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生まれ変わった東洋館─インドの細密画を見てみよう!

インドの細密画というのをご存知でしょうか。もともとは、11世紀頃、棕櫚(しゅろ)の葉に仏教やジャイナ教の経典の挿絵を描いたものにはじまりますが、後にムガル王朝(16~19世紀)の時代になると、神話をはじめ、歴史・文学・音楽や自然の景色などを鮮やかな彩色によって、文字通り細密に描くようになり、これが宮廷を中心に栄えました。


当館では、7年ほど前に、そのまとまったコレクションを購入し、これまで幾度か単発的に展示してきましたが、このほど、東洋館のリニューアルに際して、地下の展示室(13室)の中に専用のコーナーを設け、常設展示をすることとなりました。

 
左(図1): ラズム・ナーマ  インド、ムガル派 16世紀末
右(図2): 蓮の上に坐すクリシュナ インド、ビカネール派 18世紀後半
展示期間: 2013年1月29日(火) ~ 2013年2月24日(日)


インドの古典文学の中で燦然と輝く『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』という2大叙事詩の神話(図1)、シヴァ神やヴィシュヌ神(クリシュナ神)などのヒンドゥー教の神々(図2)、諸王の肖像(図3)や歴史的な逸話、男女の恋模様、動物の姿、そして、図像による音楽表現(図4)など、実にバラエティに富んだ内容となっています。

   
左(図3): ママーラシュ(象)に乗る藩王アマル・シン インド、メーワール派(ウダイプール) 18世紀中頃
展示期間: 2013年1月29日(火) ~ 2013年2月24日(日)
右(図4): 弓を番えながら戯れる男女(ヴィバーサ・ラーギニー)  インド、ブンディ派 18世紀前半
展示期間: 2013年1月2日(水) ~ 2013年1月27日(日)


日本では、インドの細密画は、まだまだなじみの薄い分野ですが、東洋館リニューアルオープンを機に、えもいわれぬ叙情性にあふれた奥深い魅力をもつインド細密画の世界を、ぜひ味わってみていただきたいと思います。

カテゴリ:展示環境・たてもの

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posted by 松本伸之(学芸企画部長) at 2012年11月21日 (水)