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140周年ありがとうブログ

参加者であり守り手であるみんなに、ありがとう

平成10年4月に東京国立博物館に赴任してからもうすぐ満15年が経ちます。
その間、トーハクの収蔵品を公開しながら確実に未来に継承するための新しい取り組みとして、臨床保存学を立ち上げました。



臨床保存学とは、文化財に寄り添いながら、あらゆる場所で文化財を安全に扱うための具体的で実践的な方法論です。
診断、予防、修理がキーワードになりますが、中でも大切なのが予防です。
文化財が傷んだ後で修理を施すのではなく、傷みの初期段階で最適な処置を行い、収蔵庫や展示室あるいは輸送中の環境を整えながら、適切に取り扱うのが予防です。勿論、傷まないように蔵の中に保管すれば良いというものではなくて、公開によって多くの方に親しんで頂きながら保存を目指すことが重要なポイントです。

予防には誰でも参加できるという素晴らしい特長があります。
監視、研究、清掃、経理、広報、販売、教育、人事など、トーハクで働くさまざまな人たちが、それぞれの立場から予防に寄与してくれています。

みなさん、どうもありがとうございます。


国宝 檜図屏風(狩野永徳筆)を調査する筆者

カテゴリ:2013年2月

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posted by 神庭信幸(保存修復課長) at 2013年02月02日 (土)