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140周年ありがとうブログ

柳橋水車図屏風にありがとう

保存修復課の沖本です。東洋絵画を中心とした館蔵品の修理の仕事をしております。 

昨年、1年半の工期を費やした柳橋水車図屏風(りゅうきょうすいしゃずびょうぶ)の修理が完成しました。
この作品の修理は私にとって非常に思い出深いものとなりました。

画面の四方に取り付けられる縁裂(ふちぎれ)は、元の文紗(もんしゃ)と似寄(によ)りの橘文(たちばなもん)から紋起こしを行い、旧裂の色調を踏襲しつつ、作成いたしました。

修理作業の様子
修理作業の様子

屏風の四隅に取り付けられる金具もトーハク館内コレクションにあるほぼ同時代の屏風にとりつけられた金具を参考に、デザインを起こしその図面を元に掘って頂いたものを取り付けました。

金物図面
金具のデザイン図面

東洋絵画は約100年~150年の周期で修理を繰り返し、次の世代に伝わってゆきます。
その時代によって修理方法や技術・材料・方針も刻々と変化してゆきますが、すべての作品が次世代、また更に次世代へとより良い状態で伝わっていくことを願ってやみません。
修理技術者がどの作品を修理するかは御縁以外の何物でもありません。次世代へのバトン渡しを手伝う黒子の様な存在だと考えています。
作業を通じて、さまざまな事を考えさせてくれた柳橋水車図屏風に「ありがとう」。

顔写真
柳橋水車図屏風の修理室にて撮影

尚、柳橋水車図屏風は2012年2月21日(火)~4月1日(日)まで平成館1階企画展示室「東京国立博物館コレクションの保存と修理」展にて展示予定です。金具や裂など細かい個所も含めて是非ご高覧ください。

カテゴリ:2012年2月

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posted by 沖本明子(保存修復課) at 2012年02月13日 (月)