東京国立博物館を含む国立文化財機構と関係団体は文化庁からの要請に基づいて、「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会」を設置し、東京文化財研究所に本部事務局を置き、亀井東京文化財研究所長を委員長に決定しました。
阪神淡路大震災で学んだ多くの教訓を生かし、文化財を救い出す本格的な事業に取り掛かりました。

  現在、宮城県から具体的な支援の要請を受け、仙台市の市立博物館に現地本部を設置しています。最初のレスキューは、津波で大きな被害を受けた石巻文化センターで開始されました。海岸のすぐ傍に立つ文化センターは津波の直撃を受け、重さ数トンのブロンズ像が流されるほどの強い衝撃を受けました。近所の製紙会社から流れ出したロール状の紙は、海水を含んで鉛のように重くなり、それが収蔵庫入り口を塞いでいました。レスキューはその撤去から始まりました。

  収蔵庫に残された油画などの近現代作品は海水と汚泥を被っていましたが、破損は比較的少なく、濡れた状態のまま仙台市内の一時保管場所に移されました。汚れたままでは、気温の上昇とともにカビが発生する危険性が高いことから、手応急のクリーニング作業が専門家たちの手によって保管場所で続いています。
  レスキュー活動は、今も同館の考古資料・民族資料(特にアイヌ関係)などについて進行中です。
 

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posted by 神庭信幸(保存修復課長) at 2011年05月13日 (金)