国宝「檜図屛風」修理後初公開・文化財用大型CTスキャナー記者発表会
2月16日(月)、トーハクでは2つの記者発表会が開催されました。
まず初めは、文化財用大型CTスキャナーのお披露目です。
昨年3月に導入し、約1年の試験稼動を経て、このたび、正式稼動となりました。
これまで、文化財用のCTスキャナーは、西日本の施設(九州国立博物館、九州歴史資料館、奈良文化財研究所)にしかなく、東日本でも自然科学系の施設(理化学研究所、国立科学博物館)にしかありませんでした。そのため、東日本にある文化財の調査をするためには、長距離輸送のリスクが伴いました。今回の導入により、東日本における文化財の状態調査の可能性が広がりました。

水平型エックス線CTスキャナーの説明。
その大きさがおわかりいただけるのではないでしょうか。
今回導入されたのは、仏像など大型の文化財を立てたまま撮影ができる垂直型、長さ2.5mの文化財を水平に設置し断層撮影が可能な水平型、細かい部分の撮影が可能な微小部観察用の3台のCTスキャナーで構成されたCTシステムで、文化財用としては最新鋭かつ世界最大級のものです。

左から、垂直型、水平型、微小部観察用エックス線CTスキャナー
この日は、当館所蔵の「パシェリエンプタハのミイラ」(東洋館3室にて通年展示)の撮影結果についても紹介しました。

従来のエックス線撮影では不鮮明であった下腹部の塊が、CTによる調査の結果、ミイラ作成時の詰め物であることが鮮明に撮影されました。
今後、さまざまな文化財調査への活用と研究成果に期待が高まります。
次に、狩野永徳筆・国宝「檜図屛風」の修理後初のお披露目です(2月17日(火)~3月15日(日)、本館2室にて展示)。
バンクオブアメリカ・メリルリンチ文化財保護プロジェクトの助成を受け、18ヶ月にもおよぶ平成の大修理を行いました。

記者発表にはバンク・オブ・アメリカ・グループ在日代表の
ティモシー・ラティモア氏にもお越しいただきました。
(右は独立行政法人国立文化財機構理事 池原充洋)
「檜図屛風」は、本来は4面の襖だったものを8曲1隻の屛風に仕立てたため、図柄のつながりに不自然なところがあったり、亀裂や糊浮き、彩色の剥離など経年による劣化によって鑑賞性が損なわれていました。
このたび、解体修理により、本来の姿を意識した4曲1双に改装し、亀裂や浮きの補修、汚れの軽減も施し、色鮮やかに甦りました。
また、修理の過程での発見もありました。
襖から屛風に改装されたときのものと思われる「一」から「八」までの数字や「山水桧」の墨書と、過去の修理で補修紙として用いられた五七桐文の文様が転写された跡です。
この五七桐文が八条宮家に縁の深いものであることがわかり、今回の修理では屛風の裏に貼る唐紙にこの文様が採用されました。
実際に使用された五七桐文の版木(宮内庁京都事務所保管)は、本館特別1室「東京国立博物館コレクションの保存と修理」(2月17日(火)~3月15日(日))にて、展示されていますので、あわせてご覧ください。

唐紙(見本)と五七桐大紋の版木(宮内庁京都事務所蔵)
修理の概要は、トーハクYouTubeチャンネルにて動画を公開しています。展示をご覧になる前にぜひ!

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posted by 奥田 緑(広報室) at 2015年02月17日 (火)
特別展「みちのくの仏像」と特別展「3.11大津波と文化財の再生」が、いよいよ本日開幕しました!
それに先立ち、昨日は開会式・内覧会が行われました。

寒空のもとたくさんのお客様にご来館いただき、2015年最初の特別展も幸先の良いスタートとなりました。
特別展「みちのくの仏像」は、本館1階特別5室で開催されています。
東北各地から集められた仏像が、ひとつの空間に勢ぞろいした姿は、まさに圧巻!

東北の三大薬師といわれる黒石寺(岩手県)・勝常寺(福島県)・双林寺(宮城県)の薬師如来坐像も、
展示室奥にそろって展示されています。

重要文化財 伝吉祥天立像 平安時代・9世紀
岩手・成島毘沙門堂蔵 (左画像の提供:東北歴史博物館)
本展の魅力は、写真では伝わりづらい、木のお像の圧倒的な存在感と木目の美しさ。
例えば写真の吉祥天立像は、厚みのある体が大きく前傾しており、正面から見ると、こちらに迫ってくるような
迫力があります。
会場では、女優の薬師丸ひろ子さんによる音声ガイドの貸出を行っています(400円)。
薬師丸さんの包み込むようなナレーションで、特別展「みちのくの仏像」をさらにご堪能ください!
続いて、特別展「3.11大津波と文化財の再生」(本館特別2室・特別4室)の開会式も行われました。

展示室では、当館が被災地の博物館等と協力して取り組んできた、被災文化財の安定化処理や
修理の現状をご紹介しています。

リードオルガン 三省堂機械標本部製造
明治時代末期~大正時代初期・20世紀 岩手・陸前高田市立博物館蔵
本館大階段踊り場には、修復されたリードオルガンが展示されています。

こちらは「昆虫類ドイツ標本箱(昭和時代・20世紀 岩手・陸前高田市立博物館蔵)」です。
右隣に被災当時の状態を保存した標本箱が並べられていて、 修復前と修復後の状態を比べることができます。
資料によっては過度な修復は行わず、破損箇所を「歴史をくぐり抜けた証」として残しています。

本館1階特別4室では、「文化財再生のみちのり」を、パネル展示で分かりやすく説明していますので、
こちらもご覧ください。
上野で触れるみちのくの文化。
ぜひ、あわせてご鑑賞ください!
カテゴリ:news、2014年度の特別展、2015年度の特別展
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posted by 宮尾美奈子(広報室) at 2015年01月14日 (水)
皆様、明けましておめでとうございます。
平成27年、2015年の新年を皆様とともに寿ぎたいと思います。
今年は羊年です。
羊は古来より人類にとって身近な動物のひとつであり、神への最適な捧げものとして考えられていたため、やがて「よきもの」の意を備えました。
「美」「善」「祥」といった漢字にも羊の字が使われています。
恒例の干支の展示も1月2日(金)からの「博物館に初もうで~ひつじと吉祥~」で12回目を迎え、一巡いたしました。
また、黒田記念館も2年間の耐震工事を終え、1月2日(金)からリニューアルオープンいたします。
新たに設けられた特別室では、年3回、2週間ずつ、「湖畔」など、黒田の名作をご覧いただけます。
1月14日(水)からの「みちのくの仏像」「3.11大津波と文化財の再生」をはじめ、春の恒例「博物館でお花見を」(3月17日(火)~4月12日(日))など様々な企画を用意しております。
皆様にとって、日本の文化や伝統、美術に親しみ、楽しんでいただける博物館となるべく、努力してまいります。
今年もトーハクをよろしくお願いします。

前庭の羊とともに 館長 銭谷眞美
カテゴリ:news
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posted by 銭谷眞美(館長) at 2015年01月01日 (木)
2014年もいよいよ大晦日。
今年もトーハクの一年を振り返ってみましょう。
新年は1月2日から「博物館に初もうで」。
獅子舞や和太鼓で、お正月気分満喫だったほ!
年明け1月15日からは、2つの特別展がはじまりました。
「クリーブランド美術館展─名画でたどる日本の美」は、アメリカの美術館にもたくさん素晴らしいの日本美術コレクションがあるなんてびっくり。「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」では、現代の人間国宝の作品と、トーハク所蔵の古典の名宝が一緒に展示されて、その伝統の流れを知ることができました。
2月は「支倉常長像と南蛮美術―400年前の日欧交流―」があったほ。
ヨーロッパの人が描いた日本の武士の姿は、とっても大きな絵だったほー。
春は恒例の「博物館でお花見を」。最近では、トーハクの庭園は隠れたお花見スポットとして話題になっているそうよ。
4月は、「キトラ古墳壁画」も始まりました。約1ヶ月ほどの展覧会でしたが、壁画を間近で見られる最後の機会ということで、たくさんのみなさまにご来場いただきました。
ぼくも古墳生まれ古墳育ちだけど、一度にこんなにたくさんの人に見られたことないほ…。
トーハクくんはいつでもみんなに会えるからね。
そして夏の展覧会は、「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」。門外不出の「翠玉白菜」が2週間限定で公開されました。1089ブログでも担当研究員のみなさんが、台北 國立故宮博物院の貴重な作品について、熱く語ってくださいました。
でも、トンポーローのほうがおいしそうだったほ…。
えーと。次いきます。
秋は記憶にも新しい「日本国宝展」がありました。
ちょっと!
ぼくがポスターのモデルになった「アジアフェス in トーハク」も忘れないでほー!!
衣装体験や伝統芸能、そして、アジアン屋台で美味しいアジアンフードをたらふく食べんだほ~。
そうそう、「東アジアの華 陶磁名品展」もこのアジアフェスの一環でした。
日本、中国、韓国の国立博物館が誇る陶磁の名品が一堂に揃い、見ごたえのある展覧会でした。
この時期、初の野外シネマイベントも開催されたわね。
そして「日本国宝展」では、国宝の土偶せんぱいが集結したんだほー!
ぼくもあいさつにいったほ。
グッズショップ国宝店では、はにわクッキーならぬ、土偶ビスケットなんていうのも売っていたほ!
「日本国宝展」は正倉院宝物や「金印」も期間限定で展示されました。
ポスターでおなじみの善財童子像や、想像よりも大きかった五重小塔などが印象的でした。
さて、トーハクくん、来年の予定は?
1月2日(金)から黒田記念館がリニューアルオープン!こちらは入館無料だほー。
平成館はリニューアル工事で休館だほ。考古展示室ともしばらくお別れだほ…。
お正月は1月2日(金)から開館します。
「博物館に初もうで」や、リニューアルした黒田記念館でお楽しみください。
もちろん、国宝「松林図屏風」も展示されますよ。
考古作品は、少しずつですが、しばらくは本館2階1室にて展示されます。
埴輪「踊る人々」は2015年2月3日(火)~4月5日(日)の展示だほ!
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今年も一年、お世話になりました。
2015年も、トーハクをよろしくお願いいたします!
カテゴリ:news
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2014年12月31日 (水)
2012年から耐震工事のため休館していた黒田記念館が、いよいよ2015年1月2日(金)にリニューアルオープンします。
展示室は2階。
アールヌーヴォー調の階段の手すりのデザインも見どころのひとつです。

建築意匠もお楽しみいただけます
階段を上って左手が新たに設けられた特別室。
黒田清輝の代表作「湖畔」「智・感・情」「舞妓」「読書」のみの贅沢な空間となっています。
作品との調和にこだわって生まれた、落ち着いた色調の室内で、ゆったりとご鑑賞いただけます。

特別室は年3回、期間限定での公開となります。
2015年の公開日程は下記の通りです。
第1回:2015年1月2日(金)~1月12日(月・祝)
第2回:2015年3月23日(月)~4月5日(日)
第3回:2015年10月27日(火)~11月8日(日)
反対側で黒田の銅像(高村光太郎作です!)が迎えてくれる黒田記念室は、設立当初より黒田の画業を顕彰する部屋として作られ、作品の公開がされてきました。

天井にもご注目。漆喰の花飾りが特徴的です
リニューアル後は、およそ6週間ごとに展示替えをしながら所蔵作品を公開いたします。
写生帖や書簡など、黒田の人物像に迫る作品にも触れていただけます。

アトリエのイメージも再現
これだけの贅沢空間が、観覧料無料でご覧いただけます。
初もうでや上野公園散策の折にぜひ、お立ち寄りください。
黒田記念館
開館時間:9:30~17:00 (入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日・休日の場合は開館、翌火曜日休館)、年末年始
ただし原則として、ゴールデンウィーク期間とお盆期間は無休
※開館時間、休館日は時期により変動あり。東京国立博物館に準ず。
観覧料:無料
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posted by 奥田 緑(広報室) at 2014年12月24日 (水)