このページの本文へ移動

1089ブログ

特別展「はにわ」20万人達成!

開催中の挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」(12月8日(日)まで)は、来場者20万人を突破しました。

これを記念し、神奈川県からお越しの国生さんに、当館館長の藤原誠より記念品を贈呈いたしました。
記念品贈呈の様子。国生さん(右)と「着るはにわ 挂甲の武人ルームウェア」を着た藤原館長(左)
(注)「着るはにわ 挂甲の武人ルームウェア」は東京会場での販売分が完売しております(巡回先の福岡会場では販売に向け制作を進めております)。 

テレビ番組で特別展「はにわ」を知り、SNSなどで埴輪について予習してくださったそうです。
「動物埴輪や円筒埴輪などを見るのが楽しみです」と仰っていました!

素朴で”ユルい”人物や愛らしい動物から、精巧な武具や家まで、個性豊かな埴輪たちが大集結している特別展「はにわ」。
東京会場での会期も残すところ2週間を切りました。
本展覧会は2025年1月21日(火)~5月11日(日)、九州国立博物館にも巡回いたします。
東京会場でしか見られない展示もございますので、ぜひこの機会にお見逃しなく!
 

カテゴリ:「はにわ」

| 記事URL |

posted by 小松亜希子(広報室) at 2024年11月26日 (火)

 

特別展「はにわ」10万人達成!

開催中の挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」(12月8日(日)まで)は、来場者10万人を突破しました。
これを記念し、神奈川県からお越しの田中さん親子に、当館館長の藤原誠より記念品を贈呈いたしました。


記念品贈呈の様子。田中さん親子(中央、右)と「着るはにわ 挂甲の武人ルームウェア」を着た藤原館長(左)

お母様の純子さんが埴輪にご興味があり、娘の友菜さんを特別展「はにわ」にお誘いになったそうです。

当館の国宝「埴輪 挂甲の武人」とよく似た埴輪4体をはじめ、全国各地から空前の規模ではにわが集結しています!
約半世紀ぶりの東京国立博物館でのはにわ展、ぜひお見逃しなく。

カテゴリ:「はにわ」

| 記事URL |

posted by 小松亜希子(広報室) at 2024年11月06日 (水)

 

挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」開幕!

挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」が10月16日(水)より開幕しました。

本展は、当館が所蔵する「埴輪 挂甲の武人」が昭和49(1974)年に国宝に指定されてから50周年を迎えることを記念するものです。

国宝 埴輪 挂甲の武人
群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵


東北から九州まで、全国約50箇所の所蔵・保管先から約120件の至宝が空前の規模で集結しています!
展示室の様子をさっそく見てみましょう。

入口で皆さまをお迎えするのは、今年の3月末に修理が完了し初のお披露目となる「埴輪 踊る人々」です。

埴輪 踊る人々
埼玉県熊谷市 野原古墳出土 古墳時代・6世紀 
東京国立博物館蔵

「埴輪」と言えばこの姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
丸い目とぽかんと開いた口。当館の代表的な所蔵品のひとつです。

第1章「王の登場」は、なんと国宝だけで構成された贅沢な展示室です。

国宝 金象嵌銘大刀(きんぞうがんめいたち)
奈良県天理市 東大寺山古墳出土 古墳時代・4世紀 
東京国立博物館蔵


国宝 金製耳飾(きんせいみみかざり)
熊本県和水町 江田船山古墳出土 古墳時代・5~6世紀 
東京国立博物館蔵

中国大陸や朝鮮半島との関係を示す国際色豊かな副葬品から、当時の朝鮮半島の最新ファッションまで、埴輪がつくられた時代とその背景をうかがい知ることができます。

第2章「大王の埴輪」に進むと、大迫力の円筒埴輪が登場。

重要文化財 円筒埴輪
奈良県桜井市 メスリ山古墳出土 古墳時代・4世紀
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館蔵


大きさもさることながら、驚くべきはその薄さ。技術の高さにもご注目ください。

そしてさらに進むと…

第3章「埴輪の造形」では、北は岩手県、南は鹿児島県まで日本列島の幅広い地域でつくられた埴輪をご紹介します。
かなり個性的で独特な造形の埴輪たちに出会うことができます。

目が合ってしまう円筒埴輪や…

顔付円筒埴輪
群馬県前橋市 中二子古墳出土 古墳時代・6世紀
群馬・前橋市教育委員会蔵(大室はにわ館保管)


中心の家のまわりに四つの小さな建物がついた珍しい家形埴輪など…

重要文化財 子持家形埴輪
宮崎県西都市 西都原古墳群出土 古墳時代・5世紀 
東京国立博物館蔵

まだご紹介したい埴輪がたくさんありますが、次に進みましょう。

第2会場に入ると、遂にあの埴輪たちが集結!

(左から)重要文化財 埴輪 挂甲の武人 群馬県太田市世良田町出土 古墳時代・6世紀 奈良・天理大学附属天理参考館蔵
埴輪 挂甲の武人 群馬県太田市出土 古墳時代・6世紀 アメリカ・シアトル美術館蔵
国宝 埴輪 挂甲の武人 群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵
埴輪 挂甲の武人 群馬県伊勢崎市安堀町出土 古墳時代・6世紀 千葉・国立歴史民俗博物館蔵
重要文化財 埴輪 挂甲の武人 群馬県太田市成塚町出土 古墳時代・6世紀 群馬・(公財)相川考古館蔵

5体の挂甲の武人に囲まれると、自分が古墳時代の王になって守られているような気持ちを味わうことができます。
兄弟のようによく似た5体ですが、身につけている武具や足の表現などに細かい違いがあります。ぜひ会場でじっくり360度ご鑑賞ください。

そして、詳細な観察・分析を経て制作された埴輪 挂甲の武人の彩色復元が登場。製作当時の姿をご覧いただけます。

埴輪 挂甲の武人(彩色復元)
令和5(2023)年
原品:群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵
制作:文化財活用センター

第5章「物語をつたえる埴輪」は、複数の人物埴輪や動物埴輪などの組み合わせで表現される”物語”に着目した展示になっています。

古墳をガードする盾を持った人物や、四股を踏み土地を鎮める力士など、様々な役割を担った人物埴輪がずらっと並んでいます。


こちらには動物埴輪がたくさん並び、まるで行進しているようです!



犬形埴輪
群馬県伊勢崎市 剛志(上武士)天神山古墳出土 古墳時代・6世紀
東京国立博物館蔵

こちらは犬形埴輪。首輪には鈴がつけられており、人に飼われていることが分かります。
古墳時代から首輪に鈴をつけていたんですね…

最後の展示室、エピローグ「日本人と埴輪の再会」では、近世以降から現代にいたるまで、埴輪がどのように捉えられてきたかを紹介します。

武人埴輪模型
吉田白嶺 大正元年(1912年) 
東京国立博物館蔵

鎧兜を身につけた平安時代の武者姿。明治天皇陵(京都府京都市 伏見桃山陵)に奉献された埴輪と同じ型でつくられたものといわれています。
江戸時代以降、考古遺物への関心が高まったことで、埴輪が再び注目されるようになりました。

埴輪の魅力が満載の展示室をご覧になった後は、ぜひ会場内特設ショップにもお立ち寄りください!

特別展「はにわ」は12月8日(日)まで、金曜日・土曜日、そして11月3日(日・祝)は20時まで(入館は19時30分まで)夜間開館を実施します。
東京会場でのみ展示の作品もございますので、お見逃しなく!

挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」公式サイト

 

カテゴリ:「はにわ」

| 記事URL |

posted by 小松亜希子(広報室) at 2024年10月18日 (金)

 

はにわ熱

東京国立博物館に就職して間もない6月のある夜、一人展示準備のため収蔵庫で埴輪を探している時であった。
すわ、収蔵庫に五月人形か。いやいや、よく見ると凛々しい武者姿の埴輪ではないか。

武人埴輪模型 吉田白嶺作 大正元年(1912年)
弓取るものが左右に一対、矛取るが左右に一対、合わせて四個一組で揃いとなる。東京国立博物館所蔵品は左手に矛取るものを欠いている。
(注)特別展「はにわ」出品予定

後日、先輩に聞いたところ明治天皇の御陵(京都府京都市 伏見桃山陵)に奉献された埴輪「御陵鎮護の神将」と同じ型で作られたものという。
某研究会の連絡誌に、この埴輪にかかる記述があったことを思い出して読み返し、関連する文献などを集めた。この埴輪の制作にあたっては東京帝室博物館(現:東京国立博物館)歴史部のスタッフが監修に携わり、当館の収蔵品の修復や模造品の制作を担った彫刻家の吉田白嶺が手掛けた。
このような縁もあって当館に伝来されたものだと知ったところで、いったんこのときの熱(好奇心)は去っていった。

それから十数年の時が過ぎ、東京国立博物館で埴輪をテーマにした特別展を開催すると聞く。再度発熱した。
特別展の担当者を捕まえ、展示する意図や意義を説明して(いや、ワガママを言って)何とか出品作品に加えてもらった。
そして保存科学課のスタッフには、展示や輸送のための応急処理(X線CT撮影や接合)もお願いした。


応急修理前のX線CT撮影
埴輪「御陵鎮護の神将」は型作りによる頭・胴部・脚部・台座というように分割成形されている。胴部と脚部の継ぎ目で外れていたため状態を確認し、今回の展示に合わせ接合、修理した。


一人現地調査と意気込んで伏見桃山陵へも足を運んだ。
木々の間に白く伸びる参道、御陵から眺める宇治の景色、そして230段にも及ぶ大階段。
時折、本来の目的を忘れてしまうほどの御陵の清々しさに気を取られながらの調査、ただただ気持ちがよかった。そして、この陵(みささぎ)の墳丘のなかに納められた埴輪と古墳時代の墳丘に樹立された埴輪との差異に一人思いを巡らせた。


玉砂利と杉並木が美しい参道


宇治の景色


230段に及ぶ大階段


上が円形で下が方形の御陵

明治天皇の大喪にかかる記録を調べるために国立公文書館に出かけ、当時の世相を知るために当時の雑誌や新聞記事をあさり、また絵葉書などの記念品を集めるために某オークションサイトにも手を出した。この頃には、またいつもの熱病にかかったのかと同僚はきっと呆れていたに違いない。


参拝記念の人形


参拝記念の絵葉書
1918年(大正7年)以降に印刷された参拝記念の絵葉書の包みにも埴輪「御陵鎮護の神将」があしらわれている。一定期間、この「埴輪」が当時の人々に関心を持たれていたことが分かる。

私は埴輪、ましてや古墳時代を専門にしているわけではない。一考古学者としてモノがどういう目的で作られ、そのモノが当時の人々にどう受け入れられ、そして後世の人がそれをどう考えるのか、ということが気になってしかたがないのだ。本展の担当者でもない一研究員でさえ「はにわ熱」にかかれば、この始末である。ましてや担当者であったならば。

この夏の暑さを上回る熱量で担当者が準備を進めている
特別展「はにわ」(2024年10月16日(水)~12月8日(日)、平成館 特別展示室)が、間もなく開幕を迎える。
ぜひ楽しみに待っていてほしい。そして一人でも多くの方々にこの「はにわ熱」を存分に味わってほしいと願っている。

カテゴリ:考古調査・研究「はにわ」

| 記事URL |

posted by 品川欣也(学芸企画部海外展室長) at 2024年09月27日 (金)

 

埴輪と古墳が熱い!みんな群馬に行ってみよう!

 特別展「はにわ」(2024年10月16日(水)~12月8日(日)、平成館 特別展示室)を担当しております、主任研究員の河野正訓です。
古墳時代が専門で、普段は埴輪など古墳時代の作品(遺物)のお世話係をしています。
今回の特別展「はにわ」では、チーフを務めるとともに、主に群馬県方面を担当しています。
そのため、ご出品いただくための調整や、東京国立博物館や巡回する九州国立博物館へ作品を安全に輸送する事前調査のため、何度も群馬県に通いました。



前々から思っていたのですが、その事前調査で改めて感じたのは、群馬県の埴輪熱がすごいことです!
ほとんどの博物館で埴輪が展示され、かつ埴輪の展示スペースはかなりのウェイトを占めています。
例えば、群馬県立歴史博物館では、常設展示の入口を入ってすぐに、群馬県高崎市の綿貫観音山(わたぬきかんのんやま)古墳出土品が一括して展示されている部屋があります。

群馬県立歴史博物館の展示室内(河野正訓撮影)

実はこの空間にあるものすべて国宝なのです!豪華な展示室です。

ここで一つ、重大発表をします。
このたび、国宝の綿貫観音山古墳出土品一括のうち、6件の作品をご出品いただくことが決定しました!
ほとんど県外にも出品されたことがない作品なので、今回の特別展「はにわ」はとても貴重な機会です。

その中から、「埴輪 挂甲の武人」をご紹介したいと思います。


国宝 埴輪 挂甲の武人
群馬県高崎市 綿貫観音山古墳出土 古墳時代・6世紀 京都・文化庁蔵(群馬県立歴史博物館保管)
(注)特別展「はにわ」出品予定

綿貫観音山古墳の「埴輪 挂甲の武人」は、全身に防具を装着しています。特に注目してほしいのは頭です。
パイナップルのような突起付冑(異形冑)を装着しており、かなり珍しいです。この冑は朝鮮半島で類例が確認されており、綿貫観音山古墳からはよく似た鉄製冑が横穴式石室内から出土しています。そのため、この武人は亡くなった王(被葬者)を表現した埴輪ではないかと考える研究者もいます。

「埴輪 挂甲の武人」といえば、東京国立博物館所蔵の国宝の埴輪 (群馬県太田市飯塚町出土)が有名です。
今回の特別展「はにわ」では、国宝「埴輪 挂甲の武人」とよく似た4体の兄弟埴輪が国内外から集結するまたとない機会となっています。


史上初!「埴輪 挂甲の武人」5体勢揃い!

この綿貫観音山古墳の「埴輪 挂甲の武人」が国宝になったのは令和2(2020)年9月です。この新旧の国宝が、今回の特別展「はにわ」で共演します。貴重な機会をお見逃しなく。

さて、綿貫観音山古墳は群馬県立歴史博物館から歩いて行ける距離にあります。史跡公園となっておりますので、古墳に登り、石室を観察することもできます。
群馬県は古墳大国や古墳王国と呼ばれるほど、たくさんの古墳が造られました。公園として県民に愛され、観光地としても多くの人が訪れます。
また、県内各地の博物館や資料館では古墳時代の展示が充実しています。

群馬県高崎市の綿貫観音山古墳(河野正訓撮影)

群馬県内の古墳をいくつか紹介します。
藤岡市では、近畿地方の影響を直接受けたかのような精巧な5世紀の埴輪が出土した、白石稲荷山(しろいしいなりやま)古墳が有名です。古墳の近くには藤岡歴史館があります。


群馬県藤岡市の白石稲荷山古墳(河野正訓撮影)

高崎市では、日本を代表する古墳の一つ、保渡田八幡塚(ほどたはちまんづか)古墳があります。復元された姿は、古墳時代当時の光景を眼前にみせてくれます。
とりわけ、古墳の堤の上に埴輪群像のレプリカが置かれており、圧巻です。古墳の横には、かみつけの里博物館があります。


群馬県高崎市の保渡田八幡塚古墳(河野正訓撮影)

前橋市でおすすめの古墳は、大室(おおむろ)古墳群です。大室古墳群の中でも前二子(まえふたご)古墳と後二子(うしろふたご)古墳では横穴式石室内を見学できますし、中二子(なかふたご)古墳や小二子(しょうふたご)古墳にはレプリカの埴輪が立っています。古墳群内にある大室はにわ館には、大室古墳群からの出土品のほか、前橋市民によって製作された復元埴輪が数多く展示されています。
なお、粕川歴史民俗資料館でも埴輪を展示しています。


 群馬県前橋市の中二子古墳(河野正訓撮影)

伊勢崎市でおすすめの古墳は、赤堀茶臼山(あかぼりちゃうすやま)古墳です。東京帝室博物館に勤務した考古学者・後藤守一(ごとう しゅいち)を中心に発掘がされ、家形埴輪をはじめ数多くの埴輪が見つかっています。
なお、古墳に行くために、細い道を通ります。かろうじて車でも行けるのですが、運転にはお気を付けください。
古墳からは離れていますが、伊勢崎市には相川考古館をはじめ、赤堀歴史民俗資料館でも埴輪を数多く展示しています。


群馬県伊勢崎市の赤堀茶臼山古墳(河野正訓撮影)

最後に、太田市でおすすめの古墳は、東日本最大規模の太田天神山(おおたてんじんやま)古墳と言いたいところですが、あえて塚廻(つかまわり)古墳群第4号古墳を紹介します。
発掘調査の成果から、帆立貝式古墳に埴輪群像のレプリカが置かれており、見応えがあります。塚廻古墳群出土の埴輪は、群馬県立歴史博物館に多く展示されています。
また、太田市の埴輪は、とりわけ新田荘歴史資料館で見学することができます。


群馬県太田市の塚廻古墳群第4号古墳(河野正訓撮影)

このように、群馬県には魅力的な古墳がたくさんあり、出土した埴輪は博物館や資料館で見学することができます。ここで紹介した以外にも見学可能な古墳や、埴輪を展示している博物館・資料館がたくさんあります。さすが古墳王国!

ぜひ群馬県を訪れていただき、日中は古墳や博物館に足を運んで、疲れたら夜は伊香保温泉や水上温泉などの温泉宿に宿泊してみてはいかがでしょうか。
なお、夏場の古墳巡りは熱中症にくれぐれもお気を付けください。

10月16日(水)から始まる特別展「はにわ」では、群馬の古墳から出土した様々な埴輪をはじめ、全国約50か所の所蔵・保管先から個性豊かな埴輪が一堂に会します。
開幕まで残り2か月を切りました。東京国立博物館では約半世紀ぶりとなるはにわ展に、ぜひご注目ください!
 

カテゴリ:考古「はにわ」

| 記事URL |

posted by 河野正訓(学芸研究部調査研究課考古室主任研究員) at 2024年08月20日 (火)