このページの本文へ移動

140周年ありがとうブログ

御縁にありがとう

保存修復室の土屋裕子と申します。
平成11年7月にトーハクの仲間に入れていただきました。
専門は文化財保存、特に油彩画の保存修復ですが、次のような仕事を担当しています。

(1)修理材料や技術者のリサーチ
(2)館外発注する修理や館内で行なう年間約1000件の応急修理のマネージメント
(3)保存修復に関する教育普及活動(本館17室の展示企画)
(4)展示や貸し出しにともなう油彩画の修理
(5)油彩画の技法材料、保存修復に関する研究(他機関との共同研究を含む)

写真をご覧ください。 これは、館内の階段の一角です。
毎日何気なく通っていたやや暗い階段。


館内の階段の一角。ちょっと暗くて怖い(?)

数年前のある日、フランスから来館の修理技術者が「わっ、すばらしい階段」と釘付けになっているのをみて
初めて目を向けてみました。そういえば、味気ない階段が多いなか、ここだけはタイル貼り。


階段のディテール。味のある焼き物のタイルが敷き詰められています。

重要文化財にふさわしいディテールではありませんか! 灯台下暗し。
今では毎日、タイルをゆっくり味わいながら上り下りしています。
考えようによっては、私もトーハクの一部を「磨いている」のかも(???)。
ごめんなさい、足ではありますが。

トーハクには多くの「名品」たちが舞台に立っています。
それらの健康を守るのは大切な仕事です。
でも、私の気がかりは舞台に立ったことがない、身元さえ不明の「迷品」たち。
すべてトーハクの歴史のなかの大切な収蔵品ですが、何かの拍子で迷子になり、忘れられてしまいました。
そういう作品たちの発見と身元調査は、私のトーハクでの喜びの一つです。
トーハクの仲間となり、楽しい仕事をさせていただいている御縁に感謝しながら、これからも頑張ります!



油彩画の調査で全員集合の大先輩。
右前景から、歌田眞介先生、坂本一道先生、森田恒之先生、青木茂先生、トーハクの神庭信幸保存修復課長、
藝大大学院生の加藤広樹さん、そして私。木島隆康先生は落し物をされたのかテーブルに隠れてしまわれましたが、
中央の空間に御在席。

 

カテゴリ:2013年2月

| 記事URL |

posted by 土屋裕子(保存修復室) at 2013年02月11日 (月)

 

たくさんの「宿題」にありがとう

私のいる情報管理室は、館内のシステム開発やネットワークの整備、デジタルデータの管理などをする部署です。
システムの開発は、外部の業者さんに委託することもありますが、自前でプログラムを書くこともあります。

私がトーハクに入って以来取り組んできたのは、業務用の収蔵品のデータベースです。
少しずつ機能を追加、洗練させてきたもので、日々の仕事に活用されています。


博物館の中でソフトウェア開発もしています。

また、大量のデジタル画像を効率的に管理、活用する仕組みも作っています。


画像データを記録したCDやDVD。2万枚以上あります。

しかし、まだまだ他にもやらなければならないことが待っています。
これまでは、館内の仕事を支援するためのシステムづくりが多かったのですが、
これからはトーハクに蓄積されてきた様々な情報を一般の皆様に使って頂けるような仕組みを作らなければなりません。
作品そのものについての情報はもちろん、そこから生まれた論文や調査報告書、過去の活動の記録などなど…。
トーハクは文化財だけでなく、知的資源の宝庫でもあるのです。
それをもっともっと活かせるようにしたい。

あの資料もデジタル化しなくちゃ、この情報も整理して公開しなくちゃ…
こうした「宿題」が目の前にいっぱい山積みになっていて、気が遠くなるようでもあり、ワクワクするようでもあり。
やりがいのある仕事がたくさん待っていてくれることに感謝しています。
 

カテゴリ:2013年2月

| 記事URL |

posted by 村田良二(情報管理室長) at 2013年02月08日 (金)

 

本を通じて出会った皆様へ、ありがとう

出版企画室の松尾と申します。
博物館発行の書籍やリーフレットの編集など、出版関係の仕事をしています。

当館の研究誌『MUSEUM』の第1号発行は、今から62年前の昭和26年、内容は宗達・光琳美術の特集でした。
本は過去の人の考えや想いとも出会える貴重な場所だと思います。
そして今月、『MUSEUM』第642号が刊行される予定です。

ありがたいことに、私たちは、現在の研究員の原稿を最初に読む1番目の読者でもあります。
だからこそ、文字や情報、表記のしかたや図に齟齬はないか、
気をつけながら読ませていただいています。

本の制作には、出版社、レイアウトをしてくださるデザイナーや校正・校閲の方、
印刷所など、たくさんの方々がたずさわっています。
これからの電子書籍化やWeb等で、出版文化の形態もさらに変わっていくでしょう。
でも、研究者や出版にたずさわる方、読者の皆様との出会いや交流のなかで、
マイナーだと思われる話や違った視点からの説も、興味や熱意でかたちにしていけたらと思っています。

本や文章を通じて出会った(実際にお目にかかれなくても)すべての方へ、
感謝をこめて...
ありがとうございます。


出版企画室で作った書籍と一緒に。(中央が筆者)
資料館やミュージアムショップで、ぜひお手にとってご覧下さい。

 

カテゴリ:2013年2月

| 記事URL |

posted by 松尾美貴(出版企画室) at 2013年02月05日 (火)

 

参加者であり守り手であるみんなに、ありがとう

平成10年4月に東京国立博物館に赴任してからもうすぐ満15年が経ちます。
その間、トーハクの収蔵品を公開しながら確実に未来に継承するための新しい取り組みとして、臨床保存学を立ち上げました。



臨床保存学とは、文化財に寄り添いながら、あらゆる場所で文化財を安全に扱うための具体的で実践的な方法論です。
診断、予防、修理がキーワードになりますが、中でも大切なのが予防です。
文化財が傷んだ後で修理を施すのではなく、傷みの初期段階で最適な処置を行い、収蔵庫や展示室あるいは輸送中の環境を整えながら、適切に取り扱うのが予防です。勿論、傷まないように蔵の中に保管すれば良いというものではなくて、公開によって多くの方に親しんで頂きながら保存を目指すことが重要なポイントです。

予防には誰でも参加できるという素晴らしい特長があります。
監視、研究、清掃、経理、広報、販売、教育、人事など、トーハクで働くさまざまな人たちが、それぞれの立場から予防に寄与してくれています。

みなさん、どうもありがとうございます。


国宝 檜図屏風(狩野永徳筆)を調査する筆者

カテゴリ:2013年2月

| 記事URL |

posted by 神庭信幸(保存修復課長) at 2013年02月02日 (土)

 

「見返り美人」と会わせてくれてありがとう

国立文化財機構総務企画課の竹之内です。
私は、美術品を守り伝える歴代学芸員の皆さんにありがとうの気持ちを伝えたい。

好きな言葉が「三日坊主」の私が唯一続けているのが切手収集です。
今から30年前の小学生の時、切手ブームの中で何となく始めた切手収集は、トーハクで見た「見返り美人」(菱川師宣)と向き合った瞬間に変わりました。

きれいな切手を集めてみたい!

見返り美人が制作されたのが17世紀江戸時代、切手として初めて登場したのが1948年(昭和23年)。
それ以降、これほど何度も切手の図柄として登場した切手は他にありません。
それほど人を引き付ける逸品と向かい合ったトーハクの学芸員は、どの様な思いで作品を守り続けたのか一度聞いてみたいものです。

1947年(昭和22年)に切手趣味週間が始まり、教科書でもお馴染みの美術品が採用されたことで、私のように切手から美術品を覚えた方も沢山いらっしゃると思います。
中でも4大記念切手と呼ばれる「見返り美人」、「月に雁」(広重)、「ビードロを吹く娘」(歌麿)、「市川海老蔵」(写楽)は全てトーハクの館蔵品です。
今後、展示されるのを私も楽しみにしています。

長い月日をかけ学芸員の卓越された知識と技術によって引き継がれた逸品は、本物の感動を伝える以上の付加価値を生み出しています。
それは、感動を手元の小さな切手で誰もが再現できることです。
これが私のトーハクと切手の楽しみ方です。

切手が生活の身近な存在であるならば、トーハクも皆さんの身近な存在ではないでしょうか。
是非、皆さんの記憶にある懐かしい切手の数々をトーハクで探してみませんか。


トーハクの所蔵品をモチーフにしたオリジナル切手シートです。
1月2日にリニューアルオープンした東洋館でも、オリジナル切手シートを販売中です。
みなさんが美術品に興味を持つきっかけになったものは、なんですか?

カテゴリ:2013年1月

| 記事URL |

posted by 竹之内勝典(総務企画課長) at 2013年01月29日 (火)