残すところあと2日!まぼろしの作品調査書~無口な助手と旅に出よう!
ただいま日曜日の表慶館では、ご家族で楽しむのにぴったりなイベントを行っています。
ファミリープログラム「まぼろしの作品調査書」(~2011年12月25日(日)までの毎週日曜日開催)は、以前1089ブログ「表慶館トラベルへGO!」でもご紹介しました。
小学生とそのご家族を対象としています。
12月18日(日)、25日(日)のそれぞれ11:00~16:00の間の開催となっております。
プログラム参加のチャンスは残すところ、この2日のみとなってしまいました。
これから参加予定の皆様にプログラムのポイントを3つほど、ご紹介します。

参加してくれたご家族。真剣に取り組んでくれました。
ポイント1 虫に食われた「作品調査書」
「100年前にいた研究員、松浦博士の意思を引き継いで、虫に食われてしまった作品調査書を完成させる」
というのがこのプログラムの目的ですが、作品調査書ってどんなものなのでしょうか?
穴埋めする5枚の作品調査書のうちの1枚を見てみましょう。
これは「ナーガ上の仏坐像」という作品の調査書です。

ナーガ(蛇)の上で瞑想をしている仏陀(ブッダ)のくちびるのスケッチが消えていますね?

ここが、虫に食われてしまった部分です。
スケッチするために、よく観察すると気づくこともあります。
ナーガ上の仏陀の唇ってどんな特徴があるのでしょうか?
もうひとつ、「饕餮文瓿(とうてつもんほう)」という作品の調査書も見てみましょう。

「動物の~に似ている?」というコメントは、松浦博士が作品を調査する過程でメモしたものです。
さて何に見えるでしょうか?

牛?羊?ライオンに見えなくもありません。
博士はどんな動物に似ていると思いながらこれをメモしたのでしょうか。
そんなことも想像しながら、自由に書いてみてくださいね。
ポイント2 調査のお供「助手」
「表慶館に来るのは初めてだし、作品調査書って言われてもよくわからない!」
というご家族のみなさまもご安心ください。
もれなくスタート地点にて「助手」をご紹介し、調査の旅に同行してもらいます。
ただし、この助手はたいがい無口で(例外もあります)、 手に持った看板でコミュニケーションをとることもしばしば・・・。
ご家族でめぐる表慶館の旅を、うしろからそっと見守ります。
ただし、困ったときには、手を差し伸べてくれる、とても頼もしい存在です!

手持ちの看板であいさつしてくれた助手。アジア風の斜めがけバックもかわいい。
お供する助手は、日によって変わります。
ポイント3 100年前の博士から「お手紙」
作品調査書を完成させて、スタート地点に戻るとスタッフが一通のお手紙をくれます。
中身は100年前の松浦博士からのメッセージ。
お手紙だけでなく、他にも何か入っています。
写真のようですが・・・。さて何が映っているのでしょうか?

お手紙の中身が気になる方、無口な助手と表慶館をめぐってみたい方、ぜひ日曜日に表慶館までお越しください。
ご参加をお待ちしております!
カテゴリ:催し物
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posted by 小西早苗(教育講座室) at 2011年12月15日 (木)
いつの間にか師走。
時の流れの速さに驚き、あわただしくお過ごしの方も多いのではないでしょうか。
私もそのひとりです。
まもなくやってくる辰年にちなんだ特集陳列「天翔ける龍」(2012年1月2日(月)~1月29日(日))の準備も
まさに佳境を迎えています。
今日から数回に分けて、この特集陳列の裏側と注目ポイントをお話します。
初回は企画全体のご案内です。
特集陳列「天翔ける龍」に展示されるのは時代やジャンルもまったく異なる作品。
これらをつなぐ鍵は、龍というモチーフだけ。
名品と呼ばれるものから、意外なものまで、
龍を表した選りすぐりの作品77点を一挙公開いたします。
解説を読んで通り過ぎるのではもったいない。ぜひ龍のかたちや意味にご注目下さい。
たとえば、
5本の爪を持つ龍は、中国皇帝の象徴。
宮廷以外では使用が認められませんでした。もちろん朝鮮や日本でも。
でも、見つけました。
あってはならない5本の爪の龍。展示室で探してください。
翼を持つ応龍は、戦で殺生をしたかどで天界に帰れない過去を持ちます。
応龍という龍の存在だけでなく、こうしたエピソードは
あまり知られていないのではないでしょうか。

(左)何度見ても爪は5本。でもこれは中国ではなく朝鮮でつくられたもの・・・
重要文化財 龍文朱箱 朝鮮時代・17~18世紀
(右)龍には見えませんが龍の仲間。
色絵応龍文陶板 伊万里(柿右衛門様式) 江戸時代・17世紀
龍は虎や鳳凰とペアで表現されることが多いのはなぜでしょう。
雲や波と表されるのはどうして?
翼があっても、うろこがなくても龍なの?
龍のすがたから、そこにこめられた思いや意味をたどると、
龍の魅力の発見につながるのかもしれません。
展示だけではありません。展示を楽しむための関連企画も準備しました。
今回は「自在置物 龍」を展示します。
皆さんは「自在置物」という江戸時代の金工品をご存知でしょうか。
動物のかたちをした金属製の置物で、からだの節々が動きます。
太平の世になり甲冑の需要が減った江戸時代、
動きやすい甲冑を作る技術を応用して甲冑師たちが作ったとされています。
自由自在の自在置物。
江戸時代の技術の高さだけでなく、遊び心や粋を感じずにはいられません。

こんなにアクティブ!じつはずっしり重い。
自在置物 龍 明珍宗察作 江戸時代・正徳3年(1713)
でも展示室で動かすことはできません。
動く、という自在置物最大の魅力をお伝えできないことがいつも残念でした。
ホンモノを触っていただくことは叶いませんが、何かほかの方法があるのでは・・・
そこで、科学技術の力を借りた企画を行うことに。
自在置物が自在に動く様子を映像でご覧いただくとともに、
期間中の16日間(日程は「天翔ける龍」ページ参照)はデジタル展示の特性を活かし、
実際に自在置物に触れて動かせるような疑似体験ができます。
また、1月2日(月・休)・3日(火)限定で「東博龍めぐり&掛軸ふうカレンダー」
1月28日(土)、29日(日)には自在置物に関連したファミリーワークショップを実施。
どちらも毎年人気の企画です。
今回の展示作品以外にも龍を表した作品は数多くあります。
これらを取り上げた図録を新年から、
龍のグッズ、絵はがきはすでにミュージアムショップで扱っています。
お楽しみに。
作品の見どころは次回のブログでご紹介します。
龍は何かを恐れたり、憧れたり、願ったりするひとの心が、
長い、長い時間をかけて創りあげてきた架空の生きもの。
展示室に並ぶのは何千年もの間、人びとがつむぎ続けた龍のイメージを
さまざまに表現した作品です。
どうぞゆっくり、じっくり、ご覧ください。
時の流れの速さを憂う気持ちが、すっと消えるような時間を
新年にぜひ、東博で。
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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2011年12月09日 (金)
東博ボランティアデー2011で生涯学習ボランティア“完全燃焼!!”
2011年12月3日(土)・4日(日)の2日間にわたり、東博の教育普及活動の原動力となって活躍している生涯学習ボランティアの活動を紹介するイベントが開催されました。特に今回は来年4月から新たに活動していただくための新規生涯学習ボランティア募集(募集受付期間~2012年1月13日(金))の説明会も同時に行い、こちらには180人の方にご参加いただきました。初日の天候の悪さにもかかわらず2日間とも大変盛況な催しとなりました。
ボランティアというと、どちらかといえば展示室での各種のガイドが連想されがちですが、当館では「基本活動」と呼ばれる館内の各所において来館者への案内・誘導をしたり、本館2階で配布している解説パンフレット「日本美術の流れ」の印刷、講座・講演会・解説などの運営補助など、実に多岐にわたる活動において博物館事業や来館されるお客様のサポートにご協力いただいております。
そこで今回はそうした一見すると“目立たない”のですが、実はものすごく重要なこうした活動があることを来館者の皆様に知っていただきたいとの思いに加え、これから応募してみようと考えられている“未来のボランティア”の方々に、当館での活動を理解していただきたいとの思いから、現在登録されている当館のボランティアの中から“基本活動PR隊”を募りました。そしてそのメンバーによる自発的な活動として、紹介ブースの設置と、「行ってみよう!活動最前線」と名を打った活動紹介ツアーを実施しました。このツアーへの参加者も120名を超え、大変に盛況でした。応募を検討中の方たちの疑問の解消の一助になったのではないかと思います。

本館20室にはボランティアの基本活動紹介ブースを設置し、ボランティアさんが常に待機して訪れる方々に説明をしました。

活動紹介ツアー「行ってみよう!活動最前線」では未来のボランティア候補の方々が活動の最前線を見学しました。ボランティアさんが懇切丁寧に活動を紹介・説明しています。
また当館ではおなじみとなっている各種のガイドツアーやワークショップは、この2日間限定のスペシャルコンテンツで行ったものもありました。それぞれ充実した内容とともに、素敵に着飾ったボランティアさんたちの姿が活き活きとした瞬間でした。
以下の画像はその時の様子の一部です。掲載されたガイドツアー以外にも、たくさんのガイドが実施されました。

「ボランティアによるお茶会」は、「庭園茶室ツアー」とのコラボで実施。これはお茶を出す前に庭園茶室ツアーのボランティアさんが茶室「応挙館」の紹介をしているところ。

2日目は快晴。「庭園茶室ツアー」には多くのお客様が参加されました。
「こどもたちのアートスタジオ」はこの日限定の先着順での参加スタイルで実施。お子さんと一緒のご家族だけでなく、大人の申し込みもありました。

普段、ボランティアが館内で配布している「たんけんマップ」を作成・印刷するたんけんマップグループは、この日限定の特別ツアー「たんけんマップツアー」を実施。和服に身を包んだボランティアさんの気合いの入り方が違います!!
残念ながら、初日の大雨で実施できなかったガイドもございました。中止となったにもかかわらずそのガイド担当のボランティアさんたちは雨の中、東博に来館し、基本活動を行ったり他グループの活動を見守ったりしてくれました。事前に準備を進めていただけに、ちょっと後姿がさみしげだったのが印象的ですが、仲間の活躍に対する優しい思いに触れた感じがしました。
当館のボランティアさんは約160名の方が登録されており3年間の任期で活動されています。年齢層も幅広く、活動も多岐にわたります。しかし、一度に多くのボランティアさんが集まるのは年間を通じてそれほど多くはありません。そうした意味でも今回のボランティアデーは仲間が一緒に集い活動する貴重な機会でもありました。ボランティアの絆が強く結ばれ、その胸にたぎる熱き思いが、来館していただいたお客様の心に少しでも届いたとしたならば、どんなにかうれしいことでしょう。この充実感がさらなる活動の原動力となり、ひいては東博の活性化につながると私は考えています。2日間このイベントを盛り上げてくれたボランティアさんたちへ、本当にお疲れ様でした。またこうした活動を温かく見守り、そして楽しんでいただいたお客様へ、ありがとうございました。そして日ごろからボランティアの活動を支援してくれる館内の職員の皆様へ、これからもよろしくお願いいたします。
そして最後に…東博のボランティアはこれからも来館者の方々に楽しんでいただけるようにステップアップを続けていきます。来年のボランティアデーもぜひご期待ください。
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posted by 高梨真行(ボランティア室、書跡・歴史室) at 2011年12月07日 (水)
12月5日(月)は、国連の定めた国際ボランティアデーです。それにあわせ、東京国立博物館でも、昨年に引き続き、「東博ボランティアデー2011」を開催します。
今年は、12月3日(土)と4日(日)の両日、東京国立博物館の生涯学習ボランティアが集結します。
この2日間、皆様にボランティア活動についてご紹介し、ボランティアと共に、今まで以上に博物館を楽しんでいただこうと、現在準備をしています。
当日は、ボランティアによる様々な催しを用意しています。
見る!聞く!知る!ボランティアに興味がある人必見!
「ボランティア活動紹介コーナー」では、生涯学習ボランティアの全員が行う活動と、任意で登録して行う活動についてご紹介します。さまざまな種類の活動を行えるのは、東博ボランティアならでは。
「行ってみよう!活動最前線」では、実際にボランティアの活動している現場にお連れし、ボランティアにインタビューして、生の声をお聞きいただこうと計画中です。

本館の各所で、ご案内しています

本館20室で体験コーナーや触知図もお楽しみいただけます
人気のガイドツアーとワークショップが一同に!
ボランティアによる大人気のガイドツアーやワークショップを、この2日間でまとめて体験できます。
展示作品をご紹介するガイドに加えて、博物館の外側もお楽しみいただけるツアー、ワークショップも体験いただけます。特に、この日だけの特別企画として、「庭園茶室ツアー」と「お茶会」のコラボレーション、展示室での手話通訳にも初挑戦する「本館ハイライトツアー」や、いつものコースに加えて「本館じっくりコース」「茶室と法隆寺宝物館コース」などの「たてもの散歩ツアー」(手話通訳付きコースあり)なども用意しています。
(一部、有料・整理券が必要なものがあります)

わかりやすいガイドで、展示作品に近づこう

たてものや樹木、庭園茶室、たんけんマップなど、さまざまなツアーがあります
また、平成24年度生涯学習ボランティアの募集を開始します。ボランティアデーには、ボランティア募集説明会も開きますので、応募を考えていらっしゃる方は、ぜひご参加ください。
ボランティアデー当日の詳細は、ホームページ、チラシ、博物館ニュース12・1月号をご覧下さい。
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posted by 鈴木みどり(ボランティア室長) at 2011年11月26日 (土)
表慶館アジアギャラリーで「おひとりさま」も「ファミリー」も楽しめる2つの体験型プログラムを開催しています。
題して、「表慶館トラベル」。
1つは「アジアの香り」。
みなさんは街角でふとなつかしい香りを嗅いで、記憶が呼び戻された経験はないでしょうか。
香りには、一瞬で時空を超える力があるのです。
また香りは、その国の文化と密接に結びついています。
たとえば、香料として最も古い歴史を持つ白檀(びゃくだん)は、インドで万病の薬として使用され、
細かくすりつぶしたものは殺菌や体臭消しとしても使われてきました。
ヒンドゥ教の神ガネーシャへは白檀の香を焚きます。
白檀は日本にも伝えられ、仏教寺院や、香道の場面でも使われました。
白檀に彫られた仏像もあります。

白檀 インドを代表する香り
こういった香りを、皆さんに嗅いでいただき、
ケース越しに見る作品をより身近に感じてもらいたいと思っています。
作品が作られた国々にトラベルし、その場の空気を感じながら作品をご覧いただければ…。
想像の翼でどこまでも飛んで行けそうです!
表慶館エントランス15種類の香りが体験できます。
1.白檀(びゃくだん) 2.白檀(塗香(ずこう)) 3.ターメリック 4.乳香(にゅうこう) 5.没薬(もつやく)
6.丁子(ちょうじ) 7.肉桂(にっけい) 8.沈香(じんこう) 9.龍脳(りゅうのう) 10.蓮茶(はすちゃ)
11.甘松香(かんしょうこう) 12.スターアニス 13.安息香(あんそくこう) 14.ナツメグ 15.バラ

表慶館トラベル「アジアの香り」 2011年10月1日(土)~2011年12月25日(日)までの毎週土曜日と12月23日(金・祝)の11:00~16:00の時間内であればいつでも、どなたでも参加いただけます。
詳細は、ワークショップ一覧ページよりご覧ください。
もう1つは「まぼろしの作品調査書」
小学生とそのファミリーが対象です。
「1907年秋、一人の研究員が中国の秘境へと旅立った。一通の手紙と虫喰いだらけの作品調査書を残して・・・」
こんなプロローグから始まる「まぼろしの調査書」は、ストーリー仕立てのアクティビティです。
研究者として作品調査書を完成させてみませんか。

現在、100年前の研究員の意思を引き継ぐのは自分だ!という熱い使命に燃えた小学生、緊急大募集です!
表慶館トラベル「まぼろしの作品調査書」
2011年10月1日(土)~2011年12月25日(日)までの毎週日曜日と11月23日(水・祝)の11:00~16:00の時間内であればいつでも参加いただけます。
ワークショップ一覧ページよりご覧ください。
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posted by 神辺知加(教育講座室) at 2011年11月11日 (金)