このページの本文へ移動

1089ブログ

生まれ変わった東洋館─クメール彫刻

みなさんこの写真、どこで撮影したものかわかりますか?

 クメールの彫刻展示室

カンボジアです。トーハクの中の。
2013年1月2日(水)にリニューアルオープンする東洋館にはこれまでなかった展示室や稀にしか展示しなかった作品のコーナーを新設し、充実をはかりました。彫刻を担当する私の一押しは地下の11室、クメール彫刻18点を展示するこの部屋です。クメール人は古くから現在のカンボジアの地に住み、9世紀から15世紀までアンコール王朝を繁栄させました。その代表的な遺産にアンコール・ワットがあります。ここではアンコール・ワットと同じ頃造られた石造の仏像、神像、精緻な浮彫りがほどこされた建築部材を展示します。

クメールの彫刻展示室
手前は獅子、奥に象の頭に人間のからだのガネーシャ。
カンボジアの獅子は中腰のようなふしぎな姿勢。


クメールの彫刻展示室
建築部材(砂岩)にほどこされたみごとな浮彫り。象の頭の上に乗るのはインドラ神。

残念ながら日本からの直行便がないため、カンボジアを巡る日本の観光客はあまり多くないようです。しかしアンコール・ワットのあるシェムリアップには欧米、中国、韓国の観光客が多く、町は整備され清潔で、快適なホテル、レストランが並んでいます。
みどころはとても多く、少なくとも2泊はして、ゆっくり見て回ることをお勧めします。
 
バンテアイ・スレイ
アンコール・ワットと並ぶ必見の遺跡バンテアイ・スレイ。
東洋のモナリザと呼ばれる女神像がある。


どうも個々の人間と同じようにそれぞれの民族にも得意分野があって、カンボジアは世界でも屈指の彫刻家揃いだったようです。東南アジアでは第一位でしょう。まずはこの部屋でじっくりその造形の美しさをご覧ください。そして興味をもたれたら、ぜひ現地を旅してみてください。
 

カテゴリ:展示環境・たてもの

| 記事URL |

posted by 浅見龍介(東洋室長) at 2012年11月18日 (日)