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140周年ありがとうブログ

美術作品、お客様にありがとう

教育講座室の神辺です。
今年、トーハク勤務12周年を迎えます。

ここまでやってこられたのは、折に触れ叱咤激励してくださった諸先輩方のおかげですが、
物言わぬ相談相手にも支えられてきました。
やるべきことに迷った時や気合が必要な時、私は相談相手を探しに展示室へ向かいます。
「全てお見通し」の文殊菩薩像、「考え方が甘い!」と一喝してくれる不動明王像が行きつけですが、
一人熱くなりすぎた時は平櫛田中の森の仙人の前で頭を冷やしたりもします。

森の仙人 平櫛田中作 大正6年(1917)
森の仙人 平櫛田中作 大正6年(1917) (展示予定は未定)

私が生まれるずっと昔から「在る」これらの美術作品は、私の人生の案内人、先達です。
先達は、じたばたする私を落ち着かせ、最後に優しく背中を押してくれます。
尊敬する先輩が年々トーハクを去られ寂しく心細い思いをする中、
先達はいつも変わらず私を迎えいれてくれるありがたい存在です。

優しく背中を押してくれるといえば、常連のお客様にもお世話になっています。
講座室はお客様と直接お話することの多い部署です。講演会列品解説では、
何気ないお客様とのおしゃべりや博学なお客様からのご指摘が講演会の運営の向上や研究のヒントになったりします。

昨年の秋、私は新しい命を授かりました。お腹が大きくなるにつれ縄文時代の土偶に一方ならぬ親しみがわいています。
語らう先達がまた一人増えました。

土偶の隣で
土偶ポーズで土偶と2ショット

美術作品に寄り添いながら人生を歩むことはとても素敵なことです。
この先の10年もたくさん美術作品、お客様に「ありがとう」を感じながら歩んでいきたいと思っています。

カテゴリ:2012年2月

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posted by 神辺知加(教育講座室) at 2012年02月26日 (日)

 

博物館の魅力を教えてくれた人たちにありがとう

かつて、いつから博物館・美術館に関心を持ったのかを聞かれたことがありますが、
一つの劇的な出来事があったというよりは、博物館・美術館へ通ううちに、
じわじわとその魅力が体に染み込んできたという方が近いように思います。
最初に訪れた美術館では、見慣れない雰囲気の作品に囲まれて動揺したのを覚えています。
けれどもいつの間にか、放課後は近隣の展覧会へ寄り道するようになっていました。

顔写真
平常展調整室にて撮影

今思うと、その間には美術の先生はじめ、各館の講演会やボランティアさんの活動など、いろいろな人の導きがありました。
作品を前にしたときに流れる恍惚とした時間が好きですが、その作品のどこにそんな力が潜んでいるのか、
それを知ると更に感動が大きくなります。キャプションを通して興味が広がることもありました。

竜虎図屏風
作品の名称や基本情報を知らせるキャプションは作品の周辺を探すと必ず配置されています。

博物館で働き始めてもうすぐ1年経ちます。
博物館・美術館の魅力を教えてくれた人たちには、ありがとうを言わずにはいられません。

カテゴリ:2012年2月

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posted by 菅野仁美(平常展調整室) at 2012年02月22日 (水)

 

トーハクの「顔」にありがとう

はじめまして、デザイン室の勝沼と申します。
私の仕事は主に館内の案内看板やバナーをデザインすることです。

140周年にあたり、PR看板・バナーをデザインさせていただきました。
特に私のお気に入り作品「見返り美人図」を使用できて、心に残る屋外バナーとなりました。

お気に入りの本館屋外バナー(掲示は2013年3月まで)

そんな看板やバナーをお客様が撮影されている姿は本当に嬉しいです。
色々な看板やバナーで着飾って、みなさまにアピールしている正門と本館は
正にトーハクの「顔」だと思っています。

正門前看板・本館屋内バナー
正門前看板・本館屋内バナー(掲示は2013年3月まで)

さらにトーハクくんとユリノキちゃんという新しい「顔」も誕生し
よりトーハクが盛り上がってほしいです。

キャラクターと筆者
キャラクターと一緒に本館前にて撮影

この仕事を通じて、私が「ありがとう」と申し上げたいのは上司、看板などを製作・設置してくださる業者様、携わる全ての方へ。
そして、トーハクの「顔」に「ありがとう」
いつも着替えが大変で、お疲れ様です。これからもよろしくお願いします。

カテゴリ:2012年2月

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posted by 勝沼早苗(デザイン室) at 2012年02月19日 (日)

 

展示技術にありがとう

渡邉重夫(経理課)

4年前に千葉県鴨川シーワールドへ出かけた際、バックヤードツアーに参加しました。水族館を楽しむというより海の生き物の研究を見せてもらいました。

その後、トーハクに異動が決まったとき鴨川シーワールドを思い出しました。東博では展示に至るまでにどのような過程があるのかと思いました。
一般の方から見れば、博物館は作品の保存と収集を行い、これらの芸術を鑑賞するに留まることが多いのではないかと思います。
しかし、その展示に至るまでには、実に多くの専門的分野が凝縮されていることに驚かされます。

素人の物言いで大変恐縮ですが、作品ひとつとっても、まず解説には歴史の背景などが丁寧に付されており、
歴史の分野は言うに及ばず、それを読みたいと思う題箋のデザインも必要となってきます。
また、当たり前のように展示されている作品には、実はそこには化学的、生物的保存技術なども凝縮され、
これらを思いめぐらすと実に多くの方々の努力の結晶であることに行きつきます。

トーハクの歴史は140年ですが、文化財はこれを何倍も上回る年齢を重ねています。
この当たり前の展示が永遠に続くよう、これまでの140年の間に展示にかかわってきた方々へ感謝するとともに、
これからもよろしくお願いしたいと思います。

法隆寺3室
法隆寺宝物館第3室

カテゴリ:2012年2月

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posted by 渡邉重夫(経理課) at 2012年02月16日 (木)

 

柳橋水車図屏風にありがとう

保存修復課の沖本です。東洋絵画を中心とした館蔵品の修理の仕事をしております。 

昨年、1年半の工期を費やした柳橋水車図屏風(りゅうきょうすいしゃずびょうぶ)の修理が完成しました。
この作品の修理は私にとって非常に思い出深いものとなりました。

画面の四方に取り付けられる縁裂(ふちぎれ)は、元の文紗(もんしゃ)と似寄(によ)りの橘文(たちばなもん)から紋起こしを行い、旧裂の色調を踏襲しつつ、作成いたしました。

修理作業の様子
修理作業の様子

屏風の四隅に取り付けられる金具もトーハク館内コレクションにあるほぼ同時代の屏風にとりつけられた金具を参考に、デザインを起こしその図面を元に掘って頂いたものを取り付けました。

金物図面
金具のデザイン図面

東洋絵画は約100年~150年の周期で修理を繰り返し、次の世代に伝わってゆきます。
その時代によって修理方法や技術・材料・方針も刻々と変化してゆきますが、すべての作品が次世代、また更に次世代へとより良い状態で伝わっていくことを願ってやみません。
修理技術者がどの作品を修理するかは御縁以外の何物でもありません。次世代へのバトン渡しを手伝う黒子の様な存在だと考えています。
作業を通じて、さまざまな事を考えさせてくれた柳橋水車図屏風に「ありがとう」。

顔写真
柳橋水車図屏風の修理室にて撮影

尚、柳橋水車図屏風は2012年2月21日(火)~4月1日(日)まで平成館1階企画展示室「東京国立博物館コレクションの保存と修理」展にて展示予定です。金具や裂など細かい個所も含めて是非ご高覧ください。

カテゴリ:2012年2月

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posted by 沖本明子(保存修復課) at 2012年02月13日 (月)