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書を楽しむ 第23回「池大雅」

書を見るのは楽しいです。

より多くのみなさんに書を見る楽しさを知ってもらいたい、という願いを込めて、この「書を楽しむ」シリーズ、第23回です。

いま、本館8室(書画の展開―安土桃山~江戸、10月14日(日) まで)に、
池大雅(いけのたいが、1723~76)の作品が
たくさん展示されています。

まずは、池大雅の作品のうち
一部分を、エンピツで写してみました!


(左) 一行書(部分)  池大雅筆 江戸時代・18世紀 植松嘉代子氏寄贈
(右) エンピツの写し(「此度」のみ)


自由な筆遣いを再現したかったので、
双鉤塡墨(そうこうてんぼく。字の輪郭を線でとって、その間を墨で埋める模写方法)の
ように写してみました。
墨のかすれ具合が特徴的です。

自由な、と言いましたが、
実際に写してみると、
上の文字「此」の空間に前の字「去」が、
下の文字「度」の空間に次の字「還」が、
それぞれ一字であるかのように書かれているのが、
わかりました。
空間をうまく使って書いています。


一行書 池大雅筆 江戸時代・18世紀 植松嘉代子氏寄贈

全体を見ると、バランスよく収まっています。
ところが、下の方、「此」の上の数文字は、とても小さいです。
能書(書の上手な人)の作品は、
変化の妙を見せながら、作品の後半が巧みです。

今回は、池大雅の書が5点もあります。


七言二句 池大雅筆 江戸時代・18世紀  植松嘉代子氏寄贈


江戸時代に、
中国文化の影響を受けて、
文人(ぶんじん)が日本各地で活躍しました。
文人は、絵も書も上手で、
中国の詩を理解し、漢詩を詠んだりしました。
ただ、中国の文人と日本の文人では、
大きく立場が異なります。

それはともかく、
池大雅は、日本を代表する文人として有名です。
描いた絵の評価も高く、
実は、今回、本館8室には、
池大雅の絵もたくさん展示されています。


六遠山水図 平遠 池大雅筆 江戸時代・18世紀

文人・池大雅の世界。
ぜひ本館8室にいらしてください。
 

カテゴリ:研究員のイチオシ書跡

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posted by 恵美千鶴子(書跡・歴史室) at 2012年10月06日 (土)