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本館リニューアル─16室「アイヌと琉球」の見どころ

昨年12月まで『民族資料─アイヌ・琉球─』の展示は本館15室で行われていましたが、今回のリニューアルでは展示室を16室に移し、その名を改め『アイヌと琉球』として新たなスタートを切りました。

この16室では、アイヌの人びとの文化と琉球王国の文化をご紹介し、南北に長い日本列島の文化の幅の広さと奥深さとをご覧いただきます。
アイヌ文化は12~13世紀以降、サハリン・千島・北海道・北東北に暮らしたアイヌの人びとが狩猟や漁撈そして植物採集に加え、アムール川下流域や沿海州の人びとや本州の和人との交易をもちつつ育んできた独自の文化です。
一方、琉球文化は、琉球王国が15~19世紀に南西諸島を治め、日本はもとより中国や朝鮮半島そして東南アジアと関係を結ぶなかで、独特な文化をつくりあげたものです。

実は今回のリニューアルで展示室はラウンジ側に風除室を設けたために少し狭くなりました。でもそれを感じさせないのが今回のリニューアルで新しくなった展示室の特徴です。
展示室の壁の色や照明を変えたことによって展示室全体が明るくなり、さまざまな工夫が凝らされた展示ケースは、作品の魅力を漏らさずご覧いただけます。

展示室は入口から出口(その逆からでも)まで見通しができ、どんな作品が展示されているかひと目で分かります。気になる作品があったならば、まずは展示室の中へ足を運んでみてください。

本館16室

さて今回の展示のテーマ「アイヌの祈り」です。その見どころは、祈りの場面で使われたさまざまな道具です。アイヌの人びとの祭りや葬儀の際には欠くことのできないイナウ(儀礼用の木幣)やイクパスイ(儀礼用の箆)をはじめとし、人びとが身に着けた冠や首飾りなどの装身具に加え、イオマンテ(クマの霊送り)に使われた道具などをぜひご覧ください。

 
(左)イナウ(儀礼用の木幣)やイクパスイ(儀礼用の箆)など儀礼用の道具
(右)シトキ(首飾り) やサパンペ(儀礼用の冠) などの装身具



16室では7月6日(日)までは「アイヌの祈り」の展示を行い、その後は「琉球の工芸」(7月8日(火)~9月28日(日))、「アイヌの狩猟と漁撈」(9月30日(火)~12月23日(火・祝))、「アイヌの飾り」(2015年1月2日(金)~3月22日(日))という順番で展示を行います。

 


 

カテゴリ:研究員のイチオシ展示環境・たてもの

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posted by 品川欣也(考古室研究員) at 2014年04月30日 (水)