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特別展「キトラ古墳壁画」10万人達成!!!

特別展「キトラ古墳壁画」(4月22日(火)~5月18日(日)  本館特別5室)は、
5月15日(木)午後に10万人目のお客様をお迎えしました。
多くのお客様にご来場いただきましたこと、心より御礼申し上げます。

10万人目のお客様は、文京区よりお越しの林素子さんです。
林さんには、東京国立博物館長 銭谷眞美より、記念品として特別展図録とトートバッグを贈呈しました。


「キトラ古墳壁画」10万人セレモニー
林素子さん(左)と館長の銭谷眞美(右)
5月15日(木)東京国立博物館 本館エントランスにて



林さんのお父様が当館に美術品をご寄贈くださったそうで、
林さんは、ご寄贈品が展示されていないかを見に、
普段からよく当館にいらっしゃっているそうです。

「今回の「キトラ古墳壁画」展は、実は再チャレンジなんです。
もともとは特別展「栄西と建仁寺」が目当てで博物館を訪れた時に、
「キトラ古墳壁画」展も見に行こうとしましたが、行列ができていたのであきらめてしまいました。
今日は、複製ではなく本物の壁画が見られるのがとても楽しみです。」
と、お話いただきました。

特別展「キトラ古墳壁画」は、ご好評につき、5月15日(木)から5月18日(日)まで、
連日20時まで開館しています(入館は閉館の30分前まで)。
ただし、15日の17時~20時ならびに17日、18日の18時~20時は
特別展「キトラ古墳壁画」および本館・表慶館のみ開館しています。

どうぞお見逃しのないように、ご来館をお待ちしています。

カテゴリ:news2014年度の特別展

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posted by 高桑那々美(広報室) at 2014年05月15日 (木)

 

上野の山でクマめぐり

5月11日(日)、上野動物園国立科学博物館、東京国立博物館を1つのテーマでめぐるイベントを開催しました。

クマめぐり

今年のテーマは「クマ」。
小学5年生~高校生を対象に、それぞれの専門家3人が力を合わせたツアー形式のセミナーです。

上野動物園 小泉さん
上野動物園からスタート。
動物解説委員の小泉祐里さんと一緒に「生きたクマの観察」です。



上野動物園といえば、おなじみの「パンダ」。パンダもクマの仲間、クマ科の動物なのです。
座り方や、手を上手に使って食べている姿を観察します。

パンダ

夢中で竹を食べてるパンダ、よく見ると頭がもりもり動いています。
これは頭の筋肉も使いながら食べている証拠。堅いものも食べられる強い筋肉が、パンダのかわいい丸顔を作っています。


ひとことで「クマ」といってもさまざま。それぞれにいろいろな特徴があります。

さまざまなクマ

じっくりと観察したあとは、国立科学博物館へ。
動物研究部の川田伸一郎さんに「クマの骨格」をテーマにお話を伺いました。

国立科学博物館 川田さん


動物園で見たクマの体のひみつについて、骨格を見ながら探っていきます。
もちろん実際に骨にも触ってみます。
骨格の特徴もさまざま、種類によってちがっています。

クマの骨格


お昼ごはんのあとは、最後のトーハクへ。
教育講座室の神辺知加さんが、平成館企画展示室(「熊めぐり」 ~2014年6月1日(日))で「トーハクのクマたち」についてお話しました。

トーハク 神辺さん


縄文人が土で作ったクマや牙のアクセサリー、江戸時代の浮世絵などから、クマの強さは人々にとって憧れの象徴だったことが分かります。
そして昔からとても身近な存在でした。

トーハクの熊作品
(左)重要美術品 縄文人が土で作った熊 青森県弘前市十腰内出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年
(右)鉞を担ぎ熊に乗る金太郎 鳥居清長筆 江戸時代・18世紀


屏風
冬眠から目覚めた熊の親子(雪中熊紅葉鹿図屏風のうち左隻) 山本桃谷(1833~90)筆 明治時代・19世紀


展示室内では、上野動物園と科学博物館からお借りしたクマの毛皮やツメ、冬眠の様子も。

冬眠の様子が見られる動画
冬眠中のクマの様子が見られます


作品の説明だけでなく小泉さんと川田さんも交えて作品の中のクマも観察し、作品の見方がまた広がりました。


来年のテーマは… どうぞ、お楽しみに。
 
 

関連展示

特集「熊めぐり」 平成館 企画展示室   2014年4月22日(火) ~ 2014年6月1日(日)

 

 

カテゴリ:news教育普及

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posted by 長谷川暢子(教育講座室) at 2014年05月14日 (水)

 

特別展「栄西と建仁寺」20万人達成

特別展「栄西と建仁寺」(3月25日(火)~5月18日(日) 平成館特別展示室)は、
5月9日(金)午前に、なんと20万人目のお客様をお迎えしました。
国宝「風神雷神図屏風」を始めとする名品が揃い、見どころの多い展覧会として、
多くのお客様にご来場いただいております。
皆様に心より御礼申し上げます。

記念すべき20万人目のお客様は、東京都文京区よりお越しの前﨑美貴さんです。
本日はお母様とお2人でご来館くださいました。
前﨑さんには、東京国立博物館長 銭谷眞美より、記念品として特別展図録とトートバッグ、てぬぐいなどを贈呈しました。


「栄西と建仁寺」20万人セレモニー
お母様の前﨑節子さん(左)と前﨑美貴さん(中央)、館長の銭谷眞美(右)
5月9日(金)東京国立博物館 平成館エントランスにて



お母様の節子さんが本展覧会にいらっしゃるのは、実は2回目だとか!
最初にご覧いただいた時は、伊藤若冲筆の「雪梅雄鶏図」が印象深かったそうで、
本日は、お嬢さまとお2人で、改めて見に来られたそうです。
もともと美術が好きで、最近は日本美術に興味を持つようになったという美貴さんは、
「特に海北友松の『雲龍図』が楽しみです。テレビで『雲龍図』が放映されているのを見た時に、その迫力に驚きました。
本物はどれほどすごいのか、しっかり見ておきたいです」
と、お話いただきました。

特別展「栄西と建仁寺」は5月18日(日)まで。会期終了まで10日を切りました。
人気の国宝「風神雷神図屏風」を、そして迫力の「雲龍図」を、ぜひ見にいらしてください。

カテゴリ:news2014年度の特別展

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posted by 高桑那々美(広報室) at 2014年05月09日 (金)

 

特別展「キトラ古墳壁画」5万人達成!!!

特別展「キトラ古墳壁画」(4月22日(火)~5月18日(日) 本館特別5室)は、
5月2日(金)午後に5万人目のお客様をお迎えしました。
開幕から約10日間での5万人達成、おかげさまで人気の高い展覧会としてご注目いただいています。
多くのお客様にご来場いただきましたこと、心より御礼申し上げます。

5万人目のお客様は、東京都港区よりお越しの吉永美由紀さんです。
本日はご夫婦お2人でご来館くださいました。
吉永さんには、東京国立博物館長 銭谷眞美より、記念品として特別展図録とトートバッグを贈呈しました。


「キトラ古墳壁画」5万人セレモニー
館長の銭谷眞美(左)と吉永美由紀さん(中央)、ご主人の実さん(右)
5月2日(金)東京国立博物館 本館エントランスにて


結婚後しばらくして、お2人で京都・奈良をご旅行された時のこと。
高松塚古墳など明日香を自転車で回られたそうですが、
キトラ古墳は少し離れたところにあるため、訪れるのを断念されたとか。
見逃してしまったキトラ古墳が、しかも本物の壁画が東京で見られるとあって、展覧会にお越しくださったそうです。
「この機会を逃したらいつ見られるかわからないと思って、今日は来ました。
本物が見られて、しかも5万人目の来場者にもなれて、ゴールデンウィークの楽しい思い出になりました」
と、お話いただきました。

明日香村外では初めての壁画公開となる特別展「キトラ古墳壁画」は、
東京で壁画の実物をご覧いただける、大変貴重な展覧会です。
この機会にぜひ会場へお越しください!

カテゴリ:news2014年度の特別展

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posted by 高桑那々美(広報室) at 2014年05月02日 (金)

 

龍が、二龍になりました! でも一流の水墨画です!!

ご好評いただいている特別展「栄西と建仁寺」も、会期半ばを過ぎ、4月22日(火)から後期に入りました。サッカーにたとえるならば前半終了、出場選手もかなり入れ替わりました。読者の皆さまはすでに、脆弱な文化財を守り後世に伝えるため、展示期間に制限を設けていることをご承知のことと思います。作品の中には、かなり高齢の選手もおりますので。

それはともかく、とくに大きく変化した「第3章 近世の建仁寺」から、建仁寺本坊の大方丈の障壁画を公開している展示室について、話題にしましょう。

建仁寺大方丈6室のうち仏間を除く5室は、海北友松の障壁画(襖絵、壁貼付画)によって囲まれていました。ところが、昭和9年(1934)の室戸台風で方丈が倒壊したため、これら襖絵や壁貼付画は、50幅の掛軸に改装され、以降、京都国立博物館に保管されるようになったのでした。現在、方丈にはその高精細デジタル複製画がはめ込まれていますが、本展に出品されているのは、もちろんオリジナルの方で、すべて重要文化財です。


本坊方丈襖絵(高精細デジタル複製画)


大方丈障壁画は、中央の部屋の「竹林七賢図」、北西の部屋の「琴棋書画図」、南西の部屋の「山水図」、北東の部屋の「花鳥図」、南東の部屋の「雲龍図」で構成されます。これらについて、前後期おおよそ半分ずつ選手交代し、ご覧いただいているわけです。部屋の雰囲気もずいぶん変わりました。




これらの作品は、彼の代表作であるばかりでなく、日本の水墨画の名作としても知られています。なかでも有名な場面が、比類ない雄渾さをしめす水墨の「雲龍図」8幅(元襖8面)でしょう。



重要文化財 雲龍図 海北友松筆 安土桃山時代・慶長4年(1599) 京都・建仁寺蔵
[展示期間 8幅のうち 左4幅(上):3月25日(火)~5月6日(火・休) 右4幅(下):4月22日(火)~5月18日(日)]

前期には、口を閉じた龍4幅(元西側4面)が展示されていましたが、展示替えで口を開いた龍4幅(元北側4面)が登場し、二龍が向き合いました。二龍ですが、画は一流です!!縦2メートル近く、横は4面で5~8メートルずつ。迫力満点の大画面です。5月6日まで全8幅を展示、この期間、向き合って視線をぶつけあう二龍の姿をご覧いただけます(5月8日以降は、口を開いた龍4面のみを展示)。


海北友松(1533~1615)は、琵琶湖の東岸で、浅井氏の家臣、つまり武家の子として生まれ、戦国の動乱期、幼くして京都・東福寺に入り禅林で過ごしました。40代で還俗して武道に励み、50~60代から画家として本格的活動に入ります。「剣」を「筆」に持ち替えた人と言ったらよいでしょうか。その画の迫力には、どうも武人のDNAが関係しているように思えてなりません。友松が描いた龍の画が朝鮮国にわたり、彼の地の人々にも鑑賞され、その名が伝わっていたという事実も知られています。それにしても50~60代から83歳で没するまでの画業、高齢社会の今日、希望と勇気を与えてくれる画家ですね。じつは建仁寺大方丈の障壁画制作は、慶長4年(1599)67歳のときで若描き(!?)なのです。

海北友松は、日本美術史の教科書では、狩野永徳・狩野山楽・長谷川等伯・雲谷等顔とならぶ桃山絵画の巨匠と記されます。しかし永徳や等伯と比べると、知名度はまだ高くなく「かいほくともまつ??」などと読まれてしまいそうですが、この機会にぜひ「かいほうゆうしょう」という読み方とともに、その切れ味満点の水墨の魅力を知っていただきたいと思います。


ところで、ふつう日本の絵は、画面を寝かせて描くのですが、この「雲龍図」は、立てかけて描かれたようです。あちこちに水気の多い墨が縦方向に流れているのが分かります。
それから「画龍点睛」も。龍に命を吹き込む瞳は、丸い点「●」ではなく、力をこめ二画ではねた「∨」で表されています。


雲龍図(部分)

龍の画のなかで、この龍がいちばん引き締まった表情をしていてカッコいい、と私は思うのですが、その理由のひとつはこの眼にあるでしょう。丸い瞳では、可愛くなってしまうでしょうし。龍が巻き起こす大気の描写もすばらしい。とても力強く、龍が現れた瞬間を劇的に演出しています。ともかく墨の色が深く、濃淡の諧調が美しいのです。ぜひ実作品の前に立って、これらのことを確かめてみてください。

 

カテゴリ:news2014年度の特別展

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posted by 山下善也(当館絵画・彫刻室主任研究員) at 2014年04月27日 (日)