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1089ブログ

開幕!「フランス人間国宝展」

9月12日(火)、「フランス人間国宝展」がついに開幕しました。

開幕に先立ち、前日に行った開会式と内覧会にも多くのお客様にご出席いただきました。


開会式会場は本館特別5室、多くのお客様にご出席いただきました


主催者等によるテープカット

日本のいわゆる「人間国宝」(重要無形文化財保持者)にならい、1994年、フランスの伝統技術の継承者に対し、人間国宝(メートル・ダール〈Maître d’Art〉)という称号がつくられました。
本展は「メートル・ダール」の認定を受けた13名と、次期「メートル・ダール」と目される2名、計15名の工芸作家による作品およそ230件を紹介するフランス国外では初となる展覧会です。

見どころは15分野15人の匠たちそれぞれにあるのですが、本ブログではその中から何点かをピックアップしてご紹介。

まずは日本でもなじみの深い扇子と傘。しかしフランス人作家にかかれば素晴らしくエレガントになります。


扇作家、シルヴァン・ル・グエン作の「イソギンチャクの夕べ」


傘作家、ミシェル・ウルトー作の傘の数々

また7年間エルメスのケリーバックを手掛けた作家による美しい発色の鞄や、フランス伝統工芸である羽根細工作家の色鮮やかな作品、またガラス作家による吸い込まれそうになる巨大なオブジェなども大変見応えがあります。


革細工作家、セルジュ・アモルソ作の、「クフ王」シリーズ


羽根細工作家、ネリー・ソニエ作の「窪み」


ガラス作家、エマニュエル・バロワ作の「探求」

本展の会場となるのは明治末期の洋風建築を代表する建物、表慶館(重要文化財)。その展示空間をデザインしたのは、世界的に注目される建築家、リナ・ゴットメ氏。リナ氏が来場者の皆様を別世界へと誘う会場デザインも見どころです。


表慶館エントランスを抜けて展示空間へ

フランスの伝統工芸に現代の息吹を加え、フランス工芸界を牽引する匠たちの作品世界、会期は9月12日(火)~11月26日(日)までです。今後、作家へのインタビューなど本展の見どころを、このブログで紹介していきます。どうぞご期待ください!

カテゴリ:news2017年度の特別展

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posted by 武田卓(広報室) at 2017年09月13日 (水)

 

特集「運慶の後継者たち―康円と善派を中心に」

彫刻担当の西木です。

運慶・・・といえば、みなさん「あ、運慶展か!」と期待されるかもしれません。残念ながらちがいます。

ここでご紹介したいのは、特別展より一足先に始まった特集「運慶の後継者たち―康円と善派を中心に」(2017年8月29日(火)~12月3日(日))です。運慶の作品は展示していませんが、運慶の孫世代に活躍した仏師の作品をご紹介する企画です。

本館14室の特集展示の様子
本館14室の特集展示の様子

仏師運慶(?~1223)は、鎌倉時代を代表する仏像作家です。大勢の弟子を抱えて、工房を経営していました。そのリアリティに満ちた表現と、型にはまらず、生き生きとした躍動感あふれる造形で、人びとを魅了しました。

運慶は子どもにも恵まれたようで、少なくとも仏師になった息子が6人、娘もいたことが分かっています。そのうち、四男である康勝の息子と伝えられるのが、康円(1207~?)です。代表作は、当館所蔵の文殊菩薩騎獅像および侍者立像ですが、写実的な表現にもとづきながら、とりわけ人物描写が明快になり、その性格まで分かりやすく表わしていることが特徴です。

 文殊菩薩騎獅像および侍者立像 
重要文化財 文殊菩薩騎獅像および侍者立像 康円作 興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)

いつもは5体セットで展示するため、細かな部分を比較するのはむずかしいのですが、今回はそれぞれケース内でご覧いただけるため、じっくり見比べることも可能です。

 大聖老人立像、于闐王立像
写真左:重要文化財 大聖老人立像(文殊菩薩騎獅像および侍者立像のうち) 康円作 興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)
写真右:
重要文化財 于闐王立像(文殊菩薩騎獅像および侍者立像のうち) 康円作 興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)

善財童子立像、仏陀波利三蔵立像
写真左:重要文化財 善財童子立(文殊菩薩騎獅像および侍者立像のうち) 康円作 興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)
写真右:
重要文化財 仏陀波利三蔵立像(文殊菩薩騎獅像および侍者立像のうち) 康円作 興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)

また、文殊菩薩の乗る獅子や光背まで制作当時のまま残ることも大変貴重です。

獅子像
重要文化財 獅子像(文殊菩薩騎獅像および侍者立像のうち) 康円作 興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)

光背および蓮華座
文殊菩薩騎獅像の光背および蓮華座

こちらも、特別にそれぞれ単独でご覧いただけるようにしました。透かし彫りの美しい光背も、恐ろしいなかにも愛嬌のある獅子も、とても近くでご覧いただけます。この機会をぜひお見逃しなく。


また、康円より少し先輩の世代として活躍した仏師、善円(1197~1258)も注目すべき存在です。同じく「円」という漢字がつきますが、「円」の字を共有する円派と呼ばれる仏師集団とは関係ないようで、奈良を中心に活躍したことが遺品から知られています。ちなみに、善円の息子は善春という名前で、仏師として活躍しているため、彼らを「善派」とも呼んでいます。ただ、善円は後に善慶と改名しているので、運慶や息子たちが所属した仏師集団である慶派に後から加わったのかもしれません。

奈良・薬師寺からご寄託いただいている地蔵菩薩立像はその代表作で、目尻を上げた涼やかな顔立ちや、くっきり刻まれた衣の襞がその特色といえます。

地蔵菩薩立像および地蔵菩薩立像(頭部)  
重要文化財 地蔵菩薩立像 善円作 鎌倉時代・延応2年(1240) 奈良・薬師寺蔵(写真左)とその頭部(写真右)


作者の名前は伝わりませんが、菩薩立像も顔立ちが似ていることから、近い関係にあった仏師の作と考えられています。

菩薩立像とその頭部
重要文化財 菩薩立像 鎌倉時代・13世紀(写真左)とその頭部(写真右)

ご注目いただきたいのは、唇です。

菩薩立像(面部)
菩薩立像(面部)

鎌倉時代から盛んに行なわれるようになった技法の一つに、玉眼が挙げられますが、これを唇や爪、歯などに応用するようになるのは、運慶の息子世代あたりからのようです。そもそも玉眼とは、眼球を薄く削った水晶板で表わす技法であり、潤いのある目を表現するのに適していますが、玉眼自体は、運慶より前から使われ始めています。

運慶の作品には玉眼以外に水晶を用いたものが残されていないため、運慶がこれを見たらどう思うのか分かりませんが、モデルを前にしたかのような現実感の強い仏像を手がけた運慶のこと、積極的に取り入れていたかもしれません。運慶をはじめ、鎌倉時代以降の仏像に強く求められた写実表現は、「この世に仏の姿を見たい」という人びとの願いが反映されたとも考えられています。

残念ながら、運慶のスタイルは容易に真似できないものであったため、息子や孫は、偉大な父や祖父の姿を気にしながらも、自分なりの仏像造りに励んだに違いありません。

運慶の後継者である、孫たちの活躍をご覧ください。

特別展「運慶」(9月26日~11月26日)とあわせてお楽しみいただければ幸いです。

運慶展のチラシ画像
 

カテゴリ:研究員のイチオシ特集・特別公開2017年度の特別展

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posted by 西木政統(貸与特別観覧室研究員) at 2017年09月07日 (木)

 

【トーハク考古ファン】東洋館で月を発掘

秋が近づくと月を眺めたくなるのは僕だけでしょうか。
いえいえそんなことはないはずです。
月を詠んだ和歌がたくさんあるように、人は、いにしえより月に格別の思いをいだいてきたのです。

福岡県朝倉市の水(すい)神社には、「月見石」とよばれる石があります。


眼下には筑後川。


中大兄皇子(天智天皇)の母・斉明天皇は朝倉の地で崩御されました。
皇子はこの「月見石」にお座りになり、亡き母をしのんだという伝承があります。

東洋館で展示中の画像石にも月が登場します。

画像石(がぞうせき) 西王母/馬車/狩猟
中国山東省晋陽山慈雲寺天王殿
東洋館7室で展示/通年


でもそれは一見しただけではわかりません。
少しずつ内容を掘り下げて見ていきましょう。

画像石の図像は上中下の3段構成。
ここでは最上段の図に注目したいと思います。


真ん中に座るのは、この画像石の中心的な人物と考えてよいでしょう。
なぜならこの人物だけが正面を向いていて、そしてこの人物を中心に、左右対称をなすような構図をとっているからです。

中央の人物は誰?
ではこの人物は何者なのでしょうか。


きっと偉い方に違いありません。でも、着衣には際立った特徴はないようです。
そこで頭をみてみましょう。頭の両側にかんざしをつけています。
かんざしは中央が丸で、上下に三角形の飾りがついています。

こうした頭飾りをつけた人物像は、後漢時代になると画像石や銅鏡、玉器などにさかんに表されるようになります。
ときには人物の名前や飾りの名前が付されていることもあります。

そうした事例により、この頭飾りは「勝」と呼ばれていたかんざしであり、それを身に着けるのは西王母であることが判明するのです。

三本足のカラスとウサギ
西王母のすぐ脇には側仕えの者が坐し、そのうしろには上に三本足のカラス、下に2羽のウサギがいます。


三本足のカラスは、西王母に仕えて食事の世話をする神鳥であると『漢書』などに出てきます。
2羽のウサギは玉兎(ぎょくと)です。臼の中には不老不死の仙薬があり、これをかわるがわる杵で搗いているとされます。
その後ろにいるのは双頭人面犬とでもいいましょうか。なんとも不思議なすがたをしています。

人、人、・・・人?
次に西王母の右側、私たちから向かって左側の図像をみていきましょう。


こちらは簡単ですね。前から側仕えの人、その後ろにも人、そして、人…? 
いやいや3人目はどうみても人ではありません。
同じ姿勢なのでつい流し見してしまいましたが、体は人間、顔は鳥。翼も生えていて、しかもちょっと宙に浮いています。
鳥頭の神人です。ここでは鳥人と呼ぶことにしましょう。
帰宅して居間にこんな鳥人が座っていたらびっくりしますが、ここでは普通とみえて、みな落ち着き払っています。
そう、この鳥人もまた西王母にお仕えする者なのです。

カラスとウサギの示すもの

ふたたびカラスとウサギに戻りましょう。


三本足のカラスは太陽を象徴します。
前漢時代にはそうした考えが定着しており、出土資料はもとより『淮南子』という文献にも記載があります。
一方のウサギは、ここにはいませんが蟾蜍(せんじょ)というカエルと共に、月を象徴します。
これも『淮南子』や『楚辞』といった古記録に記載があります。

ウサギを描けば、それは月。
画像石の月はここにありました。

西王母は、崑崙山(こんろんさん)という山で暮らしていると考えられていました。そこに太陽や月を表すことで、その山がはるか彼方にあることを示しているのでしょう。
4世紀に王嘉という人が著した『拾遺記』にも、崑崙山に崑陵の地というものがあり、その高さは日月よりもずっと上であるという記述があります。
また、太陽は昼間を照らし、月は『楚辞』に「夜光」と書かれるように、夜を照らす存在です。この両者をあわせて表現することで、西王母のまわりは昼夜かわらず明るいという、いわば永遠性を象徴する表現がとられているわけです。

考古学は、地下に埋もれた人類の営みの痕跡を研究の対象とします。
その営みとは、日常生活にとどまらず、今回ご紹介した画像石の図像のように、精神世界をも含みます。
あたかも日常を詠む和歌に深い精神性が宿るのと同じように。
それが人類の営みである以上、本来この両者は不可分の関係にあるのです。

考古学が扱う領域はどこまでも広く、そしてどこまでも深いのです。

ところで、冒頭で触れた中大兄皇子は、多くの歌を詠まれました。
もちろん月にまつわる歌も。

わたつみの豊旗雲に入日さし今宵の月夜さやけくありこそ

「大海に雲たなびき入り日差す。今宵の月はきっと明るく照るだろう。」
1日を終えた充実感がうかがえます。

秋の夜長の到来。トーハクは金曜と土曜は21時まで開館しています。
しかも、ちょうど「博物館でアジアの旅」を開催中。
夜、東洋館に足をお運びいただき、月のウサギに出会えたあかつきには、空を仰いで一句詠むのもまた一興です。

トーハクくんも月(ウサギ)を見ながら一句
「まんまるのお団子大好き月見だほ」
食欲の秋に意気込み十分のトーハクくんなのでした


※今後SNS(Twitter, Facebook, Instagram)で東洋館のお月見作品を紹介していきます。「#1089考古ファン」で検索してみてください。

カテゴリ:研究員のイチオシ考古

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posted by 市元塁(特別展室主任研究員) at 2017年09月05日 (火)

 

トーハクでマジカル・アジア、始まります!

東洋館の秋フェス「博物館でアジアの旅」が、今年も始まります!
今年のテーマは「マジカル・アジア」(トーハクらしからぬ? キャッチーなタイトルですね)。

  

そして、やはりトーハクらしからぬ(?)ポスターとチラシです。
チラシに掲載された「呪いのわら人形」が一部で話題になっているようですが、
そもそも「マジカル」って何でしょうか?
今回のブログでは、そのあたりをご紹介いたします。

「マジック」と聞くと、手品ショーを思い浮かべるかもしれませんが、 ここでは魔術、呪術、不思議な力という意味の「マジック/magic」です。
魔術となると、今度は怪しげな呪術師の世界を想像してしまいますが、 実は私たちの日常にも「マジカル」な振る舞いは存在します。

「下の乳歯が抜けたとき、屋根に向かって投げました。」

「遠足の前日に、てるてる坊主を吊るしました。」

「大事な試合の日に、かつ丼を食べました。」

ある行為とその結果の関係がはっきりしていなくても、なんとなく信じてやってみる、希望的な願いを込めてやってみる。
このような経験におぼえがありませんか。
こうした習慣やゲン担ぎも、「マジック」ととらえることができます。

健康を維持し、災厄から身を守ろうとするとき、特に、現在のような形で科学や医学の知識が広まっていない社会の人々にとっては、「マジック」が必要不可欠かつ現実的な手立てでした。
東洋館に展示されている作品の多くには、アジアの人々の「マジカル」な願いと行為が込められています。

いくつかご紹介いたします。


鬼瓦
韓国慶州四天王寺跡出土 統一新羅時代・7~8世紀
(東洋館10室 2017年11月5日(日)まで展示)

パズズ像頭部
イラク カッシート王朝時代・前2千年紀後半
(東洋館3室 2017年10月22日(日)まで展示)


韓国、統一新羅時代の鬼瓦と、古代メソポタミアの悪霊パズズ。
双方ともに、インパクトのあるルックスで邪を払い、災難や病気を遠ざける力があるとされました。
このような魔除けアイテムは古今東西の社会で見ることができます。
「マジカル・アジア」でも各地の魔除けアイテムを展示します。


神官のシャブティ
エジプト出土 末期王朝時代・前664~前332年頃 百瀬治氏・富美子氏寄贈 エジプト出土 末期王朝時代・前664~前332年頃
百瀬治氏・富美子氏寄贈

(東洋館3室 2017年10月22日(日)まで展示)

三彩鎮墓獣
中国 唐時代・7~8世紀 横河民輔氏寄贈
(東洋館5室 2018年2月4日(日)まで展示)


シャブティは古代エジプト人が来世でいい暮らしをするためのアイテム。
呪文によって動き出し、あの世での労働を肩代わりしてくれる人形です。
鎮墓獣は、墳墓内の死者と副葬品を守護するために納められました。
このように、死後の幸せや安寧を願って制作された作品にも注目しています。

極めつけは、やはり「呪いのわら人形」でしょう。
上野公園のイチョウの樹に打ちつけてあったのを、当時の帝室博物館の職員が採集した資料です。


呪咀人形
東京上野公園発見 明治10年(1877)
(東洋館12室 2017年10月15日(日)まで展示)


誰かを恨んで、マジックによってその人を貶めようとしたのでしょうか。
現状の資料には6本の釘が確認できますが、記録によれば7本の釘が刺さっていたとのこと。上野公園のイチョウの古木に今でも刺さっているかもしれませんね。

さて、「マジカル・アジア」は、東洋館で行われている3本の特集(5室「唐三彩」、12室「チベットの仏像と密教の世界」、13室「アジアの祈り」)と、その他の展示室で注目作品が展示されています。
めずらしい、ちょっとマニアックな作品・資料を見ていただく貴重な機会となっておりますが、実は、今回焦点を当てた作品・資料の大部分は普段から東洋館に展示されているものです。
「マジック」という視点とツアーやイベント等をとおして、普段の東洋館をより楽しんでいただけましたら幸いです。

最後に宣伝を。
「マジカル・アジア」のガイドブックが刊行されています!

博物館でアジアの旅 マジカル・アジア
500円(税込)
ミュージアムショップで販売中


マジカルな資料の面白さを、読みやすいかたちにまとめた冊子です。
ぜひお手に取ってくださいませ。

 

カテゴリ:研究員のイチオシ特集・特別公開博物館でアジアの旅

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posted by 小野塚拓造(東洋室) at 2017年09月04日 (月)

 

東京藝術大学大学院インターンによる「紅型」ワークショップ

現在、本館19室 みどりのライオン体験コーナーで展示中の工程見本「紅型ができるまで」はご覧になりましたか?
今回、その制作を行った東京藝術大学大学院インターンによる紅型体験のワークショップを8月10日に子ども向け、22日に大人向けで行いました。
子どもたちは、同じ型紙を使って染める工程体験し、大人たちはさらに型紙を彫るところから染めまで体験しました。
今日はその様子をご紹介します。



ワークショップのはじめには、紅型とはどんなものなのか? どのように制作されるのか? を知るために展示室へ作品の鑑賞へ行きました。

まず向かったのは、本館16室 アイヌと琉球 琉球の暮らし
そこには、工程見本の原品「紅型衣装 白木綿地牡丹模様」が展示されています(9/3で展示終了)。
一面に色鮮やかな模様が染められた華やかな作品です。

紅型って知っていますか?
沖縄には行ったことはありますか?
何色使われていると思いますか?
どんな模様がありますか? などなど
藝大生の問いかけに対し、会話をしながらじっくり鑑賞していきます。

 

模様が繰り返しているのがわかりますか?
“模様の繰り返し??” 目を凝らして探します。

そう、この作品の模様は、1枚の型紙を繰り返し使ってできています。
模様の繰り返しの継ぎ目を見つけると、型紙を置いた位置がわかります。


継ぎ目を探そうと必死です

次に本館19室 みどりのライオン体験コーナー 「紅型ができるまで」の工程見本を見に行きました。
ここでは、紅型の制作工程の説明を受け、ますますやる気が高まります!


工程見本を前にこれから体験することをイメージトレーニング?

そして、待ちに待った紅型体験です!
大人の方は、型紙を彫る工程から始めます。
型紙には、本来は柿渋を塗った和紙を用いますが、今回は扱いやすいプラスチックが原料の紙を使用しました。
いくつか用意してある古典紅型の模様の中からどれを選ぼうか、皆さん楽しそうでした。

 
シューッ サクサクサク 型紙を彫る音しかしません
皆さん一気に集中モード



型紙を彫ったら、布に型紙をのせ、その上から防染糊を置きます。
ここは難しいので、藝大生が担当しました。



糊を乾燥させたら染めの工程です。今回は、トートバッグに染めていただきました!
はじめの一色は、子どもも大人も緊張でなかなか差せません。
しかし、藝大生にアドバイスを受けながら思い切って一差し…!
一差しすると、皆さん再び火が付き黙々と色を差していきます。

紅型の色差しでは、刷毛を使い顔料を暖色系から寒色系へと順番に染めます。
子どもたちは、工程見本の原品と同じ模様、同じ色で染めました。
大人の方は、自分の選んだ模様をどんな色にしようかと、配色計画を立てながらの制作でした。


丁寧に丁寧に。色の境目が難しいです

色加減に悩みます

 

体験はすすみ…

 
染め上がりです。なかなかの達成感だったようです。
ワークショップはここまでで、色の定着と糊を取る工程は、藝大生が大学のアトリエで行いました。

さてどんな仕上がりになっているのか…!


\じゃん!!/


子ども向け

大人向け


華やかですね~
紅型の特徴であるぼかしも皆さんお上手でした。

展示見学もあり、盛りだくさんのワークショップでしたが、皆さんこだわりを持って制作してくださいました。
体験を通して紅型を身近に感じていただけたのではないか思います。
担当した藝大生たちにとっても、一緒に手を動かしながら直接参加者の皆さんにお伝えでき、充実した機会となりました。

参加者の皆さんには、ぜひ素敵な紅型のトートバッグを持ってお出かけしていただけると嬉しいです。


なお、ワークショップは終了しましたが、工程見本「紅型ができるまで」のギャラリートークを藝大生が10月まであと6回行います。
このギャラリートークでは、調査や工程見本の制作を通してわかった技法や表現についてお話いたします。
足をお運びいただけましたら幸いです。

 

カテゴリ:教育普及催し物

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posted by 岡田和佳奈(ボランティア室) at 2017年08月31日 (木)