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今秋開催!特別展「最澄と天台宗のすべて」

当館は6月1日(火)より開館しております。詳細は「再開館のお知らせ」のページをご覧ください。
今回のブログでは、緊急事態宣言の発令前に開催した、特別展「最澄と天台宗のすべて」の報道発表会の様子をご案内します。
なお、展示作品、会期、展示期間等については、今後の諸事情により変更する場合があります。
最新情報は展覧会公式サイト等でご確認ください。
 
 
東京国立博物館では、2021年10月12日(火)~11月21日(日)に、平成館で伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」を開催します。
本展は当館での開催後、2022年に九州国立博物館、京都国立博物館へと巡回する予定です。
去る4月15日(木)、3館合同で本展の報道発表会を行いました。
今回は、その模様とともに、展覧会のみどころをご紹介します。
 
東京会場の先行チラシは両A面仕様。館内各所で配布開始しました!

 
 
報道発表会では、はじめに、主催代表者5名がご挨拶いたしました。
 
左から:
天台宗 宗務総長 阿部昌宏
比叡山延暦寺 執行 水尾寂芳
 
左から:
東京国立博物館 副館長 富田淳
九州国立博物館 副館長 小泉惠英
京都国立博物館 副館長 栗原祐司
 
 
2021年は伝教大師最澄(でんぎょうだいし さいちょう/767~822)が亡くなってから1200年目の節目にあたります。
その1200年大遠忌(だいおんき)を記念して開催するのが本展です。
最澄は『法華経』が説く「悟りに至る道はすべての人に開かれている」という教えに心惹かれ、その実現に奔走しました。
本展では、最澄の生涯をゆかりの品々から辿るとともに、日本天台宗の開宗から江戸時代に至るまでの歴史を、日本各地で守り伝えられてきた数々の貴重な宝物から紐解きます。
 
 
3館に共通する展覧会の概要と、東京会場のみどころについて、本展を担当する当館研究員の皿井より解説いたしました。
 
 
本展のタイトルを見て、2006年に当館で開催した特別展「最澄と天台の国宝」を思い出した方がいらっしゃるかもしれません。
天台宗開宗1200年を記念したこの展覧会は、東京、京都の2会場での開催でした。
本展はそれを上回る3会場を巡回予定。
東京、九州、京都という3つの国立博物館を巡回する大規模展として企画したのには、最澄の生涯や天台宗の歴史が深く関係しています。
 
最澄は天台の教えを広めるべく日本各地に足を運び、全国の要所に教えの拠点をつくろうと計画しました。
さらに、最澄が比叡山に創建した延暦寺は、多くの高僧を輩出。彼らが説いたさまざまな教えは、日本文化に大きな影響を及ぼしてきたのです。
最澄や後進の尽力により、天台宗は全国に広く根を下ろし、それぞれの地域で多彩な花を開かせました。
こうした天台宗の特色を存分にご紹介するため、本展は章立てこそ3会場共通ではあるものの、会場ごとに大幅な作品の入れ替えを行い、各会場の地域的な様相を掘り下げます。
 
 
では、3館巡回のスタートを切る東京国立博物館での展示のみどころとは。
 
東京会場みどころ その1:貴重な秘仏が勢揃い
重要文化財 薬師如来立像 平安時代・11世紀 京都・法界寺蔵
展示会場:東京国立博物館、京都国立博物館
 

重要文化財 薬師如来坐像 平安時代・12世紀 岐阜・願興寺(蟹薬師)
展示会場:東京国立博物館

最澄にゆかりの深い薬師如来像や、天台宗の祖師にちなんだ尊像など、全国7つものお寺から貴重な秘仏が東京国立博物館へお出ましになります。
そのなかには、重要文化財「薬師如来立像」(京都・法界寺蔵)や
重要文化財「薬師如来坐像」(岐阜・願興寺〔蟹薬師〕蔵)といった寺外初公開となる秘仏本尊も含まれます。
秘仏本尊が寺外にお目見えするだけでも非常に稀なこと。

東京に居ながらにして、これだけの秘仏とご対面できる機会は滅多にありません。

 
東京会場みどころ その2:国宝「聖徳太子及び天台高僧像」が一堂に
国宝 聖徳太子及び天台高僧像 平安時代・11世紀 兵庫・一乗寺蔵
※展示期間、展示会場は各図ごとに異なります。
 
国宝「聖徳太子及び天台高僧像」は、インド・中国・日本の天台ゆかりの人物たちを描いた十幅からなる作品です。
平安時代の仏画は大変稀少であり、とりわけ最澄像(画像下段 右から2枚目)は現存する最澄の肖像画のなかで最も古いもの。
会期中に展示替えはあるものの、東京国立博物館では十幅すべてをご覧いただくことができます。
さらに、期間限定で全十幅の同時公開を予定しているのも、3館のうち東京国立博物館だけです。
 
 
東京会場みどころ その3:江戸天台の精華がずらり
慈眼大師縁起絵巻(中巻部分)
詞書:胤海筆・絵:住吉具慶筆 江戸時代・延宝8年(1680) 東京・寛永寺蔵
展示会場:東京国立博物館 ※中巻展示期間:10月26日(火)~11月7日(日)
寛永寺を創建した慈眼大師天海(じげんだいし てんかい/1536?~1643)の生涯を描いた絵巻物。江戸時代の寛永寺の様子が描かれています。
 
前述のとおり、本展では、江戸時代に徳川幕府の庇護のもとで生み出された、華麗な江戸天台の名宝にも焦点を当てます。
東京国立博物館のある上野は、なんといっても「東の比叡山」東叡山寛永寺のお膝元。
現在の本館がある場所は、寛永寺の本坊跡地というご縁もあります。
東京国立博物館では、最澄による東国への布教活動の足跡をご紹介するとともに、当館でのみ公開予定の秘仏、重要文化財「薬師如来立像」(東京・寛永寺蔵)をはじめ、江戸城の鬼門として繁栄した寛永寺にまつわる宝物などをまとめて展示し、江戸時代における天台宗の隆盛に迫ります。
 
 
東京会場みどころ その4:総合文化展での関連展示も
本館14室では、特別展「最澄と天台のすべて」にあわせ、特集「浅草寺のみほとけ」(2021年9月28日(火)~12月19日(日))を開催。
「浅草寺に仏像?」とお思いの方が少なくないかもしれませんが、1950年に聖観音宗となるまで天台宗の古刹として知られた浅草寺には、数々の仏像が伝えられています。
本特集では、浅草寺所蔵の仏像17体を展示予定です。
また、本館11室でも、2021年8月31日(火)~11月14日(日)には京都・妙法院をはじめ天台宗の寺院に伝わる仏像をご紹介します。
特別展とあわせて総合文化展もご覧いただけば、より理解が深まり、楽しみが増すこと間違いなしです!
 
 
報道発表会では、皿井研究員に続き、九州会場、京都会場のみどころも各館の研究員よりご案内しました。
 
 
 
 
さらに、本展の音声ガイドナビゲーターには、市川猿之助さんが就任されました!
こちらもどうぞお楽しみに。
 
 
本展でご覧いただける宝物には、最澄の信奉した「すべての者が救われる」という『法華経』の精神が表されたものが多数含まれます。
昨今の世情を踏まえると、そういった宝物も、よりいっそうの切実さをもって目に映るかもしれません。
伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」(2021年10月12日(火)~11月21日(日))に、どうぞご期待ください。

 

カテゴリ:2021年度の特別展

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posted by 新井千尋(広報室) at 2021年06月08日 (火)