ゴールデンウィークのお出かけは親と子のギャラリー「美術のくにの象めぐり」
桜の花も散り、緑まぶしい季節がやってまいりました。
年度も変わり、ゴールデンウィークのおでかけを計画されているご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。新学期を迎えたお子さんの博物館デビューはいかがですか?
4月7日(火)より開催中の親と子のギャラリー「美術のくにの象めぐり」(5月17日(日)まで、本館特別2室)はそんな親子づれにおススメの展示です。
この展示では、当館所蔵のいろいろな象を見ることができます。日本だけでなく中国、インド、インドネシア、カンボジアで作られた象たちは、日常品や儀式用の器など目的や用途によってさまざまな姿かたちをしています。
今日ご紹介するのは、本物の象を見たことがなかった日本人が、外国から伝わったお話をもとにイメージを膨らませて作った作品です。
中国風の建物と子どもたちをのせた象の香炉 東郷寿勝作 明治時代・19世紀
ヨーロッパに輸出するために日本で作られた香炉の象です。象の上にある建物にはたくさんの子どもがいます。ひもを使って象にぶらさがっている元気な子どもや屋根に座って音楽を演奏している子どももいます。そんな子どもたちを乗せて象はゆったりゆったり歩いているようです。ぶるんと振りあげた長い鼻と人間のように白目と黒目がはっきりしている大きな瞳が印象的です。
初世市川団十郎と山中平九郎の象引 鳥居清峯筆 江戸時代・19世紀
歌舞伎の「象引」という演目の一場面です。二人の力自慢の男にがっしりと掴まれ逆さまにされている動物が象です。ちいさな鼻はしわしわで、体つきや耳、足の爪の形がまるで大型犬のようです。
象を洗う人びとを描いた大皿 伊万里 江戸時代・18~19世紀
「象を洗う」というテーマは中国や日本の美術にときどき登場します。体を洗ってもらってこんなに嬉しそうな象はほかにいないのではないでしょうか。太い眉毛でにたりと笑うこの象は本当に気持ちよさそうです。
象の背中を掃く様子(上野動物園)
会場では、上野動物園の飼育員さんが象の背中を掃く様子、象に乗って歩く様子を撮影した映像を流しています。映像と作品を見比べて、展示作品の象と違う点、同じ点などさがしてみてください。
また、上野動物園から本物の象の歯と牙、象使いが象をしつけるときに使った笛の材料である牛科の動物の角と、手鉤(てかぎ)という道具もお借りしました。実は、展示している博物図鑑にも、象の歯と笛と手鉤が描かれています。博物図鑑とあわせて見てみてください。
会場の解説表示
会場の作品名や解説は、小学生にも読んでもらえるように平易な言葉づかいを心がけました。漢字にはふりがながついています。
お子さんと作品について会話しながら展示を楽しんでいただければ幸いです。
この展示に関連して、恩賜上野動物園と国立科学博物館と合同で国際博物館の日記念ツアー「上野の山でゾウめぐり」(5月17日(日)開催、対象小学校5年生から高校生)を行います。このツアーは、動物園で生物のゾウを観察し、かはくでゾウの骨格に触れ、トーハクで美術品を通してゾウと人との関わりを知る、上野の山ならではのイベントです。絶賛参加募集中!ぜひ下記のページからお申込みください(4月26日締切)。
「上野の山でゾウめぐり」申込ページ (上野動物園のWEBサイトにリンクします)
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posted by 神辺知加(教育講座室主任研究員) at 2015年04月10日 (金)
ハッピバースデー ディア おしゃか様~♪
トーハクくん???
ハッピバースデー トゥー ユー~♪
なあに? いきなりどうしたの?
今日、4月8日はおしゃか様の誕生日なんだほ!
ああ、灌仏会(かんぶつえ)ね。そういえば、特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インド仏 仏教美術の源流」の会場では、先着100名様にポストカードをプレゼントしていたわ。
緻密で美しい「仏伝『誕生』」のポストカード
ぼくはこれから表慶館に行くんだほ。バースデー記念に、「インドの仏」展を担当している小泉さんが、展覧会を案内してくれることになったんだほ!
トーハクくんだけなんて、ずるいじゃない!
もう約束しちゃったほ。行ってくるほー!(ダッシュ)
もー、トーハクくんってば!
ユリノキちゃんに怒られる前に表慶館にやってきたトーハクくん。
さて、どんな展覧会なのでしょう?
なお「インドのイム」ではありません。「仏」です
小泉かちょー! 今日はよろしくお願いします。
やあ、トーハクくん。よく来たね。
でも・・・実は「インドの仏教美術」って、よく知らないんだほ。わからないことだらけだほ。
まあ、そういう人は多いよね。
今回の展覧会、なにがそんなにスゴイんだほ?
やっぱり、バールフットの作品が見られることかな。完全にボクの趣味だけど、これを日本で見られるのはスゴイ!
バールフット???
古代初期を代表する仏教遺跡ね。
基本的にはコルカタ・インド博物館に行かないと見られないものだから、これがトーハクに来るなんて夢のようだよ!!
バールフットの作品は、最初の展示室に展示されています
バールフットの浮彫彫刻に前のめりな二人
※今日の小泉課長はテンション高めです
(大興奮なんだほ・・・)古代初期ってことは古いんだほ?
そうだね、紀元前2世紀頃のものだから・・・埴輪よりもざっと500年から600年は古いね。
!!!
バールフットの作品には、仏教美術の最初の造形が見てとれる。世界で最初の仏教美術、まさにここが源流だね。ボクなんかは、ズバリインドっぽい造形が魅力だと思っているよ。
あと、この作品にも感動しちゃったなー。
仏伝「出家踰城(しゅっけゆじょう)」
ロリアン・タンガイ出土 クシャーン朝・2世紀頃
しゅっけゆじょう・・・? む、むずかしいほ。
これは、出家を決意したシャカが住んでいた宮殿を抜け出した時の様子を表した作品だよ。
感動ポイントがわからないんだほ・・・。
そうだなぁ、教科書で見た作品を実際に見たときの感動に近いかなぁ。
というのはね、この作品はボクたち仏教美術を研究している者にとっては、超有名な作品なんだ。それほどの作品をトーハクで見られる日がくるなんて! しかも自分で展示しちゃったよ! これはもう感動するね。
仏教美術では有名だという本作品。お見逃しなく!
(ますます大興奮なんだほ・・・。)
他にも、お経はなかなかおもしろいと思うよ。獅子王が描かれた作品は、ストーリーがおもしろくて、ボクは好きなんだよね。
大乗荘厳宝王経(だいじょうしょうごんほうおうきょう)
バレンドラ・ブーミ派 14世紀頃
どんな物語なんだほ?
主人公の獅子王と彼が率いる隊商が嵐に遭って難破しちゃうのね。そこを童女たちが助けれてくれるんだけど、実は童女の正体は羅刹女(らせつにょ)という人喰いなんだ。それに気がついた獅子王たちは逃げ出そうとする訳なんだけど・・・。まあ、続きは展示室でのお楽しみにしておこうか。
羅刹女に食べられてしまった人のがい骨に、トーハクくんもびっくり!
展示室の解説パネルで、お経に描かれたストーリーを紹介しています
いやあ、女の人はこわいんだほ(しみじみ)。
トーハクくんもわかっているじゃない(しみじみ×2)。
それはさておき、解説パネルといえばこっちのパネルも見て欲しいな。
アミダくじ?
そうそう、「五護陀羅尼経(ごごだらにきょう)」に登場する如来と明妃(みょうひ)を、できるだけ身近に感じてもらいたくて、アミダくじにしてみたんだ。
トーハクくんはどれに当てはまる?
えーと、「やっぱり長生きしたい」、「虫にさされやすい」、「ヘビにかまれたくない」・・・(なかなか強引だほ)。
あ、「実は意志がヨワい」! これだほ!
たどっていくと・・・トーハクくんにふさわしいのは阿閦如来(あしゅくにょらい)だね。何事にも打ち勝つことを意味する印を結んでいるんだ。
あしゅく如来さん、よろしくっす! だほ。
楽しんでもらえて良かったよ。
いやー、実はお客様に引かれたらどうしようって内心ドキドキだったんだよね。でも、蓋を開けてみたら好評でほっとしたんだ。
ほかの解説パネルもわかりやすかったほ!
どうかな、展覧会のスゴさ、これでわかった?
ほー! インドの仏教美術おもしろいほー!
ずいぶんざっくりとまとめたね。
でも・・・でも・・・いろんな作品が登場しておもしろかったほ。
いまトーハクくんが言ったとおり、展覧会には時代を超えたいろんな作品が展示されているからこそ、仏教美術の流れをたどるができるんだ。
「仏教美術の源流」だほ!
そうなんだけど、何も仏教美術が単独で変化していったわけじゃないからね。その背後には仏教の変化、流れがあって、さらにその背景には社会のダイナミックな流れがあるんだよ。
それを、仏教美術を通じて知ることができるのも、この展覧会のスゴイところかな。
(いやはや、ずいぶん壮大な話になったもんだほ)
まあ、展覧会を通じて「インドの仏教美術」っておもしろいなって思ってもらえるのが一番かな。トーハクくんみたいにね。
小泉さん、今日は「インドの仏」展を案内してくれて、ありがほーございました。
帰る前に、ユリノキちゃんに何かおみやげを買っていくといいんじゃない? 何せ、女の人はこわいからね。
ほー・・・。
ポスターやグッズも話題の「インドの仏」展。
「ご来館を待ってるほー」
※くどいようですが「イム」ではありません。「仏」です
カテゴリ:研究員のイチオシ、2015年度の特別展
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posted by トーハクくん at 2015年04月08日 (水)
ほほーい! ぼくトーハクくん。研究員の井出さんが「いいものを見せてあげるよ」って言うから、今日は本館16室にやってきたほ。
リニューアル以来、16室をゆっくり見るのは、実は初めてなんだほ…。てへ。
2014年4月にリニューアルオープンした本館16室。
「いいもの」って一体なんでしょう…?
井出さーん、遊びにきたほー!
こんにちは、トーハクくん。16室へようこそ。
早速だけど、これを見てみてよ。
タマサイ(首飾り)
北海道アイヌ 19世紀 徳川頼貞氏寄贈
首飾り?
これはアイヌの首飾りなんだ。
さあ、よーく見て。かわいいものがあるでしょ?
………。
どうよ?
………わからないほ。
トーハクくんもまだまだだなあ。
…!
ほら、この右側の玉を見て。魚の飾りがついてるでしょ。
か、かわいいほ!
でしょー! これをみんなに見て欲しいんだ。でも、小さいから気がつかないかな、と思って、展示室まで来てもらったんだよ。
まあ、実はボクも今回の展示をして、初めて気づいたんだけどね。てへへ。
…。(なんだか心配な人だほ)
こんな細かなところにまで気を配って、きっとおしゃれなアイヌの人だったんだろなぁって思うよ。
魚の飾りは小さいので、見逃さないように注意!
アイヌって何のことだほ?
アイヌっていうのは、彼らの言葉で「人間」っていう意味らしいよ。
もともとアイヌの人たちは、現在の北海道やロシア沿海地方などを中心に広く暮らしてきた民族なんだ。身近な自然そのものに神が宿ると信じ、自然を敬いながら、狩猟採集など伝統的な生活を営んできたんだよ。
アイヌの文化は、鎌倉時代に成立したと考えられているんだ。
なるほー! 16室に展示しているものは、アイヌの人たちのものなんだほ!
そうそう、民族資料っていうやつだね。16室はアイヌと、そして琉球の作品を展示する部屋で、今は「アイヌの祈り」というテーマで展示をしているんだ。
このタマサイも「祈り」に関係しているんだほ?
もちろんそうだよ。タマサイは、アイヌの女性たちが儀礼など特別な日に身につけたものなんだ。
よーし、せっかくだからこっちも見て行ってよ。
ウミガメ頭骨
北海道アイヌ 19世紀
これはなんだほ?
カメだよ。ウミガメの頭部。
北海道にもウミガメがいるの?
お、さすが、いいところに気がついたね。
いや~、それほどでも~(でれでれ)。
トーハクくんの言うとおり、北海道にウミガメはめったに来ない。もしかしたら漂着したのかもしれないね。アイヌの人たちにしてみれば、見慣れない生き物が遠くからやってきたぞってことになる。
ふむふむ。
アイヌの人たちは、万物に神様が宿ると考えているから、この「見慣れない生き物」が流れ着いた時、神様が、もしくは神様のお使いがやってきたぞ、と思ったんじゃないかな。
中に詰められていたり、頭に巻きつけられているのはなんだほ?
これは「ケズリカケ」と呼ばれているもので、木を削ったものだよ。ケズリカケを詰めることで、このウミガメを大事に敬う気持ちを表したんだ。
ほら、この「イナウ」とケズリカケ、似ていると思わない?
イナウ(儀礼用の木幣)
北海道アイヌ 19世紀 徳川頼貞氏寄贈
あ、木の棒の上側を削っているほ!
すっごく簡単に言っちゃうと、イナウの棒がないバージョンがケズリカケだね。
イナウって何に使うんだほ?
神様だったり、神様にメッセージを伝えるアイテムだったり、災いや魔除けにも使ったよ。
アイヌの人にとって大事なものなんだほ。
そのとおり! ケズリカケもイナウと同じように神聖なもので、それで飾ることで「ウミガメを大事に大事に扱っていますよ」っていうことを表現したんだ。
なるほー!
蝦夷漫画
松浦武四郎著 江戸時代・安政6年(1859)
さまざまなイナウが紹介されています。イナウとあわせてご覧ください
16室に展示されているのは、美術作品とはちょっと違う感じがするほ。
そうだね。美術品というよりも、もっと生活に根ざしたものというイメージかな。
「わあ、キレイ」っていうようなものではないかもしれないけど、こういった展示にも独自のおもしろさがあるから、注目してもらえたらうれしいな。
ほー!(さっきは頼りなさそうな感じがしたけど、見直したほ。)
夏はこの16室で琉球の展示をやるから、見においでよ(「琉球のくらし」6月16日(火)~9月13日(日)予定)。また案内するよ!
16室で待っててほー! 井出さん、今日はありがほーございました。
16室での再会を約束して、次回の展示がますます楽しみになったトーハクくんなのでした
カテゴリ:研究員のイチオシ
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posted by トーハクくん at 2015年04月04日 (土)
「博物館でお花見を」期間中、館内にピンク色のポストが設置されたことに、お気づきでしょうか。
桜が見頃を迎えるこの時期に、庭園や作品の桜をテーマに「東博句会 花見で一句」を開催中。こちらの投句ポストで、応募俳句の受付をしています。
投句ポストは、本館エントランス、本館1階ラウンジ、庭園内応挙館の3カ所。
投句ポストのふたを上げると、応募用の投句用紙が入っています。
毎年たくさんのご応募をいただいている東博句会。開催6年目を迎える今年度は、本館1階ラウンジ横で、過去5年間分の入選作品もご紹介しています。
今回から、「一般の部」「小学生以下の部」にわかれ、俳号でもご参加いただけるようになりました。ご応募いただいた作品のなかから、館長賞、副館長賞、桜賞を選出し、入選作品は博物館ニュースとウェブサイトで発表します。
どうぞ、お気軽にご参加ください。
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posted by 長谷川暢子(教育講座室) at 2015年04月03日 (金)
「博物館でお花見を」の会期も後半に入りました。
庭園の桜も先週から徐々に咲き始め、今週初めには満開の見ごろを迎えました。
エドヒガン(左)と、庭園入口のミカドヨシノ(右)
春らしい気温となった3月27日(金)の夜間開館日には、庭園の桜ライトアップが行われ、多くのお客様が夜桜見物に訪れました。
ライトアップされたヤエベニヒガン(左)と茶室転合庵(右)
お天気が少々心配ですが、明日4月3日(金)も桜ライトアップが行われます(19:30まで)。
庭園ではカフェも18時まで営業(ラストオーダーは17:45)していますので、夜桜を眺めながら温かい飲み物でおくつろぎいただけます。
18時からは茶室・転合庵前でシタールのコンサートも行われます。
「作品鑑賞や庭園散策で腹ぺこ!」という方には、建物も美しくライトアップされている前庭の屋台や、構内のレストラン(ゆりの木、ホテルオークラガーデンテラス)もご利用ください。
(ラストオーダーは屋台が19:30、レストランが19:20。屋台は、天候により中止、または途中で閉店する場合もあります)
ライトアップされた表慶館と屋台
週末は桜セミナーやぬりえワークショップ、コンサートなど当日参加OKのイベントもあります。
また、特別展「みちのくの仏像」もいよいよ4月5日(日)で会期終了となります。
上野公園は大賑わいですが、トーハクでは少しゆったりと桜をお楽しみいただけると思います。
ぜひ、お出かけ下さい。
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posted by 奥田 緑(広報室) at 2015年04月02日 (木)