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140周年ありがとうブログ

資料館をご利用いただいている皆さまにありがとう

情報資料室に勤務する住広昭子と申します。
トーハクには、1980年に奈良国立博物館から異勤してまいりました。
以来、図書や写真(画像)資料に関わってウン十年になります。図書や写真資料の整備をすすめて多くの方に利用していただいていること、それを通して所蔵品や他の文化財についての情報を提供する業務に継続して携わることができたことは、本当に幸せだと思っています。

資料館をご利用いただいたことがありますか?
資料館は明治5年の博物館の創設以来、蓄積してきた学術資料を公開する施設として1984年に開館し、現在は和古書、地図・拓本などの歴史資料を除く、図書と写真資料を公開しています。
図書資料は閲覧、複写が可能で、写真資料は資料館内のキャビネットで写真カード28万枚を公開しているほか、画像システムで検索して見ることができます。
また所蔵品に関するレファレンスサービスにも力を入れています。

従来は西門からお入りいただいていましたが、昨年9月より、博物館の構内から直接資料館にお越しいただけるようになりました。
今年7月には利用者の方へのアンケートを実施させていただきましたが、資料館をはじめて利用される方も多く、まだまだご存知ない方も多いと改めて気付かされました。
もっと多くの方にご利用いただける施設でありたいと思っています。

近年は特別展や特別陳列にあわせた関連図書コーナーを設置して図書のリストを配布したり、新着図書・雑誌の展示コーナーを設けたり、また開架図書を充実させるなどして、多くの方に直接資料をご覧いただけるように努めています。


閲覧室内の新着図書の展示(左側)と、特別展関連図書コーナー(右側)

また、資料館で所蔵している資料には、明治・大正期創刊の美術雑誌や売立目録、複製本、博覧会関連資料など、特別なコレクションもあるため、順次数点を選んで紹介をする資料展示も行っています。
今後は、洋書・漢籍などの貴重資料のデジタルアーカイブも作成・公開する予定です。


売立目録と大正時代創刊の美術雑誌から(所蔵資料紹介で過去に展示しました)

資料館が開館するには、多くの諸先輩たちの熱意と思いがあったと思っています。それを今に引き継ぎ、さらに時代に即したサービスを提供することが求められています。
ミュージアム・アーカイブとして、展覧会の開催や教育・普及活動をはじめとする様々な博物館活動から生み出される資料や情報を収集、整備し、公開していくことも課題のひとつです。
例えば今は、東京国立博物館で開催された戦後の特別展覧会で出品された作品データを集積して、公開に向けた準備を行っています。

今後も資料館のサービス向上にむけて、スタッフともども頑張っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

カテゴリ:2012年9月

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posted by 住広昭子(情報資料室) at 2012年09月30日 (日)

 

四季が感じられる職場にありがとう

ホテルオークラ ガーデンテラスの富田と申します。
私がこちらに着任いたしましたのが、昨年の3月9日。2日後に東日本大震災が起こり、衝撃のスタートとなりました。
しばらくお店は閉館となり、私は当時、開業準備中だった東洋館にあるレストラン「ゆりの木」で、マネージャーや料理長とともに次々と納品される什器備品と格闘することになりました。
そうして迎えた3月29日の「ゆりの木」開業日は、万感の思いでした。
レストランでの仕事を長くしていてもオープニングに携わる仕事は滅多になく、とても貴重な体験でした。
そして5月1日、特別展「写楽」とともにガーデンテラスも再開することとなりました。


ガーデンテラスは法隆寺宝物館の中にあります。

本館前には思わず見上げてしまうゆりの木が堂々とそびえ立っていますが、法隆寺宝物館にあるガーデンテラスの庭の顔は、なんとも味のある形をしたソメイヨシノです。
春先のテラスで過ごすひとときは、まさに贅沢な時間だと思います。
日本の四季が織りなす、木々草花の色の移り変わりが大好きな私にとって、本当にうれしい職場です。
ふりそそぐ木漏れ日に癒されながら、本日もがんばります。


ソメイヨシノの前で。桜の季節にぜひ直接ご覧ください。

ようこそホテルオークラガーデンテラスへ。

カテゴリ:2012年9月

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posted by 富田真一(ホテルオークラ ガーデンテラス) at 2012年09月27日 (木)

 

先人・先輩たちに、ありがとう

学芸企画部長を務めている松本です。
いまでこそ後輩をたくさん持つ身になっていますが、学芸員になりたてのころ、はじめて勤めた大阪の小さな美術館では、先輩から、事あるごとに「アホか!」と怒鳴られていました。
遅刻や原稿の遅れ、作品の危い扱い方、無計画性等々、どれもこちらに非があることばかりで、当然、反論もなにもできたものではありません。

いまにして思えば、数々の叱責は自分のことを一人前に育てようという先輩の配慮によるものであることがよくわかり、そうしたことがあったからこそ、これまでこの仕事を続けてこられたと、しみじみ思います。
よき先輩とは、ありがたいものです。

こうした直接の先輩というわけではありませんが、トーハクが収蔵する数多くの文化財の中には、数百年、ときには千年単位の時の流れの中を、無数の先人たちの計り知れない尽力によって現在まで長らえてきたものがたくさんあります。


重要文化財 菩薩立像 中国山西省長子県付近  北斉時代・天保3年(552)  根津嘉一郎氏寄贈
(2013年1月2日(水)~ 2013年3月31日(日) 東洋館 1室にて展示予定)
私の専門、東洋美術の作品です。これも大切に守り伝えられてきた文化財のひとつです。


人と物とに対する取り組み方は、ただちに一緒に考えることはできないかもしれませんが、後に続く世代のことに思いを馳せる点では、後輩を叱咤激励してくれる先輩の姿と、文化財を守り伝えてきてくれた先人の姿には、どこか重なるところがあるように思います。

創立140年という期間が長いのか、短いのか、それは見る尺度によって異なりますが、はるか昔から存在していた文化財を、近代的な博物館のはしりとして設立されたトーハクが引き継ぎ、それを何代もの先輩たちが懸命に支えてきてくれたという事実は、時の積み重ねの分だけ伝統の蓄積となって、いまのトーハクの大きな財産となっているはずです。

先人や先輩に深く感謝しつつ、またこの先、人と物との両様の伝統を、末永く伝えていかなければなりません。


2013年1月、いよいよ東洋館がリニューアルオープンします。乞う、ご期待!

カテゴリ:2012年9月

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posted by 松本伸之(学芸企画部長) at 2012年09月24日 (月)

 

キョーハク・ナラハク・キューハク・トーブンケン・ナブンケン・アブンケンにありがとう

なにやら呪文のようですが、漢字で書くと「京博・奈良博・九博・東文研・奈文研・ア文研」。
これは業務上使っている、京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館・東京文化財研究所・奈良文化財研究所・アジア太平洋無形文化遺産研究センターの略称です。

上記の6施設と「トーハク」は、文化財の保存と活用という同一の目的のもとで、「独立行政法人国立文化財機構」という一つの法人に属しています。
私の仕事はこの7施設にまたがる調査・監査業務なのですが、もちろん、各施設の担当者の方々のご協力が不可欠。
急な資料の作成が必要とされることも多くあり、その度に「すみません。」と心の中で平伏しています。
「この人にお願いをすれば大丈夫」という私の勝手な信頼に応えて、短い〆切の中でもきちんと資料をまとめあげていただける担当者の皆さんに、感謝感謝です。ありがとうございます。

ところで、冒頭の略称についてですが、現在、「京博・奈良博・九博・東文研・奈文研」までは問題なく通じるものの、「ア文研」は、実はそれほど普及していません。
施設自体が新しくまだ馴染みがないことが主因かと思われますが、
「『アジア太平洋無形文化遺産研究センター』から、なぜ『ア』と『文』と『研』を切り出すのか。」
「元の名前がわからないではないか。」
という真っ当な批判も聞こえてくるところです。


話題にのぼったア文研。堺市博物館の中にあります

それでは、なんと呼んだらよいものか。
なんとも悩ましい問題です。
では、そもそも当のアジア太平洋無形文化遺産研究センターの担当者さんは、どう呼んでいるのか。
先日お電話をいただいた際には、所在地である大阪・堺市に引っ掛けた、わかりやすい略称(?)を自称されておりました。

「お世話になってます。サカイ無形センターです。」

…まあ、なんというか、「良い」「悪い」ではなく、「引越」という単語が頭に浮かびました。
難しいですね、略称って。


トーハクで多分一番目立たないところにある重要文化財 旧十輪院宝蔵の前で。

カテゴリ:2012年9月

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posted by 田村淳朗(財務課) at 2012年09月21日 (金)

 

「日々是発見」「楽亦在其中」にありがとう

博物館教育課教育普及室長の伊藤です。
私がこの東京国立博物館に教育普及室長として参りましたのが、2年前の4月。
同室では、学生さんや一般のお客様に、より博物館に親しんでもらうために、さまざまなプログラムを行っています。
それまでにも、トーハクの教育普及がいろいろな取り組みをしていることは、話には聞いていましたが、実際その中に身を置いてみて、改めて博物館での教育普及のやりがいと難しさを実感しています。
日々是発見といったところです。


ファミリーワークショップ「屏風体験!」の様子。私の話に、みな真剣に耳を傾けてくれます。

それから、当館では金工関係の展示の担当でもあります。
工芸品、特に仏教工芸を専門とするようになってから20年近くなりますが、140年の歴史を有し、名だたる作品群を擁するトーハクは、やはり私にとっては憧れの場所でありました。
収蔵庫の中にあるさまざまな作品を吟味しつつ、総合文化展の陳列案を考える。
楽亦在其中。大いなる喜びを感じています。

担当する本館1階13室金工エリアでは、現在当館が所蔵、あるいはお預かりしている「密教法具」を展示中(2012年10月21日まで)。独特の造形世界を、ぜひご覧いただきたいです。それにしても当館には、いい法具があるなあ、並べてみて自身も、感に堪えないといった次第なのです。


金銅三昧耶形 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土 平安時代・12世紀 北又留四郎氏他2名寄贈
(2012年8月7日(火)~ 2012年10月21日(日) 本館13室にて展示中

カテゴリ:2012年9月

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posted by 伊藤信二(教育普及室長) at 2012年09月18日 (火)